SCP下書き：有象無象 - SCP-JPサンドボックスⅢ

SCP下書き：有象無象

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイトｰ8104の高危険度物品収容チャンバーに、不透過シートで完全に覆われた状態で収容されます。SCP-XXX-JP-A実体の出現が確認された場合、即座に実体を確保し、各個体に対応する項目を記録してください。この際、SCP-XXX-JP-Aに対する必要以上の接触は禁止されています。個人の保有する同一性の尊重及び保護の観点から、担当職員はSCP-XXX-JP-Aの薬剤投与による終了が義務付けられています。また、SCP-XXX-JPを用いた実験は無期限に凍結されます。(改定済: JST2018/09/11 21:00)

+ 改定前の特別収容プロトコルを閲覧する

説明: SCP-XXX-JPはサイト-81██標準支給品の手鏡に類似した、出自不明の臙脂色の手鏡です。
SCP-XXX-JPは任意の人物(以下、対象)が鏡面を肉眼で視認した場合、対象の身体的特徴及び能力の喪失、恒常的な虚脱感を発生させます。喪失する要素の条件として、対象自身が自らの個性、自己同一性¹として認識している必要があります。また、発生した虚脱感は時間経過により段階的に変化することが確認されています。以下が範例です。

段階	症状
段階1:	軽い虚脱感。メンタルセラピーによる治療が可能。特異性曝露時に発生。
段階2:	強い虚脱感。焦燥感、不眠症など典型的な鬱の症状が現れ始める。抗うつ剤、メンタルセラピーによる軽減、早期であれば治療が可能。段階1発生後2週間以内に発生。
段階3:	段階2以上の強烈な虚脱感。過剰なストレスによる前頭前野の機能低下に伴い、自発的な行動が困難になる。メンタルセラピーによる軽減が可能だが、不可逆的な変化であり治療不可。段階2発生後3週間以内に発生。

稀に範例より逸した変化が発生する場合がありますが、いずれも対象の心理的状況が影響しています。適切な処置を施すことで軽減、治療が可能です。

SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP周辺に出現する、対象に酷似した人型実体です。
対象との相違点として、対象から喪失した身体的特徴、能力が大幅に強化されています。対象のSCP-XXX-JP特異性曝露から1年以内に出現が開始し、その後一定の周期で再出現を繰り返します。対象が同一である場合、各個体の外見、能力に差異はありません。現在、10種類の実体の出現が確認されています。

以下はSCP-XXX-JP実験記録です。対象より事前に申告を受け、喪失する身体的特徴及び能力を予測した上で各実験は行われています。
実験記録XXX-JP-1 - 日付2017/08/31

対象: D-4562

実験内容: D-4562にSCP-XXX-JPの鏡面を視認させ、対象の変化を記録する。
喪失予測: 特徴的なパーマネントウェーブ。D-4562より申告済。
結果: 頭髪の喪失。虚脱感。
分析: 予測通りの結果となった。初収容時の報告と同様の結果が確認できたため、このオブジェクトの特異性は"個性の喪失"と"虚脱感"の可能性が濃厚か。調査を続ける。

実験記録XXX-JP-3 - 日付2017/10/05

対象: D-8906

実験内容: D-8906にSCP-XXX-JPの鏡面を視認させ、対象の変化を記録する。
喪失予測: 大道芸に関する能力。D-8906より申告、証明済。
結果: 大道芸に関する能力の喪失。曝露以前に得意としていたジャグリングを行うよう命じたが、成功せず。虚脱感。
分析: 今回も予測通りの結果となった。身体的特徴だけでなく、能力も喪失するようだ。今回の結果を踏まえ、このオブジェクトの特異性は"個性の喪失"と"虚脱感"で暫定的に決定とする。調査を続ける。

実験記録XXX-JP-8 - 日付2018/06/14

対象: D-9685

実験内容: D-9685にSCP-XXX-JPの鏡面を視認させ、対象の変化、SCP-XXX-JPヒューム値及び実験室内の空間ヒューム値の変動を記録する。
喪失予測: 186cmの身長。D-9685より申告済。
結果: 身長28cmの喪失。SCP-XXX-JP、空間共にヒューム変動無し。虚脱感。
分析: 現実改変の可能性が指摘されたが、ヒューム値の変動は見られなかった。現実改変の類である可能性は限りなく低いといえる。調査を続ける。

補遺: 2017年7月20日、サイト-81██より支給された手鏡を使用した際に、瞳孔が変色したとの報告を受け、発見、収容に至りました。

回収時インタビューログXXX-JP - 日付2017/08/03

対象: 小鳥遊波瑠 - 第一発見者。

インタビュアー: 鷹来勝也 - 当該オブジェクト研究主任。

<録音開始>

鷹来: それでは、インタビューを開始します。先ずは小鳥遊さん、当時の状況を出来るだけ詳細に報告してください。

小鳥遊: はい、……あの日、大雨が降っていて、サイト内も湿気が多かったんです。それで…私、髪質が良くないので、髪がボサボサになってしまうんですね。流石にそんな状態でサイトを歩き回るわけにはいかないので……サイト-81██はラウンジにアメニティが置いてあるんですけど、そこから手鏡を1枚貰ったんです。それで鏡を覗いたら、目に違和感を感じて…今に至ります。

鷹来: どのような違和感でしたか。可能な限り具体的にお願いします。

小鳥遊: しょぼしょぼして、急に目が疲れたような感覚でした。それで…手鏡を覗いた瞬間スーッと色が変わったんです。…正確には、有彩色だけが抜けたようなかんじです。以前は青みがかった色で、色んな人に「綺麗だね」って言われて…私も気に入ってたんですけど…。

鷹来: ありがとうございます。他に症状等あれば報告してください。

小鳥遊: えーと…あるとすれば、あの日以来やる気が湧かないんですよね。虚脱感、といいますか。最近眠れてなくて、疲労困憊って感じですかね。同僚からも元気無いねとか言われちゃって…。

鷹来: ありがとうございます。他には？

小鳥遊: 他は特に…いや、もう一つ。体が急に硬くなりました。趣味でヨガをやってまして、つい先週まで180度近くまで開脚が出来たんですが…。昨日やってみたら脚が全然開かなくて……。私の唯一の特技だったんですがね…。[5秒の沈黙]すみません、長々とお話ししてしまって。

鷹来: いえ。これでインタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: 先日の報告及び今回のインタビューでは、瞳孔の変色と柔軟性の喪失を確認することが出来ました。推察の域を出ませんが、当該物品の特異性は個人の個性・特徴に対して作用するものと思われます。今後の実験に於いては、更なる特異性の発見、前述した項目との関連性を重点に置いて調査してください。また、同様のオブジェクトの発生を考慮し、製造元の調査を提案します。

付記: インタビュー後、小鳥遊氏に任意のメンタルセラピー、抗うつ剤の処方を実施しました。

追記 - 日付2017/09/28: 本日13時より製造元であるフロント企業-████の調査を実施しましたが、製造過程、従業員共に異変は確認されませんでした。加えて過去の検品記録より、当該オブジェクトに関連する情報は発見に至らず、出自、混入経路は現時点では不明です。現在同種の鏡の全回収、SCP-XXX-JPの出自の特定を急いでいます。- サイト81██管理官 ████

補遺2: 2018年7月20日、小鳥遊氏に酷似した実体がサイト-8104に出現しました。以下は実体報告書より抜粋した情報です。

出現実体報告書

実体詳細: 人型。女性。職員コード██████、サイト-81██所属"小鳥遊波留"に酷似。濃紺の瞳孔を保有。

コミュニケーション: 可能。

身体詳細: 骨格、臓器共にヒト(Homo sapiens)と完全に一致。BMI数値19.2。DNAは小鳥遊氏のものと一致。

身体能力: 平均より極めて高い柔軟性。その他特筆すべき点無し。

処理: サイト-81██にて小鳥遊氏本人の存在を確認。本人との直接の関連性薄。投薬により終了、遺体は冷凍保管。

補遺3: 2018年9月1日、D-4562に酷似した実体がサイト-8104に出現しました。補遺2と同様、対象に酷似した実体の出現、いずれもSCP-XXX-JP収容ロッカー付近で目撃されていたため、SCP-XXX-JPの新規/未知特異性として調査を進めています。また、実体再出現の可能性を考慮し、実体をSCP-XXX-JP-Aに指定、オブジェクトクラスのEuclid再分類、特別収容プロトコル改定が行われました。

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