SCP-XXX-JP-1: どうしたのですかね?子██。
研究員██: D-████、何か気づきましたか?
D-████: この祭壇、くすみが途中で不自然に途切れてる。これは一体…
SCP-XXX-JP-1: …。
D-████: (██が汚れのない場所を軽く押す)これは…
D-████: 螺旋階段…下が見えねぇ。
SCP-XXX-JP-1: そこには何もありませんよ。
研究員██: D-████、侵入し、調査してください。
D-████: 司祭はああおっしゃってるが、どうする?(苦悩した表情を見せる)
研究員██: 無視してください。調査が優先です。
D-████が内部に侵入し、螺旋階段を降り始める。内部は直径約3mの円柱状の縦穴になっていて、石段が壁面に刺さっている。壁面には階段に沿って等間隔に凹みがあり、燭台が設置されていて灯が灯っている。しかし、蝋燭が縮んでいる様子はありません。
3時間程階段を降りる。
D-████: にしても長いな…だが、なんというか…変な感じだ。
研究員██: 変な感じ、とは?
D-████: 懐かしさというか…この下にある何かに安心感を憶えるというか…
研究員██: 少し危険な兆候が出ている可能性があります。危険だと感じた場合ただちに帰還してください。
D-████: ああ。
さらに2時間程階段を降りると、最下層と思われる場所にたどり着く。空間は薄暗く、光源は見当たりません。1~2㎝程の深さの水が貼られており、壁は目視されず、巨大な空間が広がっています。降りてきた階段は塔の様に観察されます。
D-████: 着いたみたいだな。それはいいが…なんだここは?地下だってのに地平線が見えるぞ。どういうことだよ。
D-████: 上は…何も見えねぇ。どこから光が差してんだ?
D-████: どうなってんだこれ…(後ろを振り返り、見上げる)…すげぇな、今まで降りてたのはこのバカでかい塔の下り階段だったってわけか。
研究員██: 周囲を探索してください。
D-████がおもむろに歩き出す。次第に、ある方向へと向かいだす。
研究員██: 何か見つけたのですか?
D-████: …あっちだ。何かある。間違いねぇ。
研究員██: 何か、とは?
D-████: 道があるんだよ。さっきまでこんな物なかったのに…
カメラには何も映っていない。
研究員██: カメラには何も映っていませんが。
D-████: あるんだよ。間違いねえ。
研究員██: 少し待ってください。足元にある物体を確認できますか?
D-████: ん?足元…なんだこれ…げっ、死体じゃねぇか!腐ってはないようだが…かなり時間がたってるみたいだな…目玉が刳り抜かれてやがる。
遺体は████東部に存在する財団施設サイト-█の元職員のものと見られます。また、この職員は[削除済み]によって去ったと考えられていました。
D-████: 暗くて気付かなかったが、道沿いに遺体がゴロゴロあるな。
D-████は持っていたライトで前方を照らす。相当な数の死体があるのが照らされる。特筆すべきことに、すべての死体は幅2~3m程の幅の1本の帯に集まっており、D-████の言う「道」が相対的に観測される。
研究員██: 「道」がどこまで続いているかは見えますか?
D-████: 肉眼じゃ見えねぇからな。少なくとも2~3㎞は続いてる。
研究員██: 探索の目標を「道」の先に指定します。探索を続けてください。
D-████: ここまで来たんだ。行けるところまで行ってやるさ。
似た光景が2時間程続く。歩数計によるとおよそ10㎞程進んだと思われる。
D-████: …さっき、この先に何とも言えない懐かしさを感じているって言ったよな。それはさっきよりも強くなってる。
研究員██: 貴方に何かしらのミーム汚染が発生した場合、この通信は途絶されます。帰還できる可能性は極めて低くなるでしょう。
D-████: 俺みたいな使い捨てどうせすぐ切り捨てるだろうな。まあ、下手に希望をチラつかせるくらいならその方が清々する。
さらに暫く歩いた後、D-████の言う道の終端にたどり着く。それまで死体以外に何もなかったのに対し明らかに異質な大理石製と見られる扉が存在し、高さはおよそ3~4m、幅はおよそ2m弱とみられます。
D-████: 着いた、な。
D-████: 妙な樹の彫刻が扉全体に彫られてる。根本に何か書かれてるな。
研究員██:何と書いてありますか?
D-████: 掠れてる上に薄暗いせいで見づらいが…ローマ字でMalkuthって書かれてるな。マルクス、人の名前か?
研究員██: …
研究員██: 扉は開けられますか?
D-████: (扉へ近づき、押す)ダメだ、開かない。鍵がかかっている。
研究員██: 少し待ってください、何故鍵がかかってると分かるのですか?
D-████: なんでかって…
D-████: でも…鍵穴が見当たねぇ。
D-████: よく見ると、何かが刻み込まれてる。時間はかなり経っているようだが…明らかに後から彫られた字だ。
研究員██: なんと掘られているか読めますか?
D-████: 「敵…者…名において…」
D-████: 「敵対者の名において私は門を封ずる。███、御身の玉座へと戻られ給え。」
研究員██: …
SCP-XXX-JP-1: 驚くべき光景にも、瞬き一つしないのですね。
D-████と機材は突如消失し、暗転した通信映像に突如SCP-XXX-JP-1の声が入り込む。
<記録終了>