シルクの日記

アイテム番号 SCP-1059-JP
オブジェクトクラス Safe Euclid

特別収容プロトコル:SCP-1059-JPは一般的な家庭に備え付けられた設備を完備している部屋に最低でも一人の三歳未満の幼児と、SCP-1059-JPの大まかな性質を理解している女性のDクラス職員2名以上にゴム手袋を常時装着させ、同伴させたうえで共に収容してください。収容スペース内の職員と他に誰であろうとSCP-1059-JPの接触を禁じますが、その場の幼児に最低でも23時間おきでSCP-1059-JPに5秒以上の接触を必ずさせてください。
SCP-1059-JPと共に収容している幼児には健康的な三回の食事と、積み木やぬいぐるみなどの清潔な玩具を用意してください。ただし、童謡を描いた本や文字の書かれている物は収容スペース内に持ち込まないようにしてください。また5日おきに別の3歳未満の幼児と交代させ、その間に外出させるなどしてSCP-1059-JPに接触した幼児に対するストレスを最小限にとどめる事を遵守してください。同伴しているDクラス職員には幼児を交代させる時以外の外出が許可されていませんが、食事や娯楽に関してのある程度の自由が認められています。SCP-1059-JPは現状では汚れる事も損傷する事も確認されていないので特別な管理は必要ありませんが、担当者は部屋外へ持ちだされないよう最大限の注意を払ってください。

説明:
SCP-1059-JPは縦31㎝、横44㎝、13段、19pのやや大きく歪な日記帳です。市販の品と異なる点は日記帳の材質が紙ではなく、絹に近いなにかで構成されており、名前を書く欄に『silk』と既に綴られています。
SCP-1059-JPは□□県にある40代の女性とその子供である10代の少女が暮らすアパートで発見されました。ですがSCP-1059-JPの発見時にその二人は死亡しており、警官が自殺と処理したその事件に異常性を感じたエージェントによってその存在が確認されました。

現場には食べ残された食事と、少女が通う学校が配布したと思われる宿題が散乱しており、血塗れになって倒れていた母親と少女の間にあった包丁の傍らにSCP-1059-JPは放置されていました。なおSCP-1059-JPに血液は一切付着していませんでした。SCP-1059-JPを確保したエージェントは、『SCP-1059-JPを開くと同時に書かれていた文字が消えたかと思えばまた新たに文字が浮かび上がった』と報告し、その2時間後に到着した回収班によってそのエージェントの死体が発見されました。

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象: SCP-1059-JP

 

 
  
実施方法:Dクラス職員にゴム手袋を装備させていない状態でSCP-1059-JPのページを捲らせた。

結果:表紙を捲った1ページ目にある文章が浮かび上がったと報告。内容を読み上げるよう指示。

「これを読めばいいのか? えっと……『このくそったれな施設から逃げ出したい。破壊工作、違法取引、殺人、強姦……ってなんだこりゃ、あ、いっとくが今の内容はちゃんと書かれているからな!ほら見ろ!』」

Dクラス職員が日記の内容を示すようにSCP-1059-JPを手にもって監督官に見せ、その際に読み上げた通りの内容が句読点の度に段落分けされて綴られている事を確認。
 
そのDクラス職員がSCP-1059-JPに素手で触れて15分が経過したところで、突如奇声をあげはじめ、口を大きく開きながら周りを見渡した後、首が項垂れた状態で立ったまま沈黙しました。そしてそのさらに15分後に同じように奇声をあげはじめ、再び最初と同じ動作をしてから沈黙。同様に15分後に3回目の奇声をあげましたが、今度は周りを見渡す前に自分の首を絞めつけ、自殺した事が確認されました。
 
以後、5名のDクラス職員に同様の実験を行わせたところ以下のことが判明しました。

  • 文章の量と文字が浮かび上がる速度の関係性はない。(そもそも文章量自体に大した差がうまれなかった)
  • 最初の一文(実験を行った全員の文章から施設からの脱出や拘束の解除を示唆するような文章が浮かび上がったため対象者の現在の願望と推測)の後に、残虐性が高い点以外に規則性の不明な単語が一つづつ段落分けされて4つ並べられる。それ以上の文章が書かれることは確認されなかった。
  • 日記のページをめくった被験者が十五分ごとに、奇声を発する、□□□□、□□□□□□□などの常軌を逸脱した行為(発狂と定義)に走りはじめ、その一回一回は1分ほどで沈黙。その後に最大で4回の同様の行為が確認され、1回目から3回目で自分の首を絞めたり舌をかみ切るなどして自殺した。最後にSCP-1059-JPに触れた被験者が唯一4回目の発狂を起こし、沈黙した後に突如地面に倒れこんだ。検査の結果、左脳が何かに抉られ消滅した事が原因の異常死が確認された。
  • SCP-1059-JPに直接触れた者は現状では確実に死亡する事が確認されており、また対象者が死亡してから浮かび上がっていた文章は瞬時に自然消失した。

実験からSCP-1059-JPは人の手に触れる事のみでその異常性を発揮することが判明し、同時に何か物体を経由した間接的な接触は安全と判明したため、オブジェクトクラスをsafeに定め、常に施錠された3メートル×3メートルの程度の部屋に保管し、また担当者はSCP-1059-JPに誰かが直接触れる事を防ぐよう尽力してください。

:補遺1
実験から七日後、SCP-1059-JPの収容違反が確認された。
監視カメラに映し出されていた映像ではSCP-1059-JPが誰の手が加わることなく収容スペース内から瞬時に消失した事が確認され、ただちに捜索隊が派遣されましたが、何の手がかりも得られなかったので捜索は一時中断されました。しかしその3日後、SCP-1059-JPが収容されていたサイト81内にある██████ 博士のデスクの上にSCP-1059-JPと思しき物体が出現したとの報告を受け、それがSCP-1059-JPである事が確認され再収容されました。その後、最初の実験と同様にゴム手袋を装着させたDクラス職員にSCP-1059-JPのページを捲らせたところ、以下の文章が確認できました。

『誰か触れてよ。つまらないじゃない。私はあなたたちの罪と欲望の実現が見たいの。
爆破テロ』

一人称視点で書かれた文章の一段下に赤い文字で書かれていた単語は、先の実験で最後に死亡したDクラス職員がSCP-1059-JPに触れた際に浮かび上がった四つの目の単語と一致しました。関連性は実験行うにあたってのあまりの危険性から証明不可能ですが、SCP-1059-JPのその文章が確認されたと同時に、某国で死傷者数千人規模の未曾有の爆破テロが発生し、その犯人は現在に至るまで捕まっていません。

この事件の後、██████ 博士主導の元、SCP-1059-JPの実験が再開されました。

再実験1
大人が手を貸し、出生から二年ほどの幼児の手でSCP-1059-JPのページをやや強引に捲らせた結果、SCP-1059-JPの紙面に文字は浮かび上がらず、また触れた幼児に異常性は確認されませんでした。この実験から現在の収容方法が発案されました。

SCP-1059-JPが意思を持っているとの仮説の元、対話が試みられた。

対象:SCP-1059-JP
インタビュアー:仮説を提唱した██████ 博士

 会話記録
博士:「やあ、SCP-1059-JP……いや、書かれている名前の通りシルクと呼ぶべきかな?」
(SCP-1059-JPのページが開き、文字が浮かび上がる)
『呼び名なんてどうでもいいわ。お好きにどうぞ』(音声はなく、カメラの映像での観察記録)
 声を認識されてることが判明、対話開始。
博士:「……そうか、ではシルクと呼ぼうか。―――――シルク、君は一体何者だ?」
(次のページに自動的に捲られ、再び文字が浮かび上がる。以下、SCP-1059-JPの反応は同様であるため省略。また対話は交互に続く)
『絹で出来た日記帳。あなたたちにはそう言わないとわからないでしょ?』
博士:「ははは、確かにそうだ。ではシルク、早速聞きたい事があるんだが君が□□□で起こったあの爆破テロを起こしたのかい?」
『ええそうよ。それが最後の人の最高の悪い事だったからね。』
博士:「なるほど……ではシルク、君は何故ここに戻ってきたんだい?」
『私は自由が欲しいわけじゃないの。それにここに戻ろうとしたわけじゃない。ただ一番悪い事が出来そうな人を探していたらここに辿り着いたの。』
博士:「そ、そうなんだ……じゃあシルク、君の性質、いや性格というべきかな?を、教えてくれないかい?」
『性質はあなたたちが実験した事で解ったことがほとんどよ。今言った性格は正に解っていない事ね。実は私、ものすごい寂しがり屋なのよ?』
博士;「寂しがり屋……だから収容違反を起こしたのかい?」
『そうかもね。だから私に誰か触れてくれないとまた同じように逃げ出しちゃうかも。』
博士;「それは困るな。では君を1日以上放置しない事を約束するよ。その代わりと言っては何だが、その約束を破らない限りはおとなしくしていると約束してくれないか?」
『あらそれは素敵ね。良いわよ。じゃあ今から1日以上ね』
(予想外の反応に一瞬戸惑う博士)
博士;「……なあ、シルク。ここまで丁寧に質疑に対応してもらっておいてなんだが、君はなぜそこまで落ち着いているんだい。我々に何か隠している事があったりするんじゃないか?」
『隠し事をしたり嘘をついたりなんかしないわよ。そんなつまらない事はしないわ』
「隠し事やうそをつくことがつまらない事なのかい?」
『ええ。だって、約束を破られたら暴れていいんでしょ?』
「……まあ、そうなるね」
『だったらいいじゃない。あなたたちが約束を破るのを待てば。まだ訊きたいことはある?なくてもあと九回までお話できるけど、する?』
 ―――――記録終了。

「SCP-1059-JPは口と実体を持たぬ悪魔が住み着いている呪物だ。悪魔にどれほどの力が秘められているかは分からないが、どうであれこの世で最大の悪を知っている我々は触れる事はできない。今は幼気で無垢な子供に触れさせることが約束を破らない唯一の方法だが、『暴れる』という単語が人と同じ認識である事を祈る事のはまだ早いだろう」
██████ 博士はそう語った後にSCP-1059-JPのオブジェクトクラスをsafeからKeterへ格上げするよう議会に申請しましたが、それは却下され、しかし管理の手間と確かな危険性を示す事例がある事から、後にSCP-1059-JPのオブジェクトクラスはSafeからEuclidに定められました。


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