SCP-2416-JP
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アイテム番号: SCP-2416-JP

オブジェクトクラス: Keter ☺

特別収容プロトコル:
 SCP-2416-jpはサイト████の特別収容シェルターで、耐衝撃アクリルケース内に保管されています。また、収容する際は100枚で一括りにし、輪ゴムで束ねて保管してください。現在の収容総枚数は35388枚です。1輪ゴムが経年劣化で千切れた場合は、Dクラス職員を用いて適時交換をしてください。現在このオブジェクトを用いた人体実験は禁止されています。
 このオブジェクトに対する直径2メートル以内への12歳未満の児童を持つ職員の接近は、高い収容違反の可能性があるため許可されていません。
 万が一該当する職員の接触が確認された場合、その職員のセキュリティクリアランスを一時的に停止した後に直ちに拘束してください。また、2時間以内にフィールドエージェントを派遣し、児童の保護を行う必要があります。
 この保護は該当する職員へのクラスC記憶処理の後、職員への十分な予後観察が行われ、財団の医療職員の接触許可が下りるまで続きます。

 新たにこのオブジェクトが発見された地域にはクラスA記憶処理剤の散布した後、カバーストーリー「アレルギー成分を含む不良品の回収」によって封じ込めを行ってください。

説明:
 SCP-2416-jpは大きさがL判大(89×127mm)の台紙(SCP-2416-jp-a)に貼られた絵文字がプリントされたシール群(SCP-2416-jp-b)です。絵文字のデザインはUnicodeに登録されている顔文字で統一されており、いずれのデザインにおいても異常性の差異は報告されていませんが、人間以外を表す絵文字の出現は現在確認されていません。裏面はそれぞれ鼠色をしており、ロット番号などの記載はありません。

 SCP-2416-jp-bは直径1センチの円形で一般的な粘着力を裏側に有し、物品や人間以外の動物に貼った際には容易に剥がすことが可能です。人体に貼られた場合、これらは異常性を示し、不明な原因によって剥がすことが出来なくなります。また、剥がす行為以外の破壊行為にも強固な耐性を誇り、切る、燃やす、ふやかす、破く、薬品に漬けるといった行為が成功に至った事例はありません。

 SCP-2416-jp-bを明確に人体に貼り付けた場合、その箇所から貼りついたまま取れなくなり、██日後、その周囲にランダムなデザインの顔文字の
SCP-2416-jp-bが出現し、その後は間隔を空けながら、次第に指数関数的に皮膚を覆い尽くし、対象を死亡させることが確認されています。爪や指先で台紙から剥離するなどといった、糊面への接触面積が著しく少ない場合は異常性は確認されていません。また、SCP-2416-jpを構成する要素は人の皮膚組織と同一であることが判明しています。

 SCP-2416-jpは2014年█月6日、
兵庫県███市の██病院小児科より初めて発見されました。同病院では季節性
インフルエンザに対する予防接種会場が設けられており、多数の保護者がこの
オブジェクトと接触したと考えられています。発見当時は上記予防接種において、SCP-2416-jpは児童へのご褒美として配布されていました。現在未回収を含む総枚数は不明であり、財団では地域の子供会や家電量販店などの、
子供に配布物があり得る会場にエージェントを潜入させ、追跡調査を行っています。

インタビュー記録: [2014/██/██]

対象: [エージェント佐武氏] 
同氏はクラス2エージェントであり、
休暇中に7歳の息子(安行くん)を
最初に発見された当該病院のインフルエンザの予防接種に
連れて行っていた。
オブジェクトに対する異常性が確認された後、
佐武氏宅には地元の児童相談員に扮した他エージェントが
到着し、安行くんの保護を行いました。
安行君は保護当時全身の██%をシールで覆われており、
重篤なアレルギー反応を引き起こしていました。

インタビュアー: [森山博士]

<録音・記録開始, >

森山博士:
なぜこの場が設けられているかは理解できますか?

佐武:
はい、えーと。あの、前回の定期面談から日が経っていない
ですが、う、うちの息子のことですか? 仕事には支障はないですが

森山博士:
その通りです。安行くんと、あのシールについて質問させてください

佐武:
いいですよ。やましい事なんてありませんから

森山博士:
はい。率直にお聞きしますが、佐武さんは安行くんに
イラっとした時に八つ当たりをしたり、
暴言を吐いたりしたことはありますか?

佐武:
[10秒ほどの沈黙]私は聖人君子じゃありません。
多少、その、言葉が荒くなったりとかはしたと思います。
ですが、児相を呼ばれるほどの事をした覚えはありません。
門限を破ってまでゲームをしたり、宿題を嘘ついてまで
やらなかったりして、そういう時に怒鳴ることはありますが、
それを……虐待だっていわれるのは……心外です

森山博士:
私はあなたの教育方針を非難するためにこの場を設けている
わけではありません。これはあの
シールに関する事実確認のインタビューになります。
あなたはあの場で、子どもにどうしてシールを
与えようと考えたのですか?

佐武:
子供って、シールが大好きじゃないですか。
ほら、ホビー雑誌にもよくついてるくらいですし。
私も子供の頃は好きでした。だから予防接種のあと、
頑張ったねって渡そうと思ったんです

[博士はここで、SCP-2416-jpの写真を見せる。
エージェント佐武氏の目の色が変わり、
写真を両手で持ち至近距離で観察し始める。
やや興奮しているが、それ以外に変化なし。]

佐武:
そうそうこれです。このシール何処にあるんですか?

森山博士:
それはお答えできません。このシールを見て、
何か感じることはありますか?

佐武:
すごく子供が好きそうなデザインだと思います。
クラスで流行っているって息子が言ってたし、
似たシールを女の子がノートに貼ってくれたって
はしゃいでました。で、このシールはどこに?
息子に貼ってあげないと

森山博士:
先ほど言ったように、このシールをお渡しすることは
出来ません。息子さんに貼ってあげると仰っていましたが、
シールは普通、人の体でなく物に貼るものでは?

佐武:
何を言っているんですか? シールは子供に
貼ってあげるものですよ? そりゃあ、割れ物注意とか
そういうのは段ボールに貼りますけど。
普通はシールと言えば子供に貼るものです

森山博士:
なるほど。分かりました。では続いて、
安行くんの現在の状態について聞かせてもらえませんか?

佐武:
息子はいいい今インフルエンザで入院中です。
すごいタイミングでで、ですよね。
せっかく罹らないように受けに行ったのに、
もうインフルエンザだったなんて。変な話でっですよね。
予防接種の前っ日までいつもどおり元気にゲーム
しつ……ってたのに。ていうかお……かしくないですか?
子供がインフルエンザになっただけで、
怒鳴ってるって通報履歴があるからかかか隔離って……

[エージェント佐武は若干の躁状態になり、
若干の吃音症状を起こしている。]

森山博士:
実を言うと、息子さんはインフルエンザではなく、
そのシールで起きた異常な現象で入院をしています。
ご自身でその結果に対し、責任感を感じることはありますか?

[博士がシールに対し批判的な質問をすると態度は急変。
徐々に肩を震わせ、激しく憤慨している様子を見せはじ
める。]

佐武:
え……なんでそんなこと言うんですか?
大体、シールごときで子供が入院なんかするわけない
じゃないですか? せいぜいかぶれるぐらいでしょう?
それをどうして私のせいに……いや、そのシールのせいだって
言うんですか? その素敵なシールが何かしたって言うんですか?
確かにこの職場はそういうものを収容する場所だって
ことは理解してます。してますけど、
地元の病院で配られたシールまで
アノマリー呼ばわりされちゃ、どっちがパラノイアだって
話じゃあないですか? 博士はあれですよ、研究のし過ぎです。
面談を受けたほうがいいのは貴方の方ですよ。
分かったらあのシールの場所を教えてもらえませんか?
熱を出して苦しんでる息子を励まさなきゃいけないんです。
貴方みたいな独身の売れ残りには分からないと
思いますけどねぇ?

[佐武氏は口汚く博士を罵り始め、
軽蔑の態度を取り続けた。]


森山博士:
シールの場所はお教えできません。繰り返しの質問になりますが、
あなたはあのシールを安行くんに貼ってから後悔していますか?

佐武:
だから言ってる意味がわかんないって言ってるじゃない!!
どうしてそう私を悪者扱いするの!!
シールをよこせ! シールをよこせ!
私はあれを貼らなきゃいけないのよ!!

[佐武氏は歯をむき出して唸りながら威嚇を行う。
唾液が机に垂れ、髪を振り乱し半狂乱になる。]

森山博士:
落ち着いてください!!


佐武:
ジール!! ジール!! 寄越ぜー!!

[機動部隊員に取り押さえられる音。
獣のような唸り声。]


<録音・記録終了>

終了報告書:

佐武氏は机を力いっぱいに引き離すと大きな音を立てて椅子から
立ち上がった。博士に対し奇声を上げ胸ぐらを掴みかけたが、
待機していた機動部隊員数名によって取り押さえられ、
鎮静剤を投与された。

補遺1:
予防接種会場にて担当を務めたK医師に対するインタビュー記録

「ええはい。あのシールですね。実はあれ、本来配るつもりがなかったん
 ですよ。毎年予防接種なんてねえ、やってますから。そのたびに
 渡すわけにもいかないし。第一子供が多すぎますからね。
 それに高学年の子は要らないって言うこともあるし。不思議でしたね。
 あのとき、不意に保護者の一人が『シールいただけますか』って
 聞いてきたんです。なんのことだって思ってたら、
 助手がいつの間にかダンボールいっぱいにシールを持ってきてて。
 いや本当、いつ持ってきたのか知らなかったですけど。
 それでまあ、あるんならいいかなって思って。渡したんですよ。
 変なのはそれだけじゃない。その保護者、ダンボールの蓋が開く前から
 シールをくださいって言ってたんですよ。
 まるで最初から入っていることを知っているかのように。
 それからはもう、次から次へと。ちっちゃい子ならなおさら。
 しかもね、子供が別にいらないって言っても、やってくる保護者が
 『いるでしょ!』ってキツく欲しがる。私が
 『でもお子さんが要らないって言ってますし』と言っても聞かない。
 人によってはかっぱらうような形で取っていきましたね。
 いやはや、子育てって大変なんですね。うちには子供がいないから、
 そういう親御さんの機敏に疎くて。小児科医のくせに情けない。
 あのシールでかぶれてしまった子は本当に災難だったと思います。
 来て頂ければ、ウチでも診るつもりですから、いつでも
 いらっしゃってくださいね」

補遺2:

 後日、佐武氏は隔離室から脱走。警備していたDクラス職員を殴り飛ばしたあと、異常な怪力を発揮しアクリルケースを粉砕。自分の体に大量にシールを貼り続け、5分後にアナフィラキシー反応によって死亡しました。
このインタビュー記録により、このオブジェクトには児童を持つ人物に対して
原因不明の高い中毒症状を起こす可能性が高いと判断されます。
この際、佐武氏の全身が瞬く間にシールに覆われていることがDクラス職員の証言により明らかになっています。
 また、児童心理カウンセラーに偽装した覆面エージェントによる、シールの入手経路についての質問に対し、安行くんのクラスメイトの女子生徒はそのようなシールは持っていないと答えました。安行くんは佐武氏へのインタビューの日から█日後、死亡しています。


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