【記事下書き】ビオトープ・ルーフ

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SCP-XXXX-JP

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

脅威レベル: 青 ●1

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの周囲2kmは民間人の立ち入りを禁止します。SCP-XXXX-JPを研究目的で使用する場合は所属サイト管理官の承認が必要です。

説明: SCP-XXXX-JPは山形県██町███集落に存在する家屋です。木造平屋建で屋根には茅が葺かれています。SCP-XXXX-JPは建材同士を分離することができません。そのため、家屋の解体及び茅の葺き替えを行うことはできません。

SCP-XXXX-JPは日の出の時刻になると、屋根の表層部に新たな「茅」を発生させます。SCP-XXXX-JPの屋根に発生する茅は、一般的に茅葺屋根の屋根材として使用されるススキやヨシの他、本来茅葺屋根に使用されることのない植物あるいは植物性物品の出現も確認されています。屋根を構成する植物が周辺の植生とほぼ一致すること、周辺状況に由来する植物性物品が多数発見されることから、SCP-XXXX-JPは周辺に存在する植物あるいは植物性物品を、何らかの形で茅として獲得していると考えられています。

新たな茅の発生後、従来表層に存在した茅は屋根の奥部へと移動します。この茅は消失することがないため屋根の奧部に蓄積されていきます。そのため、屋根の奥部へ向かうほど古い時代に発生した茅を確認することができます。SCP-XXXX-JPの見た目上の屋根厚は約50cm程ですが、ファイバースコープを用いた屋根内部の調査の結果、屋根の表層からの深度は50cmを大きく超えることが判明しています。現在までに400cm地点までの調査が完了していますが、屋根の底部には到達していません。

以下は屋根部で発見された植物あるいは植物性物品の一例です2。

表層からの深度 建材として使用された植物等 備考
1cm ブナ、コナラの枝 ススキやヨシを除き、屋根部で最も顕著に確認される植物
60cm 割箸 ゴミとして投棄したものとみられる
90cm 木製の測量杭 杭に記載された内容から、ダム建設計画の調査時に使用されたものとみられる
170cm ハゴロモミズナラの枝 山形県西川町の町指定天然記念物。従来確認されている原木は1本のみ。西川町以外で発見されたのは初。屋根部からの取出しの試みは全て失敗に終わっている
280cm イネ、稲藁 深度160cm以降断続的に存在が確認される
330cm 木製の印鑑 「██3印」と記載
400cm4 未発見の植物種 モクレン科モクレン属の近縁種とみられる。元禄3年(1690年)に著された本草書『██████』にて類似する植物の挿絵が掲載されている

現在までにSCP-XXXX-JPの屋根部から18の変種、36の近縁種が発見されています。SCP-XXXX-JPが周辺地域の植生の変遷の保存という副次的な効果を持つことから、SCP-XXXX-JPを植物学関連の研究あるいは地域史研究の標本として使用することが許可されています。SCP-XXXX-JPのリストの全容はクリアランスレベル2以上の職員に公開されています。

発見経緯: SCP-XXXX-JPは1972年に発見されました。SCP-XXXX-JPの存在する███集落はダム建設の計画が立ち上がっており、1977年までに住民の退去およびSCP-XXXX-JPの取り壊しが行われる予定でした。ところが、SCP-XXXX-JPが破壊耐性を有し、撤去および移築が不可能であったため、噂を聞きつけた財団に発見される運びとなりました。SCP-XXXX-JPの収容のため、財団の介入によってダム建設の計画は凍結されました。現在も███集落周辺を開発する計画案は全て凍結されています。

以下は、収容の15年後に███集落の組合長だった██氏へ行ったインタビューです。なお、███集落の住民は全員SCP-XXXX-JPの影響範囲外に居住しています。

インタビュー記録 - 日付1987/9/8

対象: 黒川氏
インタビュアー: 千堂博士

補足: 千堂博士の表向きの職業は文化人類学の教授であり、本調査もフィールドワークの一環と称して行われています。なお、███集落の住人は収容開始時からインタビューが行われるまでの15年間、調査に対する協力を一切拒んでいました。


<録音開始>

千堂博士: 調査を受けていただき感謝いたします。何か状況が変わったのでしょうか。

黒川氏: 何も変わっちゃいねえ。ただ、あんたらは毎年欠かさずここに来て調査をしているのはよくわかっている。少なくとも下世話な記者連中ではないんだろう。だから、話くらいしてやるかと集落のやつらと相談して決めたんだ。

千堂博士: ありがとうございます。調査が良いものとなるよう、努力いたします。まずは███集落の概況から伺わせてください。

黒川氏: この辺りは元々稲作が盛んな集落だった。ここに来るまでにやたら広い荒地があんのを見なかったか? あれが元々全部田んぼだったらしい。この辺りは土壌や水が良いのか、収穫量も多かったようで百姓でも比較的裕福な暮らしができていた。

千堂博士: あの茅葺屋根の家周辺一帯ですね。今でこそススキが生い茂っていますがかつてはそうだったのですね。

黒川氏: その象徴ともいえるのがあの茅葺の家だった。あれは寄合の長だった吉兵衛の家でな、なんでも名のある職人に作らせたとかで、このド田舎に似つかわないほど立派なものだった。しかも不思議なことに収穫の時期が近づくと屋根が黄金色に輝く、なんてこともあった。その年は決まって豊作になるもんだから、集落では「豊穣の神による施し」だと思ったそうだ。

千堂博士: 私も調査で様々な所へ赴きましたが、あそこまで保存状態の良い茅葺の家はなかなか見られません。さぞ、大事にされていたのでしょうね。

[数秒沈黙]

黒川氏: そうだな。まあ、豊穣の神なんて俺は信じちゃいないが。当時は質の良くない種もみを屋根の上に投げ入れてたらしいからな。自然に生えることもあるだろ。

[黒川氏はため息をつく]

千堂博士: 吉兵衛さんについてですが、あれだけの家を建てられるのならばこの集落でも力を持った方だったのでしょうか。

黒川氏: そうじゃねえな。あの家はそもそも代々寄合の長が住む家だった。吉兵衛が建てたわけじゃねえ。それに寄合の長といってもただ年貢の取りまとめをして、役人に渡すだけの仕事だ。何の力もありゃしねえ。それどころか、物を言えぬ性格だったところをつけこまれて、住民から田んぼの水をちょろまかされたり、年貢を少なく納められたりされたみたいだ。だが、吉兵衛は何も言わなかった。

千堂博士: 足りない分はどうされたのでしょうか。吉兵衛さんが手ずから補填されたのですかね。

黒川氏: そうだ。それが何年も続いた。ある年の秋前、大雨が降って何週間も外に出られない時期があった。何日も川の水が引かず、川向こうにある吉兵衛の家に行き来できなかった。集落のやつらがあの家に行ったときにはひどい惨状だったらしい。辺り一面に血の匂いと何かが腐ったような臭いが漂っていた。吉兵衛の死体は畜生どもに食い散らかされて、顔なんかは原型をとどめていなかったらしい。集落の人間が総出で死体を川に放り込んだ。

千堂博士: 痛ましい限りです。

黒川氏: さて、吉兵衛がくたばってから集落全体でおかしなことが起き始めた。

[千堂博士は黒川氏を見ながら時折手元の手帳にメモをする]

黒川氏: あの家にほど近い田んぼだけ収穫量が減るようになった。ただの不作だと思ったがそれが何年も続いた。動物の仕業と考えて柵を立てた。数日後立てたばかりの柵が何本かなくなっていた。箸やらはんこやらが無くなるようになった。集落の誰かが盗んだのかと思ったが、全員が集まる祭りの最中にも物が無くなった。その後も色々なものが音もたてずに無くなっていく。終いにはまだ実もついていない青い稲が田んぼの一角からごっそり無くなった。あんたならどう思う。

千堂博士: 原因は思い当たりません。ただ、当時私がここに住んでいたならば吉兵衛さんの祟りかと思うかもしれないですね。

黒川氏: 当時の奴らも同じように思ったんだろうな。だから、お祓いでもしてやろうと考えた。十数年ぶりに家を訪れた村の奴らは驚いた。茅葺の家はあの頃と変わらない様子で建っていた。扉も障子も柱もあの時のまま。雑草一つ生えていなかったらしい。気味悪がっていると、家の裏手から悲鳴が聞こえたそうだ。あわてて向かうと、先に裏手に回ってお祓いの準備をしていた女衆が腰を抜かしていたという。何を見たのかと思って皆が屋根の上を見た。屋根の上にびっしりと青い稲が生えていた。

[数秒沈黙]

黒川氏: それを見て集落の連中は思った。この家は集落のものを奪っているのではないかと。集落の連中が吉兵衛にやったことと同じようにな。それ以来、あの家の近くには住まないようになった5。そして、あの家とその周囲は完全に放置され誰も近づかず語らないようになった。これが俺たちが話さなかった理由だ。語るのも嫌な話だよ。

千堂博士: 貴重なお話をありがとうございます。ダムの計画が進む前に伺えたのは幸いでした。

黒川氏: そうか良かったな。ただ、ここの住人に集落を残したいと考えている奴なんて一人もいねえがな。

[千堂博士は手を止めて黒川氏と目を合わせる]

黒川氏: よく考えてみろ。こんなおかしなことやらが起こる土地に好き好んで住みたい奴がいるか? 家の祟りの話が出てから、この集落からは人がどんどんいなくなっている。離れられる奴はとっくの昔にいなくなってんだよ。ここにまだ残ってる奴はな、離れらんねえんだ。先立つものがねえばかりにな。

黒川氏: だからここにダムができるとなった時は集落の全員が喜んだ。やっとこの忌々しい土地から出られる、それどころか次の行き先まで用意してもらえると。だが、計画途中であの家が見つかった。そこからよくわからんが、歴史的に価値があるだとか周辺に貴重な植物が見つかっただとかでダム計画がストップしちまったんだよ。観光資源にでもできればよかったんだが、植物の保護のために入ることすら許可されないときた。

[黒川氏はため息をつく]

黒川氏: だから先生よ、俺たちはあんたらのことも許すことはできねえんだ。あんな気味の悪いものに価値を見出し、俺らをここに縛り付けたあんたらのことはな。

<録音終了>


ここから改稿予定
・黒川さんの説明部分を減らす
・洪水、風土病を削除する⇒田んぼのイネが減っていくのみにフォーカスする
・もう少しリアルな聞き取り調査に近づける


Tag: scp jp 移動不可能 破壊不可能 人工 建造物 青



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