SCP-2299-JP
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SCP-2299-JP

アイテム番号: SCP-2299-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2299-JPはサイト8102内の指定された低危険度区域であれば自由な行動をとることが許可されています。一日に二度、キャットフードやサバ缶などの餌と新鮮な飲み水が、特設されたケージ内に用意されます。

説明: SCP-2299-JPは灰色の縞模様がある無性別のイエネコのような見た目をしています。未知の手段での日本語による会話を行う点を除けば、食事や多くの日常動作において一般的な他のイエネコとの相違はみられません。財団が行った人間用の精神鑑定テストでは、10~20代の好奇心旺盛な女性という結果が示されました。SCP-2299-JPが自称する"だいたい███歳くらい"は、現時点でその確証が得られたわけではありません。

SCP-2299-JPには外性器や肛門といった器官が存在せず、呼吸や生理反応の兆候は見られるものの、内視鏡を用いた体内検査では臓器が一切確認されず、カメラは完全な暗闇を映し出しました。CT検査やMRI検査、エコー検査等による診断結果は、すべてSCP-2299-JPの体内が皮下組織以内より空洞であることを示しています。SCP-2299-JPの体毛は抜け落ちず、また生え変わることもなく、いかなる手段を用いても摘出・切断することができません。これと同様に、SCP-2299-JPのあらゆる体組織は完全に破壊不能であり、このためSCP-2299-JPに対するDNA検査や精密な解剖実験は実質的に不可能と考えられています。SCP-2299-JPの協力のもと行われた、表皮及び口腔内粘膜の直接的な顕微鏡検査により、確認されたSCP-2299-JPのすべての体細胞が細胞分裂を行っていないことが判明しました。SCP-2299-JPは、財団によって収容されてからおよそ██年の間、老化の兆候を見せていません。

SCP-2299-JPは、高知県██村で████/██/██に発生した民家の倒壊事故に巻き込まれ、瓦礫の間で身動きが取れなくなっていたところを地元の消防団によって救助され、「瓦礫に押しつぶされたのに、怪我もなく元気な猫がいる」という噂を調査していた財団エージェントがSCP-2299-JPを引き取り、収容に至りました。目撃者及び関係者には、カバーストーリー『九死に一生を得た猫』が流布されました。

SCP-2299-JPの発話方法を初め、その出自や年齢、代謝の有無や取り込んだ食物がどこへ消えているのか、SCP-2299-JP自身の証言(会話ログ:SCP-2299-JPを参照)も曖昧で不明な点は数多くあるものの、本人の主張や実験・観察の結果から、SCP-2299-JPの身体能力は一般的なネコと同程度であると考えられています。

対象: SCP-2299-JP

インタビュアー: 霜日博士

付記: 以下の文章は、SCP-2299-JPに対して行われたインタビューの音声記録を書き起こし、編集したものです。

<録音開始>

霜日博士: 新しい家にはもう慣れましたか、SCP-2299-JP?

SCP-2299-JP: ええ、おかげさまで。とても快適よ。口の中にごちゃごちゃした機会を入れられなければもっとね……。

霜日博士: あなたの協力には感謝しています。

SCP-2299-JP: そうしないと私はお腹を切られちゃうんでしょ? アジの開きみたいに。

霜日博士: それが出来れば、ですがね。……あなたはアジの開きを食べたことがあるのですか?

SCP-2299-JP: あるのよ。とっても美味しかった。いつどこで食べたのかは忘れちゃったけどね。

霜日博士: そうですか。……いえ、今日お呼びしたのは他でもない、今のように、あなたの過去のことについていろいろとお聞かせ願いたいのです。

SCP-2299-JP: 過去のこと……あんまり昔のことだと、もう覚えていないこともたくさんあるわよ?

霜日博士: 結構です。では、まずあなたがいつどこで生まれたのか、覚えている限りで構わないので、話していただけますか。

SCP-2299-JP: ……私、ただの猫よ? 小さかったころの記憶なんて、もう少しも残ってないわ。ただ……そうね、以前人の家に置いてもらっていたことがあったんだけど、私、しばらくしたら追い出されちゃったの。あんまりにも長生きだ、なんて言われてね。

霜日博士: それはどれくらいの期間でしたか?

SCP-2299-JP: 私が住むことになったとき、その家には小さな男の子がいたんだけど、その子が若い奥さんを貰って家を引き継ぐことになった頃くらいのことだったと思うわ。その少し前から、家の人には邪険にされることが増えて、しまいにはご飯も貰えなくなるし、変な格好をした人に大声で怒鳴られたり棒で叩かれたりするのが何日か続いて、それで嫌になって家出したのよ。そうそう、話していたら思い出して来たわ。

霜日博士: なるほど。では、覚えている限りで最も古い記憶はどんなものですか?

SCP-2299-JP: 古い記憶ね……。最近は周りの景色がすぐ変わるから、印象に残ってることも多いけど。たしかあなたたち人間は、一番初めに出会ったときは今ほどきれいな感じじゃなかったし、脆弱そうに落ち着いた様子でもなかったと思うわ。もっとなんていうか、野性味があった、かしら。その人たちに会う前は、大きな動物をたくさん見たわね。恐竜っていうの? 最近は見なくなっちゃったけれど。……ええと、この話、長くなるかも。

霜日博士: 構いません。続けてください。

SCP-2299-JP: 今の私みたいな動物だとか、大きなコケみたいな植物だとかが現れ始めたのより前は、ずっと雨が降ってたと思う。そうそう、私がここに来た時、地球はとっても暑くって、どこもかしこも溶岩だらけだったわね。そこへたくさん、嘘みたいにいっぱい隕石が降っていて、私もその一つに乗って地球に来た……そうそう、最初はとってもわくわくしたわ。ずいぶん久しぶりだったのから、あんなに色んなものが目まぐるしく動いているのを見るのはね。今は、もう慣れちゃったけれど。

霜日博士: 久しぶり、というと?

SCP-2299-JP: 待ってね、順番に思い出すわ。ええと、来るときに乗っていた隕石は、宇宙に浮いていた私に急にぶつかってきたの。すごい衝撃だったからよく覚えているわ。その前は……すごく長い間、もしかしたら、地球へ来てから今までに経過した時間よりも長い間、ずっと宇宙に浮かんでたと思う。でも私はそう、猫だから、身動きがとれるわけでもなく、ただずっと何処かへ流されているのを感じながらじっと過ごしていたわね。ただずっと、小さな星の光があって、景色はとても綺麗だったけど、変化なんてなくて。退屈だった。頭も今ほどはっきりしていなかったと思う。……そうね、覚えているものと言えば、あれは……なんだったのかしら、綺麗な水色の彗星が見えたことが一度だけあったわね。遠目には大きな水晶みたいに見えたけど。それでその前となると……うーん、ええ、そうよね。それまでずっと、あたりは真っ暗で、真っ黒だったから……。あら、何の話をしていたかしら。

霜日博士: あなたが、太古の地球の景色のことを、久しぶりに見たと言っていた話です。

SCP-2299-JP: そう……そう、ええとね、もう少しだけ先になるかも……。ええと……えーと……。
霜日博士: 真っ暗で、その前の話ですか?
SCP-2299-JP: 真っ暗だったのだけど、急に大きな、とっても大きな、あれは爆発? なのかしら、何か遠くで、弾けたものがあった。弾けたものはどんどん大きく広がって、それに飲み込まれたと思ったら、私の周りには無数の星が輝いていたのよね。私、話をまとめるのが苦手ね。ごめんなさい、聞くのも大変だと思うけれど。
霜日博士: 問題はありません。一度お休みになられますか?

SCP-2299-JP: いえ、大丈夫。……あんなに近くであの爆発を見たのは、たぶん初めて……うん、記憶にはないわ。でも、星の中に浮かぶのは、それが初めてじゃなかったの。以前に何度もこういうことはあって……。とても長い間星々の中にいると、やがてそれも終わりが来て、そうすると今度はもっとずっと長い時間の真っ暗闇がやってくる。そういうのを、何度も何度も繰り返してね……。その……、ここと似たことがあったのは、それを何回かしら、はっきりとした数字はあんまり数えたくないんだけど、十回や百回じゃなかったと思うわ。

霜日博士:

SCP-2299-JP:

<録音終了>

終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]


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