細部について
また、実施場所は必ず民家や建物、植物や装飾の無い広い場所で行なって下さい。
- 「実験場所は~場所で行って下さい」となっていて「場所」が重複しています。「実験は~場所で行ってください」「実験場所は~を選択/採用してください」のような書き方の方が良いでしょう。
- 「下さい」は物理的な要求に用いられることが多いです。ひらがなで「ください」とすることを推奨します。
- 「民家や建物」は民家も建築物の1つなので、重複あるいは包含しているように思います。
- 「広い場所」に関して、具体的な面積の指定がある方がマニュアルとして適切だと思います。あるいは、どこかに特設サイトを用意してそこでやれ、でも良いと思います。
SCP-XXXX-JPは一般的に市販されていた████製の電子レンジと同様の物品で、経年劣化があります。
まず、説明:節の冒頭部は「SCP-XXXX-JPは〇〇な××です」と定義して言い切ってしまう方が良いです。Wikipediaや他の百科事典を読んでもそうだと思うのですが、1つの事物について記事を書く際、その記事主題が一体何であるかを冒頭部で定義する必要があります。現状の本作のように「SCP-XXXX-JPは~で、〇〇がある」というような書き方をすると、日本語として破綻しているわけではありませんが、やや定義が流れてしまっているような印象を受けます。「同様の物品」というのも回りくどいので、「~電子レンジです」と言い切ってしまう方が良いでしょう。その後で経年劣化が認められる旨を記載しましょう。
なお、「一般的に市販されていた」という表現がやや引っかかります。市販されるということは既に社会一般に流通しているということであり、ある種の重複した表現になってはいないでしょうか。
10秒以上最大10分加熱する事で発生します
「10秒以上10分以下」あるいは「10秒以上10分未満」とすると統一感があるように思います。
なおこの記述を読んで発生した疑問として、10分を超過する加熱は不可能なのか否かという点が浮かびます。10分を超過する加熱を行おうとすると安全装置が働くとか、あるいは何らかの不具合で停止するとか、そうした旨をどこかで補足しておいた方が自然だと思います。
加熱が完了した有機物は取り出した時点では異常性を観測出来ず、一般の電子レンジで加熱した際と同様一時的に温度が上昇します。
- 「観測出来ず」は「観測できず」とした方が良いです。動詞や副詞としての「できる」は特に論文や公用文においてひらがなで表記されるのが一般的です。財団の文書が性質としてそれらに近い面もあるでしょうから、ひらがな表記を推奨します。
- 読点の前では加熱した有機物をレンジから取り出しているにもかかわらず、読点の後では加熱中に発生するはずの温度上昇について言及があります。つまり、文章が左から右へ進行する中で、この文が示す内容の時系列は右から左へ逆行しているように読めます。読者に軽微な混乱をもたらすことになるので、時系列と読む順番はなるべく沿わせる方が良いでしょう。
- 「一時的に温度が上昇する」というと5秒間だけ90℃になってその後すぐ常温に戻る、といったような異常な温度変化が連想されます。普通に非異常の電子レンジで加熱すれば一定時間温度が高くなっていることでしょうから、このように奇妙な解釈のされ方をする書き方は避けた方が良いかと思います。
この爆発の威力は、有機物の大きさや質量、密度には関係せず、加熱した時間に比例し威力が高くなります。
やや細かいですが、読点は文を切断して意味を支配する役割を持ちます。文の意味を切らずに大きさや質量といったパラメータを列挙する場合、「大きさ・質量・密度」というように中黒を使った方が良いでしょう。
また、「加熱した時間」は単純に「加熱時間」でも良いと思います。「爆発の威力」もやや定義が曖昧な気がするので、「爆発エネルギー」とでもしておくと良いかも知れません。
有機物は1mg以上でなければ異常性は発生しません。
これは説明:節の第2段落「内部に有機物を投入し」の部分に「内部に1mg以上の有機物を投入し」として内容を組み込んでしまう方がスマートだと思います。
関係していると考えられています
好みによりますが、「~している~ています」がくどいので私ならば現在形で「関係すると考えられます」と端的に記載すると思います。
形状などの状態が爆破前の状態と近くとも
「形状などの状態が」は不要です。無くても同じ意味で成立します。
例外なく再度爆破させる事は出来ません。
- 「例外なく」がどこに文法的にかかるのか曖昧になっています。
- 「できません」はひらがなが良いです。理由は上述したため省略します。
木材は小爆発を起こし
小爆発と普通の爆発の線引きはどこにあるのでしょうか。
2kgのダイナマイトに相当する爆発が起こる、トマトの破片は美味しくなかった
- 読点ではなく句点で区切る方が良いでしょう。
- 「美味しくなかった」は主観的な内容であり、また稚拙な表現です。財団ならば酸味の度合いや水分量などで評価を行ってほしいものです。
一匹の実験用モルモット
個体数は半角算用数字の方が良いと思います。ティッシュペーパーについても同様です。
着火させると大爆発が起こり
大爆発と普通の爆発の線引きはどこにあるのでしょうか。
飛んできた肉片に当たり
「飛来した肉片が衝突し」「飛散した肉片と接触し」など。
それらの物体からは白煙が出ていた
「肉片」で統一してはいかがでしょうか。
この爆発による被害は財団がただちに対応したため、最小限で済みました
これまで常体(だ・である調)で記載されていたにも関わらず、ここだけ敬体(ですます調)になっています。
分析:
コロンが太字になっていないようです。
異常性は影響されるものの
「(実験対象の有機物が元々有している)異常性が影響を受ける」という意味に読めます。てにをはを正確にする方が良いと思います。
影響を受けた容器は財団が処分しました
敬体。
以下の実験により、SCP-XXXX-JPの異常性が失われオブジェクトクラスがNeutralizedに改定されました
句点が脱落しています。
SCP-XXXX-JPが発見されたのは██県██町の民家で、持ち主がSCP-XXXX-JPで温めた食材を調理した事で異常性が発覚しました。購入時の年代から、この異常性は持ち主がSCP-XXXX-JPを購入した当時はまだ無かったと思われます。
「SCP-XXXX-JPは██県██町の民家で発見され、所有者がSCP-XXXX-JPで温めた食材を調理したことで異常性が発覚しました。購入時の年代は異常性発覚時よりも有意に古く、当時は異常性が存在しなかったと思われます」とすると文体がフォーマルな雰囲気になると思われます。現状の文章では因果関係の読み取りがやや難しくなっているので、読者に伝わりやすく観点を整理することをお勧めします。
全体について
現状DVです。財団が有事の際に備えて本オブジェクトを利用しているというオチですが、財団が所有しているであろう通常兵器を素直に使えば十分であるように感じました。様々な異常存在を相手にしている財団のことですから、所有している武器や兵器の類も我々が把握しているような一般の武器・兵器とは比較にならないものも数多くあるでしょう。そうでなくとも、一般的な重火器が本作で登場した爆発物に劣るようには思えず、財団が本作の爆発物をあえて利用するメリットが薄いように感じました。
ただしこれは闇雲に爆発物の威力を高めれば良いというものではありません(単に火力を釣り上げてしまえば危険なだけという印象しかないオブジェクトに成り下がってしまいます)。もし財団によるオブジェクト運用をオチにするのであれば、「なるほどこれはこのオブジェクトを使った方が良いよね」「他のオブジェクトじゃこれは成り立たないよね」と読者が納得でき、かつ珍しさや新奇性を感じられるようなアイテムにしてやると良いでしょう。最近の作品で言えば、SCP-3166-JPは財団がこのオブジェクトを利用するに値する説得力をしっかりと提示し、さらにそれを生物学的な味付けで以て料理して面白く仕上げています。単に高威力の爆発物というだけでなく、せっかく財団が利用するならばSCP-3166-JPのように何らかの工夫がほしいと感じました。
加えて、補遺:節の設定が他のどこにも繋がっておらず、ストーリーに寄与していません。現状では死に設定になっています。オブジェクトの発見経緯は絶対に必要なものではなく、読者からUVを得る上で発見経緯が邪魔にしかならないならば、そもそも掲載しないのも手です。発見経緯が必要な作品か否かを吟味し、必要であるならばストーリーと接続させ、不要ならば書かない。そういう取捨選択をなさると良いかと思います(もちろん「俺はこの発見経緯を何としても書くんだ!」くらいの思い入れがあるなら書いたら良いと思いますが、そこまで嗜好や熱意が込められた記載のようには見えませんでした)。
また異常性自体もそこまで面白いものではないことに留意しておく必要があると思います。何かを爆弾にするという特性はあまり目新しいものではなく、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の吉良吉影や第7部のオエコモバといった前例があります。他にも『NARUTO -ナルト-』のデイダラなんかも類似した印象を抱かせるかもしれません。能力バトルものにありがちな設定になっているので、読者を冒頭部で惹きつけておくためのフックは弱い状態だと思います。フックが無いからといってただちにDVに直結するわけではありませんが、現状では上述したようにオチに納得感が無いので、冒頭部にフックも無い現状であればDVを受ける可能性が格段に高いように思います。まず電子レンジや爆発物といった本作のポテンシャルを最大限に活かせるオチ(本作でしかできないオチ)を考えてみて、それが思いつかないようであれば、根本から異常性の設定を見直すべきかもしれません。
また、上記で指摘したようにクリニカルトーンが不十分であるように感じました。おそらくSCP財団の記事はいくつかお読みになっているとは思いますが、財団の文書に限らず、日本語の文章を様々読んでみて、分析的な文章の書き方をゆっくり学ぶ必要があるかなと感じました。これは一朝一夕で身に付くものではないので、焦らずトライしてみてください。
「批評者の方へ」返信
一つ目は、特別収容プロトコルの書き方です。特に、打消し線お部分はこのように書いていいのかが不安です。
あまり気になりませんでした。私が普段特別収容プロトコルを重視していないというのもあるとは思いますが、特に問題がある体裁ではないように思います(内容の細部については上記で指摘しました)。
二つ目は、実験記録です。テンプレートの書き方とかなり違うのですが、大丈夫なのでしょうか。
致命的に気になるほどではありませんでしたが、確かに報告書本文と実験記録の分析:節の切れ目が分かりにくくは感じました。統一感を持たせるために、分析:節も含めて表ごとdivブロックで囲む、くらいしても良いかも知れません。
三つ目は、無機物を加熱させる必要性です。この実験記録XXXX-3での実験は、財団の興味からなる試行のような実験記録なのですが、それが読者に伝わるか、そしてこの実験は、当SCPのオブジェクトクラス改定に大きく関わるので、非常に不安です。
ここですが、まず鉄球が入れられているにもかかわらず爆発が起きた点でかなり強い違和感がありました。鉄Feは当然炭素Cではありませんし、無機物です。純度100%の鉄は今のところ存在しませんから、不純物として炭素が配合されいているのかなとも思いましたが、その場合であっても有機物ではないと思います(純物質たる化合物ではなく、混合物の扱いになり、有機物の定義に当てはまらないかと)。ここの合理的説明は考えていらっしゃるのでしょうか。
あ、これは異常な作用ではなく電子レンジとしての非異常の機序で爆発したってことですかね。アノマリーの検査に気を取られているうちに一般的な原則を忘れてしまったというギャグなわけですね。とすると、もう少し面白おかしく強調して一旦ここでオチをつけた方が面白さが伝わりやすいかもしれません。兵器運用という真のオチをやるにせよ、やらないにせよ。
加えて、無機物が爆発物の対象にならないことは既に説明:節で明記されているので、ここでわざわざ無機物を使って実験するモチベーションが伝わって来ませんでした。財団の興味ということですが、すでに確認されたことを繰り返す無益な実験をしているように見えるので、何らかの形で実験の動機付けをしてやる必要があると思います。
またこれにやや関連して、興味本位で無益な実験をしてやらかすというのは、財団としてはあまりにお粗末かなという印象を受けました。財団はエリート集団として見られている節が強いので、もしやらかしを描くのであれば、やらかしても仕方ないくらいの説得力を付与する必要があるように感じました。一応私が書いたSCP-1150-JPは財団のやらかしの側面がなくもないのですが、これはやらかすのが必然くらいの初見殺しの性能を持たせることでこれを攻略しています。財団のやらかしと聞いて思いついたSCP-1308-JPは、既に読者を面白さで包み込んだ上でヒューマンエラーという仕方のない過程を持っていて納得させているように思います。「たまたま実験したら爆発して壊れた」というのも現実問題としてあるのかもしれませんが、もう少し読者が納得できる説得力がある方が良いと思います(無機物での実験をせざるを得ない状況にどうにかして追い込むのが良いかなと)。
四つ目は、面白さです。記事を書いていくにあたって、そもそもこのSCPは面白いのかが自分でみて分からないです。
上述したのでここでは省略します。
良かった点を挙げておくと、どういうことがやりたいのかというのは伝わってきましたし、無力化から財団による運用という展開で読者を裏切るための仕組みもきちんと考えて構成されているのだなというのが読み取れました。ただ、その工夫が読者の心を動かすにはまだ十分ではないように思います。辛口になってしまったかもしれませんが、執筆のほど無理せず頑張っていただければと思います。