当社トリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテションは、時代・文化ごとに変化するお客様の課題と真摯に向き合い、その解決策を提供させていただくことを業務の柱としております。
古来、私たちはいつも世界の中心でした。手にできないものはなく、その質は全て一級でした。しかし現在、この変化する世の中では、全てを手にすることはできず、質の基準もまた多様化しています。当社は古き神々の社やしろでありながら、新時代の変化に対応するフレキシブルな企業を目指し、お客様一人一人に、嘗ての栄華と変わらない、否、より優れたサービスをお届けいたします。
そんな当社の主力事業は翻訳です。国際化の波は決して人間社会にのみ到来したものではありません。異なる文化圏の者同士での交流は、私たちにとっても身近になりました。天空の神や大地の精霊はもはや唯一無二の地位ではなくなったのです。天空に境目はなく、大地は今や1つの大きな球です。しかしそれを司る者たちは銘々に異なる言語を話しています。その目に見えぬ障壁を取り払う、それが私たちの目指すものです。
情報の交換、品物の取引、旅人の往来、いずれも私ヘルメスが古来から見つめ続けてきたものです。これからは私たち、トリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテションがそれを支えます。
役員
ヘルメス
代表取締役社長。ギリシャ出身。オリュンポス十二神の1人。伝令使、魂導者を長年勤め、商人や旅人の守護神としても活動。後に伝令使としての経験を活かし、ギリシャの神々の代表者として、他文化圏の神々や精霊との交流も担ってきた。20世紀中頃より人間の経済活動の活発化に伴って交易の神としての側面が強まっていることを実感し、神々同士の、そして、神と人の交流の促進のため、当社を立ち上げた。
トート
代表取締役副社長。エジプト出身。書物と知識の神、書記の守護神。暦の管理者、死者の裁判の書記などを歴任。魔術の神としても知られ、魔術書の執筆業も精力的に行ってきた。言語のエキスパートとして、当社の翻訳業務の基幹システムを担当する。
社員
ゲブ
食品部門所属、「ゲブの懐かし料理販売」システム開発・運営担当。エジプトの大地の神であり、豊穣を司る。空間的、時間的広がりを内包する大地の概念を基に、全世界・全時代の食文化に対応した食品配達サービスを発案。このアイデアが社内で好評を博し、人気サービス「ゲブの懐かし料理販売」の原案となった。
コタンコロカムイ
出版部門所属、「ブラキストーニ・タイムズ」編集長。その名はアイヌ語で「村を守護する神」を意味する。人々と神々の行いに目を光らす監視者の力を持つことから、ジャーナリズムの分野での活躍を期待した社長のスカウトで入社。編集長を務める電子新聞サービス「ブラキストーニ・タイムズ」は、人神問わず幅広い層からの支持を得ている。
ゴルフの神
観光部門所属、社有ゴルフクラブ管理者。元は山を守護する山神だったが信仰の消失によってその立場を退き、空位となっていたゴルフの神の座に就いた。山神使と呼ばれる奇妙な獣が出現するゴルフ場は眷属の天狗たちによって運営され、神々のビジネス交渉の場としても有効活用されている。
ヘーベー
食品部門所属、「ビューティードリンク」商品開発アドバイザー・営業など。社長の腹違いの妹で、若さと青春の神。オリュンポス山の給仕長を長年勤めた後、人間の青年文化の拡大に触発されて故郷を飛び出し、放浪の旅に出た。現在は極東の学生文化に興味を示し、同地に滞在中。当社には数回の短期雇用を経て、正式雇用に至った。
弁財天
グループ企業「十六童子宣伝社」代表。音楽をはじめとする芸事を司る女神で、七福神のメンバーとしても知られる。十六童子宣伝社は、彼女の眷属である十六童子を派遣し、豪華絢爛なパフォーマンスを伴う宣伝活動を展開する広告会社。財宝神としての側面もあってか、その経営力は高く評価されている。
"アンジェロ"
アルバイト社員。記憶を失った天使で、出身地や本名は不詳。"アンジェロ"は便宜上の通称。諸事情から暫定的な雇用状態にある。当社スタッフとしてサイゼリヤ██店での雑務、時空間異常の管理、店内の治安維持の業務にあたる。
XX: 1964
オリンピックとトリスメギトス
「この都市は少し前まで焼け野原だったじゃないか」。それが、敗戦以後の東京を初めて訪れたヘルメスの言葉でした。1964年10月、オリンピックに沸く東京。体育競技の神でもあるヘルメスは、近代オリンピックが開催されるとその都市へ赴き、気まぐれに祝福を与えるのが趣味の一つでした。起きた大番狂わせの混乱を見届けるまでが彼の趣味でしたが、予想から外れるような出来事は既に起きていました。壊滅した都市が同じ民族によって瞬く間に再生した。興に尽きない可能性を感じた、とヘルメスは後に答えています。
ギリシアに戻った彼はこのことをオリンポスの神々にも伝えますが、まるで相手にされなかったと言います。普段から場を掻き乱しているせいで信用がないのでしょう。そもそも、極東の国の発展などはオリンポスの神にとっては関心の外。旅人の守護神であるヘルメスこそが例外で、この頃の神はまだまだ他国は戦争の相手という認識でした。
それでもヘルメスの興奮は抑えきれず、以前から交流のあったトートを尋ねました。知恵の神たるトートもこれに食いつき、その変化を目にしたいとヘルメスに押し切られる形で口にしました。ヘルメスはトートを日本へと連れ出し、これがきっかけで2人はしばし日本を観光するようになりました。当時は起業のアイデアはなく、個人的な旅行として降臨が行われました。日本独自のアミニズムに触れた際に同族の存在を感じることもありましたが、無目的な接触は危険な行為です。現地の神とは関わりを持たず、単なる見物として各地を巡りました。このときの知識が企業設立の地盤として役立つこととなります。
XX: 1970
大阪万博降臨需要
ヘルメスとトートの観光旅行と日本という国の噂が神々の間で広まるにつれ、彼らに降臨の補助と言語翻訳を依頼する神が現れるようになりました。自身の守護領域と重複する分野が日本でも成長していると知り、視察が必要だと判断したのです。というのは大方建前で、遠く離れた文化に触れてみたいのが本音だとヘルメスは解釈しています。
そしてこの需要は1970年に開催された大阪万博で爆発します。当時のSF作家や前衛芸術家によって創造された明るい未来像に、多くの神々の関心が引き寄せられました。一度の転移ではカバーできない規模となり、神なので譲り合うことも知りません。この時点まででヘルメスとトートの周辺であるギリシア・ローマ・エジプトを巻き込んでおり、下手な手を打つと神話戦争に発展する恐れもありました。
この瞬間、ヘルメスの行商神としての特性が閃きを生みました。大阪万博を含めた一連の観光旅行を一つの商品として扱い、団体移動によって同時並行で旅をさせる。組織化された旅行、即ちパッケージツアーは人間の巡礼者によって発明されていましたが、これを神々の世界でも適用できると考えたのです。
ヘルメスとトートによる初めての大規模業務は大阪で行われ、万博では人知れず神が闊歩したと語られています。
XX: 1979
企業創設に向けて本格化
大阪万博が閉幕してからも降臨と翻訳の需要は止まりませんでした。むしろギリシア・ローマ・エジプトの神の多くが一通り日本観光を経験したため、リピーターとして再度の依頼を申し込む神も少なくありませんでした。観光以外にも、2人を通じて自身の恩恵を日本で振り撒きたいという神も現れるようになります。
またしてもヘルメスの商才が光ります。降臨補助と言語翻訳の作業を体系化し、持続的な業務として提供可能にする。人間の企業形態の模倣です。対価の要求ではなく手続きの効率化を目指しており、より多くの神に異文化との接触を楽しんでもらうという意図があったそうです。
ヘルメスは伝令使として様々な文化に立ち会ってきました。自身の文化圏には存在しない概念がそこにはありました。一方で神は、大抵の宗教がそうであるように閉鎖的です。これからは身体の制限が払われ様々な情報が交錯する時代。この新しい時代を神が生きるために──あるいは、自分好みに世の中を掻き乱すために──彼は現代神話の中心になることを決めました。
かくして、日本での拠点設立に向けた奔走が始まります。現地社員や物理的な土地の確保などを進めながら、近隣の神に体系化された観光旅行の提供を行いました。有効な魔術を判断するため、それまでヘルメスが趣味として人間に行っていた魔術道具の販売も業務として一時的に開始しました。現在、この道具類については回収を呼びかけています。
XX: 1989
法人設立、日本への観光プランと自動翻訳サービスを提供開始
1989年、魔術的手段によってトリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテションは法人として登録されました。正式に企業運営を開始して一番最初に取り組んだのが、これまでの活動軸となっていた降臨補助と言語翻訳です。
ギリシア・ローマ・エジプトの神に限定していた顧客を神格や精霊全域に拡大し、名所やイベントを押さえた観光プラン情報をヨーロッパ圏へと発信しました。観光プランでは局所的ではあるものの自動翻訳サービスが附属しており、観光地の解説や購入する商品の情報が神々が使用する言語に翻訳されました。実はサービス提供ポイントで最も人気だったのは、ヨーロッパ圏ではまだ珍しかったコンビニエンスストアです。多様な商品が並ぶコンビニを主目的に観光する神も存在し、大変な反響を得ました。
この成功体験が当社の根源となっています。傘下とする神や精霊を増やしサービスの幅を広げている当社ではありますが、神と世界の架け橋になるという目的は変わっていません。企業として今後も努力を重ねていく傍ら、新しい時代に最適なサービスをお届けするという挑戦を忘れぬよう、これからも邁進してまいります。
記事の一覧(HP形式なら商品・サービス紹介とか?)
こちらでは、当社の発展にご協力いただける、読者/著者の方に向けたご案内を掲載しております。まずは読書から始めたいという方はすぐ下の「読書ガイド」から、執筆で貢献したいとお考えの方は少しスクロールしていただき、「執筆ガイド」からお読みください。
読書ガイド
はじめに
読者様、ようこそトリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテーション ハブへ。TTT社の記事はこのハブが初めてですか? あるいは既に数本読んでいて、より詳しく知りたくなってここへ? もしかして経験豊富なSCP著者が執筆のヒントを得るために? 最後の方は下の執筆ガイドへお進みください。それ以外の方には、これから始まる読書ガイドが役に立つかもしれません。
どれから読んだらいいの?
このGoIについて書かれた素晴らしい作品は複数存在しますが、完全な初心者の方に1本お勧めするとしたら、断然SCP-1988-JPです。TTT社の初出であり、記念碑的な作品でもあるこの記事から読み始めれば、世界観の概要を把握する事ができるでしょう。
では次に何を読むべきか、これは少し難しい問題です。あくまで本稿執筆者の個人的な意見としましては、令和元年の神々をお勧めします。記念すべき第二の記事であり、TTT社をSCP-1988-JPの一発屋で終わらせなかった立役者と言っていいでしょう。以降の作品で使われることになる社長と副社長の対照的なキャラクター付けはこの記事で完成したと言っても過言ではありません。
社長/副社長以外の従業員を登場させて世界観を拡張したSCP-1929-JP、SCP-1872-JPなどもおすすめの記事です。ちなみに、それぞれ三作目、四作目です。
と、このように投稿日時順に読む事で、GoIの世界観の広がりを追いかけるという読み方があります。(TTT社に限らず、有用な読み方の一つです) このリンクから、投稿日時順に並べられたTTT社記事の包括的なリストを見る事ができます。ご参考にどうぞ。
慣れてきたら
・評価高め(+40以上、できれば+60以上)
・TTTがメイン(大事!)
・上記の初心者向けで扱わない
上の条件から5記事ほど引っ張って来れるといいかなと
ほぼ確定枠(ってか入れなきゃダメだと思う)
・ひとの祈りよ喜びよ
・集村:58 - 晨記"翼ある旅人”
候補
カノン系
・カモと商人(結構初期作なのと予備知識ほぼ要らないので上に入れてもいいかもしれないという気持ちもあるが…)
・SCP-2320-JP(FCカノン)
他GoI知識要求系
・企画案2024-003: “全世界的オイディプス、もしくは「ガイアファック」” (これは僕が好きなだけ)
・ヘルメス(手前味噌ですが…)
追記求む
執筆ガイド
はじめに
記事を読むだけでなく書いてみたい?素晴らしい!実際のところ、あなたのような人のお陰で創作コミュニティは創作コミュニティで居られるのです。まずは深い感謝を。さて、ここからはTtt社が登場する記事を書くときに役に立つかもしれない情報をお伝えします。
このGoI、トリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテーションは、世界各地の神話・伝承に登場する神々や精霊、それに類するヒトならざる者達を現代的な世界観で取り扱うことに特化した要注意団体です。もしあなたが神話・伝承の世界観を元ネタにした記事を書きたい、と思った時に思い出してみてください。
その名の通り、彼らは翻訳と交通輸送を主要な事業としています。キーワードは「越境」です。Ttt社は地域・文化・言語の垣根を取り払い、古代と現代を結び、神の世と人の世を繋ぎます。異なる者同士を連結させ、交差させ、融合させることは重要なテーマの1つです。
神をキャラクター化する
Ttt社の記事には「神格」キャラクターが数多く登場しますが、この団体の関係者(従業員や顧客)として登場する彼らは、SCPバースにおける一般的な「神格」のイメージと外れる部分が多くあります。この項では、Ttt社的な神格キャラクターの作り方を考えてみましょう。
まず彼らは、実在する神話や伝承に関係している場合が殆どです。これはつまり、完全にSCPオリジナルな神は殆どいないと言い換えてもいいでしょう。例を挙げると、ヘルメス社長はギリシャ神話、トート副社長はエジプト神話が原典です。その他にも、日本神話、北欧神話、アステカ神話などの各地の神話、妖怪や妖精が登場するような民間伝承や、天使や聖人に纏わる宗教的な逸話も元ネタになっており、非常に広範囲の超常的存在がTTT関係者として登場することができます。
新しいキャラクターを導入したいと考えるとき、まずは元ネタを理解するところから始めるといいでしょう。原典の神話ではどういった存在として登場し、どういった物語でどういった役割を演じたのでしょうか。社会の中でどのような信仰を集め、芸術作品ではどのような描かれ方をしたのかも良いヒントになります。次に元ネタを現代のSCPバースに合うようにアレンジしていきます。
例えば、ヘルメス社長の場合、"商業の神"なので企業の社長であり、"交通の神"として神の世界と人の世界を行き来する力を有し、"能弁の神"故にお喋りな性格というように、神話上の属性を立場や性格に反映することで作られたキャラクターです。また、ヘルメス神は絵画に描かれる時、ペタソスという帽子を被った姿で描かれますが、これが社長の帽子を被っている外見描写に繋がっています。更に、エジプト神話のトート神と同一視されたという歴史的経緯が、副社長との関係性や社名の「トリスメギストス」の元になっています。
何にせよ、原典そのままでアレンジがないと面白くありませんし、逆にアレンジしすぎて元ネタの意味がないというのも避けたい事態です。良い"二次創作者"になりましょう — 素材の味を活かしつつオリジナルの香りも利かせて下さい。それと、SCP以外のサブカルチャー作品に同モデルのキャラクターがいる場合 — これはよくあることだと思いますが — キャラ造形が出来るだけ被らないことが望ましいかと思います。
キャラクターを動かす
さて、キャラクターの作り方の次は動かし方です。ここからは、TTT関係者の物語中での振る舞いについて大まかに解説します。
まず、彼らの大部分 (特に従業員) は、基本的に人間に対して中立であるか友好的です。現代文明に対し一定のリスペクトを持っているか、少なくとも利用価値を感じています。そのため、基本的には人類に対し積極的・能動的に害を為すことはありません。もちろんこれは、このことに反する貴方のアイディアを止める理由にはなりません — あくまで既存記事の傾向です。とは言え、主流の設定に反する内容に説得力や整合性を持たせるには相応の理由が求められることは確かでしょう。例えば、存在そのものが人間にとって有害である場合 (死や病、不幸などを司る神は各地の神話に登場します) や、人間との相互理解の不足などからトラブルが発生してしまった場合などが考えられます。そのような事件を扱う記事では、それらの問題を解決するために奔走するTTT社の姿も描けるかもしれません。
また、彼らは人間社会に紛れ込んで活動しており、自らが超自然的な存在であることを隠しています。異形の神々であっても上手く人間に化けていられるようであり、「ヴェール」と呼ばれる、認識を偽装する類の異常現象がそれに関与しています。奇遇にも財団の異常隔離政策と同名ですね。彼らが世間から隠れている動機は定かではありません。先述したように、彼らは人間に対し友好的であるため、混乱させることを良しとしないのかもしれません。もしくは、財団やGOCのような正常性維持機関と揉めることを避けようとしているのかもしれません。どのような理由にせよ、彼らは自らの正体を隠そうとしており、露見してしまう事態は基本的には危機です。この「正体バレの危機」は、物語上で便利なアクシデントとして使うことができる可能性があります。
神々の事業とは
TTT社は、社員のそれぞれが超常的な力を持ち、それらを活かした事業を展開します。従って、彼らの事業は往々にして属人的な属神的なものとなります。そのため、大規模に構造化された産業というよりも、小〜中規模の多様な事業に手を出す企業複合体というのが彼らの実態に近いものでしょう。また、社長や副社長がその場に居なくとも、彼らの言語に纏わる能力を由来とするであろう翻訳の魔術が機能している辺り、何らかの形で超常的能力だけを取り出して運用することも可能なようです。
具体的な事業に焦点を当てると、まず中核には社名にもなっている「翻訳」と「輸送」があります。あらゆる言語による意思疎通を可能にし、人・物・神を様々な場所へ運ぶ彼らの技術は、それ単体でも十分に凄まじいものですが、大抵は別のサービスの利用を容易にするための基盤技術として使用されます。
「神格コミュニティ」を考える
初出記事「SCP-1988-JP」でも触れられているように、TTT社の設定の背景には、神や精霊のような神話的存在によって形成された社会が存在します。これを「神格コミュニティ」と呼ぶことにしましょう。なお、この用語はSCP-1311-JPが初出です。ここで重要なのは、TTT社だけが神格コミュニティのプレイヤーではないということです。
従って、あなたのキャラクターは、社員だけでなく、顧客や取引先、或いはライバル組織として登場させることもできます。前項でも触れたように、社の規模自体は大きいものではないので、社員として出すよりもこちらの方がむしろ自然なのかもしれません。顧客側の異常性にスポットを当てるタイプの企業系GoIはあまり多くないので、差別化にもつながるかと思います。
Q. ヘルメスやトートに明確な性格は固定されていますか?
A. ヘルメスは冒険的/能動的/陽気な性格、トートは現実的/受動的/冷静な性格であることが多いです。動と静、アクセルとブレーキ、そういったものだとお考えください。つまり、相補的なキャラクターだということです。逆に共通点としては、両者共に知的で柔軟な性格です。
Q. 人間は所属していますか? また、人間は所属できますか?
A. 例は少ないものの、不可能ではないようです。
Q. このGoIは色々なカノンでどのような役割を演じていますか?
A. 各カノンの有識者にインタビューしてきました。
大事件とともにヴェールが勢いよく捲り上げられた「1998年」カノンの世界では、一般社会に異常/超常が認知されました。当然、かつて虚構とされた神々も、その存在を全世界に知られています。この世界では、このような神々や精霊をはじめとする、神話・伝承として伝えられてきた者たちを「伝承部族」と総称しています。TTT社は伝承部族を主要な構成員とする企業であり、ヴェールなき世界では公然と活動することができます。
隠された存在でなくなったことは、社の成長を大きく後押ししました。彼らは大きな企業複合体を形成し、事業内容も大幅に拡張されています。主力事業であった翻訳は、この世のものならぬ言語すら扱うようになりました。気象操作による天候管理、跳躍路への技術供与など、新たな事業にも手を伸ばし続けています。社長・副社長のパーソナリティは通常カノンのそれと概ね同じですが、企業の成長に伴い、その影響力ははるかに増大しています。
それでもTTT社は、依然として神と人との仲介者としての役割を持ち続けています。ある時はカオス・インサージェンシーに囚われたエリスを奪還し、またある時は地下東京に出没するガネーシャと交渉します。問題の種は尽きることがありませんが、その解決はもはや秘密の仕事ではありません。このカノンにおける彼らの活躍は通常カノンと比較して、目立つ、派手なものになることが期待できるでしょう。
「ファウンデーション・コレクティブ」カノンは夢の中の財団を物語の焦点に置いたカノンであり、必然的にその舞台は夢の中の世界です。大部分の人間とは異なり、神々は (少なくともヘルメス社長は) 自身の現実でのアイデンティティと大きく剥離することなく夢の世界に現れることが可能であり、登場させることは比較的簡単でしょう。
ただしこの性質は、夢の影響を人間以上に受けやすいということでもあるかもしれません。例えば、ある事情で夢の中に閉じ込められ続けている神も登場します。このような夢の中でのトラブルを中心としたストーリーを展開する場合、その展開の発端、トリックスターとして活躍することができるでしょう。また、彼らは数少ない夢と現実の両方の財団に対して同一の存在として接することができるGoIの1つです。そのため、夢の中のトラブルを現実に持ち出してくる役割もこなすことができます。
「四辻喜劇」カノンで焦点が当てられるのは、人類の進歩とともに装飾化していく信仰と信仰の弱まりによって消えていく妖や神格たちです。社長・副社長は世界規模レベルの知名度を持つためその煽りを受けませんが、信仰を軸に生きる存在が苦しめられている状況を快く思ってはいません。同時にこの状況は格好のビジネスチャンスでもあり、存在消滅の危機に陥った怪異と取引を結ぶために闇の中を奔走します。
TTT社として活動を開始するのは1980年代頃。行き場を失った同族たちを社員として招き入れつつ、経済発展を遂げる日本で事業を展開していきます。通常カノンと同様に翻訳や観光を主要な事業としていますが、引き入れた社員たちの特性を活かした事業も計画している様子。特異な環境に置かれた洋食チェーンへの人員派遣など、文明のシステムに適応できるよう怪異たちに仕事を与えています。
このカノンの世界観では、役割を失った者から消えていきます。現在、怪異たちは大多数が役割を失っている状況にあり、救わなければ人知れず消えてしまいます。ビジネス面だけでなく、同族救済のために社員を勧誘している可能性もあるかもしれません。しかし、信仰が十分に担保されているヘルメスらは怪異たちの顰蹙を買う場合もあります。泥臭く企業として成長していく様子や怪異たちの群像劇としての側面が描写の中心になるでしょう。
Ttt社有識者会議メンバーに編集権を認めます