無コンのネタのお墓

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス:Euclid

特別収容プロトコル:SCP-XXXX-JPを飲用した人物(以下、摂取者)を目撃した人物には、クラスD記憶処理を施します。摂取者は発見次第財団職員として積極的に雇用されます。財団職員として雇用された摂取者は彼らのみで構成される機動部隊し-274"猿山の宴"に例外なく配属させ、サンプリング装置が装着された高圧スーツの着用と1日1回のペリエ500mlPETの摂取が義務付けられます。サンプリング装置によって採取された気体は研究開発チームに研究素材として提供されます。発疹が発生しなくなった摂取者は解任後Dクラス職員として再雇用し、非常に高い危険度を持つSCPオブジェクトの実験対象として終了するまで使用されます。これによりSCP-XXXX-JPは間接的に収容されます1

説明:SCP-XXXX-JPは現在では株式会社ネスレウォーターズから発売されている500mlPET入りの炭酸入りミネラルウォーター、ペリエにまれに発生する異常個体です。SCP-XXXX-JPの発生条件と原因は不明です。SCP-XXXX-JPは、成分上では他の異常性を持たない製品との差違はありません。
SCP-XXXX-JPの存在が最初に確認されてから現在に至るまで、ペリエ以外の炭酸入りミネラルウォーターに同様の異常性を持つ個体の出現は確認されていません。

SCP-XXXX-JPは摂取されることで異常性を発現します。SCP-XXXX-JPを摂取した人物は、摂取から10分程度経過すると全身の皮膚、粘膜、角膜、エナメル質などの体表組織に気泡の性質を持つ微細な発疹が多数あらわれます2。発疹は出現からほどなくして破裂しますがこれによる組成組織の損傷や出血は一切起こらず、認識障害に耐性をもつ人物以外はこの事態を異常であると認識できません。破裂した発疹からは有色の気体(以下、気体)が分泌されます。
気体は炭酸ガスと解析不能な未知の物体の混合物で、分泌した個々人によって色が異なります。未知の物体は科学的方法で気体から同色のガス状に分離できます。未知の物体は一定量以上の吸引により吸引した人物の価値観や趣向といった自己を規定する要素を強く認識させる効果を持ち、ミーム汚染及び認識障害に対する耐性を大幅に向上させます。未知の物体は吸引から約12時間ほどで呼気として体外に排出され効果を失います。また未知の物体は異なる色のものを混合すると効果を失います。この性質により財団は現在、当該オブジェクトへの対抗手段として未知の物体の研究開発をすすめています。気体の発生源は不明です。

SCP-XXXX-JPを摂取した人物は習得に多くの蓄積が必要とされる知識と技術を獲得します。異常性によって獲得された知識と技術は必ず摂取者が従事する労働業務や篤志奉仕のスキルアップに必要とされるものであり、その時点で摂取者がかかわる全ての社会的活動へのモチベーションを大きく向上させます。
分泌された気体の総量が摂取者の体積の3.9%分を上回った段階で発疹は治まり、摂取者はそれと同時に異常性によって獲得した知識と技術を亡失します。摂取者は再びペリエを摂取することで忘失した知識と技術を再獲得します。この性質から、摂取者は多くの場合でペリエを繰り返し摂取するようになります。

摂取者の発疹から分泌された気体の総量が累計で摂取者の体積の15%程度に達すると、摂取者は以下のような言動をとるようになります。

  • 就労現場において経験の少ない新人に業界における自身の業績を一方的に語る。
  • 自身の収入に見合わない高級品を身に着けた写真データを不特定多数の人物が閲覧するSNSにアップロードする。
  • 習慣化した飲酒や喫煙、ジャンクフードによる食生活などの多くの場合は低所得環境を遠因とした不健康な生活を送る人物に対してスポーツジム通いや高価な食材を用いる健康志向食といった高所得ゆえに可能なミニマルな私生活を過剰にアピールする。
  • 観賞用工芸品の製作技術を修得するための多くの厳しい修練や専門分野に関する知識と資格の取得に必要な長期的な学習を「ペリエの飲めばすぐ手に入るものに時間を浪費している」と切り捨て、手軽に自身の能力を開花させる自己啓発セミナーや簡単に社会活動への貢献を示せる異業種交流会に自分磨きのためと称して頻繁に通う。
  • 先祖を祭る仏壇や過去の写真がおさめられたアルバム、これまで熱心に打ち込んでいた非生産的な趣味に使用する道具といった社会的活動において実利のない物品をことごとく廃棄し、内容の類似した多数の自己啓発本や美容健康維持を目的とした室内エクササイズ用品といった実利を重んじる物品を次々と購入する。
  • 「社会の中で自分を活かすことで人間は人間たりえる」「皆のために一人が尽くすのは人間として当然」「自分の好きなものは皆にとって何の意味もない」「自分がこれまでの人生で得てきたことは社会にとって全くの無駄だった」といった旨の発言が増える。

これらの言動には鬱病における抑うつ状態が認められますが、前頭葉3の萎縮欠損やセロトニンの分泌不良といった神経系の器質的異常がなく摂取者が社会的活動や自己啓発に対してより積極的になることから第三者からの判断もやや困難です。
また一部の言動は同コミュニティに属する他者へのマウンティングにあたり、多くの場合他者からの信用や親愛を失います。
これらの躁鬱傾向と格付け行為の頻度及び苛烈さは摂取者の発疹から分泌される気体の総量に比例します。

摂取者の発疹から分泌された気体の総量が累計で摂取者の体積と同量に達すると、摂取者は突然不眠不休の長時間連続労働、臓器移植のための自殺、食糧自給率の低い途上国へ全財産で購入した食糧の提供といった過剰で不必要な自己犠牲をもって自身の属するコミュニティに貢献しようとします。摂取者はこれらの行動により死亡や植物状態化、不可逆な心神喪失、回復不能なまでの経済的破綻などの社会的活動に参画できない状態になります。
この状態の摂取者がペリエを摂取しても、発疹と気体は一切発生しません。

2013年7月14日、当時██商事にて別件調査の潜入任務にあたっていたエージェント蓑輪が同社法人営業部の社員である小野瀬譲氏に摂取者の兆候を認め、小野瀬氏を"有色の気体を分泌する気泡状の発疹を全身に発生させるAnomalousアイテム"としてサイト-8183に確保しました。確保直後の聞き取り調査で小野瀬氏は確保当日の朝ペリエを摂取してから発疹が出るようになったと説明したことに加え、世界各地でペリエ500mlPETを飲用した一部の人物に同様の兆候があらわれたと判明したことでSCP-XXXX-JPが定められました。
小野瀬氏が収容翌日に自身が収容された低危険度人型オブジェクト収容室の構造欠陥と改善案を提示したことで摂取者の有用性が指摘され、財団日本支部理事会は今後摂取者を財団職員として雇用する際のテストベットとしてエージェント蓑輪の監視のもと小野瀬氏に財団職員の業務を一部委任することを決定しました。小野瀬氏は職務に対して意欲的であり業績も良好だったものの、自身の業績や学歴の過剰な誇示により職員からの評判は芳しくありませんでした。

インタビューログ.XXXX-JP:2014年2月7日明朝、低危険度人型オブジェクト収容室に収容されている小野瀬氏からエージェント蓑輪に対し「収容室からの出方がわからなくなった」という連絡がありました。当該収容室のドアは先の小野瀬氏の改善案により通常の開閉手段で動作しなくなっており、小野瀬氏が知識を亡失したものと判断したエージェント蓑輪はドアの開閉方法を示した後ペリエを摂取するよう小野瀬氏に指示しました。連絡から12分後、SCP-████-JPの収容を主導する南郷研究員からエージェント蓑輪に「小野瀬氏の体表に発疹が確認できず、氏が担当するSCP-████-JPの収容手順工程を亡失していたため、一時的に収容手順担当から外した」と連絡があり、エージェント蓑輪は小野瀬氏に対して緊急のインタビューを行いました。

対象: 小野瀬譲

インタビュアー: エージェント蓑輪

付記: 当時エージェント蓑輪は小野瀬氏を原因とした財団内での人間関係の調整に追われており、小野瀬氏に対し相当のフラストレーションをためこんでいた。またエージェント蓑輪は██商事潜入時には小野瀬氏の部下だった。

<録音開始>

エージェント蓑輪: それでは、インタビューを開始します。小野瀬さん、先ほど南郷研究員からSCP-████-JPの収容手順担当からあなたを外したと連絡を受けたのですが、何があったのですか?

小野瀬氏: どうしたもこうしたも、思い出せないだけだよ。いつもならペリエを飲んで10分もすればなんだって湧き水のようにわかるし思い出せるのに、今日はそうじゃない。ちなみにできものも出なくなった。

エージェント蓑輪: 念のため確認しますが、本当にペリエを摂取しましたか?

小野瀬氏: なんだ、[編集済]大を出る程度の頭しか持っていない君が僕を疑うっていうのか? 間違いなく飲んだよ。開栓時にキャップのリングはつながっていたと覚えているし、さっき確認してみてもボトルに穴が開いてる形跡もなかった。念のため今から10分前にもう一度ペリエを飲んだが、この有様だ。

エージェント蓑輪: [数秒の沈黙]なるほど、わかりました。ご自身の精神状態に変化は感じますか?

小野瀬氏: [幾分高揚した声色で]大変気分がいいよ、清々しいくらいだ。

エージェント蓑輪: 脈絡からしてとても適切とは思えない発言ですが、どうして気分がいいのですか?

小野瀬氏: 枷がなくなったからだよ。僕は僕から自由になった。

エージェント蓑輪: 発言の意図が不明瞭です、ご説明をお願いします。

小野瀬氏: 僕はようやく僕を築いてきたもの全てから自由になったんだ。これでようやく僕は自分から解放されて社会になれる。人間としての喜びでは最高のものじゃないか。

エージェント蓑輪: 自分がなくなれば社会になれるのですか?

小野瀬: そうともさ、社会を維持するのに個人であることは必要ではない。ペリエは最高だよ、社会に生きるための全てを僕に授けてくれた。社会に生きる力を提供してくれる上に、個人であることを消してもくれるんだ。

エージェント蓑輪: 個人であることを消してもくれる、とはどういうことですか。

小野瀬氏: そのままの意味だよ。ペリエは僕を僕たらしめるものを消してくれたんだ。あれを飲む前までは、僕は仕事を終えて帰って缶ビールを一本飲むことを好んでいた。あのペリエを口にした次の日の夜、つまり君たちが僕をここに連れてきた次の日だ。僕はあの収容室に関する仕事が終わったと思って、購買部でビールを買って飲んだんだ。以前から好んで飲んでいた銘柄だった。確かにうまいと感じる、けどなんとも思わなかった。ビールをうまいと感じることが、ひどく他人事のように思えたんだ。だから何だ。そんな疑問が掠めた次の瞬間には、僕はビールを全て部屋の流しに捨てて次に目についた不備を書面にまとめていたよ。こんなものでふわついているぐらいならば、皆がまだ気づいていないこの組織にあるものの不備を一つでも多く一秒でも早く正していくほうが正しい。その日を境に、ペリエを飲めば飲むほど財団での仕事のやる気は上がり続け、僕の中にあるものが少しずつどうでもよくなった。あのオブジェクトを収容できたあの日には、触ることすらできなかったゴキブリを生きたまま丸呑みできるようになった。別のオブジェクトを無力化できたあの日には、好んで聞いていたクラシックが自動車の走る音と同じ意味になった。また別のオブジェクトの収容違反を収束できたあの日には、食塩水の蒸留実験とDクラスどもの命を使ったオブジェクトの実験に違いがなくなった。ここで働けば働くほど、すべてを隔てていた軛ができものからのガスと共に飛んで行ったかのようだったよ。どれにも好悪も快不快もない。僕はなんでも自由にできる。最高じゃないか。

エージェント蓑輪: それは自分の主観が消えていくということだと思うのですが、恐怖は感じないのですか?

小野瀬氏: なんで恐れる必要がある? 守る必要のある自分などどこにもない。個人の価値観や趣向や善悪なんぞにかまけていると、社会は機能しない。そんなぬるいことを言っているからいつまで経っても他の要注意団体に出し抜かれるんだ。君たち職員を見ているとイライラする。[やや興奮気味に]やれ正常性の維持のためだ人類の安定安心のためだ、そんなものを動機付けにしている時点で三流だとなぜ気づかないんだ。社会に帰属しその力になる、動機などそれ以外にはあってならない。社会の要因になることの理由付けは邪魔になるだけだ。空が青いからなんだ、コーヒーが苦いからなんだ、ソナタがきれいだからなんだ、花の香が甘いからなんだ、殴られると痛いからなんだ、自分がなくなるからなんだ。そんなものは社会に必要ない。自分を持つ者は社会の構成要素として失格だ。生物学的にヒト科なだけの人間もどきだ。もどきが服を着るな、火の通った飯を食うな、屋根のある住処で眠るな。君たちのような人間は自身を恥じるべきだ。

エージェント蓑輪: [10秒ほどの沈黙]そこまでおっしゃるのはいいのですが、ペリエを飲んでも知識や技術を獲得できなかったご自身はこれからどう財団に貢献するおつもりですか?

小野瀬氏:[明るい声色で] 簡単だとも。蓑輪君、僕をDクラス職員に降格するんだ。技術と知識を失っても肉体はある。実験台として好きに使ってくれ。どうだね蓑輪君うらやましいだろう、自分が大事な君にはこんな所業はできまい。僕は財団のために死ねる栄誉に浴することができるんだ、僕は君たち人間もどきじゃなく人間として死ねるんだ。

エージェント蓑輪: そうですね、僕なんかには一生手に入らないものでしょう。いやぁ、小野瀬さんは大変意識が高い方ですね、見習わないと。わかりました、検討しておきます。もう得るものはなさそうです、インタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー後、エージェント蓑輪は小野瀬氏のDクラス降格を財団日本支部理事会へ申請し受諾された。小野瀬氏はDクラス職員となり[編集済]の実験にて終了された。財団は小野瀬氏の一連の言動により、摂取者は有用であるものの組織の統制を乱す要因になりえることから摂取者のみで構成された機動部隊し-274"猿山の宴"の編隊を決定した。

自分をなくした虚しさと持っている他人への嫉妬にすら気づけない人間もどきは、ここからいなくなるほうがそりゃ幸せだろうよ。 ― エージェント蓑輪

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