メロウ

このページの批評は終了しました。


評価: 0+x

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe/Euclid

特別収容プロトコル: 2007年11月現在、回収された実験及び研究用のSCP-XXX-JP紙片がサイト-8142の低危険物収容ロッカーに保管されています。実験はセキュリティクリアランス2以上の職員であれば事前の申請を持って許可されますが、詳細な構造研究は特殊セキュリティレベル3指定となります。SCP-XXX-JPの構造解析記録は財団標準薬剤情報取扱規定に基づき、秘匿されています。

現在認識されていない封じ込め前のSCP-XXX-JP使用ユーザーは約███人程度であると推測され、現時点以降に少なくとも30以上のSCP-XXX-JP由来の自殺事案の発生が予測されます。この事実を鑑みた評議会結論として、SCP-XXX-JP自体のSafe指定と共にSCP-XXX-JPに纏わる事象のEuclid指定が為されました。

SCP-XXX-JP使用者の物と見られる自殺事案が発生した場合は、自殺現場の目撃者及び自殺体の発見者を確保し、不自然でない溺死体の発見として記憶処理を行ってください。検死の記録は改竄され、通常の溺死として処理されます。

説明: SCP-XXX-JPは主に日本の関西圏内の民間で、既存の違法な薬物流通ルートにおいて流通していた異常な幻覚剤です。SCP-XXX-JPはユーザーの大部分から「メロウ1」と呼ばれており、使用疑惑のある者も含めれば総████人以上の使用者が想定されます。SCP-XXX-JPの構造解析の結果からは未知の物質は発見されていませんが、構成している分子の一部の軌道は既知の科学法則から逸脱しています。

SCP-XXX-JPの服用は、短期間の自律神経系の異常に関連した諸症状と複視、感覚の鋭敏化、次に10-30時間に渡る多幸感・酩酊・サイケデリックな幻覚等の症状を引き起こします。幻覚症状の大半は通常の幻覚剤に似た非異常な物ですが、全体の6%の被験者は共通する以下の幻覚症状(SCP-XXX-JP-A)を体験します。

  • 水面に現れる文様2
  • 海棲生物の幻覚
  • 断続的な、未知の言語3で"嘆き悲しむ"若い女性の声
  • 四国地方の強い訛りでの大勢の罵声・怒号

SCP-XXX-JP-Aの発現に必要な量は服用者によって個人差がありますが、概して30-100μg程度で十分な量です。また、SCP-XXX-JP-Aを体感した人物は以下の特徴を見せるようになります。

  • 海や海水への親しみ4
  • 過度な愛情表現
  • 双極 I 型障害(bipolar I disorder)
  • 非物理的な手段での意思疎通能力の獲得
  • 意図的な不眠

これらの症状を見せるようになった対象は6カ月から3年の期間を経て、例外無く海岸で自殺を試みます。特筆すべき点として、全ての対象は「地面に手足を付けたまま、海水に顔を付け溺死するまでその姿勢を保つ」という自殺方法を選択します。この自殺は先述したSCP-XXX-JPの効果により大抵の使用者が長期間海に関連する趣味5を積極的に行っている為、直接自殺現場や自殺直後の死体を見分していない人物にとっては不自然には思われません。

クラスB以上の記憶処理はSCP-XXX-JP-Aを体験した対象の後期症状を抑制することが可能ですが、殆どの使用者は2年以内に通常の要因でSCP-XXX-JP-Aのフラッシュバック6を体験し、それ以後は再び後期症状を発現し、同様の手段で自殺を試みます。[データ削除済]の記録を鑑みるならば、SCP-XXX-JP-Aの記憶は薬学的・物理的な破壊に耐性を持つ、あるいは自己復元を行う、未知のミーム/情報因子です。自殺の妨害の試みは自殺達成までの期間を僅かに延長するのみに留まっています。

piece_of_paper.jpg

流通していたSCP-XXX-JP

SCP-XXX-JPは関西圏の警察内部に潜入していたサイト-81██のエージェント数名による「不審死」の報告と、警視庁公安部特事課の報告により齎された「新種の違法ドラッグ」の報告の間の関連が見出されたことで存在が発覚しました。SCP-XXX-JPは当初多くのユーザーと警察に「新種のLSD」として認識されていました。SCP-XXX-JPは主に800倍に希釈された水溶液を染み込ませた紙、いわゆるペーパーアシッドの状態で取引されており、異常な幻覚が発現しなかったユーザーには単に安価で入手が容易な幻覚剤として流通し、SCP-XXX-JP使用者の自殺は噂話以上の信憑性を持ちませんでした。

流行圏内でのSCP-XXX-JPの流通は通常の違法薬物或いは合法ハーブの売人によって行われており、組織単位での関与は関西に存在する暴力団██会のみ確認されています。また、警視庁公安部特事課の報告により、SCP-XXX-JPの流通地域での失踪者数が前年度比1.7倍に増加しています。失踪後、未発見の人間7の数を含めるならば失踪者数は更に増加します。報告当初はSCP-XXX-JPの未知の性質により使用者が失踪していると考えられていましたが、行方不明者には明らかにSCP-XXX-JPの使用が認められない人物も多数含まれており、関連は不明です。

補遺-1: 20██/██/██ エージェント・山梨は違法な薬物売人としての地位を与えられ、過去SCP-XXX-JPの流通が行われていた[データ削除済]の地域に派遣されました。任務開始からおよそ3ヶ月後、A.山梨はサイト-81██への定時連絡を怠り、仮宿から回収されました。回収時点でA.山梨は意識不明の状態にあり、体内及び仮宿からはSCP-XXX-JPが回収されました。勤務態度の良好なA.山梨が複数の任務違反を行なったことによりSCP-XXX-JP対処の優先度は引き上げられ、大規模な捜査作戦が開始されました。██████教会はその作戦中に発見された施設です。当該施設は廃棄されたプロテスタント系の教会であり、記録上19██年に持ち主であったAlbert Leary氏が海で不審死8を遂げた事で放棄され、20██年に█ ██氏(PoI-8118と指定)の名義で購入されています。

この施設からは大量のSCP-XXX-JPと、数点の由来不明かつ非異常な物品、及び2点のアノマリーが発見・回収されています。その他、施設内にはGoI-008-JP "純舟思想"に見られる「赤い旗が立てられた船と2人の人間」のシンボルが刻まれていました。しかし、施設内から発見されたシンボルは通常のそれとは異なり、船の周囲の跪いた姿勢の大量の人間と、船の下に描かれた白色の円が追加されています。

sumihune.jpg

知人の間で純舟思想の関係者であることが知られていた著名人 泥屋氏(写真左)

説明: 純舟思想、あるいは旗と船の宗教は「赤い旗が立てられた船に乗る2人の人間(片方は死者の特徴を示す)」の図画によって特徴付けられる、主に█████と████████の地域で伝わっていた文化体系です。純舟思想の大半は典型的なアニミズムと自然崇拝・祖先崇拝によって構成されていますが、いくつかの風習は超常存在との関わりや、時代的逸脱を示しています。また、純舟思想の構成員には通常の人間の20倍程の割合で魔術師9あるいはその素質者が含まれています。

現在判明している純舟思想に纏わる最古の記録は12世紀の███████のみであり、この時点でこの思想体系のコミュニティあるいは構成員が超常存在との関わりを持っていたことが示唆されています。純舟思想のコミュニティとして正式に記録が残っている中で最も古く、かつ大きな物は██████10の朱會(あけえ)村です。朱會村は1█世紀の「朱會の大津波」によって崩壊し、以後純舟思想者は全国区に分散しました。各地の純舟思想はこの時点で殆ど断絶し、以降はそれぞれの分派によって教義や目的が異なると考えられます。

純舟思想の中核を占めるのは財団に純舟神話と呼ばれている思想です。純舟神話は神格化された海と陸、太陽と生命存在が主な登場人物ですが、一般には秘匿された超常存在を表したと思しき登場人物も度々見受けられます。純舟神話の「海の神11」は陸上の死者の遺体を海に"連れ去る"12とされており、信者は死者を数日以内に海に流していました(詳しくは風習-葬儀を参照して下さい)。しかし、「海渡り」と呼ばれる儀式では、コミュニティ内での死者に生前想いを寄せていた人間が居た場合、生者の意思によって死者と生者を「純舟」と呼ばれる赤い旗を立てた小舟に乗せ、海に流していました。この儀式は純舟思想の中核を占めており、死後に海渡りをすることで海の向こうに存在する楽園13に辿りつけるとされていました。

発見されたアノマリーの内の一点はSCP-XXX-JPの生成と非常に密接な関わりが疑われている為にSCP-XXX-JP-1と指定されました。SCP-XXX-JP-1はベニテングタケに近縁な未知の菌類生物であり、自然界では未発見な種です。SCP-XXX-JP-1は主にヒトの頭髪を基質としており、それ以外の基質を用いた生体実験は全て失敗しています。SCP-XXX-JP-1の摂取はSCP-XXX-JPの摂取による初期症状と似た症状と、数学・天文学・魔術学において有意な知識の入手を体験します。SCP-XXX-JPからはSCP-XXX-JP-1との類似した成分が発見されています

発見されたアノマリーの他方はAO-6254-JPと指定され、3F-042ボックスに保管されています 現在存在しません。AO-6254-JPは20-30代の日本人女性の死体ですが、腐食・風化に対する耐性14を持つ為に死亡時の年代は判明していません。AO-6254-JPは異所性骨化の症状を示しており、通常に比べて骨組織が約17%増加しています。AO-6254-JPの死因は胃及び肺に残存する水から溺死であると推察されていますが、その他死体の状態からは溺死体の特徴15が見られません。AO-6254-JPは発見から3日後に突如崩壊し、消失しました。

PoI-8118はSCP-XXX-JPの作成者と思しき女性であり、現在意識不明の状態です。経緯としては作戦行動に携わった機動部隊の目撃証言から、隊員の隙を突いてSCP-XXX-JPを大量に摂取した事が原因だと思われていますが、人体を用いた実験では同じ量のSCP-XXX-JPを摂取した場合でもこの様な症状は見られず、理由は不明です。


赤い紙片: 著作者 eggrole CC2.0
白黒写真 著作者不明 パブリックドメイン


特に指定がない限り、このサイトのコンテンツには次のライセンスが適用されます: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License