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クレジット
タイトル: 聖杯を仰ぐ翳 ハブ
著者: ©︎法螺吹きたち
発起人: チーム"お肉万歳" (islandsmaster & dr_toraya & karkaroff & O-92_Mallet)
作成年: 2020
Shadows of Holding Grails
忠勇なる諸君、
本日、我々は偉大なる民族の再興に向けた、新たなる一歩を踏み出すことになる。遥か昔に簒奪されたアーリア民族の象徴を奪還し、祖国に取り戻す勇気の日がついにやってきた。
不当にも貶められてきた我らゲルマンの、祖国ドイツの誇りを思い出せ。混迷と屈辱、苦しみに満ちた20年間を思い出せ。今この瞬間にも我々の血と名誉の結晶を踏み砕き、我が物顔で父祖の地を歩き回っている、卑劣極まりない者たちの顔を思い出せ。
怒りと勇気こそが戦士を強くする。次に我々が集まるとき、それはベルリンの公邸か、ヴァルハラの館のどちらかとなる。さあ、今こそ杯を掲げよう──勝利を誓って!
— コンラート・ヴァイス
1938年8月3日の調査隊出発式典における演説
同志タルコフの献身的な犠牲の結果、精神工学局第3課は北海における重要な戦果を獲得した。オブスクラ軍団の哨戒部隊から未知の形式の魔術兵装が鹵獲され、このうち2機はヴァチカン製の聖別触媒が用いられている。
第4異常対策委員会および党政治局は一貫した見解を示している。ローマ・カトリック勢力は枢軸国の超常研究機関と敵対せず、秘密裏に物資の相互調達を行っている。これは英国オカルト局の見解と明らかに矛盾しており、政治的追求の義務が課せられている。
大祖国戦争の戦局は未だ厳しく、攻撃は留まることを知らない。敵は神の意志、精霊の祝福、聖人の加護を謳い上げている──全て誤りである。我々には責務がある。祖国を防衛し、侵略者を撃滅し、テーゼの正当性を世界に示すことである。
同志諸君、神を否定せよ。
— ゲオルギー・ミトロチョフ
1941年12月23日、GRU"P"部局第3分室における内部書簡
ようこそ、羊飼い。
君たちとこうして出逢うことができたことを光栄に思う。私は律法学者を10年間務めてきたが、このように地区の担当者が一堂に会する機会はこれまで巡ってこなかった。神に感謝を。
しかし、これは必ずしも吉兆とはいえない。私たちの信仰と敵対する者たちが活発に動き始め、パリは安全とはいえない街になってしまった。プラハで目撃された錬金術師たちや、ブダペストの肉のカルト、ナジュドのカバラ主義者、香港の異端門徒までもがこの街で活動を続けている。
私たちは決して、彼らと公然と対決することはない。信仰と理性の原則を忘れてはいけない。ただし、注意せよ。警戒し、感情に流されず、用心と慎みをもって行動しなさい。悪しき者どもに導かれる純粋な人々を、危難と冒涜から救いなさい。
幸運を。主の御加護がありますように。
— 律法学者エレイン
シテ島における集会、時期不明
……そのうえで、世界オカルト連合の責務は、1945年に連合国オカルトイニシアチブの使命を受け継いでからというもの、現時点に至るまで変化していないことを確認しておく。
かつての組織とは比較にならないほど、我々は巨大な存在になった。しかしながら、五大任務の対象となる超常世界もまた拡大し、一般大衆は常に脅威に晒されている。
108評議会およびその傘下組織は、連合憲章に準拠する限りにおいて、その行動を掣肘されることはない。しかしながら、原則は常に確認される──いかなる逸脱も許してはならず、我々は常に法の万人、少なくとも見かけ上は公正な裁定者として振る舞う。
目録には、向こう20年間の世界の天秤を容易に破壊しうる脅威存在がリストされている。迅速に行動せよ。敵対の有無に関わらず、あらゆる組織にその実在を悟らせた場合、直ちに粛清せよ。
破壊しかできない能無しと侮らせておけ。それこそが我々の利益になるのだから。
— 世界オカルト連合連繋局より傍受された通話
1999年7月4日夜半
40年前、並行して行われた2つの大戦の結果として多くの結社が衰退し、我々はその後釜に座る形で超常世界の覇権を握ることとなった。意図した結果ではなかったものの、多くの優秀な人材に支えられ、我々は財団という巨大な礎を築き上げた。
思い返してみれば、当時は再編と躍進の時代だったのだ。混乱の渦中で、我々はまだ統合されていない複数の少組織にすぎなかった。あるものは異形の怪物を封じ込め、あるものは政治家と結託し、あるものは人々の陰で暗躍し、各々の信条に則って活動した結果、幸運にも我々は一つになった。
しかしながら今日、我々はかつて単なる科学者の小集団であったころの、素朴で単純な懐疑心を忘れているように思う。科学の光は我々の責務に大いなる助けを齎したが、それは古くからの謎めいたしきたりに背を向ける理由にはなりえない。
魔術や信仰、儀式といった要素を軽視する向きが組織内に存在することを私は知っており、また、それらを非常に危惧している。我々は確かに、世界を終焉に導きかねない多くの災厄を未然に防いでいる。しかし──どれほど下らない、迷信じみた、子供騙しのオカルトであっても、その中に一抹の真実が潜み、太古の法則が働いている例を、たった40年前に我々は目撃したのではなかったか? それらの驚異に対する対抗心が、我々を一つの礎として纏め上げたのではなかったか?
今一度、我々は初心に立ち返り、足元を見つめ直さねばならない。人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない──それゆえに、原初の迷信に対して、我々は常に挑戦し続けなければならない。
— 管理者
財団監督者評議会に宛てた私信
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物語の記録
記録はおおむね年代順に並べられている。
- rose-and-bronze by islandsmaster
- SCP-1927-JP - いと高き方のもとに by islandsmaster
- SCP-2983-JP - 吊るされた天の崩壊 by O-92_mallet & islandsmaster
- SCP-1856-JP - NINJA・SAGA by FattyAcid
- SCP-1924-JP - 故ロンメル将軍の秘跡 by dr_toraya
- SCP-1921-JP - サンジェルマンの聖杯 by dr_toraya
- memorandum-091-regarding-project-asceticism by islandsmaster
- gravitas-gradalis by O-92_mallet
- yamizushi-file-no1012 by dr_toraya
- pan-organized-exchange by islandsmaster
何が起きた?
この世界は異常で満ち溢れている。古くから人類は理解を超える存在に様々な名を当てはめた。神、精霊、妖魔、悪鬼……力あるものを信ずる人々の曖昧な認識と観念もまた、様々な形で彼らに影響を与えてきた。
アイルランドのドルイド、北アフリカの修道女、新大陸のシャーマン、朝鮮半島の道士、そして? 人類は常に信仰と共にあり、それはヴェールのどちら側に属する者にとっても、大いなる争いの契機となる。最新の戦争は1939年のチェコで始まったが、火種はずっと以前から燻り、然るべき時に燃え上がったのだ。
第7次オカルト大戦の現場で何が起きたのか、正確な事実を誰も知らない。少なくとも明らかなことは、ナチス・ドイツが聖杯を発見し、そしてそれは失われたということだ。戦争が全てを覆い隠し、ヴェール・プロトコルは財団とGOCの最終的妥協によって維持され、謎を解明するための試みは鉄のカーテンの向こうに消え去った。
1945年には、財団はまだ若かった。何か意味のあることをするには遅すぎた。
今、過去の亡霊が声高に凱旋を告げている。聖遺物の贋作がオークションを埋め尽くし、インターネットは異常現象の目撃談で溢れかえっている。失われた遺産を探索するため、いくつかの異常な結社は公然と動き始めた。魔術と信仰は復権の兆しを見せはじめ、超常社会は古きものの翳に揺れ動いている。
財団には何ができるのだろうか? あるいは、何をしたのだろうか?
ある法螺吹きの言い分
めくるめく魔術と戦争の世界へようこそ。神秘思想の最後の残り香が帝国主義の残滓と絡み合い、グロテスクな進化を遂げた20世紀の戦場に、私たちは謎とロマンを求めます。
20世紀の前半は、現代に生きる私たちが思うほどには"近代"的ではありませんでした — 多くの迷信が依然として幅を利かせ、科学はまだそれほど一般的な概念ではなかったのです。飛行機が空を舞い、鉄道が地を駆け、戦車と機関銃が戦場を支配するようになっても、人々は魔女が農場からミルクを盗んでまわり、霊媒師が来年の豊作を予知してくれると信じていました。
護符、占い、魔術儀式、降霊術、神話伝承、そして聖遺物 — それらに魅入られた多くの人々の伝説を再解釈し、謎を解き明かす試みの一つがこのカノンです。史実と空想を繋ぎ合わせ、オカルト思想のエッセンスを加えることで、新たな物語を作り出しましょう。
現在のところ、このカノンには以下の要素が含まれているか、含まれる予定です:
- 第7次オカルト大戦の趨勢。
- ナチス・ドイツによる聖杯探索と、その帰結。
- ソビエト連邦における超能力研究。
- 財団の前身組織による異常存在の追求と、現在に至る結果。
- 様々な要注意団体/人物による、個々の目的の追求と衝突。
- その他、歴史ロマンとオカルティックな研究。
しかしながら、オカルトは伝統的に突飛な言い分とそれに対する反証の積み重ねであり、あなたには常に何か風変わりなことを言い出すチャンスが与えられています。全体的なカノンの雰囲気や方向性に合っている限り、あなたはこれらの要素に好きなものを足すことができ、自由な創作を行えます。
このカノンの記事を書く場合、歴史考証はそれほど重要ではありません。私たちは明確に空想の歴史を扱っており、あなたはいかなる歴史上の事実をも、自由に改変してストーリーに取り入れられます。
しかしながら、史実を元にした創作を行うにあたっては、十分なリスペクトと注意が必要です。幻想と史実は明確に切り分けましょう — そしてまた、明確な意図を持って混ぜ合わせてください。
このカノンにおける財団は強力ですが、幾分か控えめな存在です。彼らは第2次世界大戦に前後して多くの前身団体が集合することで出現した、比較的新参の組織のようです。オカルト戦争の脅威を前に団結した彼らは、社会の近代化に従って古臭い儀式の危険性を忘れはじめています。それが良いことかどうかは、まだはっきりしません。
多くの要注意団体は、他のカノンよりも活発に活動しています。彼らは古き良きオカルトの効能を再発見し、隠然とその影響力をヴェールの内外に対して行使しています。幾つかの事例を示します:
- 蛇の手、またはその前身組織は古くから存在する秘密の神秘結社です。彼らはある時期まで図書館から締め出されていましたが、それでも懸命に活動していました。
- MC&Dは古物オークショナーの老舗であり、無数の宗教遺物を扱う文化商人です。
- GRU"P"部局は冷戦下における最も活動的な組織でした — 現代においては、死体の一歩手前です。
- オブスクラ軍団は解体されました。彼らの残した爪痕は未だ各地に刻まれています。
これ以外にも、様々な支部の要注意団体が参加する素養を秘めています。戦争は世界中で起きており、人間と争いがあるところには、常にオカルトの翳があります。
注意事項 — このカノンでは、全ての事実はひとつながりです。タイムラインの矛盾が許容されることはありません。多くの組織と人物が交差しあっているために、誰かの視点で語られた物語が別の人物にとって違う意味を持つことは有り得ます。主要タイムラインに属する物語のみが「物語の記録」に掲載されていることに注意してください。
その他の気になる事項があれば、islandsmaster に連絡をとってください。貴方の吹聴する新たな伝説がこのカノンに馴染むよう、お手伝いをさせていただきます。
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- portal:5060201 (15 Jan 2019 17:15)
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