ミーメティックおばあちゃん

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:

説明: SCP-XXXX-JPは伝達されることで異常な記憶を生成する故人の情報です。現在、9例発見、収容されています。発見された順に番号SCP-XXXX-JP-X(Xには数字が入る)をふられています。

SCP-XXXX-JP-Xの情報が異常な記憶を持つ人物から他者へ伝達されることで異常性が現れます。情報の伝達は機器を通さず、口頭で行われなければなりません。この情報の伝達は、発信者と受信者の持つSCP-XXXX-JP-Xへの人物像がほとんど一致した時に成り立つと考えられています。生前のSCP-XXXX-JP-Xの情報を知っている人物へは、異常な記憶を保持している人物がそのエピソードを伝えることが異常な記憶の生成条件となります。記憶の生成は一度異常な記憶を持った人物には現れず、その記憶を消去した場合でも再度発現することはありませんでした。

SCP-XXXX-JPの生成する記憶は、情報を受け取った人物のエピソード記憶にSCP-XXXX-JP-Xが現れる形をとります。記憶の中のSCP-XXXX-JP-Xの行動は周りの物や人と自然な形で相互作用します。又、SCP-XXXX-JP-1の服装や持ち物は状況に適したものに変化します。この生成された記憶は受信者のエピソード記憶から新たに作られるようで、元々の記憶を思い出すことも可能です。生成元となる記憶の選択基準は明確には分かっていません。生成された記憶と一致する事象は実際には起きていないことが確認されています。

SCP-XXXX-JP-Xの持つ姿や知性は引き継がれます。記憶が生成された段階で伝えた情報からは再現できないようなSCP-XXXX-JP-Xの情報(細かな容姿、声色、行動パターン)も想起されています。これは高い連続性を持ち、明らかにSCP-XXXX-JPの持つ異常性の1つだと考えられています¹。

SCP-XXXX-JP-Xは生成した記憶での影響や知識を保持していることが確認されています。例えば以前の記憶でケガを負った場合にはケガした箇所をかばう仕草が確認され、また、以前の記憶で得た知識に言及する事例も確認されました。この影響は行動として現れるだけでなく、SCP-XXXX-JP-Xの容姿や印象にも現れます。例えば生前の情報と比べ若く見える、活動的に感じると指摘された事例があります。この変化は伝達された情報のズレの積み重ねから生じるものなのか、異常性によるものなのかは分かっていません。

発見経緯: SCP-XXXX-JP-1は、SCP-XXXX-JP-1の葬儀において孫である██研究員によって発見されました。親族の中に事実と一致しない記憶について語る人物が複数現れたことから、██研究員が財団に通報しました。初期調査の為に調査チームが送られその異常性を確認し、その後記憶処理と異常性を抑える欺瞞情報が流布されました。初期調査において生じた収容違反(██研究員と調査チームの2名のエージェントが異常性により財団サイト内、財団業務内にSCP-XXXX-JP-1が現れた記憶を生成された)は許容できるリスクと見做されています。異常性が再度発現しない特性から彼らは研究チームに配属され、SCP-XXXX-JPの直接の分析を担いました。

実験記録: SCP-XXXX-JP-1を用いて異常性の解明の為に長期間での実験を行いました。収容までにSCP-XXXX-JP-1は異常な記憶を21回生成していました。被験者には記憶処理を行い財団内での記憶を消去してから実験を行いました。ここでは特徴的な事例を記します。

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実験記録0001 - 日付2015/03/23

被験者: D-13437

記憶の内容: 観光地として有名である██にて群衆の中に現れた。SCP-XXXX-JP-1の行動は一般的な観光客と変わらない。

分析: 収容下における初めての異常性の発現。仏像や寺院の内装に興味を示したり、土産物屋で食品を買ったりと生前の行動パターンから外れていない。又、歩みの遅いSCP-XXXX-JP-1を他の観光客が避けるように歩いた。この事から、他の人の行動も自然な形になるよう変化させると考えられる。

実験記録0014 - 日付2015/03/26

被験者: D-13492

記憶の内容: 被験者が幼い頃に訪れた遊園地に現れた。幼児である被験者が転んだ際、近くに居たSCP-XXXX-JP-1が立ち上がるのを手助けした。その際、幼児である被験者に労わる言葉をかけ、服についた埃を手で払った。

分析: 被験者との交流が初めて確認された事例。生前の音声データとの比較では被験者は同一人物であることを認めた。

実験記録0031 - 日付2015/04/01

被験者: D-17563

記憶の内容: 冒険写真家███氏の個展に現れた。SCP-XXXX-JP-1は███氏と会話を交わしていた。

分析: ███はSCP-XXXX-JP-1の知人であり、好みの写真家であった。この事から生成元となる記憶の選択傾向にSCP-XXXX-JP-1の嗜好が影響している可能性を指摘されている。

実験記録0068 - 日付2015/04/08

被験者: D-17706

記憶の内容: ████大学にて初学者向けの英語の講義を受講した。SCP-XXXX-JP-1は熱心に学習していた。

分析: この事例以降もいくつかの言語を学習している姿が確認されている。

実験記録0124 - 日付2015/04/19

被験者: D-18005

記憶の内容: ██山にて、すれ違った登山客の中に現れた。トレッキングステッキを2本装備し登っていた。

分析: ██山の登山道は舗装されており登りやすい道ではあるが、SCP-XXXX-JP-1が享年89歳であり、生前関節の痛みを訴えていたことに留意。又、死亡時の外見より若い印象を受けたと指摘された。

実験記録0244 - 日付2015/06/03

被験者: D-23764

記憶の内容: フランス共和国の██に現れた。SCP-XXXX-JP-1は現地の人とフランス語で会話を交わしていた。

分析: 生前のSCP-XXXX-JP-1はフランス語を未修得であり、異常性発言以降に学習したものと思われる。従って、記憶の間で知識を保持していると考えられる。

実験記録0803 - 日付2015/10/24

被験者: D-70768

記憶の内容: 富士山の山頂に現れた。

分析: 当時の富士山登頂の女性の最高齢は92歳であることに留意。被験者から得られたモンタージュ画像は生前の75歳前後の顔貌と類似している。

実験記録1173 - 日付2016/01/19

被験者: D-02003

記憶の内容: イギリス、ケント州████にてウェットスーツで現れた。

分析: ████海峡の横断に成功したものと思われる。

実験記録1781 - 日付2017/02/06

被験者: D-04743

記憶の内容: 被験者の読んだ新聞の記事としてSCP-XXXX-JP-1の情報が現れた。エベレスト登頂に成功したと記事は伝えていた。

分析: 当時のエベレスト登頂の最高齢は80歳であることに留意。被験者から得られたモンタージュ画像は生前の60歳前後の顔貌と類似している。これで七大陸最高峰全てを踏破したことになった。

実験記録1933 - 日付2018/01/01

被験者: D-00343

記憶の内容: 被験者の読んだ新聞の記事としてSCP-XXXX-JP-1の情報が現れた。インタビュー記事であり、SCP-XXXX-JP-1が宇宙へ飛び立つことを伝えていた

分析: インタビュー記事の抜粋を以下に記す。

[一行空ける]
インタビュー/実験記録/補遺: [内容文]

Footnotes

1. 連続した10回の実験でのSD法による印象評価では相関係数がr>0.6であり、モンタージュ画像の比較ではほとんど一致していると評価できます。生前の音声データとの比較では全被験者が同一であるか、ほぼ同一であることを認めました。

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