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アイテム番号: SCP-2XXX-JP
オブジェクトクラス: EuclidKeter
特別収容プロトコル: インターネット上にあるSCP-2XXX-JPの情報は全て抹消されなければなりません。そのため主要なSNSは財団のAIにより監視されています。AIがSCP-2XXX-JPについて言及している疑いのある書き込みを発見した場合、発信者を特定し、対ミーム防御訓練を受けたエージェントを派遣して発信者にインタビューを行います。インタビューの結果、対象がSCP-2XXX-JP-X-1実体であると断定された場合はできる限り速やかに対象を拘束し、対ミーム防御訓練を受けた職員による尋問で対象の意識内に存在するSCP-2XXX-JP-Xの情報を収集・記録してください。尋問終了後、SCP-2XXX-JP-X-1実体にはクラスA記憶処理を施し、SCP-2XXX-JP-Xへの執着が消失したことを確認してから解放してください。
SCP-2XXX-JPに関する記録(文章、画像データおよびSCP-2XXX-JP-X-1実体の音声データ)はサイト81██内の外部ネットワークと接続していない独立サーバーに保管されます。対ミーム防御訓練を受けた職員以外によるこれらのデータへのアクセスは原則禁止とします。
説明: SCP-2XXX-JPはミーム汚染を引き起こす可能性のある架空の人物群に関する情報です。発生プロセスは未解明であり、突然そのミームが脳内に去来するパターンと他者から伝播するパターンの2種類があると見られています。このミームに汚染された人物(以降SCP-2XXX-JP-X-1と呼称)は3つの段階を経てその性質を変化させていきます。
段階1 | SCP-2XXX-JP-Xに行動や容姿も関する想像に耽るようになる。多くの場合、SCP-2XXX-JP-Xは「何らかの高い技能を持ち、周囲から高く評価される著名人」として設定され、SCP-2XXX-JP-X-1はこれに強い好意を抱くようになる。 |
段階2 | SCP-2XXX-JP-Xを実在の人物として認識するようになり、その情報を口頭やインターネットなどを通じて外部に発信するようになる。発信される情報はSCP-2XXX-JP-Xの発言内容や活動内容、似顔絵などが確認されている。これらは非常に微弱なミーム汚染能力1があり、SCP-2XXX-JP-X-1の発した情報を受け取った人物の一部はステージ1もしくは2のSCP-2XXX-JP-X-1となる。 |
段階3 | SNSなどを利用したSCP-2XXX-JP-X-1同士の交流が更に活発化し、集団で行動することが多くなる。更に、SCP-2XXX-JP-X-1はSCP-2XXX-JP-Xが不当な理由で社会的に抹殺されていると主張するようになり、SCP-2XXX-JP-Xの解放を求めてより過激な行動に出るようになる。具体的には、集団を作って公の場で署名活動や抗議行動などを起こすといった事態が確認されている。この状態のSCP-2XXX-JP-X-1はより強力なミーム汚染能力2を有し、SCP-2XXX-JP-X-1の集団は加速度的に増加する。しかし、SCP-2XXX-JP-Xが実在の存在では無いため、その目的が達成されることはなく徒に社会的不和や混乱を増大させていくことになる。 |
財団はこれまでに████名のSCP-2XXX-JP-X-1を拘束し、それらのほぼ全てを記憶処理によって無力化することに成功しています。その性質上、財団に認知されたSCP-2XXX-JP-X-1は殆どがステージ2以降に進行しており、ステージ1の存在はDクラス職員をSCP-2XXX-JP-Xへ暴露させる実験を繰り返すことで確認されました。
SCP-2XXX-JP-X-1は殆どの場合一度の記憶処理で無力化され、同じSCP-2XXX-JP-Xに再暴露しても異常性が復活することは無い事が実験により確認されています。
これまでに██種類のSCP-2XXX-JPが確認されており、そのプロフィールはアイドル、歌手、スポーツ選手、声優、舞台俳優、政治家、アナウンサー、落語家、[削除済み]など多岐に渡っています。ミーム汚染が伝播する条件は未だ未解明ですが、大まかな傾向として同じSCP-2XXX-JP-Xを共有するSCP-2XXX-JP-X-1同士は比較的近い年代の人々が多いことが財団統計学部門の分析により判明しています。
発見: 200█年██月██日、東京都内の芸能事務所に十数人が押し入り、実在しない女性アイドルの復帰を求めて抗議活動を行うという事件が発生し、その一部始終が通行人に目撃されたことでSNS上で話題となり、財団の注目を惹きました。財団は調査と事態の鎮圧のためにエージェント数名を派遣しましたが、そのうち一名が抗議行動に同調し始めたことでミーム汚染の発生がが疑われました。すぐさま対ミーム防御訓練を受けた機動部隊が改めて派遣されこれを鎮圧しました。その後財団は関係者全員に記憶処理を行い、カバーストーリー「テレビドラマの撮影」を適用して事態を収束させました。
後の調査により、小規模ながら類似した事案が複数確認されたことで現在の特別収容プロトコルが確立されました。発見当初、オブジェクトクラスはEuclidでしたが、発生および伝染条件が不明で、予防的な措置がとれないことを理由としてKeterに再分類されました。
インタビュー記録2XXX-JP-1: 20██年██月██日、財団が最初に認知したSCP-2XXX-JP事案の直後に、抗議行動の中心的存在であった男性(SCP-2XXX-JP-1-1-1)に対するインタビューが行われました。音声によるミーム汚染が疑われていたため、インタビューは防御訓練を受講済みの機動部隊員が██博士からインカムで指示を受けながら防音室内で行いました。
回答者: SCP-2XXX-JP-1-1-1
質問者: ██隊員
<記録開始>
██隊員: インタビューを開始します。今回のあなた方がとった行動の動機について、簡潔に述べてください。
SCP-2XXX-JP-1-1-1: 助けたかったんです。██ちゃん3を。
██隊員: そうですか。しかし、事務所の記録では████さんという方が所属していたという事実は確認できませんでした。
SCP-2XXX-JP-1-1-1: それはそうでしょう。消されたんだから、最初から居なかったことにされたんだ。上の人達が彼女のことを気に入らなくて存在を消したんですよ。あんなにいい子なのに!!
[SCP-2XXX-JP-1-1-1が机を拳で叩く]
██隊員: 記録が存在しないのは事務所だけではありません。あなた方の申告をもとに全国の戸籍を調べましたが、該当する人物は見つかりませんでした。
SCP-2XXX-JP-1-1-1: そんなわけない!!
[SCP-2XXX-JP-1-1-1が再び机を拳で叩く]
SCP-2XXX-JP-1-1-1: ██君も██さんも██さん4もみんな彼女のことを覚えてる!██ちゃんは確かに居たんだ!!事務所に乗り込んだときに彼女の事を知ってた社員だって居た!!
██隊員: あなたの証言では██さんはテレビや映画などにも出演歴があるそうですが、それらのデータを持っている方はあなた達の中に居ましたか?
SCP-2XXX-JP-1-1-1: えっ!? それはその(以降の発言は小声になり聞き取れない)
[およそ10秒の沈黙。SCP-2XXX-JP-1-1-1は必死に思い返すような表情をしている]
██隊員: ██さんの存在の根拠はあなた方の証言だけです。メディアへの露出が多かった人なのに映像や音声の記録が全く無いというのは不自然ではないですか?
SCP-2XXX-JP-1-1-1: でも僕たちは、
██隊員: 実在する複数の人物に関する知識が夢の中で統合されて████なる人物を無意識に作り出し、それを現実と混同して外部に発信した結果、他の人の夢の中にも██さんが現れてそれが連鎖していくうちに現在の状況が作り出された。これはこれで荒唐無稽な話ですがあなた方の主張よりは現実味がありませんか?
SCP-2XXX-JP-1-1-1: そんな!! ██ちゃんが、夢!?
[およそ30秒の沈黙]
SCP-2XXX-JP-1-1-1: (不明瞭な発声)いる。
██隊員: すみません。よく聞こえませんでした。もう一度言(SCP-2XXX-JP-1-1-1の発言に遮られる)
SCP-2XXX-JP-1-1-1: 彼女の顔を覚えてる。彼女の声を、歌声を覚えてる。握手会で僕の手を握ってくれた手の柔らかさと暖かさを覚えてる。ライブのときの息遣いだって思い出せる。初めての武道館ライブで目に涙を浮かべながら震える声でみんなにありがとう、って言っていて僕はそれを最前列で見ていた。
[SCP-2XXX-JP-1-1-1がすすり泣き始める]
SCP-2XXX-JP-1-1-1: 全部覚えてる。なのに、証明できるものは何もなくて。
[以降およそ20分間、SCP-2XXX-JP-1-1-1は嗚咽を漏らし続け、██隊員の呼びかけに応えなかった。インタビューの続行は不可能と判断され、██博士によってインタビューの終了が宣言された]
<記録終了>
付記: インタビュー終了後、SCP-2XXX-JP-1-1-1は他のSCP-2XXX-JP-1-1実体とともに記憶処理を受け、異常性が喪失したことが確認された。
事案記録2XXX-JP-い1: 201█年██月██日、サイト81██にてSCP-2XXX-JPの大規模な収容違反が発生しました。最終的にはサイト内に居た職員の約7割がSCP-2XXX-JP-███-1となり、記録上存在しない職員(SCP-2XXX-JP-███)の解放を求める抗議行動を起こし、倫理委員会の介入を求めました。しかし、倫理委員会が該当職員の記録が存在しないことを確認したため、要請は却下されサイト81██は機動部隊により制圧されました。鎮圧後、財団はサイト81██内に存在する全てのSCP-2XXX-JP-███-1に対して記憶処理を行う方針でしたが、SCP-2XXX-JPを担当していた██博士がこれに反対し、日本支部理事会と倫理委員会に対して意義申し立ての文章を送付しました。これを受けて、関係者間の協議が行われ、SCP-2XXX-JP-███-1のうちSCP-2XXX-JP-███に特に強い執着を示した10名の記憶処理を保留する決定を下しました。
現在、██博士によるオブジェクトの追加調査が行われています。最新情報は下記のページより閲覧してください。
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任意A任意B任意C-
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- portal:4098723 (05 May 2020 09:40)
批評ありがとうございます。
確かに言われてみれば、オブジェクトの核心に触れている部分が短すぎる気がしました。
事案記録より前を報告書の旧版とし、博士の申し立てをベースに新版の報告書としてより掘り下げた内容にできないか考えてみます。
パッと思いついたのが担当の博士も消されてしまうというオチですが、今度はSCP-2996やSCP-404-JPと被るかなと思ったので再考の余地がありそうです。
ご指摘ありがとうございます。改稿に合わせて修正します。
自分でも感傷的すぎるかなと思ったのですが、どこかで「真の意味で人が死ぬ時は忘れ去られた時だ」というセリフを聞いたのを漫然と覚えていまして、-1の記憶を消したことでこれまでのSCP-2XXX-JPが完全に死んでしまったという悲劇的な事実を強調するため、敢えてこのような表現になりました。
ですがやはり財団的な表現ではないというのも確かなので、もうちょっと工夫が必要ですね。
読みながらのメモ
汚染の経緯を書きたいです。未解明、ならば未解明なりに「突然そのミームが脳内に去来する」など経緯を入れられるかと。
">"を使って囲んだり、表の関数を使うとわかりやすい
ここ好きです。確定条件にしないのは良いですね
最終的にそういった閉じられたコミュニティ、例えば財団Discordやら、あるいはTwitterで繋がり合うなどを形成すると思うので、そういった具体例を出すと伝わりやすくなるかなと。「財団の生きている現実」と「我々筆者/読者が生きている現実」との壁をなるべく薄くすることで、真に迫ってリアルな表現が生まれます。
さっきの話と相まって、「どうやって財団が自発的にステージ1を生み出したのか?」分からないです。
信ずる根拠が弱いなお前!
ここも、">"で囲むと良いかな
ここ以降について。
現行、二つの意見が同居する事態です。博士の意見を信じるか、博士は頭のいかれたミーム汚染者か。この状況において、財団ならばこれについては棄却し、「忘れられた人間など存在しない」という立場をとり、またこの博士の記憶処理まで行うのではないでしょうか。なにせ証拠がない。
そうであると思い込ませるミーム汚染なのかも?
そんな人物がまるで選ばれたかのようにいなくなるなんて事はあるんでしょうか?
結論を曖昧にする部分であるのでこのまま内容の話に移りますが、この場合、曖昧なメモ書きは「削除される」可能性が高いと思います。財団という組織にこの妄言を信じさせるだけの根拠が薄い。もし財団がこれを信じているのだとしたら、それこそ世界人類、財団全てがこのミーム汚染にかかっているという前提を提示するくらいでないといけないかなと思います。
後半でひっくり返そうというストーリーラインは好意的に思えるので、そこを踏まえた上で、さらに「実際はどちらだったのか?」という結論まで行きたいですね。結論まで書き込めば、このメモ書きが活きてくる部分もあると思います。
批評ありがとうございます。表を取り入れさせていただきました。
自分で考えとはまた異なる視点からの記事の分析が大変参考になりました。
アドバイスどおり記事内である程度の決着がつくような内容に変更したいと思います。
それに関して、あるギミックを入れようと思い立ったので少し構文を勉強して明日までに再度更新する予定です。
もしよろしければまた批評お願いします。
ある程度記事内で決着を付けようと考えた結果、当初考えていた記事とはだいぶ性質の異なるものになってしまいました。それに合わせてタイトルも変更しました。
メタな話ですが、この記事の真相は最終ページのFootnotes付近をソースコードで見るととだいたい分かるようになっています。
技術不足で見づらい部分もあるかと思われますが、そういった点も含めて批評いただけると幸いです。
コンテストの締め切りまであと1日しかありませんが、よろしくお願いします。