SCP下書き「因(おおぐち)」(バックアップ済)

SCP-XXX-JP - おおぐち

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!!!COGNITOHAZARD WARNING!!!


当該報告書は異常な認識災害的影響のキャリアです。閲覧の前には7.5以上の認知抵抗値(Cognitive Resistance Value:CRV)を有すると認定される必要があります。


お使いの端末のカメラに、右目、左目の順で10cm以内に眼球を近づけ、5秒以上瞬きをせずにカメラを注視してください。


[報告書ファイルにアクセスする]


ようこそ。マスターキーをお受け取りください。次のサーカスの開演はam09:30からになります。

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8104の電子保管庫に収容されています。電子機器などでSCP-XXX-JPを撮影すること、及びSCP-XXX-JPに言及する文書を作成することは禁止されています。SCP-XXX-JP-αは原則破棄され、当該報告書のみ情報共有の為に保管されています。当該報告書は閲覧者がCRV値7.5以上であることが確認された場合のみ開示され、不要な昏睡現象を予防します。

来てしまったか。

説明: SCP-XXX-JPは██社から1975年~1997年まで販売されていた、ブリキ製のシリンダー・オルゴール1の容器です。同時期に活動していたサーカス団「伊織いおり江野えのワンダフルサーカス」のテントを象ったものですが、内部にオルゴールは存在せず代わりにヒトの脳が入れられています。この脳は生存の為の大半の器官が存在せず、また適切な衛生状態に置かれていなかったにも拘わらず、現在まで生存していることが確認されています。

SCP-XXX-JPに言及している文書や、SCP-XXX-JPの写っている写真及びその写真が含まれる文書(SCP-XXX-JP-αに指定)は認識災害的影響を帯びており、CRV7.1以下の人物が視認すると(以降、視認した人物を対象と呼称)内容が「ラファーランド(Laugherland)」という架空の遊園地の宣伝広告に見えるようになります。この時、実際のSCP-XXX-JP-αに変化はありません。SCP-XXX-JP-αを1分~3分2閲覧した場合、99.8%の対象は「ラファーランドに行きたい」という強い欲求を訴え、約30秒後突然昏睡状態に陥ります。一度昏睡した対象が覚醒した例は現在まで確認されていません。

SCP-XXX-JP-αの認識災害の内容は時刻3によって変化します。以下は、Dクラス職員を用いた実験により判明した内容です。

分類番号 時刻 説明
SCP-XXX-JP-α-1 08:00~15:59 カラフルなポップ体のひらがなで構成され、キャラクター等のイラストが多様された、ラファーランド内アトラクション「わたあめのくに」の紹介ポスター。「わたあめのくにには甘いお菓子からジューシーなお肉まで、食べたいものが何でも揃っている」という内容である。
SCP-XXX-JP-α-2 16:00~23:59 全体的にピンクや紫がかった配色の、ラファーランド内アトラクション「酒池肉林」の紹介ポスター。筋肉質な男性や色白な女性の裸体の写真が多く載っており、「文字通り酒池肉林の、あらゆる肉欲が許される禁断の森へいらしてください」という内容である。
SCP-XXX-JP-α-3 00:00~07:59

混乱しているかもしれない。だが、まずは落ち着いてくれ。

補遺1: 1992/05/23、SCP-XXX-JPは東京都の幽幻ホテル4別館の「ホール・マリアンヌ」で発見されました。当時、当該ホテル別館では廃業に伴う取り壊し作業が行われており、作業員の1人がSCP-XXX-JPを貴重品と判断した為、当時のホテル責任者中川 █氏に電話で報告しました。中川氏が写真を取るように言ったため、作業員はSCP-XXX-JPの写真を撮影しました。約2分後当該作業員が意識を喪失し、駆けつけた2名の作業員も写真を視認した結果意識を喪失した為、「写真を見た同僚が次々と倒れた」という通報がなされました。これを受け、警官として潜入していたエージェントが当該写真及びSCP-XXX-JPを回収、関係者全員にクラスA記憶処理を施しました。

補遺2: 幽幻ホテルの関係者に行ったインタビューから、SCP-XXX-JPがホール・マリアンヌのホールスタッフだった横島 ██氏の所有物であったことが判明しました。横島氏の自宅を調査したところ、SCP-XXX-JPのものと思われるオルゴールや、約10年前に執筆されたと思われる「ラファーランド」の構想ノートが発見されました。

……取り敢えず、こっちに来て話そうじゃないか。



八代五郎博士 - サーカス・ドーム2階席F13 - 次は何を見ようか

さて、こんばんは。君も遂にここに連れ去られてしまったようだね。しかし、わたあめのくにでも酒池肉林でも終寝室でもなく、このサーカス・ドームにやって来れたとは、やはり君は立派な財団職員だったようだ。尤も、私も含め、もうあちらへ戻ることは不可能なようだが。

……取り敢えず、何か飲み物でも頼もうか。売り子さん、ビールを2杯。

1992年1月18日 am09:30


瓜子 - サーカス・ドーム2階席通路 - 楽しいサーカスの相棒に、キンキンに冷えたビールはいかが?

はい、どうぞ。素敵な∞日を!;D

1992年1月18日 am09:30



八代五郎博士 - サーカス・ドーム2階席F13 - うーん、きめ細かい泡!

ありがとう。

1992年1月18日 am09:30



八代五郎博士 - サーカス・ドーム2階席F13 - ここは実に良いところだよ

ほら、飲むといい。まあ、飲んでも飲まなくても、ここでは酩酊なんて自分の意志でできるのだがね。

……それでは、まずはここが一体どこかについて話そうか。もしかしたら想像がついているかもしれないが、ここはSCP-XXX-JP-αで言及される夢の遊園地、「ラファーランド」そのものだ。SCP-XXX-JP-α-1の「わたあめのくに」、SCP-XXX-JP-α-2の「酒池肉林」、SCP-XXX-JP-α-3の「終寝室」といったものはラファーランドのアトラクションであり、この「サーカス・ドーム」の外にある。営業時間は心配ない。ここは24時間365日、常に1992年1月18日の午前9時30分だ。ここの時計が壊れてしまっているから、全てのアトラクションは勝手に独自の時刻を主張して、ずっと、終わることなく営業している。だから、好きなアトラクションを好きなときに好きなだけを楽しめるというわけだ。内容は把握しているだろうね?報告書にある程度書いてあるし、君はポスターの内1つを見てここに来たはずだ。

1992年1月18日 am09:30



八代五郎博士 - サーカス・ドーム2階席F13 - 欲するがままに全て叶う

我々が元いた場所からここまで来る鍵は「欲」だ。顕在的・潜在的問わず、満たされていない己の中の欲求。SCP-XXX-JP-αの認識災害の内容は、いわゆる三大欲求が何の枷もなく達成できる、まさに夢のような話だ。それを見て、このラファーランドに「行きたい」と思った瞬間、精神、つまり魂が肉体を発ち、ここへとやってくる。だからこそあれは宣伝広告なんだ。

だが、勿論それに耐える人間は出てくる。ちょうど君がそうだね?三大欲求を刺激されても何とか己の精神を律し、最後までSCP-XXX-JP-αを読みきった。本当に立派な財団職員だと思う。だが、それでも、否、そうだからこそ、君は最後の罠に引っ掛かった。多分、「正常な報告書を閲覧してください」だとか書いてあったんだろう。それだ。それが君をここへ連れてきた。

人間にあるのは三大欲求だけじゃない。「知識欲」があってこそ、人類は学び、知識を蓄え、ここまで文明を発展させてこれたんだ。その知識欲が、SCP-XXX-JP-αから手渡された最後の鍵だったんだよ。報告書を閲覧しにこのファイルまでやってきたのに、検査を経て開示されたファイルは全く以て異常だった。そこに「正常な報告書」への道を提示されたら、そりゃあそのまま進んでしまう。特に、君のような財団職員ならね。

そうして、君は知識欲のままに行動し、ここにやってきてしまった。このサーカス・ドームが象徴するのは知識欲。あの舞台で催される演目は、君が知りたい全て。舞台に向けられた我々の視界は共有されておらず、個々が欲する知識があそこに浮かぶんだ。ある時は映像、ある時は語るピエロの声、ある時は写真のようにポーズをとる、色とりどりのペンキに塗りたくられたダンサーたち。全ては望むがままに。全ては欲するがままに。あちらで手に入れられなかったものが、ここでは手に入るんだ。全く、こんな素晴らしいところがあるということを、もっと早く知りたかったよ。

1992年1月18日 am09:30



八代五郎博士 - サーカス・ドーム2階席F13 - 恐れるな、身構えるな。流れに身を任せよう

……つらいか。苦しいか。早くあちらへと帰りたいか。わかるとも、私もここに来てすぐはそんな感じだった。でも、あらゆる努力は無駄だったよ。どうやっても、ここからあちらの状況を知ることはできない。ドームを飛び出して、わたあめのそらを、酒池肉林を、終寝室を飛び出して、ここの外をずっと探したりもしたよ。だが、どこまで行っても果てはなく、こことあちらの境界すら見つけられなかった。

恐らく、もう我々は手遅れなんだ。一度ラファーランドの誘惑に、4つの欲求の罠に負けてしまった者は、二度とここから抜け出せない。何故なら、それが我々の望みだから。精神は瞬時にここに飲まれ、適応し、全てが叶うことに飽きもしなくなる。永遠の享楽なんて苦痛でしかないと思っていたが、ここの特性か、苦痛なんて全く感じないんだ。何もかもが素晴らしく、何もかもが美しく、何もかもが最高に見えてしまう。この欲求の果ての世界から抜け出すことは、己のどこかで欲求を捨てられない……いわゆる、悟りの境地に達していない我々には、不可能なのだろう。恐らくは。

……だから、もう肩の力を抜くことだ。逃亡の夢は全て砕かれている。ならば、内なる欲求に素直に従って、ここのアトラクションを楽しもうじゃないか。繰り返すが、ここでは全てが叶う。かつて恋い焦がれた想い人にだって会えるし、子供の頃欲しかったあのおもちゃだって手に入る。過去・現在・未来、あちらの人生の中で諦めた全てがここに現れる。それが、ラファーランド。まさにこれこそ夢の国。もう何も考えず、手放しでこの贈り物を喜ぼう。ビール片手に、豪華絢爛なサーカスでも観賞しよう。

1992年1月18日 am09:30


The-Circus-Will-Never-End.jpg

さあ、ショーの始まりだ。


ビール
https://www.photo-ac.com/main/detail/1643522?title=%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AD%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%88%87%E3%82%8A%E6%8A%9C%E3%81%8DPSD

サーカス
https://pixabay.com/ja/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9-%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0-%E9%A6%AC%E8%A1%93%E5%AD%A6%E6%A0%A1-%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%84-%E8%A1%A8%E7%A4%BA-828680/


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