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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: カバーストーリー「」を流布し、
説明: SCP-XXXX-JPは山形県の██地域を中心に発生する幻覚現象です。
SCP-XXXX-JPの対象となった人物(以下、対象)は数秒から数分間に渡り、現実の風景を認識することができなくなり、海棲生物の活動を自身の体験として認識します。特筆すべき点として、SCP-XXXX-JPで確認される幻覚の大部分は深海域の海棲生物の感覚を体験したものとなっています。
SCP-XXXX-JPの内容には個人差がありますが、おおよそ海棲生物の一生をなぞっているものと考えられています。以下は、SCP-XXXX-JPによって確認された幻覚の一例です。なお、当該内容は対象からの聞き取りを元に作成されていることから、対象自身の主観が含まれている可能性に留意してください。
SCP-XXXX-JP例1
対象は深海にいる。目の前は暗く何も見えないが感覚で自身が深海にいることを理解している。脚部にあたる部分が何かに固着し1、その場から移動することなく、流れに沿って揺らめいている。対象の付近には二枚貝類が群棲している。対象は徐々に周囲の様子の判別が困難になる。対象は、自身が死に向かっているように感じ、慌ててブレーキを踏んだところ幻覚から脱したと報告している。
SCP-XXXX-JP例2
対象は目の前の物体を摂食している。周囲には同様に物体を摂食している生物が複数存在し、カニの一種と思しき甲殻類の存在も確認されている。対象は、自身に大型の生物が接近していることを感知する。対象が物体から離れようと背後を向くと、大型生物が自身に向かって口を開いていることを理解する。対象は大型生物に身体を嚙みちぎられる。その時点で対象は幻覚から脱した。
SCP-XXXX-JP例3
対象は比較的浅い海域を遊泳している。対象は時折水面付近まで上昇する感覚を覚える。その際、水面から顔を出しているように感じているものの、視野が海側を向いており水面上の様子を伺うことはできない。しばらくして対象は強い眠気を覚える。対象は水面に顔を出すと大きく息を吸い込み、そのまま深海域まで潜水を始める。海底に近いところまで潜水をしたところで対象は幻覚から脱した。
注: 深海域以外の様子が確認された唯一の例です。
SCP-XXXX-JPは1994年にその存在が明らかになりました。SCP-XXXX-JPの主な発生地である山形県の██地域では、1990年初頭より自動車による交通事故が多発しており、1994年には人口および自動車保有台数あたりの事故発生率が同規模の地域と比較して約3倍以上となっていました。原因追及のため地元警察によって行われた聞き取り調査の中で、事故を起こした人物の多くが「深海にいる夢を見た」「食べられそうになったのでハンドルを切ったら電柱にぶつかっていた」等の不可解な証言をしていることが発覚し、財団の目を引くこととなりました。
当初は自動車運転者に作用する異常性であると考えられていましたが、1995年に行われた██地域の聞き取り調査の中で、自動車を運転していない時間帯にSCP-XXXX-JPを経験したと証言する人物が確認されました。証言者の多くは冬季に石油ストーブを使用した際にSCP-XXXX-JPを経験したとしています。石油ストーブの不完全燃焼による一酸化炭素中毒の影響も検討されましたが、対象者の血中一酸化炭素濃度、室内の一酸化炭素濃度、およびストーブの燃焼状態はいずれも正常であったことが分かっています。SCP-XXXX-JPについて対象のほとんどが「うたたねをして夢を見ていた」「よく海の夢を見るようになった」と思い込んでおり、SCP-XXXX-JP発生に違和感を覚えることがなく、事態が表面化することがなかったとみられます。
この結果を受けて調査を行ったところ、SCP-XXXX-JPが発生した対象者は共通して███社の石油製品を使用していることが判明しました。財団が███社の石油製品を用いて実験を行ったところ、1991年に稼働を開始した███油田から採取された石油製品でのみ、SCP-XXXX-JPと同様の幻覚が発生しました。以上のことから、SCP-XXXX-JPの発生要因は███油田の石油製品であると仮定し、調査が行われることとなりました。
███油田
補遺1: 1995年に███油田の生産を停止し地質調査を行いました。調査の中で、採取深度によってSCP-XXXX-JPの幻覚の強さに差があり、地質年代における新第三紀2にあたる地層から採取された石油製品でとりわけ顕著にみられることが分かりました。
異常な化学物質による原因を想定し、各種測定器を使用して検証を行いましたが、有意な結果は得られませんでした。その後、SCP-XXXX-JPの影響が最も強く発現する新第三紀の地層帯に要因があると仮定し、周辺で行われた地質学調査や古生物学調査の洗い出しが行われました。対象者の幻覚内で確認された生物種をリスト化し、幻覚内で見られた「二枚貝」「甲殻類」「鯨類」等の発見された化石群に焦点を絞り、調査を行いました。その結果、1992年に山形県真室川町内の新第三紀の露頭より発見された「マムロガワクジラ3」に注目が集まりました。
自然人類学及び心霊学的アプローチの観点から当調査に同行していたサイト-81UO所属の山田調査官が霊的実体の解析を行ったところ、異常な数の霊的実体が化石の出土地点に群集していることが分かりました。確認された霊的実体群は海棲生物由来のものが約98%を占めています。周辺で確認された主な霊体は以下の通りです。
- マムロガワクジラの骨
- 魚類等の遊泳生物
- ホネクイハナムシと類似する環形生物
- 主に深海に棲息する甲殻類
- 現在のイガイ科と類似する二枚貝
これらの海棲生物とSCP-XXXX-JPの幻覚内で確認される生物との間に多くの共通点がみられます。このことから、海棲生物の霊的実体で構成された実体群が何らかの形でSCP-XXXX-JPが発生する原油に影響を及ぼし、SCP-XXXX-JPが発生する要因となっているとみられます。
また、霊的実体群の中心にはマムロガワクジラの骨の霊体が存在し、その周囲に多様な海棲生物の霊体が群集しています。また、ほとんどの霊的実体はそれぞれ自由運動をし、食物連鎖と似た関係性を維持しています。一方で、鯨類の骨の霊体はマムロガワクジラの化石が出土した位置から動くことはなく、化石が採取された後も同じ位置に留まっています。
確認される海棲生物の種や、鯨類の骨を中心に霊的実体群の生態系が構成されている点から、霊的実体群は鯨骨生物群集を形成しているものとみられます。霊体の鯨骨生物群集はSCP-3011-JP等、既に実例が存在しますが、鯨類が骨格のみになった状態で群集が維持されているケースはこれまで確認されていません。また、本来鯨骨生物群集は長くとも100年ほどで骨が風化及び消失し、生態系も消滅します。約600万年前のものとみられるマムロガワクジラの鯨骨生物群集が現在まで継続していることは特筆すべきです。
SCP-XXXX-JPと霊体の鯨骨生物群集との関連性、鯨骨生物群集が生態系を現在まで維持し続けている要因についての調査が継続されています。
補遺2: SCP-XXXX-JPを発生させる石油製品の分析を行った結果、製油製品内にエクトプラズム様の物質が存在することが明らかになりました。物質内には生物の情報が残留しており、石油製品内から抽出した当物質をDクラス職員に散布した結果、SCP-XXXX-JPと同様の作用が働きました。このことから、SCP-XXXX-JPは、原油が地中を浸透して油田を形成するプロセスの中で、霊体鯨骨生物群集を通った際に、エクトプラズム性残留物質が原油に取り込まれた結果発生していたものとみられます。
SCP-XXX-JPを発生させる要因となる霊的鯨骨生物群集が他にも存在すると仮定し、財団は「ヤマガタダイカイギュウ4」など、山形県内で現在までに鯨類の化石が発見された箇所の調査を行いました。その結果、山形県内の複数の化石産地から同様の霊的生態系およびエクトプラズム性残留物質が確認されました。発見された霊的生態系は規模の程度の差はあれど、すべての地点で霊体が現代の生物に更新され続け、維持されていることが判明しました。
霊的鯨骨生物群集がSCP-XXX-JPを発生させることは明らかになりましたが、現在までに鯨類の化石が発見されている山形県外の地域5で同様の調査を行いましたが、霊的鯨骨生物群集が発見されることはありませんでした。
SCP-XXX-JPが山形県内でのみ発見される原因について、現在も調査が行われています。
補遺3: 霊的生態系が発見された地点とその規模を地図上にプロットしたところ、山形県の中心部に位置する月山を中心に同心円状に霊的生態系が分布し、霊体の母数も中心に近づくにつれて増加することが判明しました。
霊的生態系が維持されている箇所の付近に、「死者の霊が集う」とする山岳信仰の文化が色濃く残る地域が存在することが明らかになりました。特に中心地とされる月山を含む出羽三山はかねてから山岳信仰の対象となっており、3つの山を巡礼することを「生まれ変わりの旅」と称していました。
出羽三山の「生まれ変わりの旅」
出羽三山は山形県中心部に位置する月山、湯殿山、羽黒山の総称。日本列島において古来より、山や川を神の住処と考え、神の宿る山から魂と授かり、この世に生を受けて、死後に山に還ると考えられていました。特に出羽三山は古くから東北を代表する聖地として、多くの信仰を集め、日本屈指の霊場として知られていました。
出羽三山には羽黒山を現世(現在)、月山を前世(過去)、湯殿山を来世(未来)という三世の浄土を表すとされ、羽黒山から入り、月山で死と蘇りの修行を行い、湯殿山で再生するとする巡礼が多く行われるようになり、「生まれ変わりの旅」と称されるようになりました。
上記の「生まれ変わりの旅」と、SCP-XXX-JP-Aを中心に維持され続ける「霊が集まり、分解され、再び循環する」という生態系の循環の現象と一致しています。この結果を受け、財団内では霊体の鯨骨生物群集が山岳信仰のよりどころとなったとする説と、信仰によって霊的鯨骨生物群集が引き寄せられる土壌となったとする説が展開されていますが、どちらも確証は得られていません。
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- portal:4052664 (18 Jun 2018 18:44)

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