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Tag: scp jp euclid 生命 肉食 捕食 群れ 動物 無脊椎動物 古生物 夜行性
ファイルページ: ランタン
ファイル名: Chinese_lantern_(7914625430)加工.jpg
タイトル: Chinese lantern (7914625430)
著作権者: Moyan Brenn
ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chinese_lantern_(7914625430).jpg?uselang=ja
ライセンス: CC BY 2.0
公開年: 2011
█████████島沖水深40mを遊泳するSCP-XXXX-JP
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: カバーストーリー「手つかずの海鳥生息地」を流布し、民間の研究機関によるSCP-XXXX-JP生息海域での研究および調査を全て妨害してください。SCP-XXXX-JPの生体及び死骸が生息海域以外へ漂着した場合に備え、ランタンフェスティバルを世界各国にて実施し、SCP-XXXX-JPがフェスティバル会場から漂着した正常な産物であると誤認させるようにしてください。
説明: SCP-XXXX-JPはスカイランタン1と類似した形状を持つクラゲ様の水棲生物です。傘高は15~30cm、傘直径は約10~15cm、体色は一部の変異種を除き乳白色です。SCP-XXXX-JPの身体は一般的なクラゲと異なり固形分の割合が15%程度2と多く、一般的な同種が行う傘の収縮及び拡張をほとんど行いません。
SCP-XXXX-JPは傘の内側の口柄3あるいは生殖器に当たる箇所に発光器が存在します。発光器は主にリンで構成されるコアを燃焼させることで発光しています。この燃焼に使用するリンは主に生物の捕食によって賄っていると考えられています。リンによる継続的な燃焼及びその燃焼の制御を可能とするメカニズムについては現在も明らかになっていません。
D-XXXXを用いて行われた実験中に観測されたSCP-XXXX-JP群。水深20m。
SCP-XXXX-JPは雑食で、主に海底に沈んだ生物の死骸を摂取しますが、能動的な捕食行動も確認されています。SCP-XXXX-JPは夜間あるいは深海域において20体前後の群れを作り、体内の発光器を光らせ、獲物を群れの中へ誘導します。誘導に成功し獲物が群れの中へ進入すると、SCP-XXXX-JPは体表面に格納されている刺胞から毒を注入し、獲物の動きを止めた後に摂食を開始します。SCP-XXXX-JPの獲物となる生物は主に小型の魚類ですが、自身の体長を超す大型生物の捕食を行うケースも確認されています。大型生物の捕食を行う場合、SCP-XXXX-JPは100体前後の群れをつくり、獲物を浅瀬の方へ追い込み、逃げ場を狭め、動きを制御した上で捕食を行います。SCP-XXXX-JPが高度な知性を有する証拠は確認されていないことから、この一連の行動はあくまで本能によるものであると考えられています。
SCP-XXXX-JPは紫外線に非常に弱く、日光を強く忌避します。財団の調査の結果、SCP-XXXX-JPは日光を5分程度浴びると身体が崩壊を始め、10分程度で完全に液化することが分かっています。SCP-XXXX-JPに刺された際は、患部にブラックライトを照射することで刺胞を容易に失活させることが可能です。刺胞内で産生される毒も同様の性質を持ち、既に刺胞から体内に毒が注入されていた場合でも、その毒性が消え、患部の痛みも中和されます。
起源: SCP-XXXX-JPの異常性の獲得にはオルドビス紀末期及びペルム紀末期に発生した大量絶滅が関わっていると考えられています。
オルドビス紀における進化
オルドビス紀末期、ビッグファイブと呼ばれる大量絶滅イベントの一つが発生しました。その要因の一つとして地球規模で強烈な火山活動が発生したことが挙げられています。この大規模な火山活動の結果、海洋中に大量のリンが流出したと考えられています。リンの流出に伴い海洋は富栄養化し、一次生産者であるプランクトン等が大量に増加しました。プランクトンの爆発的な増加は海洋内の深刻な酸素欠乏を引き起こし、当時の多くの海洋生物が絶滅する大きな要因となっています4。このような状況下で海洋上のリンの効率的な摂取及び代謝を可能とする異常器官を発現させたものがSCP-XXXX-JPの祖先であると考えられています。
ペルム紀における進化
ペルム紀末期の大量絶滅もまた、ビッグファイブの一つとして数えられていますが、SCP-XXXX-JPの肉食の獲得はこのペルム紀末の大量絶滅に起因していると考えられています。ペルム紀末期はオルドビス紀末同様、地球規模の火山活動が発生し大量のリン流入に伴う富栄養化及び海洋の無酸素化が発生しました。しかし、ペルム紀末にはリンが海洋中に留まらず堆積物の中に固定化され、結果として海中の生物が利用できるリンは減少しました。この変化に対応するため、SCP-XXXX-JPはリンを海水中だけでなく、他の生物を摂取することで自身の体内に蓄積するように適応し、現在の生態となったとみられています。
現在の生息地への定着
SCP-XXXX-JPの生息地周辺は多様な海鳥の中継地としても知られており、グアノ5が豊富に存在することが判明しています。これによりリンが継続的に周辺海域に供給されることでSCP-XXXX-JPが最も活発であった古代の海洋と近い状態が保たれ、SCP-XXXX-JPが当海域に定着したものとみられています。
補遺: SCP-XXXX-JP生息域周辺の島嶼部に、SCP-XXXX-JPを発端とする伝承が残されていることが分かりました。以下は、インタビュー記録です。
インタビュー記録 - 日付 1988/11/29 14:52
対象: ガラセ氏
インタビュアー: 千堂博士6
付記: ガラセ氏はこの島の長である。地震活動の活発化に伴う1979年の全島避難の際に、避難先で英語を学習したため英語での会話が可能。そのため、インタビューは英語で行った後、日本語に置き換えられている。
<録音開始>
[ガラセ氏が到着する。約束の時間である11時から3時間52分経過している]
ガラセ氏: 悪いなあ、海を見ていたら少し遅れちまった。
千堂博士: いえいえ、こちらも無理にお願いしているのでお気になさらないでください。
ガラセ氏: すまんな。今日は祭りの準備もあるもんで若い衆がいなくてな。それより光の海についてだったか。
千堂博士: ええ、どういった言い伝えかお伺いしてもよろしいでしょうか。
ガラセ氏: 集落の近くに岬があるのは知ってるか。南の外れに住んでるネマニじいさんの家を奥に進んだところだ。あそこから海を見ているとな、ぼんやりと光って見える時がある。その時に舟を出すと面白いほどに魚が穫れるんだ。
千堂博士: なるほど。
ガラセ氏: だから漁の時期には岬の物見櫓に張り番を置くんだ。光の海を見つけたらすぐに集落に伝えられるようにな。しかも、俺たちの食料の備蓄が減ってきた頃合いにやってくるんだ。良いやつだろ?
千堂博士: そうですね。豊漁を呼ぶ不思議な現象は我々の国でもよく見聞するものでして。過去に訪れた所ではフクロウという鳥が夜中に鳴くと大漁になる、雪の多い年はエビが豊漁になるなどと言われていましたね。
ガラセ氏: そうなのか、やはり島の人間が考えることはどこも変わらねえんだな。
[互いに軽く笑う]
ガラセ氏: そして、俺たちはこの光の海を「ララマレヴ7」による施しだと考えている。ララマレヴは知ってるよな、島のあちこちで耳にするだろうからな。
千堂博士: ええ、この島に来て数日ですが、島民の皆さんにとても大切にされている様子が見て取れます。
ガラセ氏: そうだろう。ただやつは気まぐれでな。近づきすぎたり、気に入られたりすると、あちら側に持ってかれちまうと教えられている。だから、俺たちはララマレヴから少し離れたところで漁をする。もしかすると近くに行った方が魚は穫れるかもしれない。だが、それはしない。自分たちが生きるのに必要な分だけララマレヴから頂戴するんだ。
[千堂博士は手元の手帳にメモを取る]
ガラセ氏: そういや先生。実はララマレヴにはもう一つエピソードがあるんだが知ってるか?
千堂博士: ええ、そうなんですか、大漁の兆しであるというお話ししか存じませんでした。ぜひお伺いしたいです。
[ガラセ氏は笑顔のまま姿勢を崩す]
ガラセ氏: 俺のひいじいさんが体験したことらしいんだが、ある夜、漁のために島の連中は舟を出した。その日は晴れてはいたが強風のせいで波が高かった。当時の舟は一人乗りの簡素なもので、なかなか漁場にたどり着けなかった。そんな中、島で一番漁の上手かったひいじいさんが漁場にたどり着いたんだが、荒れた海には勝てなくてな、乗っていた舟が転覆して溺れちまった。知っての通り真夜中の海は空も海も暗く染まっている。どこが水面かなんてわかりはしない。ひいじいさんはただ死を待つだけの存在となった。
[千堂博士は手を止め、ガラセ氏の目を見る]
ガラセ氏: その時、ひいじいさんの目の前に光の群れが現れた。一つや二つならば仲間の舟の灯火かもしれないが、何十、いや何百も見えたらしい。真っ暗な海の中でそんなものが見えるはずがない。ひいじいさんはララマレヴの使者が自分をあちら側へ連れて行こうとしているのだと、そう思ったらしい。ひいじいさんは引き込まれるようにその光の導く方へ泳いでいった。
[屋外から遊びに興じる子供の声が聞こえてくる。ガラセ氏は声のする方角を一瞥し、また元の姿勢に戻る]
ガラセ氏: おっと、そんな神妙な顔をしないでくれ。大丈夫だ、あんたも想像がついているだろうがひいじいさんは助かってる。そうでなければ、この話が俺まで伝わっているわけがないだろう。
[ガラセ氏は大きく笑う]
千堂博士: では曾祖父様はどのようにして命を繋がれたのでしょうか。
ガラセ氏: ララマレヴが導いてくれたんだ。
[ガラセ氏は千堂博士を見つめる]
ガラセ氏: ひいじいさんは光が導く方向へ泳ぎ続けた。自分が今、生きているのか死んでいるのかも分からないがとにかくそうするべきだと思ったらしい。ひたすら光を追い続けた。途中、身体がひりつく様な感覚があったが、ララマレヴが鼓舞してくれているのだと思ったらしい。気がつけば水面から顔が出ていた。浅瀬に戻っていたんだ。はっと我に返り後ろを振り向けば、光の群れはいなくなっていた。海もすでに穏やかさを取り戻し、水平線から朝日が覗き始める頃になっていた。光の導きにより、ひいじいさんはまた地面を踏むことになった。
[ガラセ氏は姿勢を崩す]
ガラセ氏: 以来、ララマレヴは単なる豊漁の兆しではなく、島民を導く光として大切にされることになった、というわけだ。
千堂博士: 大変貴重なお話を伺えました。ありがとうございます。島民の皆さんがララマレヴをこれほど大事にされているのも合点がいきました。話は変わりますが、「ララマレヴ」は「島を見守る大きな存在」を意味すると伺いました。この名は曾祖父様のご体験を元に当てられたものと勘案しますがいかがでしょうか。
[ガラセ氏は思案する様子を見せる]
ガラセ氏: いや、ひいじいさんの代よりも前からララマレヴはララマレヴだ。
千堂博士: なるほど。もしかすると光の海が「島を見守る大きな存在」であるとみなされるような別の出来事があるのでしょうか。光の海が島民の皆さんにいつから認識されたか、そのヒントになりえると考えています。
ガラセ氏: これより昔の話はあまり聞かないな。そういえば他の長老たちからも聞いたことはなかったかもしれん。
[ガラセ氏は両手を挙げながら首をかしげる]
ガラセ氏: そもそも、いつからララマレヴと呼ばれるようになったのか、それを知る術はないかもしれんな。なんせ、島のほとんどの連中は500よりも大きい数を知らない8。常に夏のようなこの島では「年」という概念も希薄だ。いくら話が残っていようとも何年前の話かなんて分かるわけがない。だから、どうあがいてもララマレヴがいつからいたのかなんて知る由もないのさ。ただな。
[ガラセ氏は姿勢を正す]
ガラセ氏: ただ何となくだが、あの光は昔からずっと見守ってくれていたような気はしている。いや見守ってはいないのかもしれない。ただ、ずっとはるか昔からそこにいた。俺たちがこの島に生まれるよりも前からずっと昔からな。
[ガラセ氏は大声で笑う]
ガラセ氏: 真面目な話はここまでにしよう先生。無い頭を使って珍しく語ったもんだから疲れちまったよ。
[ガラセ氏は時計を確認する]
ガラセ氏: おっとそろそろ祭りの準備に行かないとな。そうだ先生。実はな、ここまで話してきた光の海を祀るお祭りが今日開かれる。ララマレヴがヒウにある大岩と同じ数9現れた後に開くことが許される、島民全員が参加する一大イベントだ。あんたに今日来いと言ったのもこのためさ。俺たちの光の海を尊重し、知ってくれようとしてくれるあんたなら大歓迎だ。な、参加していくだろ?
<録音終了>
インタビュー内で、SCP-XXXX-JPが溺れた島民を救助するために浅瀬まで導いたとする伝承が語られましたが、当現象はSCP-XXXX-JPが島民を「大型の獲物」と認識し、捕食のために浅瀬へ追い込んだ結果、偶然浅瀬の方向へ導かれたに過ぎないと考えられています。また、ガラセ氏の曾祖父が捕食を免れたのは、浅瀬に到達した時点で夜が明け、日光を嫌うSCP-XXXX-JPが深海へと退避したためと考えられています。
SCP-XXXX-JPを祀る祭りの夜には、島民が作成したスカイランタンを飛ばすイベントが執り行われます。このイベントの存在を認知した財団は島民がSCP-XXXX-JPを認知していると考え、当インタビュー及び島民への聞き取り調査を行いました。結果、島民の全員がSCP-XXXX-JPを霊的な現象であると認知しており、生物であるという事実は把握していませんでした。
当イベントが行われるようになった経緯にガラセ氏の曾祖父が関わっていることが明らかになっています。ガラセ氏の曾祖父が救出された約20年後、スカイランタンをララマレヴの使者の依代とみなし、空へ飛ばすイベントが当時の長であるガラセ氏の曾祖父より提案され、全会一致で可決された記録が残っています。この島の周囲にスカイランタンの文化を持つ地域が存在せず、単独での発想が比較的困難であることから、ガラセ氏の曾祖父はSCP-XXXX-JPを直に観測しており、その記憶からSCP-XXXX-JPを模したスカイランタンの案に思い至ったものと考えられています。しかし、当件についてガラセ氏の曾祖父は詳細を口伝していないため、あくまで憶測の域を出ません。
SCP-XXXX-JPの周知を防ぐため、島民への記憶処理及び全島民の島外移住案が検討されましたが、SCP-XXXX-JPが█████████島周辺から離れる様子がないこと、当イベントがSCP-XXXX-JPの実質的なカバーストーリーとして機能していること、昼間にSCP-XXXX-JPを目視することが困難であり一般社会へ周知される可能性が低いこと、島外移住は得られるメリットに対して島民の負担が大きすぎるとする千堂博士からの提言等を勘案し、収容体制は島周囲の監視のみにとどめ、経過を観察することが倫理委員会により決定されました。
プロトコルの制定以降財団による観測が続けられていますが、2026年現在、SCP-XXXX-JPが島の存在する海域から離れたケースは確認されていません。
インタビュー内で言及された、「光の海」を祀る祭りの様子。
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- portal:4052664 (18 Jun 2018 18:44)



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