SCP下書き「伝異収」

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オブジェクトクラス注釈


1: 副次クラスArchon1指定アノマリーにおける性質の反映として、当異常存在の収容プロトコルはアノマリーの公共知識の抑制に焦点が当てられています。直接的な収容は試みられません。詳細は補遺.2を参照してください。

asteroidoutline.jpeg

SCP-1536-JP、主星部分を取り巻くように破片が確認できる。(1995)

特別収容プロトコル: SCP-1536-JPの民間知識の抑制のため、世界中の宇宙研究関連機関に対して情報検閲が行われています。SCP-1536-JPを描写したメディアは全て回収/アーカイブ化され、民間の関係者には記憶処理が実施されます。

補遺.2で示されたインシデントの結果を受けて、火星サイト-03の職員との交信は今後確立されません。当サイトは恒久的に封鎖状態が保たれ、人員はロストしたものと見做されます。

説明: SCP-1536-JPは地球外に存在する金属質の球体構造物およびその破片と見られる小天体より構成される一群であり、遠日点4.78AU、近日点1.34AU、離心率0.149の長楕円型の軌道で公転しています。その軌道から、SCP-1536-JPの由来は太陽系外部であると推測され、また過去の軌道計算から、破損は木星近傍を通過した際にその潮汐力によって生じたと推測されます。

SCP-1536-JPは前述の要因によって生じた破損により内部が一部露出している他、表面には作為的な構造が確認できます。SCP-1536-JPの表面には開閉式のダクトが取り付けられており、これはSCP-1536-JPの内部にアクセス可能な唯一の出入り口です。痕跡の様子からダクトはかつて粘着性の物質によって強力に接着されていたようですが、宇宙線に曝されたことによる経年劣化などの要因によって現在はその機能を失っています。

SCP-1536-JP全体は未知の添加物を含む形状記憶効果を持つ非晶質ガリウム合金によって構成されています。この合金は通常のガリウム合金同様に融点が常温付近であることに加え、物理的な刺激に反応して針状の構造に変形し、硬質化する機能を有し、これらの特性は侵入者を排除する意図から設計されたものと推測されています。また、SCP-1536-JP内部には以下のような構造(以下、SCP-1536-JP-1と呼称)存在します。

  • 直径約30mほどの球状の広間。ダクトから侵入可能であり、SCP-1536-JP-1に含まれる他の全て施設と通路と連絡している。部屋には円形の大型ハッチが3つ施錠された状態で存在しており、広間に埋め込まれたコントロールパネルらしき装置によって開閉が制御されている推測される。
  • 連絡通路と独房らしき構造。先述の広間と連絡しているが、通路は複雑に入り込んでおり、視認によって反ミーム的効果を発現するように設計されている。ミューオン粒子による非破壊検査によって通路とは別に球状の部屋が存在していることも確認されている。

SCP-1536-JP-2はSCP-1536-JP軌道上に浮遊しているなど、SCP-1536-JPを構成する物質に伴って見出される微細な金属鉱物粒子で、切頂六面体型の結晶構造を有します。スペクトル解析から、SCP-1536-JP-2はSCP-1536-JPを構成する合金と同様の元素組成を有することが判明しています。SCP-1536-JPの軌道上に存在するSCP-1536-JP-2についてはSCP-1536-JP外殻部が宇宙線や微小天体との衝突によって剥離した小片に由来するものと推測されています。しかし、SCP-1536-JPを構成する合金はガリウムと同様に沸点が2000℃付近と極めて高く、揮発性に乏しいため、地球上で回収されたSCP-1536-JP-2の由来は判明していません。また、非接触的にも特定の結晶構造に転移する、融点が明らかに低いなどSCP-1536-JP外殻部とは性質に明らかな差異があります。また、その再現には成功していないものの、少なくとも過去にSCP-1536-JPをSCP-1536-JP-2に変性される手法が確立された事例が2件存在します。

tropicalhouse.jpg

SCP-1536-JP-2が検出された小屋。センデロ・ルミノソの嘗ての支配地域での財団機動部隊による収容活動中に撮影。(プエルト・プラド近郊、2003年)

補遺.1:歴史 SCP-1536-JPは1920年頃にブラジルとの国境に近いコロンビア南部の熱帯雨林地帯に起源不明の金属隕石が落下したことが、SCP-1536-JPの存在が発覚する直接的な要因となりました。しかしながら大戦後三十数年の間、中南米はアメリカ合衆国と共産主義、そしてスペイン・ポルトガル特別保安局(GoI-3403)を始めとするカトリック系要注意団体が入り混じる極めて不安定な政治情勢から正常性維持組織の活動範囲は大きく制限されていました。加えてSCP-1536-JPを信仰対象として据える要注意団体が複数活動しており、それらによってその存在は徹底的に秘匿されていたために、異常特性を有するオブジェクトとして財団54管区から報告されたのは1980年代後半の事でした。

軌道計算から1901年6月頃にSCP-1536-JPが地球近傍を通過しており、その際に大破片の一つがパナマ地峡沖の大西洋からアマゾンにかけての地域に落下したことが当時の観察記録から明らかになっています。1901年6月17日未明にアメリカ合衆国の複数地点、加えてメキシコシティとサンホセで青白い火球の観測記録があり、この特徴的な色はSCP-1536-JPの主成分であるガリウムの炎色反応に由来しています。現在も初期収容段階における物理特性試験により判明した性質と文献記録との照合によるSCP-1536-JPの破片回収の取り組みが進行中です。

金属隕石として地球に落下したSCP-1536-JP外殻部の大部分は日射により融解しましたが、破片の一部分を1925年にはリマの国立サンマルコス大学工学部で講師として勤務していたアレグロなる人物が入手しています。アレグロ自身による一次資料は現存していませんが、1927年8月頃には組成の解析が完了し、複製品の製造工程が確立されていたと推測されます。アレグロによる複製手法の全容は判明していませんが、オリジナルのSCP-1536-JP外殻部が必要であることはほぼ確実であると推測されます。また、同時期にSCP-1536-JP-2への相転移についても同様に体系化された手法が確立されており、その手法が記述された文書がカオヤの個人宅から回収されています。この文書がアレグロ自身の手によるものかは不明です。

1928年の時点で、リマでは棒状温度計の容器に入ったSCP-1536-JPの複製品とSCP-1536-JP-2粉末が流布していました。以下は当時リマに滞在していたホセ・カルロス・マリアテギ2によるSCP-1536-JP複製品に関すると推測される言及を抜粋したものです。

1928年春頃と推測される手記より:
"……リマで目に奇異に映るものといえば、何よりも街角での老人の猿回しである。彼らの調教への熱心さには目を見張るものがあり、決して流行を逸することはしない。しかし、近頃はどうも事情が異なるようだ。ある工場が製造した温度計に入った銀色の液体を持ち歩く者がいて、彼らは路地裏あるいはパブでそれを取り出し、無聊を慰める。脳梁にアンデスの峰々の彼方の星空が見え、既に山岳部のインディオの一部は掌で転がすうちに、天球から星を摘みとり、液体を無数の針のある球体のようにできる。……"

"……金剛石の光沢のような眩しさに、あの銀灰色を捏ね直すことができるのは、不思議とインディオに限られるようだ。果たして隣国ボリビアのインディオが試みたかは私の知り得る範囲ではないが、彼らに固有の精神性がそれを可能にしていると思えてならない。これがインディオの一体性に降った福音であるかは判断するには早計であるが、領邦国家が皇帝の王冠によって結束するように、資本家や地主による搾取構造の城砦を打ち崩す巨人の、果ては統合ペルーの、その靭帯になり得るのではないかと期待するところである。……"

"……、都市部に出稼ぎに来ているインディオの若者が、手の上に銀色の粉を溢すのを見た。彼は顔を赤らめていたのだ。純情な乙女のような、大凡強烈な日差しに曝された、灼けた皮膚には似合わぬ色だった。そして不意にその粉末がある多面体の形を成すのを見た。数刻の後、私は銀色があの銀色だと気づくと、法悦感と恐怖とが喉の奥から這い上がってくるのを感じた。同行人を呼び、車椅子を押してもらってその場から去るまで、私はそれから目を逸らそうと必死だった。……"

"……頭蓋に膠を詰めて、それを完璧に拭払するのは至難である。あの時、机上から眼球を通して、私の脳髄で瞬いたのは光ではなかった。……"

SCP-1536-JP外殻部とSCP-1536-JP-2粉末は”La estrella” (スペイン語で「星」の意)と呼称されていました。農村部でインディオを雇い、日銭を獲得する手段としてこれらを与えるエンガンチャドール3が多数存在していました。彼らが無償でそれらを労働者に供与していたことは注目に値します。また、第二次レギア政権4は1928年8月頃より、大統領令でSCP-1536-JP外殻部とSCP-1536-JP-2粉末の流通を禁止し、その回収を推し進めましたが、一方でレギア政権下で推進された官製インディへニスモ5の末期に文化庁シンクタンク内でSCP-1536-JPを構成する合金をペルーに於ける民族統合の基底とする提言がなされていたことも判明しています。没収されたSCP-1536-JP外殻部とその複製品とSCP-1536-JP-2は、リマの各所に分散して保管されていました。以下は1930年8月のクーデターの際に目撃された、SCP-1536-JPを構成する合金に由来すると推測される実例の記録の内でも、最も確実なものです。

『La Prensa』紙に掲載された将校の回顧記事(1940):

……、そしてあの鮮烈な八月を忘れることはないだろう。ポンセ6将軍の麾下で官邸に踏み入った時、暴虐と腐敗と屈辱の檻からこのペルーを解き放つ心地でこれ以上ない興奮に胸を高鳴らせていた私を髭の輪郭まで思い出すことも容易い。私たちの小隊が踏み行った建物は、割れたガラス片と書類とが折り重なっていて足の踏み場もないほどだった。一心不乱に打鍵するのみで、地方に思いを馳せることもしない蒙昧な官僚たちは逃げ出したと見えて、建物の中は静まり返っていた。しかし、奥の部屋に入った同僚が驚愕の叫びを上げたのを聞いて、私たちは背筋を強ばらせたのだ。精強頑健な将兵が声を発せざるを得ない惨状が広がっていると考えたのだ。その部屋は黒檀の重い扉の他は特段変わったところは無かった。ただ、床に固定された台座の上、銀色の多面体が鎮座している、それはただただ異様で、それを見て私は名状し難い感動に襲われたのだ。小隊の誰かがそれに小銃の先で触れると、鋭い棘が現れ銃身を貫いた。驚いた彼が銃を落とすと同時に、それは崩壊して液体と化した。弾けることもなく、金属の枠を外された樽からワインが溢れるようであった。そしてそれは、床の継ぎ目に染み込んでいった。私はすっかり消えてしまうまで呆然としていたが、散乱していた書類の題名ははっきりと覚えている。『統一ペルーの完成7』、あの大統領が議会の中央に玉座を構えたときに捨て去ったと思っていた文字列である。扉をくぐった時、あの多面体を星だと思ったことを思い出す。尤もペルーが戴く星だという考えには、迷信深い占星学者ですら賛同しないだろう。……

第二次レギア政権が崩壊した際の混乱により、SCP-1536-JP外殻部とSCP-1536-JP-2粉末の多くが失われました。リマの土壌中に高濃度で蓄積しているガリウム源を利用した探索が行われていますが、現在まで芳しい成果は得られていません。

1930年以降も、紛失したSCP-1536-JPを構成する合金と類似したもの、そしてSCP-1536-JP-2はしばしば先住民が人口に占める割合が多い山岳地帯での発見例が報告されます。これらは与えられた刺激によって容易に針状結晶に変化したのちに液状化するため、回収は困難です。また、SCP-1536-JPを構成する合金やSCP-1536-JP-2の呼称についても奇妙な相関が見られます。先述の通り、”La estrella” (スペイン語で「星」の意)との呼称は以前より確認されていましたが、形容詞と共に暗喩的に表現される事例が数多く発見されています。例えば、” Las estrella brillan sobre mi cabeza”(頭上で輝く星)、”La estrella en el ático”(屋根裏の星)などです。しばしば、これらは本来の星の意と区別不能です。

また、SCP-1536-JP-2は持ち運びが容易なことから、しばしば拡散を危惧される事象が発生しています。センデロ・ルミノソ8の隆盛により、財団は1980年代にペルー南部への情勢への介入手段を一時的に喪失しましたが、その際にもSCP-1536-JP-2が拡散したことが確認されています。一部地域では、センデロ・ルミノソの党旗に星形八角形を加えた旗が掲げられており、SCP-1536-JPと何らかの関係性を有するものと推測されます。また、ペルー国境地帯での麻薬取引に乗じて、政治情勢が不安定な国家を中心にSCP-1536-JP-2が拡散されています。特筆すべき事例としては、コロンビアでの麻薬戦争後に壊滅したゲリラが利用していた施設からも、SCP-1536-JP外殻部及び、SCP-1536-JP-2粉末が相当量回収されており、注意を要します。

補遺.2:インシデントデータ 2004年、財団の宇宙開発収容機構はアノマリーの脅威分析を目的にSCP-XXX-JP内の探査を開始しました。補遺.1で示されたように、中南米各国でのSCP-1536-JP-2の拡散が深刻化しており、そのことから当該探査計画はSCP-1536-JP-2の性質の評価と並行して行われてました。

計画は火星サイト-03の研究チームを主体として進行し、チームは複数の探査機による試行錯誤の末にSCP-1536-JP内部の調査を可能としました。しかしながらSCP-1536-JP最深部調査の過程で原因不明のインシデント-情報異常アウトブレイクが発生しました。数時間の内に火星サイト-03の大部分が情報汚染を受け、サイトが自己的にロックダウンされたためインシデントの詳細は中央部門に明確に伝わりませんでした。しかしながら、ロックダウン直前にサイトから移送された非汚染メディアの内、研究チーム副主任のハワード・フィッツジェラルド・コネル博士の私的調査文書がSCP-1536-JP内調査の一部情報を描写しており、これがインシデントの参考として参照されました。以下はその内容です。

私たちは既に4機の探査機を失っている。だがその過程でこの奇妙な構造体の理解は大幅に変化した。当初、この球体は人工衛星の類だと推測されていたが、これは明らかに収容活動を意図して作られたもののようなのである。SCP-1536-JPは起源を異にする集団によって造られた、異常を管理するための収容施設だ。

残念ながらこの施設は多大な損傷を被った状態にある。言うまでもなく収容違反が懸念されているが、私たちはこれをどうすべきか決めかねている。

新たな探査が必要となるだろう。

5機目の探査機を迎え入れる日が近いことを私は期待している。SCP-1536-JP内で確認できたトラップの数々、電圧、酸化、圧縮。現状この機体は全てのテストに合格している。上出来だ。

探究、闇/深淵を切り開く。
善性のそれ。
ロキ 不適格。
ガイア これはもう使われてる。

何か別の古典か文学から名前を取ればいい。

今日それは完成した。ノーデンスには現在までの探査で確認できた障害に加えて、いくつかの異常影響への耐性が搭載されている。おそらく3級以下の現実性崩壊程度ならば操作を続けられるはずだ。シェンリル化合物の毒性が多少懸念されているが、この程度であれば許容できると思う。

それより気にするべき問題はSCP-1536-JP内の未知の異常存在にある。これ以上新式の機体を失えば、新たな探査の認可も降りなくなるかもしれない。この機体が意味のあることを成し遂げてくれることを祈る。

Humanoid.jpg

ノーデンスから撮影された実体の画像。

現状完璧に近い。ノーデンスはSCP-1536-JP内の既知の通路を難なく通過したばかりではなく、新たな通路への探査を可能とした。今日発見された区画にもやはり独房のような収容構造が続いている。しかし、今までと異なり何らかの実体が独房内にいるのを私たちは観測した。

これもSCP-1536-JP自体が収容施設、そうでなくとも何らかの形で異常を取り扱う実験施設であるという予想を裏付けている。まだ断定こそできないものの、これは小さくない成果だと言えるのではないか。ソローキンはこの実体をサッダ系文明の生体彫刻ではないかと述べたが(独房の周囲は鉄イオンを含む血液と思わしきもので汚染されていた)やはり推測の域を出ないだろう。更なる研究が望まれる。

今日、新たな構造が発見された。一昨日から分岐のない同一の通路を進み続けていたが、通路奥のとある独房が破損していたのだ。独房の向こうからはパイプと鉄線が露出しており、そこが小さな穴となって別の通路へとつながっていた。

この独房にはアノマリーが収容されていなかった。破損の痕跡はアノマリーの流出を意味しているかもしれない。警戒すべき事象がまた一つ増えたが進まざるを得ないだろう。独房の中央には四角い孔が5つあった。全く奇妙な感覚が拭えない。

この場所は既存の構造と異なっている。通路の損傷がこれまでより激しく、多数のトラップの残骸が見受けられる。更に独房のような構造はこの通路には確認できない。通路を前進していく途中で動物の肉片と千切れた血染めの布が発見された。……私にはこの肉がかつて何だったか分かるような気がした。

通路の最奥は広大な部屋に繋がっていた。部屋は透明な板で区切られていたが、この部屋のドアロックと同様に破損していた。板の向こう側には液体で満たされた水槽のようなものがあった。水槽の液体の回収を試みた際、ノーデンスのアームの一つを溶かさせてしまった。ほとんど理論上の産物である超酸のような性質を示しているようだ。(耐久テストでは実際に用意できる物質以上の耐蝕性は想定されていなかった)水槽はこの液体以外に何も入っていなかった。この理由について深く考えたくはない。

また、部屋の入り口付近から未知の扉が見つかったことも書き記しておく。これは反ミームの類だったようで部屋を探査している際に偶然にもアボットによって発見された。(迷彩の無効フィルターは電力を食いすぎるがやはり常時点けておくべきだっただろうか?)

扉の向こうは地下へと続く吹き抜け階段だった。照明の一つもない階段を下に降りていくと床に何かが散らばっているのが見えた。これまでの経験から嫌な直感があったがこれは正しかった。赤く柔らかいものがこびりついた歯だった。階段の壁には赤色で書かれた文字列(正確にはミーム的図像だ。実際この場所を見つけるのは彼らの同胞ではなかったな)があった。インクが何であるかは予想するまでもなかったが、問題はこの内容だ。

あれに耳を傾けるべきではない。我々に何が起こったか?

かつてこの場所で何が起こったのかだ。 収容違反、それは何によって引き起こさレたのだ?

ついに起こってしまった。ノーデンスが通路に戻る際、何かが機体を攻撃した。それは毛と皮のない熊のようなグロのそれで口と歯が5倍以上肥大化していた。回避する時間もなかった。

幸いにもノーデンスの防衛機能が稼働しその何かは動かなくなった。10アンペアをまともに喰らったのだ、ひとたまりもないだろう。

だが撮影用のカメラはもう使い物にならない。何より操作性が悪化しているのがすぐに分かった。速度が落ちた上に何度かバランスを崩しかけた。ノーデンスは既にアノマリーのかなり深い部分まで到達している。修理のためにサイトまで戻るのも検討したが、やはりこのまま探査を継続するのが最善の選択だというのが結論だった。機体がまだ動かせるうちに深部へと進めたい。

今日奇妙な夢を見た。

私は石碑で囲まれた空間にある平らな石の上で寝ていた。周りを青白い光が包んでおり、夢であるにも関わらず非現実的な感覚があった。その場から起き上がろうとしたが手足の指の一つすら動かなかった。それどころか口から声すら出せない。

無言でもがいていると複数人のものと思われる足音が聞こえてきた。彼らは八方の石碑の裏側からゆっくりと私に近づき取り囲んだ。彼らの身なりはバラバラで警察服や軍服、白衣や音楽隊の制服など様々なものを身にまとっていた。

軍服姿の男の一人が屈みこみ私の顔を見た。男は赤みのある黒い肌を持ち、インディオ系民族の者のように見えた。私は男の右手に石のナイフが握られていることに気付いた。汗と緊張が一気に吹き出るのが分かった。更に私はもがくことを試みるが動くことはできなかった。男は腕を上に掲げ私の顔にナイフを突き刺した。予想された痛みはなかったがおかしなことが起こった。私の頭からドロドロした何かが身体に移動し始めたのだ。最初、頭から何かが身体全体に包み込まれているのかと思った。しかし、それは逆だったのだ。私の頭から皮とでも言うべき何かが剥がれていき、自身が薄くなっているのだ。それが何度か起こり私は布切れとなっていった。

気づいた時落下している感覚があった。千切れた私の全てが無秩序に闇の中に沈み続けていた。私は荒廃した神殿を、腐った湖の中を、無人の監獄を、そしてあの独房と通路を、ひたすらに落ちていった。

目が覚めた瞬間に吐き気が来たのは初めての経験だった。トイレでに一通り胃の中身を流し込んだ後もまだ震えが止まらず、頭や手足が自身に付いていることにを意識しないといけなかった。

かなり落ち着いてきて夜の間にロドリゲスから来ていたメールを読んでいる際に微かな悪寒があった。それは例えると、自分が一番恐れている怪談を深夜に自分が一人でいる時に思い出したような感じだ。その正体自体は些細なものだった。夢から目覚める直前、私はあの最後の通路の向こうに形容できない恐怖を確かに見た。

疲れすぎかもしれない。

何も捧げる必要も描く必要もない。そのはずだと信じたい。

補遺.3:調査の進展 火星サイト-03のロストから2週間後、南米の財団支部総合体であるSCPラテン・アメリカ監督司令部はペルーのシエラ、正確にはアンデス山脈の東部標高約2900m、面積約487.00km2の地帯に特異な共同体を確認しました。機動部隊φ-17("解析業務")が直ちに当該地帯に派遣されましたが、共同体の一員であると考えられる人物群(全ての人物は同一の粗悪な軍服を着用していました。)に武力的威嚇を受けたために撤退しました。

この28時間後、当該共同体構成員は"権威的政治組織による主権侵害の試み"に対する抗議声明が描写されたビラを周辺地域に散布しました。ビラにはまた声明の他に共に未知である国家名及び星形八角形9の意匠が施された硬貨の挿絵が記されていました。Federación Andina Peruana Democrática (民主ペルーアンデス連邦) はShangri-Laクラスネクサスに指定されました。

これらの情勢を受け、当該ネクサス内の長期的調査を目的とした潜入任務が監督評議会によって計画、1ケ月の期間をかけて実行されました。飢餓状態の放浪者に偽装した財団エージェント2名がネクサスの入り口まで移動したところ、国境警備隊を自称する共同体構成員に軽い身体検査を受けた後に、石造りの家屋に移送されました。エージェントらはロモ・サルタードと飲料水を提供され、警備隊員と出身や旅の理由等の雑談を行いました。この際にエージェント1名が当該ネクサスの起源に関する質問を知的好奇心を装って質問を行いました。その結果警備隊員から幾つかの重要な情報が得られました。以下に特筆すべきものを列記します。

  • 民主ペルーアンデス連邦には独立政府が存在する。しかしながら、ペルー国内の"非正当的集団"10及び"反動的資本家層"、"反共主義者"によってその活動が妨害されている。それにも関わらず、当該ネクサスは比較的安定した統治体制が敷かれている。政府の政策は一般労働者、農民、官僚、警備隊11から選出された代表者が"評議会"を構成し民主的かつ平等に決定される。12
  • 定期的に連邦領域の侵攻を試みている小集団の存在。当該集団は一般的にコントラ(Contras)13と呼称されており、海外の複数の超常団体との関与が疑われている。14

エージェントらが1ケ月間に渡り、ネクサスを秘密裏に調査したところ特異な点が発見されました。詳細には小規模な共同体には不釣り合いなほど徹底されたインフラの存在や政府の膨大な多目的物資の保有等の事項です。施設や水道の構成物の一部にはSCP-1536-JP外殻部の合金及び、SCP-1536-JP-2の複製体が素材として転用されている他、重火器の多くは国外15を由来とするものでした。SCP-1536-JP外殻部やSCP-1536-JP-2は不用意な刺激によって液状化するにも関わらず、これらを加工して利用することができる原理は不明です。

また、警備隊によって収集されていたコントラの多数の装備品を調査したところ、破損済の兵器化されたミーム災害媒体が発見されました。これは当初Anomalusクラス相当の異常物品として記録されていましたが、翌年にSCP-2350が発見されると、これは当該アノマリーの残骸であると明らかになりました。

同年に渉外部門はアメリカ政府に対し説明を求めましたが、要人らは曖昧な説明を提供するか沈黙を保ちました。1ケ月後に行われた定期セッションにおいて監督評議会メンバーは賛成多数で、アメリカ政府内の超常対応人員の懐柔計画を可決しました。動員された潜入エージェントは約9カ月の期間をかけて、1名のペンタグラム(GoI-616)の重要関係者(以下、PoI-5023と呼称)16を財団に離反させることに成功しました。PoI-5023から提供された情報に基づくと、アメリカ政府は1970年代前半から継続して中南米諸国における左派系超常団体の影響力の低下を意図して、多数の武装組織に軍事的アノマリーを輸出していました。オオハシ作戦(Operation Toucan)17と呼称されたこの作戦の存在は、アメリカ政府の組織的な国家介入と同時に中南米各国で活動するSCP-1536-JP-2関連団体の存在を明らかにしました。PoI-5023によって秘密裏にコピーされた機密文書の中にはメキシコ、ブラジル、ボリビアを中心に中南米の社会主義・共産主義・アナーキズム系の超常団体が50以上列記されており、これらの団体がアンデス山脈に存在するゲーテッドコミュニティを支持/支援している趣旨が描写されていました。それに加えて、文書の中では中南米、特にペルーで長期活動している神秘主義的運動が左派の政治活動に関与している情報が記されていました。これらの情報源を参照する限り、アメリカ政府、加えて国家サンディカリスト攻勢議会の対異常専門機関であるナスル委員会は独立に、1936年の時点でSCP-1536-JPを崇拝する秘密教団の存在について認知していました。以下は文書に同封されていた、J.C.H18を名乗る当時のアメリカ政府内超常部門職員によって記された記録文書の抜粋です。

1936年8月23日記録報告書:
"……マリ西部で見られた儀式の痕跡はボゴタ、ラパスで見られたものとやはり一致していた。チョークで描かれた特徴的な図形は黄金の夜明け団のそれを彷彿とさせるが、正確にはこれは奴ら独自の細工が施されたもののようである。図形の内側には蝙蝠の翼、腐敗した林檎の実、牛乳、特異な金属の粉末が添えられていた。不合理の極みとも言える奇跡論以前の呪術そのものだ。……"

"……だが、私はこれを気の触れた狂人の下らない試みだと嗤うことは出来ない。これを引き起こした者たちは他国間での組織的連帯を実現しており、共産主義者と共に狡猾な政治的工作を企てている。彼らの思考する物事がどんなに愚かだろうとそれが民衆に広がれば、思想は莫大なエネルギーとなり合衆国を脅かすだろう。……"

"……中南米全土の都市で反資本主義と反米の波が交錯しながら勃興している。我々は思想を封じ込めなければならない。革命の輸出を止め、組織労働者を矯正しなければならない。合衆国は打ち勝つ。……"

1936年8月27日記録報告書:
"……奴らが残した儀式の残骸に触れた時何かが起こったことを記録しておく。私が手袋越しにあの銀白色の粉末を掬おうとした際に立ち眩みのようなものを経験した。一瞬あの特有の不快感が頭の中に流れ込み前屈みになったが、次に顔を挙げた際おかしなことに気付いた。……"

"……目に見えるもの全てが白く、黒く、鮮やかだったのだ。私は全ての色彩を同時に目に感じていた。まるでテレビの液晶と写生画がその四角形から這い出て膨張し、世界に張り付いたかのように。私はその中であらゆるものを見た。灰色の大都市、緑と赤の山々、この世の全てともいえる男と女、無限に近い白人、黒人、黄色人。真新しいアスファルト道路の上に私はインディオの一団をみた。インディオは彼ら自身の言葉で私に何かを叫んだ。私が何か言おうとした瞬間、世界全体が暗闇の中に崩れ落ちた。落ちる時、最後に説明すら出来ない獣のような声を私は聞いた。……"

"……ふと目が冴えたことを自覚した際、あの光景は既に消え去っていた。腕時計を確認し私は驚愕した。私があの幻覚を見てこうして回復するまで10秒と経っていなかったのである。私には2時間とも3時間とも感じたのにも関わらずだ。私は今疑念を持っている。奴らが行っている宗教的な物事は全くの不合理だったのか? あの光景は本当にただの幻覚だったのか? 私にはもはや分からない。……"

補遺.4:O5投票 SCP-1536-JP及びそれを取り巻く懸念事項は監督評議会定期セッション#SBQ82-Cの焦点となりました。議論の末、監督評議会はアメリカ合衆国及びラテンアメリカ諸国の介入に関する事案についてO5評議会の決定を仰ぐこととなりました。しかしながら、O5評議会内部でも大きく意見が対立し議論は長期化しました。以下は財団の南北アメリカ諸国介入に関するO5議会員の中心的主張です。

O5-2/サイト-01管理官
演説概要

改めて言うが、財団は百年以上に渡って活動してきた超常団体であり、正常性維持機関の中では最も古い伝統と歴史を有している。この百年の間にいくつもの要注意団体が帝国と共に破滅し、新たなセクトに分岐していった。世界大戦と冷戦、我々はずっと身動ぎせず沈黙を保ってきたのか? 無論、違う。財団は連合国と枢軸国、東西諸国と第三世界のあらゆる政府に入り込んできた。アメリカが条約に違犯するレベルの非人道的パラテック使用したなら回収し、ソビエトが現実改変者を強制収容所に連行していたことが判明したなら政治的脅迫を行った。結成してすぐに勃発した第一次世界大戦においても大国と同じ位置で対話することはできなかったが、我々は他の正常維持機関を支援し出来る限りのことをした。

これは今後も変わることはない、そして変えてもならない。財団が人類を保護できる力を持っているにも関わらず、なぜそれを行使することをためらう? 介入の反対者諸君、特に7セブンは財団が行ってきた善の面に目を向けるべきだ。人類文明は未だ破滅していない。その事実の一部はSCP財団によるものと考えても良いのではないか?


O5-7/SCPラテン・アメリカ監督司令部最高責任者
演説概要

主張の前に2トゥーが仰ったことについていくつか述べておきます。まず、私は財団が絶対悪だとは思っていません。もしそう考えているなら私はこの評議会の椅子に座っていないでしょう。善の面を意図的に無視しているわけでもありません。財団が介入したことによって事態が好転した例、キューバミサイル危機はまさにそれにあたるでしょう。私は事実を否定しません。

ですが、財団は常に成功してきましたか? そうとは言えませんね。第三世界の戦争や紛争に超大国がどれだけアノマリーを投入しても我々は文字通りの意味で何もしてきませんでした。それは何故か? 重要と見做されていなかったからです。アメリカから援助を受け続けるため、あるいはソビエトに新たなサイトを建設するために評議会は全てを黙認し続けました。事実に目を向けるべきなのはあなたなのではないですか? 歴史的に財団はアフリカ、中東、中南米の民衆に冷淡であったのは否定できないのですよ。異常の拡散を防ぐために多かれ少なかれ介入は行わなければならないでしょう。しかしそれはアメリカなどの超大国の政府に対してです。もはや正常性を維持するために民衆に犠牲を支払うことはできません。現在の評議会は冷戦まで時計の針を巻き戻してはならないのです。

大規模な地域統制介入に関するO5評議会の最終評決の結果は賛成5:反対4:棄権4であり、いずれの意見も過半数の票を得ることができなかったため再投票が行われる予定です。2006年現在も介入に関する議論が継続しています。










脚注



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  1. portal:5326884 ( 06 Feb 2020 00:53 )
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