アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明:
【プロット】
山形県山形市北東部に位置する千歳山に出現する、女性とみられる人型実体。
新月の夜にのみ出現する。
→住宅街のど真ん中にある山のため可能な限り発見されにくい出現条件とすること
古語を話す、服装や髪型などから出家した平安時代周辺の女性とみられるが確証はなし。
出現位置や実体の様子から、千歳山に伝承される「阿古耶の松伝説」に由来する存在である可能性が示唆される。
実体とは意思疎通が図れるため、インタビューを実施。
☆インタビューの方向性、回数、情報を出す順序は後々詰めていく
インタビューの結果、実体は千歳山に関する3つの話が混在したような記憶を有することが判明する。
3つの話
・阿古屋姫伝説その1
・阿古屋姫伝説その2
・十六夜姫の話
※詳細は【収集した情報】を参照のこと
【オチ第1案】
正体は、3つの話とは全く関係のない、松の付近で何かがあって未練を残した無名の人物。千歳山に関する3つの話の概念が流れ込んでしまい、元の記憶を失ってしまっている状態。自身が3つの話とは関係のない何らかの未練を持っていることは覚えているが、3つの話の記憶が邪魔をして思い出せない。出現から千年以上たった今でも未練が晴れることがなく、千歳山に縛り付けられている。
3つの話については、歴史資料の観点からすべてが後世に創作された話であると財団では結論付けており、3つの話のいずれかの未練を晴らしたとしても意味がないと判断している。現在、この未練を思い出させる手立てはなく、また思い出させること自体が実体の無力化を引き起こす恐れがあるため、未練に関する調査は行われず、現状を維持する方針となっている。
【オチ第2案】
正体は阿古耶姫その人。世間で知られている3つの話は歴史資料の観点からすべてが後世に創作された話であると財団では結論付けられている。しかし、火のないところに煙が立たないように、この3つの話が千歳山に伝承され根付いたのは、本来この千歳山周辺に存在していたはずの伝承があったため。その中心人物がこの実体=阿古耶姫だった。3つの話は阿古耶姫という登場人物を借りて土着及び伝承した話であった。しかし、当の本人が従来の伝承を全く思い出すことができず、文献も残っていないことから、本来の伝承を知ることはほぼ不可能となっている。実体は本当の自分が何なのか分からないままこれからも永遠に悩み続ける。
【所見】
・インタビューメインで不憫感を出さなければいけないため、すっごく頑張る必要がある
・資料のまとめ方、情報の抽出がとても大変だと思う。
・3つの話を全部ぶち込んだ上で結論は全く別という、書き方次第ではズッコケ感の出るプロットのため死ぬほど大変そう
・3つの話を入れるので読者への負担が異常
・3つの話がそれぞれ単体でも面白いので、果たしてそれに勝てるのか
【収集した情報】
阿古耶の松は古来より歌枕として詠まれているものであり、様々な歌人がこの松を題に歌を詠んでいる
陸奥の阿古原の松の木がくれていづべき月の出でやらぬかな 『夫木集』より
→この歌より、後述の実方は阿古耶の松が陸奥国にあると勘違いする。実際は松の所在地を含む陸奥国の一部が出羽国に分離したため、出羽国(現在の秋田県と山形県)の山形市に存在する
~千歳山にある阿古耶の松の伝説について~
阿古耶の松の伝説は2つ存在する
一. 阿古屋姫は右大臣藤原豊成公の息女・中将姫の妹とする説
豊成公が罪あって遠流にされた時、臣下が阿古屋姫をかくまい、自身の生まれ故郷出羽国にある平清水村(千歳山の麓、現在の山形市平清水)へ隠れ住ませた。
しかし、幾年か後、阿古屋姫は心労で帰らぬ人となる。遺言にて「亡骸は山上に葬り、そこに松を植えるように」と望み
消えし世の跡問ふ松の末かけて名のみ千歳の秋の月影
という時世の句を残す。
今も古跡の墓標にその句が刻まれている
→「中将姫」というタレント的存在の妹という設定から、中将姫を引用した創作の可能性高し
二. 奥州信夫の藤原中納言豊充卿の息女・阿古耶姫とする説
一般によく知られている伝承がこちらの説
無双の美人かつ詩歌管弦の道に堪能であった姫が、ある夜に琴を弾じていたとき、いつの間にか一人の美丈夫が窓下にたたずんでいた。美丈夫は琴の調べにふと感嘆の声を漏らしてしまい、姫に気づかれる。姫は「どこからやってきたのか」美丈夫に問うと、「千歳山から」と答えた。
以降、不思議なことに姫が琴を弾ずると、かの美丈夫が訪れてくることに。
ところが、ある夜のこと、姫が演奏を止めると同時に美丈夫が姫に声をかけてくる。
「今宵以後、ふたたび貴女の琴の音をお聞きすることができません。いや、もう二度と貴女にお目にかかることさえできなくなってしまいます。」
その言葉を訝しく思い、姫がわけを訪ねると美丈夫は涙を浮かべ
「私はあの千歳山の頂にある千年の古松ですが、もう死ぬべき運命が明日に迫っています。もし、私が死ぬようなことがあれば、どうか貴女に一遍の供養を願いたい」と申すやいなや美丈夫はかきけすごとくみえなくなってしまう。
翌日、姫が起きてみると千歳山にたくさんの木こりが入っていき、山の古松を切り倒している。
名取川の橋梁修繕の令が下っており、国人は橋材にこの松を選んだのだという。いよいよ古松が伐採され運搬となった際、不思議なことに切り倒された松は如何なる力でも動かすことができない。人々はすこぶる驚き、樹木に精霊があるのだと言い大騒ぎ。
麓から山の様子を悲しげに眺めていた阿古耶姫は、木遣の音頭が聞こえなくなったことを訝しみ引きつけられるように千歳山に登っていく。
来てみればあの千年の古松が痛ましくも切り倒されている。その時、松に琴の音に恍惚としていた美丈夫の面影を見る。「一遍の供養を願いたい」との言葉を思い出し、姫は末に近づき涙をぬぐいながら、悲痛の思いをこめて松に触ると、動く気配のなかった松が、風もないのに颯々と枝葉を震わし、琴を奏でるかのような響きを立てる。
木が動いたので人々は松を運ぼうとしましたが、姫が離れるとまた決して動かすことができなくなり、人々はまた驚愕する。これを見た姫は心から念仏し、「国主の命により橋梁に用いられるため致し方ないのだ」と言い古松に往生を勧める。古松はこの言葉を受け容れるがごとく再び音を鳴らす。人々は三度驚愕し、松を運び出すことができた。
姫は即日仏道に入り、千歳山にある木の根の付近にささやかな庵を結び、懇ろに古松の霊の供養につとめた。姫は長く生き、亡くなった際には庵のあたりにしるしとなる松を植えて彼女の墓所を示したものが、世に有名な「阿古耶の松」と言い伝えられている。
→どう考えても創作
・阿古耶の松伝説が残る千歳山万松寺に残っているもう一つの伝説
万松寺には阿古屋姫の位牌の他に、藤原実方中将とその娘十六夜姫の位牌も安置されているという伝説がある。
※藤原実方は光源氏のモチーフの一人ともいわれる人物。詩歌に秀でる。またタレント使ってるよ。
実方朝臣が乱暴した罪によって、陸奥守におとされたが天子がそれを惜しみ、陸奥の歌枕を見てまいれと位一階を進め、陸奥に行かせた。実方は名所古跡を巡り、阿古耶の松も訪ねようとしたが所在がしれません。帰りしなに休憩している木こりに会い、もしやと所在を訪ねると「陸奥の阿古耶の松の木がくれていづべき月の出でやらぬかな」の歌を元にここを訪れたのでしょうが、と話し阿古耶の松がある出羽国を教えてくれた。そこへ向かう途中に名取の地で道祖神を前に下馬することなく通り過ぎたため、神の怒りを受け落馬し帰らぬ人となる、実方の墓はその地名取にある。しかし、実方は今わの際に「千歳山に葬ってくれ」と願い、千歳山の万松寺に古墳が残されている。
実方の死を知った娘の十六夜姫は、千歳山を訪ねる旅に出る。旅の途中で、川を渡った際に川面にうつる自身の顔が酷く憔悴している様を見て
いかにせむうつる姿はつくも髪わが面影は恥かしの川
という歌を詠んだ。以降、この川は地下を隠れるように流れるようになり、恥川と呼ばれるようになった。
こうして、姫はこの地に長く止まって、父の墳墓に一生千年の供養をささげたという。
そのため、万松寺には阿古屋姫の位牌の他に実方と十六夜姫の位牌が安置されているという。
→左遷されたという部分がすでに創作のため、この伝承も創作の可能性高し
・その後
橘南谿の著した「東遊記」によると阿古耶の松周辺は栄えていたとされている(1785年頃)が、いつの間にか枯死してしまった様子。
その後、山上の墓石もやがて尋ねる人がいなくなったため、土台の土がへこんでいき、ある時、千歳山の北麓、方松寺の地域に転がり落ち、阿古耶姫の遺跡も、ここに遷されたと言われている。
著名な歌人による阿古耶の松の歌
・くちもせぬ名のみばかりを残し置きて枯野のすすきかたみとぞ見る -西行法師
・おぼつかないざ古のこと問はむ阿古屋の松の物語りして -顕仲
・思ひきや今宵の月をみちのくの阿古耶の松のかげに見むとは -沢庵禅師
万松寺は慈覚大師がはじめて奥羽へ来た時に自ら観音の尊像を刻み、最上地方仏法最初の道場としたという伝説の残る寺院。僧堂は火事に遭い昔の面影はないが、門には運慶作という毘沙門、阿古屋姫自の木造が安置されているが、阿古屋姫の木造は後年の創作に過ぎないと考えられている。故に、墓石が万松寺に転がり込んできたこともあいまいなことで、寺の僧侶が遷置したものと思われる。寺は、阿古耶の松を喧伝し、今の古墳の場所付近に遊覧地を作り、不老園と名付け、明治四十一年(1908年)に東宮御順啓の際、台覧を仰ぎ、若松を植栽し第二の阿古耶の松と称し、千歳の遺跡を表すと号されている。
・阿古耶の松伝説について
この伝承は蓮の曼陀羅で有名な雲雀山の中将姫を引用して、阿古屋姫と中将姫を混ぜ合わせて作られた俗説と考えられている。伝説の第一説、第二説はともに様々な引用を元に産みだされたものと考えられる
■出典
『日本の伝説 東北・北海道』藤沢衛彦著(『日本民族伝説全集3 <東北・北海道篇>』を改題したもの)
【著者より】
今回の舞台となっている千歳山は山形県庁の付近にあるアクセスの良い小高い山です。三角おむすびになぞらえるほどきれいな円錐型の山で、地元住民にとっては盃山と並んでなじみ深い山となっています。秋には山一面が紅葉に染まり、山頂まで整備された散策道には多くの人が訪れていました。しかし、近年は付近で熊の出没が多く確認されていることから、入山はあまりおすすめできなくなっています。
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- portal:4052664 (18 Jun 2018 18:44)



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