SCP下書き「神木」

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███島の衛星写真(1981/06/13撮影、追加)

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Keter

特別収容プロトコル: ███島はカバーストーリー「米軍の実弾射撃場」によって外部から隠匿されます。███島の周辺800ⅿの範囲(範囲と呼称)は米軍駆逐艦に偽装した5隻のSCPSが巡回し、範囲に接近した船舶に対し同様のカバーストーリーを用いて███島から距離を取るよう警告します。警告を無視して範囲への侵入を試みた船舶へは、SCPSによる警告射撃や直接的な攻撃を行います。SCPSは███島から10mの範囲へは接近しません。

███島周辺に生息する体長1m以上の生物は捕獲され、███島から離れた地点へと移送されます。SCP-XXXX-JPによる感染が拡大した場合、SCPSが感染した生物の焼却任務を負います。

インシデントXXXX-JP(補遺XXXX-JP.4を参照)以降、███島への上陸は禁止されました。上陸した人物の回収は原則行われません。

説明: SCP-XXXX-JPは伊豆諸島に属する███島1全域の地中に根を張るように存在する、主にヒトのDNAを持った筋肉で構成される有機体です。通常の状態では皮膚・骨・臓器・体毛・神経は確認されていませんが、恒温性を有しており、表面の脈動や肉体の変形・運動を行います。SCP-XXXX-JPは███島南に存在する無名の集落の中心部(地点XXXX-JPに指定)でのみ地中から露出しており、おおよそ広葉樹のような形をとっています。また成人した人間程度の知能を有しているようであり、捕食時を除き地点XXXX-JP以外で地中から出ることはありません。加えて、SCP-XXXX-JPが███島外部へ肉体を移動させた事例は確認されていません。補遺XXXX-JP.4を参照してください。

自身から約2mの範囲に動物が侵入すると、SCP-XXXX-JPは肉体の一部または全体を最高約300m/sで動かし、対象を捕獲します(捕食と呼称)。この時、対象が防護服などで防護していた場合SCP-XXXX-JPは強引にそれを破壊2し、対象に直接接触します。SCP-XXXX-JPに物理的に接触した生物はSCP-610によるものに酷似する感染を受け、感染の完了後肉体の一部としてSCP-XXXX-JPに吸収されます。この為か、SCP-XXXX-JPの細胞には同一でないヒトのDNAやヒト以外の動物のDNAが存在し、存在する細胞の場所に規則性は見られません。なお、SCP-610とは異なり非生物・非動物には感染しない為、空気中の微粒子を媒介しての感染を含む、物理的接触以外での感染は発生しません。

補遺XXXX-JP.1: 歴史

███島は江戸時代まで流刑地として用いられており、流刑を受けた罪人達によって集落が形成されたものと推測されています。当時は███島に幕府の役人が勤務していたという記録が残っていますが、当時からSCP-XXXX-JPが存在していたのか、或いは罪人をはじめとする来訪者によってSCP-XXXX-JPが持ち込まれたのかは不明です。少なくとも、1920年の国勢調査における人口調査の段階ではSCP-XXXX-JPは███島の大部分に存在していたようであり、この時調査隊がSCP-XXXX-JPに捕食されたことで蒐集院はSCP-XXXX-JPの存在を認知しました。

しかし当時、日本にはシベリア出兵や世界恐慌、関東大震災などによって異常存在に対応する余力がなかったこと、SCP-XXXX-JPは接近しなければ害をなさないことなどから、蒐集院は陸軍省や海軍省と協力し、大日本帝国国民に対してカバーストーリー「███島には軍部の施設が存在する」を、米国をはじめとする諸外国に対して「███島には危険な実体が存在する為日本軍は駐留していない」という情報を流布し、詳細の調査をせずにSCP-XXXX-JPを隠匿しました。また、そのカバーストーリーを無視して侵入しようとする船には攻撃や船員の逮捕が行われ、███島への接近は周辺の島の住民の間で禁忌とされました。

蒐集院が財団に吸収される過程でSCP-XXXX-JPの情報が財団に渡った為、1946/07/24に財団は███島の(第1次)探査計画を立て、SCPSうみぼうずによって機動部隊う-50「開墾兵」を派遣しました。上陸から7分後、全ての隊員は地中から出現した数十本の触手に捕食されました。この時、隊員が起動していた映像に、10歳前後に見える少年及び「誰?」という音声が記録されました。

同年08/11、財団は第2次探査計画を立てDクラス職員による探査部隊を派遣しました。この際、第1次探査計画において少年が生存していたことを受け、探査部隊に少年の音声を流しながら███島に侵入させました。結果、SCP-XXXX-JPは探査部隊を1度も襲わず、探査部隊は無事に集落へ到達しました。集落南西に位置する神社と思しき廃墟の境内において、SCP-XXXX-JPの露出部及び少年の遺体が発見されました。

集落の墓地には溶岩製の共同墓地が存在していましたが、内部に存在する遺体は3体であり、その全てが死後3週間~4週間でした。また、集落の全ての田畑にはごく最近まで手入れされていた痕跡が残っていました。島には少年のものの他にも複数の足跡が存在していました。

SCPSうみぼうずによって、少年を含む発見された遺体はサイト-8154へ移送されました。少年の音声を流していた為か、SCP-XXXX-JPはこれを妨害しませんでした。

同年08/12、探査部隊の隊員が「SCP-XXXX-JPから話し声が聞こえた」という報告をしました。少年の音声を流しながら同隊員をSCP-XXXX-JPに接近させ、会話を試みさせたところ、SCP-XXXX-JPから触手が伸び若年男性のような形状に変形し、触手からの未発見の方言による発言が確認されました。言語部門によりこの方言の言語学的解析が行われ、同年09/02に改めてインタビューが行われました。以下はその内容です。

インタビューログXXXX-JP/001

映像記録

インタビュアー: 岩永博士

対象: SCP-XXXX-JP

付記: 全ての会話は標準語へと訳されて記録されています。


<抜粋開始>

[少年の音声を再生しながら、岩永博士と機動部隊う-51がSCP-XXXX-JPに接近する]

岩永博士: …失礼します。何とお呼びすれば良いでしょうか?

[SCP-XXXX-JPが変形し、触手が岩永博士の付近に伸びる。う-51が銃を構える。触手は徐々に、大まかに老齢女性に見える形に変化する。]

老齢女性に見える触手: 何とでも呼びなさい。樹は、タエだし、サブロウだし、キヨだけれど。

岩永博士: …あ、ありがとうございます。その……あなたは、一体何なのですか?

老齢女性に見える触手: 樹は、ゐおん様から産まれた者。死者の魄の器。そして…思い出せないわ、ごめんなさい。

岩永博士: そうですか。それで、お訊きしたいことがあるのですが、何故この集落には人間が少ないのでしょうか?

老齢女性に見える触手: それは、ええと…。

[再びSCP-XXXX-JPが変形し、もう1本触手が岩永博士の付近に伸びる。触手は徐々に、大まかに老齢男性に見える形に変化する。]

老齢男性に見える触手: 死者送りの祭りによって、死者は肉体を樹に与え、魄を樹に残す。そうだったな?タエ。

老齢女性に見える触手: ええ、ごめんなさい。サブロウさん。

岩永博士: 死者送りの祭り?

老齢男性に見える触手: ああ。あまり覚えてはいないが、村中で互いに互いの血を分け合う、そんな祭りだった。ここに死体が少ないのは、樹が食らったからに過ぎん。

岩永博士: …魄ということは、魂とは異なるのですね?

老齢女性に見える触手: そう。魂は既にここにはない。あるのは、死者の記憶、魄だけ。樹はそれに従って動くのみ。私も、ここにいるようで、本当は樹が演じているだけ。樹としての私と、タエとしての私がいるの。

岩永博士: なるほど。

老齢男性に見える触手: それで、お前は何者だ?この樹に何の用があるというんだ。

岩永博士: ああ、失礼しました。私は岩永、この場所と樹を調べに来たものです。

[再びSCP-XXXX-JPが変形し、もう1本触手が岩永博士の付近に伸びる。触手は徐々に、大まかに若年男性に見える形に変化する。]

若年男性に見える触手: なあ、本当に外の人間を村に入れて良かったのか?今ここで食っても良いんじゃないか。

老齢女性に見える触手: ダメよ。ヨウイチを預かってくれるかもしれない人なのだから。

老齢男性に見える触手: そうだ。ヨウイチを、早くこのおぞましい樹から離れさせないといけないだろう。

老齢女性に見える触手: もう、その話もやめて。ゐおん様の大切な樹なのに。

岩永博士: その、ゐおん様についてもう少し詳しく教えていただいても?

老齢女性に見える触手: 分かった。あれは…。ええ…。

老齢男性に見える触手: やめておけ、お前はもう…。 [ため息] 私が話す。あれは、70年も昔のことだ。罪人たちが流刑に処されたこの島では、元の集落の人間たちと、役人たちによる虐げがあった。彼らは穢れた罪人たちを忌避していたのだ。罪人たちは苦しみ、ひたすら御仏に助けを乞うた。そうして、ある日、その仏はやってきた。

岩永博士: ゐおん様、ですか?

老齢男性に見える触手: そうだ。ゐおん様は瞬く間に敵を殺し、その肉を混ぜ、この地に植えた。肉はたちまち芽生え、1本の樹となり、神木としてこの地に根を下ろした。罪人たちは彼に感謝したが、ゐおん様は長くは留まらず、やがてこの地を去っていった。死者送りの祭りを伝えてな。

岩永博士: なるほど。

若年男性に見える触手: でも、あんたはそれを嫌ってたよな。サブロウさん。

老齢男性に見える触手: 当然だ。あんなおぞましい儀式、やりたくもなかった。…結局、こうして樹に縛り付けられてしまったがな。

老齢女性に見える触手: でも、不安よね。あれから、死者送りのお祭りをちゃんとできていないし。

岩永博士: と言うと?

老齢女性に見える触手: ここにいる私たちの誰もが、もうお祭りの内容をあまり覚えてはいないの。だから、ヨウイチ以外が死んでしまった時、死者の魄はこの樹に留まらなかった。

岩永博士: なるほど。

若年男性に見える触手: なあ、それで、ヨウイチはどうしてるんだ?この前からずっと様子が見えないんで心配してたんだが。

老齢男性に見える触手: そうだ。あの子をここから解き放ってやらないと。

岩永博士: …少年のことですか?

老齢男性に見える触手: その、今お前の近くからしている声の主だ。祭りのような秘術をお前たちも使うようだが、まさか─

岩永博士: 問題ありませんよ。その…元気です。心配はありません。

老齢男性に見える触手: そうか。

老齢女性に見える触手: なら、良かったわ。

<抜粋終了>

第二次探査計画の結果、担当博士によってSCP-XXXX-JPのプロトコルが制定され、オブジェクトクラスはEuclidに分類されました。以下は、当時制定された特別収容プロトコルの内容です。

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: ███島はカバーストーリー「GHQの接収3対象」によって外部から隠匿され、米国統治下におかれます。███島の周辺500ⅿの範囲(範囲と呼称)は米軍駆逐艦に偽装した3隻のSCPSが巡回し、範囲に接近した船舶に対し同様のカバーストーリーを用いて███島から距離を取るよう警告します。警告を無視して範囲への侵入を試みた船舶へは、SCPSによる警告射撃や直接的な攻撃を行います。許可なく███島に上陸した人物の回収は、原則行われません。

███島に上陸する際は、第1次探査計画において記録された少年の音声を流すことが義務づけられています。上陸から10分経過した段階でSCP-XXXX-JPによる上陸者への危害が加えられていない場合、音声を停止しても構いません。

補遺XXXX-JP.2: 天然痘の流行

回収された遺体を調査した結果、全ての遺体は天然痘に感染していたことが判明しています。これを受け、███島全体を調査した結果、SCP-XXXX-JPが天然痘に感染していたと思われる痕跡が発見されました。当時の日本では天然痘が流行しており、███島外部の天然痘患者を捕食した可能性が高いと考えられます。

補遺XXXX-JP.3: SCP-XXXX-JPによる要請

1988/10/10、研究目的でSCP-XXXX-JPの体組織サンプルを回収する為に上陸したDクラス職員が、少年の音声を流していたにも拘わらずSCP-XXXX-JPに捕食されました。これを受け、機動部隊う-51が少年の音声を流しながらSCP-XXXX-JPに接近したところ、SCP-XXXX-JPから伸びる老齢男性に見える触手が機動部隊に会話を試みました。これにより、岩永博士が███島に上陸し、SCP-XXXX-JPにインタビューを行いました。

インタビューログXXXX-JP/002

映像記録

インタビュアー: 岩永博士

対象: SCP-XXXX-JP

付記: 全ての会話は標準語へと訳されて記録されています。


<抜粋開始>

岩永博士: それで、どうしたのですか?

老齢男性に見える触手: 消えかかっている。私が、私の魄が消えかかっているのだ。もう、私の名前すら思い出せない。覚えているのは、あの子の…ヨウイチのことだけだ。

岩永博士: それで、橙色の服の人間を捕食したと?

老齢男性に見える触手: やりたかった訳じゃない。気がついたら、私はヨウイチのことすら忘れてしまっていた。あの時、私は最早私ではなく、ただの樹になっていた。肉に飲まれたくない。消えたくない。

岩永博士: 落ち着いて─

老齢男性に見える触手: なあ、ヨウイチに会わせてくれないか?もう私のことなんか忘れているかもしれない。でも、それでも、あの子と話すだけでいい。全てを忘れてしまう前に、あの子と話がしたい。もう、私に残っているのはそれだけなんだ。

岩永博士: それはできません、サブロウさん。

老齢男性に見える触手: サブロウ…それが私の名前か。そうか。だが何故?ただ一言「大きくなったな」と言わせてくれるだけでいいというのに。

岩永博士: 申し訳ありませんが、そういう規則なのです。

老齢男性に見える触手: なら、せめて頼む。私を人間として死なせてくれ。私は今まで多くの人間を飲んできたが、私だって飲みたかった訳じゃない。この肉の身体が嫌で嫌で仕方がない。頼む。せめて、私が人間でいるうちに殺してくれ。

岩永博士: …努力しましょう。

老齢男性に見える触手: 頼む。私は、樹なんかじゃないんだ。私は、人間なんだ。人間を演じていたのではなく、人間そのものなんだ。

<抜粋終了>

補遺XXXX-JP.4: インシデントXXXX-JP

2003/09/19、SCP-XXXX-JPが肉体の一部を触手状に変形させ、███島から約5mに接近したツチクジラ(学名: Berardius bairdii)を捕食しました(インシデントXXXX-JP)。SCP-XXXX-JPが███島外部に出た初めてのケースであったことから、Dクラス職員を用いてSCP-XXXX-JPに少年の音声を聞かせるプロトコルが行われましたが、SCP-XXXX-JPは音声に反応することなく当該職員を捕食しました。

SCP-XXXX-JPが海上の生物を捕食する際、感染した生物の一部がSCP-XXXX-JPから逃れ、海中に感染が拡大する可能性が指摘されています。その為、担当博士により特別収容プロトコルの改定及びSCP-XXX-JPのKeterクラス再分類が提言され、その両方がO5評議会に受理されました。

SCP-XXXX-JPはSCP-610研究において有力なサンプルとなると思われる為、その破壊は無期限に見送られます。


想定タグ: サーキック keter scp-jp 人間型 場所 宗教 生物

画像
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