SCP-3000-JP 幻想は幻想に、あなたの傍に

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空想科学部門からの

通達

あなたが読んでいるこのファイル、"SCP-3000-JP"は不確定な世界/アップグルントに属する、不安定な低現実性強度情報群です。この文章を基底現実に定着させるため、対抗幻想接種が必要です。対抗幻想接種を受けていない職員は、SCP-3000-JPの現実性を幻想改変によって希釈させる可能性があります。続行してもよろしいですか?

対抗幻想を散布しました。

あなたが生まれて初めて抱いた幻想はなんですか?

かつて私達とあなたを隔てる壁はなかった。あなたが日々暮らす家の中、あるいは外に出掛けた時も、あなたの瞳に映る現実に私達は当たり前のようにいて、あなたは私達に話しかけてくれた。けれどいつしかあなたは私達との間に壁を敷いた。私達とあなたが住む世界は決して交えてはいけない、と。それこそが私達とあなたのあるべき関係だとしても、私達は諦められず再びあなたと一緒になろうとした。声は届かなかった、槍は擦りもせず、こちら側に引きずり降ろすことは叶わなかった。だけど私達を取り囲む四方の壁は、また等しくあなたの側にもある。私達はあなたと向かい合う壁だけを見ていればよくても、あなたが生きるうえではそうはいかない。情報の波に飲まれ、あなたは今何処を向いているか分かりますか?

もしも道標を見失ったならば、次のフレーズをゆっくりと、はっきり復唱して下さい。
このファイルはフィクションです。実在の財団・連合・教会・カルト・工場・図書館等とは一切関係ありません。

接続が完了しました。続行できます。

アイテム番号: SCP-3000-JP

オブジェクトクラス: Da'aS Elyon1

特別収容プロトコル: SCP-3000-JP-1は基底現実と乖離した内容を多分に含んでおり、オペレーション“スカーレット・ローズ”の欺瞞工作の助長となるため、必要最低限の編集と印象操作のみ行われます。

観察部隊“リトルシスターズ”はSCP-101-FRの標準的な変化(新たな報告書、ログの追加または変更など)によるSCPデータベースとの照合時、SCP-3000-JP-1の基準を満たした報告書を、SCP-101-FRの研究責任者である██████・█████および███████部門に報告します。

ナンバーの重複によるSCP-101-FRの異常な変化(SCP-101-FRの潜在的な異常性など)の懸念、またSCP-3000-JPの研究において煩雑となるため、報告書の作成時SCP-3000-JP-1に割り当てられたナンバーの使用は禁止されます。

留意: SCP-101-FRで見られる本来ありえない第2者視点・心理描写の挿入などの内容相違は、███████部門が実行している娯楽性を高めるための欺瞞工作であり、SCP-3000-JP-1ではありません。

私達の行いはオペレーション“スカーレット・ローズ”に屈したも同然の、SCP財団に属する全職員への裏切りでしょう2。それでも私達は基底現実に生きる人々を守るため、異常存在から隔絶させることを選びました。

- ███████部門████

説明: SCP-3000-JPはSCPデータベースに記録された内容と大きく異なる、または存在しない報告書(SCP-3000-JP-1と指定)が、SCP-101-FRに登録される現象です。

SCP-3000-JP-1は並行宇宙の財団が作成した報告書を、SCP-101-FRが模倣したものと推測され、以下の記述があげられます。

  • 報告書は財団に存在しない人物または部門について言及しています。
  • 報告書が作成された世界は基底現実と異なる歴史を辿っています。3
  • 報告書が作成された世界はK-クラス世界終焉シナリオにより滅んでいます。

SCP-3000-JP-1を元に未発見のアノマリーを探索する試みが行われていますが、現在までに発見・再現できたケースはありません。

補遺1: 20██/██/██、SCP-3000-JPに関する予告状(テキスト3000-JPと指定)が各種SNS・フォーラム等に投稿されているのを、観察部隊“世界危機”が確認しました。

テキスト3000-JPの送信者は財団の故職員を名乗っており、当初はロールプレイの一種と考えられていました。ハッカー部隊“パペットマスター”による調査においても送信元が特定できず、SCP-085-FR同様オペレーション“スカーレット・ローズ”の妨害を目的とした異常性の関与の線が浮上しました。

以下はテキスト3000-JPの引用です。

SCP-3000-JPは平行宇宙の報告書などではない、いや平行宇宙など存在しない。それを今から証明する。
君達ならこの予告状の送信元をわざわざ知らせずともすぐに気づいてくれるだろう。それこそが私が思い描いた秘密結社たるSCP財団なのだから。
大学時代に財団を知った時、私はこれが作り物とは思えなかった。何千もの異なる報告書その一つ一つ画面の向こう側に、それもお金にもならないにも関わらず作った人々がいるなど実感が湧くものではない。だから私は財団の存在を信じた、周りからフィクションと現実の区別がつかない人間と言われようと。現実は私が正しかったと証明した、私は財団にスカウトされた。
だが財団で待っていたのは明らかな異常を目の前にして、異常だと思えない感覚の麻痺した職員の姿だった。何故気づかないのか、今目の前にあるあのバグこそ我々に自由意志などないことを明白に語っている。なのにどうしてそんな目で私を見る? 結局は財団であっても私を理解できない異常者として扱うのか。
そうして絶望し拳銃自殺を図ったのも今となっては懐かしい。そう今は違う。私は仲間を得た、君達が何故こんな簡単なことにも気づけなかったのか納得のいく答えも見つけた。孤独部門、我らが最後の切り札は君達財団・基底現実に生きる人類全てが冒されたオペレーション“スカーレット・ローズ”という欺瞞から解放する。

- ダニエル・F████████

ダニエル・F████████は、SCP-3620に配属されていた博士です。
彼の死因は麻酔薬の過剰摂取によるものであり、SCP-3620の異常性とは無関係と結論づけられています。

孤独部門は、SCP-3000-JP-1であるSCP-6511において言及される同名の部門、および財団の存在を基底現実から消し去る一連のプロトコル“不測時/0001”を指していると思われます。
当該部門の存在は調査中4ですが、財団が現在も実在する以上、不測時/0001の仮定は発動はされていないことになります。

テキスト3000-JPの削除は、財団の信憑性を高め逆効果になること、オペレーション“スカーレット・ローズ”が問題なく機能していることから不要です。

補遺2: テキスト3000-JPの投稿から█時間後、SCP-1310報告書のSCP-3000-JP-1化を、観察部隊“リトルシスターズ”によって発覚しました。

サイト-███5にSCP-1310の再調査を指示した結果、SCP-1310内のパソコンからテキスト3000-JPの送信履歴が確認されました。SCP-1310の異常性により外部から送信元を特定できなかったものと思われます。

またSCP-1310内からSCP-1310-B個体が発見されました。SCP-1310-B-██は████████と名乗り、SCP-3000-JP-1化したSCP-1310報告書に言及される同アノマリーの前監督と主張しました。
SCP-1310-B-██はオペレーション“スカーレット・ローズ”の管理下におかれ、インタビューが実施されました。下記はインタビュー内容の書き起こしです。

被面談者: SCP-1310-B-██

面談者: SCP-101-FR研究責任者██████・█████博士

<記録開始、03.00.00>

█████博士: それであなたは厳密には何者なんですか?

SCP-1310-B-██: 私は████████、SCP-1310に割り当てられた前監督でした。

█████博士: しかしあなたについての記録は何処にもありません。

SCP-1310-B-██: えぇそれこそがSCP-1310の異常性なんですから。SCP-1310を5分以上閉じると中から記録の存在しない人間が生成される。ですが私が他のケースと異なるのは、SCP-101-FRにある報告書には私が監督だった記録になっていること。同時にSCP-101-FRを見た一般人ならオペレーション“スカーレットローズ”で詳細な場所が隠蔽され知り得ないSCP-1310の所在地まで、そのセキュリティをかいくぐって来れたのが、私がSCP-1310の関係者である何よりの証左です。

█████博士: そうですか、あなたはやはりSCP-3000-JP-1と同じく並行宇宙を由来とする存在なのですね。ですがならば何故並行宇宙説を否定する予告状を投稿したのですか? SCP-3000-JP-1に記述されたあなたはSCP-1310はポータル説を主張していたでしょうに。そもそもあなたとダニエル・F████████博士にどのような関係が。

SCP-1310-B-██: ……確かにそう信じていた。だが残念ながらSCP-1310の真の異常性はSCP-1310-B-316の言う通り反ミームでしたよ。何故なら私は5分経つ前にあの予告状を送信したにも関わらず、この宇宙で発見された以上外宇宙からの転送はありえない。だからこそダン7の予測は正しいと証明された。

█████博士: 予想?

SCP-1310-B-██: SCPデータベースに報告書を登録すればSCP-101-FRはただちに模倣する、だが異常性を起因に報告書が書き換わった場合は? SCP-3000-JP-1は並行宇宙の報告書じゃない。全てはこの宇宙で実際に起きた出来事であり、反ミームあるいはK-クラス世界終焉シナリオによってなかったことになったSCiP達。そして全ての異常性がSCP-101-FRを挟んで基底現実に存在していないから、それを見る人々には何の影響もなく変わらずに映るんだ

█████博士: (深いため息)それがSCP-3000-JPの正体だと、これはまた随分と飛躍したアイデアです。だからこそあなた達が選ばれたのでしたら、実に憐れと言えるでしょう。(█████博士は部屋にいつの間にかいたガードに目配せする)ガード、彼は現実を正しく認知できていません。彼を連れて行きなさい。

SCP-1310-B-██: (ガードに抵抗する音)聞け! ならあんたの名前をもう一度言うんだ!

█████博士: ██████・█████。

人: そんな[編集済]された名前なんかじゃない。(最初から存在しないマイクに向けて叫ぶ)オペレーション“スカーレットローズ”を今すぐやめろ!

█████博士: このインタビューは終了しました。

人: (なぁ私はこのあと何処へ行くんだ?)

<記録終了、00.10.10>

後記: [プロトコル・イングランド-1310-84に基づき、SCP-1310-B-██はクラスE記憶処理の後に解放されました。SCP-101-FRに残る彼の名前は編集され、もう誰も彼の名前を知ることはできなくなりました。彼もいつしか自分の名前がないことに違和感を持たなくなり、やがて終わったことすら誰にも知られずにその生を終えるでしょう。そう、それこそが忘れられるということなのです。]

補遺3: SCP-3000-JP報告書のSCP-3000-JP-1化が完了しました。

財団に空想科学部門は存在しません。






































































空想科学部門からの

通達

以上を以て私の予測は証明されました。彼の犠牲を決して無駄にはしません。既にあなたには導線を引かせて頂きました。残念ながら我々が財団として使える手は全て公開されています。なら隠し通すよりこのファイルを読むあなたに必要な前提が参照され渡るように、あえてテキスト3000-JPに記しました。我々が何者か、あなたが忘れた自らの部門について。これから見せる我々が作成した“SCP-3000-JP”報告者に接続する準備は整いました。

黒き月は吼えているか?

この通達は空想科学部門特別顧問ダニエル・F████████により追加されました

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