アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPの全個体は、サイト-81██の専用の収容室に保管されます。新たなSCP-XXX-JP個体が届けられた際も同様に保管してください。レベル3以上の職員がSCP-XXX-JP個体群と会話することはなるべく避けるようにしてください。嗜好品の供与は外部との連絡が取れるもの以外は許可されています。
説明: SCP-XXX-JPは20██年から不定期に財団、または財団職員宛に届けられる人型フィギュア群です。サイズ、特徴共に[検閲済]社製の「██████」シリーズに酷似しています。材質は大半の個体がポリレジン樹脂製と思われますが、サンプルの採取の試みは今のところすべて失敗に終わっています。SCP-XXX-JPのモチーフはほぼ全てが現在財団で収容されているSCPを擬人化、あるいはデフォルメしたものです。現在までに財団が所有するSCP-XXX-JPの個体数は████体です。モチーフとなったSCiPの自我のあるなしに関わらず、SCP-XXX-JPの全個体は知性を持ち、自立的な行動、及びこちらと会話することが可能です。また、SCP-XXX-JPの各個体は自身のモチーフとなったSCiPの特性を把握しており、一部個体は現在財団の把握していない情報も持ち合わせています。またSCP-XXX-JPの中にはモチーフとなったSCiPに関連した異常性が存在する個体がありますが他の物体に影響を及ぼすものを備えた個体は現在確認されていません。SCP-XXX-JPの個体間には兄弟姉妹のそれに近い上下関係が存在し、早期に届けられた個体の方がより上位であるようです。下記にSCP-XXX-JPの個体の一部を記します。
SCP-XXX-JP‐1:SCP‐131 ‐Aがモチーフ。バーントオレンジのパーカーを身に着けた少年のようなデザインをしている。フード部分にはやや垂れ下がった突起がついている。SCP-XXX-JP‐1からSCP-XXX-JP‐4は財団に収容された最初期のSCP-XXX-JPの個体群である。
SCP-XXX-JP‐3:SCP-529がモチーフ。頭部に猫の耳を持った少女のようなデザインである。モチーフと同様下半身が存在していないものの、まるで下半身が存在するかのように振る舞う。断面は緩やかに曲がっており、黒く塗られている。ただ、SCP-XXX-JP‐3は断面を見られることに激しい羞恥心を覚えるため、抵抗を行うことがある。
SCP-XXX-JP‐4:SCP-999がモチーフ。ツインテールの少女の姿。この個体はモチーフとほぼ同様の素材を用いて作成されている。モチーフと同様人懐こい性格をしており、他のSCP-XXX-JP個体や近くの人間の指を積極的に包み込もうとする。包み込まれている間、やや温かくくすぐったい感覚がある。他のSCP-XXX-JP個体の場合はモチーフと同様やめてというまで包み込み続けるが、人間との接触の場合は一分ほどで離れていく。
SCP-XXX-JP‐5:SCP‐423がモチーフ。口から上をページを開いた状態の書籍で完全に覆い、あごひげを生やした男性のデザイン。書籍の表紙には「Fred」と書かれているのが確認できる。他の個体よりも精神年齢が高く、モチーフであるSCP‐423が比較的財団に協力的なためかインタビューなどは大抵彼が引き受ける。SCP-XXX-JP個体群内のまとめ役を担っており、基本的には彼がSCP-XXX-JP個体間の問題の解決を行っているようだ。
SCP-XXX-JP‐7:SCP‐094‐JPがモチーフ。外見、精神年齢ともに成人男性のものと思われる。髪と瞳、シャツの部位から魚群の泳ぐ様子が確認できる。内部に明らかに異常な広さの水に満たされた空間があることが非破壊検査より判明している。
SCP-XXX-JP‐8:SCP‐098‐JPがモチーフ。SCP-XXX-JP‐7同様見た目、精神年齢ともに成人男性のものと思われる。頭部には砦の最上部を模した王冠を被っている。付属品としてSCP-098-JP-1a~fがモチーフと思われる二頭身のフィギュアがついており、これらはSCP-XXX-JP‐8aと分類されている。
SCP-XXX-JP‐10:SCP-496-JPがモチーフ。この個体のみ自律行動及び会話を行わない。頭部にスピーカーが内蔵されており、頭部を押し込むことでSCP-496-JPの声による同個体の報告書の読み上げが行われる。電源の存在は確認されておらず、また音声解析によって音声に編集の形跡は確認されなかった。
現在までSCP-496-JPの収容違反は確認されていない。
SCP-XXX-JP‐16:SCP‐1103がモチーフ。聴診器を掛けた白衣の青年のようなデザインだが手足や首、更には上半身と下半身が繋がっておらず、完全にバラバラの状態である。それにも関わらず、この個体は他の個体と同様に自立や行動が可能のように見える。この個体に限らず、現在までに確認されている「ワンダーテインメント博士」が作成したと思われるSCPがモチーフの個体すべてが15歳までの子供との対面を希望している。
SCP-XXX-JP‐0:SCP-130がモチーフと思われる。郵便配達員のデザイン。SCP-XXX-JP個体群の中で最初に財団に存在を確認された。この個体は瞬間移動と思われる能力を有しており、当個体がSCP-XXX-JPを届けている所が確認されている。現在存在を確認されているSCP-XXX-JP個体群の中で唯一この個体のみ収容されていない。
対象: SCP-XXX-JP‐5
インタビュアー:█████博士
付記: このインタビューはSCP-XXX-JP‐5の要望により収容室内で行われた。
<録音開始, [20██/██/██]>
█████博士:ではこれよりインタビューを開始します。
SCP-XXX-JP‐5: ああ、よろしく。
█████博士:SCP-XXX-JP‐5、貴方達は一体だれが作り出したのですか?
SCP-XXX-JP‐5: 誰、と言われてもね・・・生憎と彼の本名は聞いたことがなくてね。痩せて眼鏡を掛けた若い男性、という程度にしか彼を知らない。力になれなくて済まないとは思う。
█████博士:目的に関しては?
SCP-XXX-JP‐5: 財団職員に癒しを与える事、らしい。彼は君たちに肩の力を抜いてほしいそうだ。
█████博士:他に何か聞き及んでいることはないですか?
SCP-XXX-JP‐5:残念だけど、これ位しか思いつかないな。ごめんよ。
█████博士:では最後に、貴方はインタビューを収容室内、つまりはここで行うよう懇願しましたが、それは何故ですか?
SCP-XXX-JP‐5:ああ、脳味噌がどこにあるか見えないのに、一人で勝手に考えることができるものは信用しちゃいけない、そういう話さ。ウィーズリー氏も言っていただろう?
<録音終了>
補遺: SCP-XXX-JP‐1~4個体と共に、下記の文章が書かれた紙片がSCP-XXX-JP‐0により届けられました。以下がその内容です。
あなた方の管理している不可思議な物品を擬人化して可愛くデフォルメ!
姿や行動を見て癒されるもよし、解説を聞いて復習するもよし。
小さな"特別研究員"達を、あなた方に。
※注意!※
・彼らを破壊しようとしないでください。私共にも予想のつかない危険な事態が発生する場合があります。その場合、私共は一切の責任を負いません。
・彼らを引き離さず、なるべく一緒にいさせてあげてください。
有限会社だぁど
2:翼竜の”プテリー”
6:息身仏
9:ピエロのボブル
10:ワラヒワタノシヒ
11:ホームビデオの親戚
12:アンチマヨネーゼ!
13:手描きのキャシー
14:翼人
15:あなたはあなたの食べたもの
18: 博士のわくわく大ぼうけん毛布
二日酔いの頭痛で目を覚ます。
隣には割かし造作の良い女が素っ裸で眠っていて、辺りには空いた酒瓶が転がっている。
瓶にうっすら残った酒の匂いと、部屋に漂うイカ臭い空気が混ざってオレの腹から情けない音を鳴らす。
イカ臭さのもとに心当たりが無ければ朝飯を食いに行く所なのだが、昨日の晩のことを思い出してしまったので飯の前に軽くシケこむ事にした。
思い切りブチ込んでやったら女はパッチリ目を覚ましてヒィヒィ言い出した。
もっと締めろと怒鳴ってやったらどう聞こえてんのか「ワタシも幸せ」とかほざいてやがった。元は滅茶苦茶頭が良かったんだろうに今じゃ只のビッチにしか見えない。
何時だってそうだ。どんなに凄い才能の持ち主でもオレと勝負したらド下手糞な接待プレイのように幼稚な結果しか出せなくなってそのまんま戻らない。
嫌気がさして自殺しようとベランダから飛び降りたら何人もオレの下に集まってきてクッション代わりになりやがった。
嫌われようと適当なヤツをいじめてみたらいじめられてるヤツの方がオレをかばう始末。
中学を卒業する頃には、もうこのイカレた力に逆らうのを諦めた。
そうしてオレの周りにはオレの一挙手一投足にうっとりするバグったモブと、オレを殺せと野次るまともな卑屈共の二種類の人間しか居なくなった。
此処に連れてこられた時、オレと同じかそれ以上に変チキなものがあると聞いた時は「ひょっとしたら」とも思ったが、どれも全部ぶっ壊れて使い物にならなくなった。挙句「こいつらはヤバイ」と聞いていた奴らには悉くフラレる始末。
最初はカッチリしていた科学者様方の脳味噌がパーになってしまった時にはオレは完全に諦め切っていた。
一発キメた後軽食を取り、サイトの外に出たいという旨を伝えると車のキーと職員用のパスを渡されて「気を付けて帰ってきてね」と言われてしまった。
本来だったらオレは外出どころか監禁されておくべき存在だ。少なくともこの財団のルールの上ではオレの扱いはそういうものの筈だ。
なのに通路ですれ違う職員は皆揃って「行ってらっしゃい」と見送る始末。
ただまぁ別に不満がある訳じゃないのでそのままふらりと外に出た。
行き先は特に決めていなかったが、あまり人の多い所には行きたくなかった。このイカレた力のせいなのかは知らないが一々店に入る度に絡まれるのは正直勘弁して欲しいものだ。
色々考えた結果、気分転換さえ出来ればいいかと財団の別のサイトを見に行くことにした。
備え付けのカーナビで最寄りのサイトを探し、道順検索を掛けてみたところ思った以上に近くに一ヶ所あった。
これなら車で20分ほどだろうと、早速そちらへ車を向かわせた。
本来厳重だったろう検査を殆ど顔パスで通り抜けて適当に内部をうろつく。
本当だったら見咎められるような姿は、しかし誰にも注意されない。
全く能力さまさまだ。ついでにオレのスペックも上げてくれたら言う事無しなんだが。
そんな止め処ないことを思っていると、視界にやたら厳重そうな扉が見えた。
プレートにはオレについてるヤツと同じような個体識別番号が振られており、その下にはパスワードを打ち込んでパスカードをかざすタイプの電子錠があった
思い浮かんだ数字を適当に打ち込んで女から借りたパスをかざせば液晶にはUNROCKの文字。
そして俺はその扉を開け放った。
中には大体俺とおんなじくらいの背丈のヤツが一人いた。
パッと見特に何の変哲もなさそうだった。
ただオレの方を向くとき、というか動き全部がどこかぎこちない感じがした。
「どうかしましたか?いつもの方ではないようですが………」
この口ぶりからするとどうやらオレをココの科学者と勘違いしているらしい。
どうでもいいがコイツ声もど何かぎこちない。アンドロイドかなんかだろうか。
「ちげーよ。SCPナンチャラとか言うヤツ。あんたもそうなんだろ?」
「それなら戻った方が良いんじゃ………」
声も動きもなんかカタいが頭の中まで固かったか。
「良いんだよ。ダレも咎めねぇってことは問題ねぇってこったろ?」
「………ひょっとして貴方は、私と『同じ』ですか?」
その質問の意味を理解するのに若干時間がかかった。
しかし理解できた時、オレの顔には恐らく笑顔がそりゃもうベッタリ張りついていたことだろう。
「まさか、ひょっとしてあんたオレのご同類様か!?マジかよ!すげえ偶然だな!?」
そういってソイツの背中をバシバシ叩いてしまったオレは悪くない。
正直オレみたいな『力』を持った奴とは何人か会ってきたが、大体皆様目が会った時点でオレを殺そうとして来やがるもんだからこんな風に話をしたことが無かったのだ。
その事をソイツに話したら、「随分大変だったのですね」と若干引きつった顔をされた。
その顔にふと思いついてこんなことを聞いてみた。
「そうだ、アンタオレについてどう思う?」
オレがこの質問をした時には大体二択の答えしか返ってこない。
「素晴らしい」もしくは「死ぬべき糞野郎」か。
だけどコイツの答えはこうだった。
「そうですね、やや不躾で遠慮が無いですが人懐こい方、でしょうか。ですが余りみだりに能力は使わない方が良いかと。確かに貴方はお若いので窮屈な小部屋は退屈でしょうがそれでも………どうしました?」
「そう言やぁアンタは何でこんな所に閉じ込められたんだ?オレと同じって事ぁその気になりゃあいくらでも遊びに出れるだろ?」
何でこんな質問