SCP-XXXX-JP - 無幻花火

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SCP-XXXX-JP

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル(改訂版): SCP-XXXX-JPは、サイト-8181の低脅威度物品収容ロッカーに収容されます。新たなSCP-XXXX-JPが発見された場合は即座に回収し、対象の状態に応じて記憶処理、カバーストーリーの流布を行ってください。現在、SCP-XXXX-JPを用いた実験は禁止されています。

説明: SCP-XXXX-JPは、包装紙に「線香花火 幻影」と印字された、1袋あたり32本入りの線香花火です。発見当初は31本回収されましたが、実験によって消費され現在は25本が収容されています。

SCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JPに点火した際にSCP-XXXX-JPに接触している人物 (以下、対象と呼称)に対して発生する幻覚です。SCP-XXXX-JP-1の内容は、"対象が経験した内の幸福を感じた瞬間"であると考えられています。継続時間は平均して1分程度1です。SCP-XXXX-JP-1が発生している間、対象は身体機能が一時的に停止しますが、SCP-XXXX-JP-1内では完全な身体動作を行うことが可能です。

補遺1: 関連文書
以下の文書は、包装紙にSCP-XXXX-JPと共に同封されていた説明書に書かれていた文章の一部抜粋です。

◇線香花火「幻影」について

本製品は花火に点火することで、過去の最も幸せな記憶を幻覚として再現する、特殊な火薬を用いた製品となっております。
線香花火の心安らぐ音と合わせて、懐かしい思い出を是非堪能してください。

注意:本製品の使用後、精神的悪影響及び日常生活に支障をきたした場合にはこちらは一切の責任を負いかねます。節度を持ってお楽しみください。

インタビュー記録-XXXX 2023/8/5
以下はSCP-XXXX-JPの発見者である夏井研究助手へのインタビュー記録です。

対象: 夏井研究助手

インタビュアー: 臼井博士

<録音開始>

臼井博士: それでは、インタビューを開始します。まず、SCP-XXXX-JPを発見した経緯について教えてください。

夏井研究助手: はい。先日、休暇中に趣味である一人旅をしていて、旅行先で観光がてら色々なお店を回っていたのですが、その時に一軒の雑貨屋を見つけたんです。昭和レトロって感じの外観で、入ってみると店内にはレトロチックな駄菓子や雑貨が並べてありました。それで、その中にSCP-XXXX-JPも並べてあって、興味本位で購入しました。丁度夏ですしね。

臼井博士: SCP-XXXX-JPの異常性についてはいつ知りましたか?

夏井研究助手: 一週間ほど前です。旅行から帰宅した次の日にさっそくやってみたら幻覚……SCP-XXXX-JP-1が見えました。おかしいなと思って結局火をつけるのは一回きりで辞めてしまいましたが。

臼井博士: なるほど。それでは次に、SCP-XXXX-JP-1の内容について教えてください。

夏井研究助手: 火をつけると視界が真っ暗になって、次の瞬間には私は海辺に立っていました。周りには高校三年生の時のクラスメイトがいてその中の一人が地面にある筒に火をつけると、大きな音がして空に花火が打ち上がりました。花火が打ち上がって歓声や拍手が上がっていると同時に火薬の匂いと線香花火のパチパチとした音が強く聞こえてきて、気がついたら花火は消えていて元の場所に戻っていました。実際に高校三年生の時にクラスメイトたちと花火をした時の状況とまるっきり同じでした。

臼井博士: なぜSCP-XXXX-JP-1でその光景をみたのか思い当たる節はありますか?

夏井研究助手: そうですね。[数秒の沈黙]私は、SCP-XXXX-JP-1の内容は今までで幸せだと感じた出来事を映し出したものなのではないかと思います。

臼井博士: どうしてそう思うのですか?

夏井研究助手: 私事になってしまうのですが、私は人と関わることが苦手で中学の頃は友達って呼べる人が全然いなくて一人ぼっちだったんです。ほら、ここに来たばかりの頃も全然人と喋れませんでしたし。それで高校生になってどうしようかと思っていたのですが、クラスメイトの子達がとても良くしてくれてみんなと仲間になれたんです。私の学校は田舎の小さな学校で一学年に一クラスしかなかったので三年間ずっと一緒だったのですが、ずっと仲良くしてくれました。高校三年生の時も受験勉強とかでとても大変だったんですけど、高校最後の夏だからかクラスメイトで集まって海岸で手持ち花火とか打ち上げ花火とか色々花火をしたんです。みんなで花火をするのはとても楽しくて幸せでずっとこの時が続けばいいのになって感じたんです。だから、直感的にそうなんじゃないかと思いました。

臼井博士: つまり、SCP-XXXX-JPは今まで経験してきたことの中で幸せだと感じた出来事をSCP-XXXX-JP-1によってもう一度体験させる物品だと考えているということでしょうか?

夏井研究助手: はい。私としてはそう考えています。

臼井博士: なるほど。SCP-XXXX-JP-1を視認してから何か変わったことなどはないでしょうか?

夏井研究助手: そうですね、強いて言うならSCP-XXXX-JP-1で見た記憶が脳に張り付いているというか、常時その記憶が頭の隅に置かれているという感じがします。気のせいかもしれませんが。

臼井博士: ありがとうございます。これでインタビューを終了します。

<録音終了>

補遺2: 2023年8月15日、夏井研究助手が薬剤の過剰摂取によって意識を失っている状態で発見されました。現場にはメモが残されており、その内容からSCP-XXXX-JPとの関連が疑われています。以下は文書の転写です。

あの線香花火は幻覚を見せるだけものなんかじゃない。あれは危険です。これ以上被害を増やさないで。

インタビュー記録-XXXX.2

対象: 夏井研究助手

インタビュアー: 臼井博士

付記: 夏井研究助手は抑うつ状態にあったため精神安定剤を投与した状態でインタビューを行いました。

<録音開始(2023/8/22)>

臼井博士: インタビューを開始します。どうして自殺を試みたのですか?質問には答えられる範囲で構いません。

夏井研究助手: [数秒の沈黙]……消えてしまったんですよ、全部。

臼井博士: 消えてしまった、というのはどういった意味でしょうか?

夏井研究助手: 実験でSCP-XXXX-JP-1を見てから、久しぶりに当時のクラスメイト達に連絡を取ろうとしたんです。そしたら、全員の連絡先が消えていたんです。それだけじゃありません。他の知り合いに尋ねても知らないと言われるし、卒業アルバムを見てもそこには全く知らない人達の写真があるだけで彼らの写真はなかったんです。でも、私は確かにみんなと高校生活を送ったんです!存在しないなんてことは有り得ないんです![椅子から立ち上がる]私は、私は……[嗚咽]

臼井博士: 一旦中断しましょうか?

夏井研究助手: ごめんなさい。少し感情が昂ってしまって。続行してもらって大丈夫です。

臼井博士: それでは質問を再開します。SCP-XXXX-JP-1で見た記憶というのは実在のもので間違いないのですか?

夏井研究助手: はい、間違いないです。彼らの顔も声だって全部はっきりと頭に浮かんできます。今だってあの幻覚で見た光景が映画のシーンみたいに頭に流れて離れないんです。これが単なる幻想だなんて私は到底信じられません。

臼井博士: なるほど。SCP-XXXX-JP-1で見た光景が頭から離れないというのは以前言っていた「常にその記憶が頭の隅に置かれている」ということでしょうか?

夏井研究助手: 前はふとした瞬間に思い浮かぶくらいだったんですけど今はもうずっとって感じです。最近は夢に出てきたり、時々同じような幻覚が見えたりもしています。

臼井博士: ありがとうございます。インタビューは以上で終了となりますが、他に何かありますか?

夏井研究助手: ……こんなこと尋ねても仕方がないと思うのですが良いでしょうか。

臼井博士: はい、何でしょう。

夏井研究助手: 全部、嘘だったのでしょうか。私が見た記憶は結局全部幻想に過ぎなかったのでしょうか。私の楽しかった三年間も、いくつもの幸せな思い出達も。

<録音終了(2023/8/22)>

終了報告書: 調査の結果、夏井研究助手の同級生で「クラスメイトで海岸で集まって花火をした」という記憶、及び実験によって見えたSCP-XXXX-JP-1の記憶を保持している人物は確認されませんでした。インタビューの内容も踏まえ、過去改変が起こっているという可能性が示唆されており現在調査が進められています。

補遺3: 2023年8月29日、職務中に夏井研究助手が突如意識を失い病院へ搬送され、現在も植物状態が続いています。約1時間後に病室内から1枚の写真が出現しました。写真には火薬と思われる匂いが付着していました。

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回収された写真



付与予定タグ: scp jp safe 記憶影響 精神影響 現実改変 幻覚

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