SCP-1832-JP 「幸せのお守り」
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アイテム番号: SCP-1832-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1832-JPは、サイト-81██内の低危険物収容ロッカーに収容してください。SCP-1832-JPの活性化を伴う実験の申請にはセキュリティクリアランス3以上の職員による監督が必要です。

説明: SCP-1832-JPは招福金運お守りです。外見は██神社で販売されている一般的なお守りと同一ですが物理的損傷を受けず、内部には未知の金属で構成された硬貨が内蔵されています。また所有者とその家族(以下、SCP-1832-JP-1)がSCP-1832-JP を24時間以上所持することにより活性化し、SCP-1832-JP-1の居住する市区町村で「経済的成功」1を収める手法を刷り込まれます。刷り込まれる内容は当該地域の経済状況や需給関係に応じて変化しますが、すべての場合において以下の共通した経過をたどり、最終的にこれはSCP-1832-JP-1の総資産額が対象の居住する市区町村内で上位1%に達するまで継続します。この時点に達するとSCP-1832-JPは不活性化し、SCP-1832-JP-1が死亡するまで再度活性化することはありません。

  1. SCP-1832-JP-1を中心とする可能な限り広範な経済圏を形成する 例:会社の設立、大規模な一括採用など
  2. 経済圏を共有する他者への消費が極端に少なくなる 例: 内部留保の増加を目的とした人件費削減、会社の売却など

19██年3月31日、岐阜県██村で住宅一棟が全焼する火災が発生しました。住宅の99%が焼失したにもかかわらず一切損傷の見られないオブジェクトが発見され、警察に所属するエージェントにより確保、SPC-1832-JPに指定されました。

当該住宅では█年前に██村に移住した今元洋子氏と今元仁志氏及び息子の今元健人氏(以下、SPC-1832-JP-2)が遺体で発見されており、死因は一酸化炭素中毒と判断されました。

火災がオブジェクトの異常性と関係する可能性を考慮し、特別収容プロトコル策定の際には耐熱強化加工を施した収容室への収容を要請されています。火災とSCP-1832-JPの直接的因果関係は否定されました。補遺1832-1及び1832-2を参照してください。

補遺: 1832-JP-1
今元健人氏とその家族が██村に在住していた█カ月の間、SCP-1832-JPの存在を唯一認識していた斎藤一樹氏が特定されました。以下は、斎藤一樹氏に対するインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-1832-JP-1
対象:斎藤一樹
インタビュアー:██博士
〈録音開始〉(19█年4月5日)
██博士: それではインタビューを開始します。早速ですが、SCP-1832-JPについて知っていることを話してください。

斎藤一樹: ああ、健人の家にあったお守りのことですよね。はい、知っています。あれは、「幸せのお守り」なんだそうです。他の人はみんな、あれについては全然知らないと思います。健人はものすごく秘密にしてましたから。けど、僕にだけは一度見せてくれました。高校に上がってからというもの、その後どうなったのか知りませんが……。経済的な理由でもめ事が増えるようになってからあまり話さなくなったので。

██博士: 「経済的な理由」について詳しく伺います。具体的に何があったのですか?

斎藤一樹: 最初はみんな幸せだったんです。うちの家庭は代々貧しかったんですけど、健人たちが来てから変わったんです。健人の親父さんが経営する会社のおかげで、村中の人が十分なお金をもらえて健人の家族はみんなに慕われてました。僕もバイトと勉強を掛け持ちする必要がなくなって、お小遣いまでもらえるようになりました。でも、あんなことがあってから健人はクラスでいじめられるようになりましたね。

██博士: なるほど、今元仁志氏を中心に経済的豊かさを享受していたのですね。では、「あんなこと」とはどういったことですか?記録によると、あなたもいじめに加担していたようですが。

斎藤一樹: あいつのお父さんが突然給料を渋り始めたらしくて、結構生活が厳しくなったんです。そのときから、みんなの恨みはすごくて……とにかく僕たちだって大変な目にあったんですよ。もしかして、僕らは罪に問われるんですか?

██博士: 私からはお答えできかねますが、みなさんの処遇は追って連絡されるでしょう。以上でインタビューを終了します。
〈録音終了〉(19█年4月5日)

補遺: 1832-JP-2
当初、駐在警察官により火災の原因は「火の不始末」として報告され、██村の住民による関与は否定されていました。しかし、火災がオブジェクトの異常性と関係する可能性を考慮して財団による調査が実施された際に、人為的な放火が疑われたため駐在警察官による報告は無効化されました。以下は、██村自治会会長の斎藤吉見氏の自室にて回収された、19██年1月16日から19██年3月31日にかけて執筆された断続的な日誌です。

〈19██年1月16日〉
最近、新しく工場ができた。よそ者は好きになれないが、どうも村中の人に労働者の募集をかけているようだ。給料もかなりいいならしく私も転職しようと思う。ひと昔は栄えていた██村も、今や後継者がいないのが現状だ。これをきっかけに町おこしができれば、もう一度活気が戻るかもしれない。

〈19██年7月10日〉
初めてのボーナスが出た。勤務一年目にしては十分な額で正直かなり満足している。村のみんなも喜んでいるようで、お隣の██さんは上京した娘に車を買い与えたらしい。他にも、村のために寄付をしてくれた人もいた。これほど村に活気があるのを見たのは久しぶりだ。率直にうれしく思う。

〈19██年8月25日〉
中学から付き合いのある██がクビになった。工場であれほど大きな事故を起こしたのだから仕方ないだろう。██自身も病院送りになって気の毒だが、今度見舞金を持っていこうと思う。

〈19██年12月10日〉
おかしい。会社の売上は順調に伸びているらしいが、給料は一向に増えないしボーナスも出なかった。しかも、些細な理由で色んな人が解雇された。奴はしこたま金を貯め込んでいるに違いない。

〈19██年1月25日〉
今日、私はクビになった。いや、村中の人たちの仕事先がなくなったと言うほうが正確かもしれない。何故なんだ?私たちは上手くやっていたはずだ。些細なミスや事故はあったが、それにしても工場の閉鎖はやりすぎじゃないのか?会社は売り払われたらしい。今元さんたちはいいかもしれないが、私たちは働き口を失った。これからどうしていけばいいのだろうか。
やはりよそ者はよそ者、全部あいつらのせいだ。許さない。

月初めの自治会で今元家を村八分にすることにした。駐在さんには見なかったことにしてもらう。

〈19██年2月6日〉
今元家を観察していたら、何かを拝んでいるのを見た。のんきで無神経な奴らめ。あいつらのせいで、私たちがどれだけ困っているのか知らないのか?今日の自治会で奴らの処遇が決まった。乾燥した冬はよく燃えるだろう。

〈19██年3月31日〉
みんなで、かつての村を取り戻す。

補遺: 1832-JP-3
現在、駐在警察官を含む住民██名は、現住建造物等放火罪、殺人罪及びそれに伴う証拠隠滅等罪に対する容疑で通常の法的手続きに基づき勾留されています。



ステータス未定義の下書きリスト



批評中下書きリスト



批評中断状態の下書きリスト



批評が終了した下書きリスト

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