クレジット
タイトル: SCP-XXXX-JP - ⻞べおわったらお氵 をのんで
著者: ©uni34
作成年: 2021
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団はSCP-XXXX-JPを回収するために██製麺所を買収しました。財団が派遣した職員により製造ラインの監視や検査を行って、発見次第、SCP-XXXX-JPは即時回収されます。回収後はサイト-81██内の冷蔵庫に収容します。SCP-XXXX-JPを█袋以上収容しているときは超過分を処分してください。実験を行う場合には、その最中に観察する職員を█人未満とし、被験者への事前事後の聴取を必ず行ってください。実験中の観察は監視カメラでのみ行います。
回収時、通常のパッケージと当該オブジェクトとを見分ける際は以下2点を参考にしてください。
- 表面ロゴの「雲 吞ワンタンの皮」と記載されている部分が、SCP-XXXX-JPの場合は「餛 飩ワンタンの皮」に変更されています。
- 裏面の「皮の表面に黒色の斑点がみられることがありますが、小麦の皮部分ですので、品質上問題ありません。」と記載されている部分が、SCP-XXXX-JPの場合は「(同一でない、たくさん食べてほしい、大人数で食べてほしい旨の文章)」に変更されています。
説明: SCP-XXXX-JPは██製麺所が販売する商品とほぼ同一のパッケージをしたワンタンの皮です。通常のワンタン皮同様に調理が可能です。現状、製造者や混入の過程が判明していないため調査が続けられています。
SCP-XXXX-JPを調理された状態で摂食した際に、その摂食者がSCP-XXXX-JPあるいは周囲の何らかの事物の量に対して「多い」と感じている場合、及び摂食後に同様に感じた場合、摂食者は「水を飲みたい」という欲求を覚えます。この時摂食者が欲する水は水道水・天然水などの区別はないこと、茶やアルコール類またそのほかの水分に対しては欲求を抱かないことに留意してください。そののちに水を摂取することで異常性が発露すると考えられています。(各実験ログ参照)
異常性は現在発見されているだけで3つ存在しており、下記の通りです。
- 共にSCP-XXXX-JPを摂食していた人物を正常に判別できなくなる。
- ギョウザとワンタンが区別できなくなる。
- 共にSCP-XXXX-JPを摂食していた人物同士が[編集済み]となる。
以下異常性を上のナンバリングに従い、SCP-XXXX-JP‐1、SCP-XXXX-JP‐2、SCP-XXXX-JP‐3とします。なおSCP-XXXX-JPに見える異常性の規則から、これら以外の異常性が発露する可能性もあります(補遺参照)。その際は発生順にナンバリングを行ってください。
各異常性はランダムな確率で起こっていますが、同一の部屋や空間を共有して摂食している場合は同一の異常性を発露することが分かっています。またSCP-XXXX-JP-1、SCP-XXXX-JP-2は記憶処理で取り除けません。
各実験ログはそれぞれの異常性が初めて確認されたものを示しています。
なお、以下の実験で使用されたSCP-XXXX-JPはすべて調理済みです。
実験ログXXXX-█(20██/██/██)
被験者: D-35754、D-58462、D-65825
場所: サイト-81██内のガラス窓付き実験施設
実験方法: 3名を同卓につかせる。卓上には、各々の前にSCP-XXXX-JPの入った皿と箸、水の入ったコップを用意した。なおD-65825の皿のみSCP-XXXX-JPを██個増やした。
結果: D-35754はSCP-XXXX-JP摂食後すぐに水を摂取した。D-65825は自分の皿だけ量が多いことに気づいた旨の発言をすると、途端に水を摂取した。各人上記の行動後、自分以外の2名を混同している様子が確認された。
補足: 事前インタビューで「3人での食事は大人数だと思うか。」と質問。D-65825、D-58462は少ない、 D-35754は多いと答えた。またこの質問と回答を被験者同士明かさないよう指示した。
事後インタビューでD-65825は「自分の皿だけワンタンが多いって気づいた瞬間にのどが渇いたんだ。」と発言した。SCP-XXXX-JP-1の影響範囲は、共に被験者となった自分以外の人物のみであることが確認された。Aクラス記憶処理を施すと、実験の記憶は抹消されたものの、SCP-XXXX-JP-1は残存した。
実験ログXXXX-██(20██/██/██)
被験者: D-18257、D-48241
場所: サイト-81██内のガラス窓つき実験施設
実験方法: 2名を同卓につかせる。卓上には各々の前に調理済みのSCP-XXXX-JPが5個入った丼と箸、水の入ったコップを用意した。
結果: 接触開始から約5分後にD-18257が窓ガラス越しに観察中の職員らを見ると水を摂取し、D-48241に「窓の外、見て。そんなに大勢で見なくてもいいのに。」と発言した。それを聞いたD-48241は頷き、水を摂取したのちしばらくして、食べているものがギョウザであると言い出した。D-18257は少し不思議な顔を見せたが、否定することはなかった。
補足: 事前インタビューで「3人での食事は大人数だと思うか。」と質問。2名とも少ないと回答した。事後インタビューで2名とも、SCP-XXXX-JPの個数が少なかったこと、外からの視線が多くて気になったことを回答した。D-18257は、ワンタンとギョウザの画像を見せられると困惑した様子で「ああ!こいつら、毎回わかんなくなるの。どっちかがギョウザで、どっちかがワンタンでしょ?でもどっちがどっちだかわからないわ。」と発言した。2名共にAクラス記憶処理を施したが、SCP-XXXX-JP-2は残存した。
これ以降、実験は監視カメラのみの観察とする。
実験ログXXXX-██(20██/██/██)
被験者: Dクラス職員20名
場所: サイト-81██の屋外公園型施設
実験方法: 10名ずつに分け(グループAとグループBと呼称)、それぞれレジャーシートを目視できる程度離して着座させる。被験者にはレジャーシートから出ないこと、他グループに話しかけないことを指示した。
結果: グループAは(中略)全員にSCP-XXXX-JP-1が発露した。グループBは各人SCP-XXXX-JPを摂食後、水を摂取した。しかし各々が摂取したタイミングで異常性の発露は確認されなかった。9名が異常性発露の条件を満たしている状態になったあと、最後の1名が条件を満たすとSCP-XXXX-JP-3が発露した。不明な力により10名がレジャーシート中央へ引き寄せられ、身体が[編集済み]した。そののち、そこに暗黒色の液体が残された。
補足: 当実験には「10人を超える食事は大人数だと思うか。」という質問に対して肯定したDクラス職員のみで、両グループともに別の実験が並行していることを了解していない状態で行った。グループBに不明な力が発生している間、グループAはその力の影響下になかったことが確認されています。
当該オブジェクトは財団職員の██氏が自宅で食事した際にその息子と娘にSCP-XXXX-JP‐1が発露し、██氏が報告したことにより回収・収容が開始されました。以下は該当職員へのインタビューログです。
日付 :20██/██/██
質問者 :███研究員
回答者 :██氏
<録音開始>
███研究員: それではインタビューを開始します。SCP-XXXX-JPの仔細を教えてください。
██氏: ああ、わかった。4日前のことだ、久しぶりにウチに帰って晩飯を食ったんだ。家内の作ったワンタンスープだった。まあ、正確に言えば米とレバニラ炒め、サラダにビールも一緒だった。
███研究員: こちらの実験でワンタン以外に異常性がないことは確認しています。続けてください。
██氏: さすが、仕事が早いな。あの日は珍しく家族4人での食事だった。息子は何も言ってなかったが、娘は久しぶりに私が帰ってきて、みんなでご飯食べられるって喜んでたよ。[目頭を押さえ、数秒間の沈黙]
███研究員: 大丈夫ですか。お辛いと思うのでゆっくりで構いません。
██氏: すまない、続けるよ。普通に食事を始めたんだが、娘はワンタンを食べたあとすぐに水が飲みたいって言い出したんだ。お茶も置いてあったし、いつもなら食事の時もジュースがいいって言うのに。息子は何度か家内からお代わりをもらって、食べ終わったころかな、同じことを言いだしたんだ。その時は別に不思議には思わなかったよ。
███研究員: ██さんと奥様に変わった様子はありましたか。
██氏: [天井を仰ぐ]いや特に何もなかった。私も家内もビールを飲んでいて、水が欲しくなるなんてことはなかった。それ以外も何も。
███研究員: わかりました。そのあとについて教えてください。
██氏: ああ。異変に気付いたのは食後だった。娘が私のほうを見て「ママ、一緒にお風呂はいろ?」って言ってきたんだ。一瞬戸惑ったが、「俺はママじゃないぞ、パパだぞぉ忘れちゃったか?」っておどけて返したよ。そしたら……間違えちゃったって。[口元を押さえ俯く]そのあと娘と風呂に入っている間にも、何度も私のことをママとかお兄ちゃんとか呼ぶんだ。
███研究員: それ以外に何か呼ばれましたか。
██氏: もちろんパパとも呼んでたよ。でもそれ以外はなかった。
███研究員: そうですか。ご長男についても聞かせてください。
██氏: 風呂からあがって、何かおかしいと思って息子にも話しかけた。そしたら予想通り、私のことを母さんとか██(██氏の娘の名前)とか、父さんとも呼んできた。ああ、すまん。つい名前を出しちまった、報告書が黒塗りまみれになるからと思って避けてたんだが……。
██氏: 一向に構いません。どうぞ続けてください。
███研究員: すまないな。私は怖くなって急いで家内にも声をかけたんだ。でも……幸いにも家内は普通だった。私のことをちゃんと夫として認識してたし、息子が変に呼び間違えることも気づいてたんだ。仕事柄嫌な予感はしてたんだが、それで次の日、娘と息子に話しかけたんだが、やっぱり呼び間違えてきた。それでその日に報告したんだ……。
███研究員: なるほど、わかりました。今回のインタビューは以上です、今一度休んでください。またお願いします。
██氏: なぁ、うちの██(██氏の娘の名前)と█(██氏の息子の名前)は助かるよなぁ?家内も辛そうなんだよ……。
███研究員: 現状では何とも言えません。芳しい結果が得られた際には██さんに報告できるよう努めます。お待ちください。
<録音終了>
補遺1: 確認されている異常性はいずれも「ワンタン」の由来や謂れによると考えられています。確認されていないものとして主に以下が挙げられます。
- 「餛コン」と「飩トン」はもともと「餅ヘイ・もち」を表す。
- 「餛飩ワンタン」の名は「混沌」としたその形から来た。
- 匈奴の渾(hun)と屯(tun)を嫌って、中国語で音が同一な餛飩(huntun)にして食べることで憂さ晴らしとしていた。
これらからどのような異常性が導かれるか想定することは困難ですが、由来などはこれらに限らないことも含め、留意して実験を行うようにしてください。
補遺2: 現在██氏には当報告書へのアクセスは認可されておらず、当該オブジェクトについて「SCP-XXXX-JP-1の詳細な内容」「SCP-XXXX-JP-1は記憶処理で取り除けないこと」のみが伝えられています。SCP-XXXX-JP-2並びにSCP-XXXX-JP-3、それ以外の異常性が起きた際も██氏には秘匿してください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
漢字で遊んでみたいオブジェクトです。
「餛飩」ー食べる(食へんが取れる)→「昆・屯」(どちらも「多い」の意味を持つ漢字)ー水を飲む(さんずいが付く)→「混沌」
といった具合のものです。似た若しくは同じ発想のオブジェクトがあったらお教えください。
誤字・脱字・誤記など細かいものでも、何かありましたらお教えください。
つまらなかった・面白かったなどの感想、ここは変えたほうがいいなどのアドバイスがあれば、ぜひよろしくお願いいたします。
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拝読しました。現時点ではDVです。
改稿頑張ってください。
ご返信遅くなってしまい申し訳ありません。
読んでいただいたうえに批評まで残していただき、ありがとうございます。(まさか初批評コメが著者ページ持ちの方になろうとは思いませんでした。)
私が悩みつつ、うまく言語化できなかった部分の文章に対して修正案を頂けたので、作業が捗りそうです。
すぐにとはいきそうにないですが、何か興味を引けるような面白いアイデアを見つけ、改稿した際にはどうぞよろしくお願いいたします。
(重複していたため削除しました。)