Mission001 Start Stars

 夏休みのある日の夜の事でした。寝ているとき、お腹にチクッと痛みを感じたような気がしました。そして声が聞こえてきました。

『やっと会えたね。我らのお姫様。』
「お姫様?あなたはだあれ?」
『僕らは星の世界に住む一族だよ、そして君は僕らのお姫様なのさ。』
「星の世界の一族?」
『そうだよ、今すぐにでも君を迎えに行きたいけど色々大変でね、準備の途中だから少しだけ待って欲しいな。』
「そうなんだぁ。それで、さっきのチクチクはなんだったの?」
『ああ、それは我々からお姫様へのプレゼントさ。どんな物かは、朝起きてからのお楽しみ。』

 そして、朝起きたらお腹にお星様が付いていました。


2010/11/2 16:40 サイト-8141

 東京都郊外にある財団の収容施設、サイト-8141、ここは比較的収容難易度が低めの人間型オブジェクトが収容されている。施設自体の外観は刑務所に偽装されているため、周辺住民に怪しまれていない。
 更に意外かもしれないが、このサイトには託児所がある。財団の働く親職員の心強い味方だ。

「楓兄ちゃん、早く早く〜。」
「いやいや、少し休ませてよ…。マジで死んじゃうから…。」

 子供たちに囲まれ、息が上がっている男性は財団エージェント源 楓。コードネームはメイプル。急用でサイトから出張している同僚であり女友達のエージェント石長 杏奈(コードネームはアマリリス)の代わりに託児所の子供たちの世話を頼まれていた。子供たちの中でも特に活発な女の子の果穂ちゃんにもっと遊んでとせがまれる。

「やーだ!えーじぇんとさんの体力はむじんぞうだって聞いたもん。だからまだ遊ぶの!」
「聞いた?誰から?」
「杏奈お姉ちゃんから。」
「あいつ…。」

 杏奈のヤツ、とんでもない嘘を子供たちに吹き込んだようだ。帰って来たら小一時間問い詰めよう。インタビューや尋問の練習にもなるだろうし。


2010/11/2 18:00

 辺りがすっかり暗くなって、他のエージェントや研究員の人達が職員宿舎棟に続々と帰ってきた。彼らの中で託児所を利用している人達とその子供たちと別れの挨拶を交わす。
 まだまだ果穂ちゃんは遊びたいと駄々を捏ねていたが楓は優しく「また明日ね。焦らなくてもまた遊べるからね。」と声を掛けて頭を撫でてあげた。
 果穂ちゃんは涙目になりながらも頷いて親の元へと駆け寄って行った。

「ありがとねかえ君、お疲れ様。」
「いや、構わん。好きでやってるだけだから。」
「そんな事言ってカッコつけちゃって〜。でも本当に助かったよ、かえ君意外と面倒見良いよね。」

 いつの間にか戻っていた杏奈と会話を交わす。さっきまで問い詰めようと思っていた事を彼女の笑顔を見ると忘れてしまった。
 そう思っていると、杏奈は真剣な表情になった。

「あとさ、お疲れ様のところ申し訳ないんだけど…。」
「なんだ?」
「この後、収容区画に来てくれるかな、ちょっと手伝って欲しいことがあってね。」

 収容区画に来いということは新たなオブジェクトが収容されるのだろうか。どんな内容であれ人手は多い方が良い。楓は二つ返事で了承し杏奈と共に収容区画へ向かった。


サイト-8141 オブジェクト収容区画

 夜の帳が降りてもここには夜勤や残業をする研究部門の職員たちが多く居た。そんな彼ら一人一人に「お疲れ様さまです。」と挨拶をしながら、オブジェクト搬入口に向かった。

「お疲れ様です。桑田先生。」
「おお、お疲れさん。」
「かえ君に杏奈ちゃん、お疲れ様。」

 搬入口に着くと、残業中の桑田 君子研究員が待って居た。楓と杏奈は彼女のチームに所属していて、彼女の護衛やサンプル採取、そして彼女が作った武器の試験運用が現在与えられている職務だった。

「すみません。お待たせしましたか?」
「いやいや、ちょうどいいタイミングよ。2人ともお疲れ様。付いてきて2人とも。」

 桑田研究員に言われた通りについて行くと、オブジェクト搬入口に着いた。そこには『UMBULANCE』の文字が書かれた白い車両があった。

「救急車かぁ…、嫌な思い出が…。」
「あいつの怒鳴り声が浮かぶぜ…。」

 2人は戦闘訓練で救急車を遮蔽物にして他エージェントと交戦して間違えて破壊してしまった事を思い出した。
 その間に救急車の後部扉が開いた。救急隊員に偽装したエージェントや雑用係のDクラス職員達と共にそこに乗っていたのは、小学生位の女の子と水槽に入ったヒトデだった。女の子の方は火災から逃げ遅れたのか服がボロボロで黒い煤が付いていた。

「運ぶの手伝って。」
「了解、俺は水槽ですね。おい、そこのDクラスも、手伝え。」

 一番近くにいたDクラスに声をかける。重いものを運ぶのは男の仕事、そして二人で運ぶものと相場が決まっている。Dクラスは「何で俺なんだよ」と言いたそうにしながらも手伝ってくれた。
 ヒトデの水槽はSCP-020-JPの収容室の右隣の空いていた収容室に運ばれ、女の子は怪我の治療と異常性検査の為にICUに運ばれた。


2010/11/8 09:35 東京都新宿歌舞伎町

 楓はいつもの潜入先であり故郷のような場所でもある歌舞伎町に来ていた。高校生時代は所謂不良少年と言われる存在だった彼はよくサイトから逃げ出してここで喧嘩に明け暮れていた。エージェントになってからはここで要注意団体の動向を調査しつつ、街のトラブルを解決して資金を得ている。探偵(という名目の便利屋)として街に溶け込んでいる。

「いつもの事だがこの街、時間帯関係なく人が多いな。」

 繁華街という場所は独自の生態系のようなものが知らず知らずのうちに構成されている。飲食店や風俗店だけでなく芸能プロダクションやそこに仕事を持ち込む広告代理店、どっちつかずな警察官や情報屋、そしてそれらに寄生して資金を稼ぐ暴力団。といった具合に様々な「生き物」が生息している。

「ねぇねぇ、ちょっと位イイじゃん。俺らと遊ぼうよネーチャンさぁ。」
「うーん、遊びたいけど、ちょっとタイプじゃないっていうかぁ…。」

 更に付け加えて、こういった人に迷惑かける事しか能のないチンピラや不良達もだ。太り気味の男が二人と細身の男一人で構成されたチーマー集団が女性に因縁をつけていた。
 楓は舌打ちしながらナンパ集団に近づいて挑発する。

「おい、そこのガキども。」
「なんだぁ?」
「女の子虐める男の子はダサいよってママから言われなかった?」
「なんだヒーロー気取りの厨二病患者か?俺ら3人に一人で勝てると思ってんのか?あ?」

 不良達は数で勝っている事をアピールしてくるが楓は余裕の笑みを浮かべながら更に挑発を重ねる。そしてその様子を見て野次馬が寄ってくる。

「3人?ちょっと頭数足りないんじゃない?」
「なんだと?もう我慢ならねぇ!今なら謝れば2人とも見逃してやる。どうなんだ?」
「謝る?ああそうだな、今からお前らぶちのめすけどごめんね?」
「クソっ、そこまで言うならやってやるよクソガキが。」

 不良はそう言うと、右手で拳を作って殴り掛かる。楓は当たる寸前でサイドステップで不良の右側に回り込む。そして目の前にあった不良の右耳に反動を利用して手刀を当てる。突然の衝撃に耳を抑えた不良の隙を突いて左手で髪の毛を無遠慮に引っ張りあげる。

「痛い、やめてぇ…。」
「君、名前は?」
「足利だよ…。」
「それじゃ足利君、歯ぁ食いしばれっ!」

 楓は右手で鉄拳を鼻を狙って食らわせる。鼻血を吹きながらアスファルトの路面に倒れ込んだ不良の腹を力強く踏みつける。不良はしばらくもがいたが気を失って動かなくなった。無力化完了、残敵2。

「さてと、次は誰にしようかなっと。」

 楓は呟きながら2人を交互に指差す。そして、頭の中で次狙うターゲットを決める。耳障りな甲高い声をあげる細身の男だ。ターゲットをロックオンした瞬間から野次馬達が本格的に騒ぎ出した。

「おい、喧嘩だ!喧嘩だぞ!」
「お?なんだ?やれやれぃ!」
「刺激が欲しかったのよ、魅せてもらおう。」


2010/11/8 歌舞伎町 『Stylish Combat Productions』事務所

「メイプルの奴、またやってるよ。」

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