棍棒コン下書き ちぐはぐ

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クレジット

タイトル: SCP-xxx-JP - ちぐはぐ
著者: ©︎k-cal
作成年: 2019

アイテム番号: SCP-xxx-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPの収容室の壁は厚さ20 cm以上のコンクリートで構成され、進入口には鋼鉄製の二重扉が設置されます。収容室の周辺には常に武装した鎮圧部隊が滞在し、SCP-xxx-JPから何らかの音が発生している間は警戒態勢が敷かれます。SCP-xxx-JP内部から帰還した人物は必ず、収容室に取り付けられた機銃によって終了されなければなりません。現在、SCP-xxx-JPに対する実験は凍結されています。サイト-81██周辺で発生した全ての暴力的な死亡事件は、SCP-xxx-JP-3捜索部隊の捜査の対象になります。

+ 旧特別収容プロトコル

SCP-xxx-JPは内部を空にした状態でサイト-81██の収容室に収容されます。実験はセキュリティクリアランス3以上の職員の立会いの下、Dクラス職員を用いて行ってください。SCP-xxx-JPからラジオの音声が発生している場合、警備担当の職員は音声の発生終了までSCP-xxx-JPを観察します。

SCP-xxx-JP

説明: SCP-xxx-JPは上部に取り外し可能な蓋を有する木製の箱です。収容前は個人経営の██産婦人科でゴミ箱として利用されていたこと、また当該医療施設に持ち込まれる前にも複数の医療施設がオブジェクトを主に法外な廃棄物（特別管理産業廃棄物、[削除済]等）を処理するために用いていたことが当該医療施設に残された文書から明らかになっています。オブジェクトの発見時██産婦人科は既に廃業していましたが、廃業の経緯は従業員及び院長である██氏の行方が不明であるため、判明していません。SCP-xxx-JP-1内には何らかの敵対的な実体が存在することが判明しており、この実体はSCP-xxx-JP-2に指定されています。

SCP-xxx-JPからは夜間、不定期に音声が発生します。この音声は実在のラジオ番組を音源とするものとみられており、複数のラジオ番組を編集したものであることがわかっています。また、音声は距離及び遮蔽物による減衰の影響を受けず、半径1 km程度の距離まではどの地点でも変わらない音量で観測されます。SCP-xxx-JPがラジオの音声を発生させている間、SCP-xxx-JP底部はSCP-xxx-JP-1に指定される空間に接続されます。SCP-xxx-JP-1内部は基本的に病院のような設備を有していますが、装飾や設備の年代等に一貫性はありません。また、SCP-xxx-JP-1内部で映像撮影を行う試みは全て機器の不具合による失敗という結果に終わります。ただし、静画の撮影は可能です。SCP-xxx-JP-1内でもSCP-xxx-JPが発する音声を観測することが可能ですが、地点によって音量に差があることが判明しています。なおSCP-xxx-JPが音声を発生させる際、内部に入っていた物品は消失し、音声終了後も復元されません。GPS等によって物品の移動先を追う試みは全て失敗しています。

現在、インシデント-xxx-JP発生時に確認された未知の実体（SCP-xxx-JP-3）の捜索が続けられています。収容違反の経緯及びSCP-xxx-JP-3については補遺の"インシデント-xxx-JP記録"を参照してください。

探査記録I: 第一回探査の記録

+ 探査記録Iを開く

付記: D-xxx1は殺人罪で死刑判決を受けた36歳女性です。精神状態・健康状態共に良好で、特筆すべき点はありません。D-xxx1は懐中電灯及び無線通信が可能な撮影機器、連絡のための無線機器、1日分の携行食料を装備しています。

<記録開始>

D-xxx1: こちらD-xxx1。進入に成功しました。

[無線には多少のノイズがかかっているものの、概ね通信状態は良好。SCP-xxx-JPから発せられるラジオの音声はSCP-xxx-JP-1内でも変わらず響いている]

███博士: 了解。進入時はどんな感覚だった？

D-xxx1: ゆっくりと落ちていると思ったら、いつの間にか背中を押し出されるような感触に変わっていて、そのまま病院の廊下みたいなところに出ましたね。私が入ってきたと思われるところは……　眩しくて見えません。

███博士: 眩しい？　そちらは全体的に明るいのか？

D-xxx1: いいえ、全体的には薄暗いですが、入り口だけが光っています。

███博士: 了解。一応様子を撮影しておいてくれ。

D-xxx1: わかりました。あれ、動画撮影ができないようです。機材の故障でしょうか。

███博士: 異常性のせいかもしれない。予備で渡していた静画用のカメラはどうだ？

D-xxx1: こちらは問題なく動きますね。撮影します。[シャッター音]

SCP-xxx-JP-1内部から入り口を撮影した画像。

███博士: 画像が届いた。確かに入り口が異様に明るいな。廊下にある他の扉は開きそうか？

D-xxx1: [ドアノブを上下させる音] ダメですね。

███博士: 了解。それではそのまま進行してくれ。

[中略]

D-xxx1: 博士。

███博士: 何だ？

D-xxx1: この病院、何かおかしいです。なんというか……ちぐはぐな感じがします。

███博士: ちぐはぐ？　もっと具体的に頼む。

D-xxx1: はい。今までいくつかの部屋や廊下を通り過ぎてきましたけど、それぞれ材質やタイルの形がバラバラなんです。写真を見てもらっても分かると思いますけど、統一感がありません。

███博士: 確かにそうだな。他に何か違和感などは感じないか？

D-xxx1: ……これは主観ですが、時折誰かに見られているような気がします。

███博士: 了解。それでは探索を――

D-xxx1: [小さな悲鳴]

███博士: どうした？

D-xxx1: 天井から、何かを引きずるような音が。小さい音なので、そちらには聞こえていないかもしれません。あと、頭に何か液体のようなものがかかりました。

███博士: 液体？　燃えるような感覚や、痛みなどは？

D-xxx1: 特にはありません。ただ、 [D-xxx1の鼻息。匂いを嗅いでいるものと思われる] ……臭いです。

███博士: 了解。探索を続行してくれ。

D-xxx1: あの、まだ帰還できませんか？　そろそろこのラジオの音も、不気味で。

[ラジオの音声はコメディ番組に用いられる笑い声を繰り返している]

███博士: もう少し耐えてくれ。あと30分もしないうちに、帰還許可を出そう。

D-xxx1: わかりました。続行します。

[中略]

D-xxx1: 別の部屋に到着しました。

[ラジオの音声はいくつものニュース番組を途切れ途切れに放送している]

███博士: ありがとう。写真を撮ってくれ。

D-xxx1: わかりました。[シャッター音]

D-xxx1が撮影した画像。

D-xxx1: あの、そろそろ帰還のころ合いですよね。あれから何度か引きずるような音が聞こえて、見られているような感覚も酷くなってきて――

███博士: そうだな。そろそろ帰還しよう。

D-xxx1: はい？　もう一度お願いします。ノイズが酷くて聞き取れません。

[SCP-xxx-JP-1内のラジオの音声が徐々に大きくなっていき、D-xxx1の声の判別が困難になる]

D-xxx1: [判別不能]ですか？ [判別不能]。

[ラジオの音声は、ニュース番組から笑い声の繰り返しへと変化する]

███博士: D-xxx1！ D-xxx1！ その部屋から一旦退避しろ！ 何かがおかしい！

D-xxx1: よく[判別不能]せん。もう一度―― [大きな悲鳴]

███博士: 何があった！ 探索は中止だ、一旦帰還しろ！

[D-xxx1のものとみられる激しい呼吸音と、無線機器が衣類に擦れるような音。これらはD-xxx1が走り出したことを示唆している。]

D-xxx1: イヤ、イヤだ！ まだ[判別不能]!

███博士: おい、何かに遭遇したんだな！　どんな姿なんだ！

D-xxx1: [判別不能]てない。目が！ ヒトじゃ[判別不能]！

[激しい衝突音。D-xxx1が小さく唸る声]

D-xxx1: イヤだ、イヤだ。助けて……

[何かを引きずるような音。D-xxx1の声は徐々に遠ざかっていく。]

[ラジオの音声は徐々に小さくなり、やがて聞こえなくなる。この時点でSCP-xxx-JPとSCP-xxx-JP-1の接続は失われた]

███博士: ……人員を喪失。探索を終了する。

<記録終了>

探査記録II: 第二回探査の記録

+ 探査記録IIを開く

付記: D-xxx2は42歳男性。強盗致死罪で死刑判決を受けています。精神状態・健康状態共に良好ですが、財団に対してやや反抗的です。D-xxx2は懐中電灯及び撮影機器、連絡のための無線機器、1日分の携行食料を装備しています。

<記録開始>

D-xxx2: 着いたぞ。事前に見せられた写真と全く一緒だ。

[SCP-xxx-JPの周辺と同様、SCP-xxx-JP-1内部にはいくつもの番組を重ね合わせたようなラジオの音声が響いている]

███博士: 構造の変化はなしか。了解。何かを引きずるような音や、異様なにおい等はないか？

D-xxx2: ないね。先に進むぞ。

███博士: 了解。続行してくれ。

[中略。D-xxx2はD-xxx1と別のルートを通り探索する]

D-xxx2: おっと、下りの階段があるが、どうする？

███博士: 他に道は？

D-xxx2: 一応まっすぐ続く道と、3つ扉があるが。

███博士: では階段は下らずに、まっすぐ歩いてくれ。

D-xxx2: あいよ。[鼻歌]

███博士: おい。これは鼻歌か？　任務中だぞ。

D-xxx2: いいだろ。こちとらくだらないラジオを延々と聞かされて気が滅入りそうなんだよ。

███博士: だが、もしそれで重要な音を――

D-xxx2: あーうるさいうるさい。変な部屋についたぞ、ほら。[シャッター音]

D-xxx2によって撮影された画像。

███博士: ……酷く崩れているな。今までここまで破壊された部屋はあったか？

D-xxx2: ないね。初めてだ。床にでかい穴が開いているところもあるぞ。

███博士: 異様な臭いや音は？

D-xxx2: それもない。少し埃っぽいだけだ。……いや、少しにおうな。多分、瓦礫の下からだ。

███博士: 瓦礫の下を覗いてもらえるか？

D-xxx2: ああ。ちょっと待ってろ……　うえ、なんだこれ。紐みたいなのがたくさん。もしかして、へその緒か？　

███博士: 写真に撮ってもらえるか？

D-xxx2: ああ、今―― [D-xxx2は突然小声になる]　いやダメだ。

███博士: どうした？

D-xxx2: 向こうの部屋から何かを引きずるような音が聞こえる。一旦この部屋を離れる。

███博士: その音に近づくことは？

D-xxx2: 馬鹿野郎。ここで死ぬならあんたらに殺されたほうがまだ安心できる。

[D-xxx2は発声せずに移動する。無線からはラジオの音声とD-xxx2の吐息のみが観測できる。ラジオの音声は時折笑い声が挿入されることからコメディ番組を放送しているようだが、内容は聞き取れない]

D-xxx2: ふぅ。とりあえず音は聞こえなくなった。気づかれてもいないだろう。

███博士: その音を立てていた何かの姿を観察できたか？

D-xxx2: 直接は観察できてないが、あっちの部屋の床に薄く人の影みたいなもんは見えた。ここには人が住んでんのか？

███博士: 人か。そのような情報はまだないな。ありがとう。それで、どこまで戻ったんだ？

D-xxx2: 地下に向かう階段の手前のあたりだな。なあ、そろそろ帰りたいんだが。

███博士: まだもう少し探索してもらう。

D-xxx2: いや、さっきので結構ビビっちまってよ。誰かに見られている感じがするんだ。

███博士: 他には変な音が聞こえないか？

D-xxx2: 何かが滴るような音が聞こえる。だが何かを引きずったりするような音はないな。

███博士: 了解。今地下へ下る階段の付近にいると言ったな？

D-xxx2: ああ。そうだが。

███博士: ならその近くに扉があるはずだな？　そこが開くか調べてくれ。それが終わったら今日は帰還を許可しよう。

D-xxx2: あいよ。[ドアノブを動かす音] ここは開かないな。[ドアノブを動かす音] ここも開かない。どうせここも…… [扉が開く音] クソが。

███博士: 開いたな。入ってくれ。そこの写真を撮って終わりにしよう。

D-xxx2: あいよ。[シャッター音]

███博士: 特におかしなものはないか？

D-xxx2: ああ、ないね。この部屋はめちゃくちゃ臭い、それだけだ。それじゃあ帰還す[判別不能]

[ラジオの音声が突如として大きくなり、D-xxx2の声がかき消される]

███博士: D-xxx2！ 聞こえるか！

D-xxx2: ああ？　よく[判別不能]。焦ってるのか？　さっきま[判別不能]のによ。

███博士: 聞こえているかはわからないが、早く帰還しろ。前回と同じだ。

D-xxx2: よくわか[判別不能]帰るぞ。

███博士: 急げ。

D-xxx2: [判別不能]

███博士: 周囲に気を付け――

D-xxx2: うわっ！ 誰だお前、なん[判別不能]。こっちにく[判別不能]が！

███博士: おい、何と出会った。せめて写真には収めてくれ！

D-xxx2: クソ、[判別不能]足が、[判別不能]じゃない、違う！

[何かがたたきつけられる音。続けて無線機が何かに強く衝突する音]

███博士: 大丈夫か！　D-xxx2！

D-xxx2: やめてくれ、連れてかないでくれ！　おい、イヤだ、[判別不能]ないでくれ！　助け[判別不能]。

[何かを引きずるような音。D-xxx2の声は徐々に遠ざかっていく]

[ラジオの音声は徐々に小さくなり、D-xxx2の声は聞こえなくなる]

███博士: クソ。人員を喪失。探索は―― ん？

[非常に小さな音だが、D-xxx2の鼻歌が観測できる]

███博士: D-xxx2！ 生きているのか？ D-xxx2！

[D-xxx2からの返事はない。ラジオの音声は完全に聞こえなくなり、SCP-xxx-JP-1との接続は途絶]

<記録終了>

D-xxx2が最後に撮影した画像。

探査記録III: 第三回探査の記録

+ 探査記録IIIを開く

付記: D-xxx3は殺人罪で死刑判決を受けた32歳の男性。精神状態は良好で、身体能力は同年齢の平均値を上回っている。今回は前回生存が示唆されたD-xxx2の捜索も任務に含まれるため、Dクラス宿舎の部屋の関係でD-xxx2と面識があるD-xxx3が選出された。今回は襲撃に備えるため、以前までの装備に加え、閃光弾と煙幕弾を発射可能な銃器を装備している。

<記録開始>

[いくつもの音楽が不規則につなぎ合わされた音声が響いている]

D-xxx3: 進入完了。周囲の風景も事前情報通りです。

███博士: 了解。今日は地下を探索してもらうことになっている。事前の指示の通りに進んでくれ。

D-xxx3: わかりました。進みます。

[中略]

D-xxx3: 地下に向かう階段に到着しました。

███博士: 何か変わったことはあるか？

D-xxx3: そうですね、若干臭いです。腐臭に近いかもしれません。

███博士: わかった。それでは地下へ進んでくれ。

D-xxx3: はい。進みます。博士、少しいいですか。

███博士: 何だ？

D-xxx3: このラジオ、どこかで聞き覚えがあるのですが。

███博士: この音声は実際のラジオの放送を編集したものであるということが分かっている。君が聞いたことのある曲があっても不思議ではない。

D-xxx3: でもなんというか、そういう感じではないんですよね。誰かが歌っているのを聞いたことがあるような。

███博士: その話は後にしよう。どうだ？　何も見えてこないか？

D-xxx3: いえ、ちょうど階段を降り切ったところです。これは……　すごいな。

███博士: 何があった？

D-xxx3: [シャッター音] 今写真を撮りました。

D-xxx3によって撮影された画像。

███博士: これは、牢獄か？

D-xxx3: 扉はないですが、そのようです。すべての部屋に電気がついていますね。しかも、とても明るくて、暖かいです。

███博士: 他に変化は？

D-xxx3: 先ほどより臭いが強くなったような気がします。まだ進みますか？

███博士: もちろん。先に進んでくれ。

D-xxx3: わかりました。

[中略]

███博士: 先ほどのラジオの件だが。

D-xxx3: ああ、はい。どうかしましたか？

███博士: 私も聞いたことがあるような気がしてきた。もちろん、色々な音楽が混じっているからよく分からないが、そのうちの一つに聞き覚えがあるのかもしれない。

D-xxx3: [沈黙] もしかしてですが。

███博士: なんだ？

D-xxx3: D-xxx2の鼻歌ではありませんか？　彼の鼻歌は結構独特でしたし。

███博士: ……確かに、そうかもしれない。いかんせん音がまじりあってよく分からないが、その可能性はあるな。さて、今の状況は？

D-xxx3: ちょうどさっきの牢獄の道の突き当りですね。ここから右に曲がれるみたいです。

███博士: では曲がってくれ。

D-xxx3: はい。ああ、えっと、構造は先ほどの牢獄の道とほとんど同じで、牢が並んでいます。ただ、電気がついていないので暗いですね。

███博士: そうか。何か変化はあるか？

D-xxx3: 相変わらず酷い臭いです。それと、何かが滴るような音がしています。

███博士: 先に進めるか？

D-xxx3: はい。ん？

███博士: どうした？

D-xxx3: ちょうど暗闇に目が慣れてきたところなんですが、この道の突き当りのほうに何かいます。

███博士: もっと詳しく説明できるか？

D-xxx3: えっと、よくわかりません。多分、大きな塊みたいなものだと思います。

███博士: 了解。では細心の注意を払って進んでくれ。危険だと思ったら逃げるように。

D-xxx3: わかりました。

[D-xxx3は未知の実体に接近する。徐々にラジオの音が大きくなる]

███博士: ラジオの音が大きくなってきた。危険だと思ったら、すぐに撤退するように。実体の様子はどうだ？

D-xxx3: うっすら見えてきました。なんだろう、肉っぽいです。

███博士: 肉？

D-xxx3: ええ。もう少し近づかないとよく分かりませんが、なんというか、まとまりのない肉のツギハギのように見えます。

███博士: なるほど。実体の他には何もないか？

D-xxx3: えーっと。何かあります。あれは……　ラジオですかね。

███博士: ラジオ？　この空間に流れている音源か？

D-xxx3: わかりません。ですが、そろそろ危険そうなので帰還します。いいですよね？

███博士: 了解。許可する。

D-xxx3: では帰還します。

[金属製の物体が転がる音がする]

D-xxx3: しまった。何か蹴飛ばしてしまいました。これはなんでしょう。金属製の棒ですが、先端が細長いリング状になっています。耳かき、ではなさそうですが。よく見るとそこら中に落ちていますね。壁にも突き刺さっています。一応一本もって[判別不能]。

[ラジオの音声が再び大きくなり始め、D-xxx3の声が一部掻き消される]

███博士: D-xxx3なにか異常だ。すぐその場を離れるように。

D-xxx3: 大丈夫ですよ。もうす[判別不能]ますから。

███博士: 会話が困難になってきている。撤退しろ。

D-xxx3: すいま[判別不能]とれません。うわっ！

[依然大きいままのラジオの音声と、無線機が衣類と擦れる音]

D-xxx3: 来るな！　あっちに[判別不能]

[強い衝突音と、D-xxx3の呻き声]

D-xxx3: [判別不能]、やめろ、掴む[判別不能]

[何かを引きずるような音]

D-xxx3: イヤだ、俺をどこに[判別不能]

███博士: D-xxx3！　しっかりしろ！　D-xxx3!

[二度の小さな爆発音。閃光弾と煙幕弾を使用したとみられる]

███博士: おい、大丈夫か！

[激しい衝突音と何かが崩れる音]

[D-xxx3の激しい呼吸音と階段を駆けあがる音]

[ラジオの音声が停止するが、SCP-xxx-JP-1とSCP-xxx-JPの接続は失われていない]

D-xxx3: は、博士。聞こえますか？

███博士: ああ、聞こえる。大丈夫か？

D-xxx3: ええ。なんとか。ラジオの音も聞こえないので、もしかしたら倒したかもしれませんね。照明がついているところまで追ってこなかったので、光が苦手なのかもしれません。

███博士: 油断するな。今どこにいる？

D-xxx3: 地下へ行く階段のところです。

███博士: わかった。それじゃあ一旦帰還しよう。

D-xxx3: はい。ところで、少し気になったことがありまして。

███博士: なんだ？

D-xxx3: 今考えれば、あの塊はラジオを聞いていたんじゃないでしょうか。

███博士: どういうことだ？

D-xxx3: あの時の塊はラジオに向かって体を寄せていたように見えました。あと、これはアレに掴まれたときにわかったのですが、ここの空間のどこにいても聞こえていたラジオの音は、アレが出していたんですよ。掴まれた部分が音に合わせて振動していましたし、きっとアレはラジオを真似ていたんです。

███博士: なるほど。君の考えはわかった。他に、姿や形のようなものはどうだ？ ヒトに似ていたか？

D-xxx3: 動き出したアレは、確かに言われてみればヒトに似ていたかもしれません。でもそれにしては歪だった気がします。そもそも暗闇と煙幕で前はほとんど見えませんでしたし、必死だったので、姿はよく分かりませんでした。ただ、足をつかまれたときに、無数の何かが動いているような感覚がありました――　うっ。

███博士: どうした？

D-xxx3: ちょっと寒気が。地下を出てから、誰かに見られているような気がしていて。でももう出口ですからね。我慢します。

███博士: 待て、臭いはどうだ？

D-xxx3: 相変わらず酷い臭いですよ。あれ、でもさっきここを通ったときはこんな臭いは……

[液体が滴る音]

D-xxx3: あっ。

███博士: どうしたD-xxx3！　出口はすぐそこだ。帰還しろ！

[D-xxx2の鼻歌と類似した音声]

[強い衝突音]

[通信は途絶]

<記録終了>

最後に送信された画像。

補遺: インシデント-xxx-JP記録

+ 記録を開く

---

発生: 20██/█/█、SCP-xxx-JPから音声が発生し、プロトコル通り警備の職員がSCP-xxx-JPが観察作業を行っていたところ、蓋が開き内部からD-xxx1が帰還しました。これを受けて警備職員は担当研究者に連絡し、D-xxx1に対する応急手当の後、インタビューが開始されました。しかし、インタビューの最中突如D-xxx1が苦しみだし、D-xxx1の体内から未知のオブジェクト(インシデント後SCP-xxx-JP-3に指定)が出現しました。SCP-xxx-JP-3は近くにいた警備員及び研究者を襲撃、インタビューに使用していた部屋を脱走しました。本インシデント後、SCP-xxx-JPのオブジェクトクラスはEuclidに変更され、新たな特別収容プロトコルが策定されました。インシデントによる被害は行方不明者█名、死亡者は存在しませんでした。ただし、D-xxx1については遺体が発見されていないため行方不明扱いとされています。

映像記録: SCP-xxx-JP-3発生時に行われていたインタビューの映像記録です。

<記録開始>

██研究員: 突然ですが、あの後、あなたはどうやって帰還したのですか？

D-xxx1: よく覚えていません。アレに引きずられて、気が付いたらベッドに寝かされていました。それで、私は必死に走って、ここまで帰ってきたんです。そう、途中でアレに追われましたが、何とか逃げ切りました。

██研究員: アレ、というのはあの病院の空間にいて、あなたを襲った存在のことですね。その存在はどういった姿をしていましたか？

D-xxx1: ええと、目が、目がたくさんありました。それで、あっ……

[D-xxx1が頭を抱えてうずくまる]

D-xxx1: あたま、あたまが痛い……

██研究員: 大丈夫ですか？　インタビューは一度中止したほうがよさそうですね。今、救護班を……

D-xxx1: 人じゃなかった、人じゃなかった。目が、目が。

██研究員: 大丈夫ですか？　無理に話さなくても大丈夫ですよ。

[██研究員は無線で救護班を呼ぶ]

D-xxx1: 私を見ていた、見ていた、ちぐはぐだった。全部が、人が、ちぐはぐ、でも、ちぐはぐじゃなくなろうとしていた！ [悲鳴]

[D-xxx1は叫び声をあげて地面に倒れこむ。D-xxx1の身体は異常に振動している]

██研究員: クソッ！ なんだ！

[██研究員は出口に向かって後退しながら、警備部門に無線で連絡を取る]

D-xxx1: 彼らがちぐはぐなのは、どうなればいいか知れなかったからだ。

[D-xxx1の腹部を割いてSCP-xxx-JP-3が出現、出口に接近していた██研究員に飛び掛かる。██研究員は点灯し頭を打ち、昏倒する。]

[鎮圧部隊が到着し、SCP-xxx-JP-3を銃撃するも、効果は見られない。SCP-xxx-JP-3は鎮圧部隊へ飛び掛かる]

[跳ね飛ばされた隊員のヘルメットで監視カメラが破損]

<記録終了>

証言: 以下は避難の最中にSCP-xxx-JP-3に襲撃されたものの、生還した職員の証言です。

私は、食堂にいた同僚と避難していました。一緒に行動していたのは、10人くらいだったと思います。

避難の途中に後ろから悲鳴が聞こえて、振り返るとSCP-xxx-JP-3が職員を襲っているところでした。私たちは必死に走りましたが、隣を走っていた██はアレに掴まれて、そのまま地面に倒され、足をつかまれて引きずられていきました。

SCP-xxx-JP-3は、一見すると肉の塊でした。胴体はまるでミミズのような肉がうごめいていて、そこに手や足のようなものがついていたと思います。とにかく不格好で、体全体のバランスが異常でした。ただ、どこか人を模したような、そんな気がしました。小さな子供が作った粘土の人形のような、そんな感じです。

人を襲っているときのSCP-xxx-JP-3は、何か明確な殺意や敵意があるようには感じませんでした。鎮圧部隊が銃撃を浴びせている最中も、アレは不思議そうに、部隊を観察していたと思います。

私たちが施設の外に出ると、アレは追ってきませんでした。私たちはずっと出入り口を見ていましたが、アレが出てくることはありませんでした。

SCP-xxx-JP-3が今どこにいるかはわかりません。私たちの目を盗んで外に出たのかもしれませんし、もしくはSCP-xxx-JPの中に帰ったのかもしれません。あるいは、まだサイトのどこかに隠れているのかもしれません。

私は、一刻も早くSCP-xxx-JP-3と行方不明となった職員を見つかることを祈っています。しかし同時に、私はSCP-xxx-JP-3、そして行方不明の職員たちが見つかることをどこかで恐れてしまっています。これは財団の職員にあるまじき感情でしょう。ですが私は、アレが一体何のために私たちを襲っていたのか、どうしても知りたくないと思ってしまうのです。

復元された監視カメラの画像。

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  k-cal 03 Jan 2019 12:02

  棍棒コンの記事です。長くなってしまったので、色々と齟齬が発生していないか心配です。ご批評よろしくお願いします。

  ---

  批評に対するご意見・ご質問で返信が必要なものにつきましては、ディスカッションで返信の形で投稿いただいたうえで、PMにご一報ください。SB3のフォーラムは追っていませんので、ディスカッションへの投稿だけだと気づけない場合がございます。

  kyougoku08 04 Jan 2019 12:43

  読ませていただきました。

  謎の空間に繋がる奇妙な箱のオブジェクトでしょうかね。

  全体を通し、意味不明な部分があまり上手く活かせていないように思えました。意味不明な要素に一貫性はありますが、よくあるホラー映画のような表現に留まっており、特別に恐怖や疑問を想起させられることもなく、淡々と進みすぎているような印象を受けます。
  可能ならば意味不明な要素をもう少し明瞭にして、不明瞭な部分を際立たせてみてはどうでしょう。画像自体はとても不気味なものですので、各要素をホラーから離してもいいかもしれませんね。

  また、全体的に少々口語的な部分が多い印象を受け、財団の対応として違和感を覚える部分も多いですね。一度改めて見直してもいいかもしれません。

  + 以下、細かい点

  進入口には鋼鉄製の二重扉が設置されます

  "鋼鉄"という単語が曖昧な印象がありますね。もう少し具体的に書いてもいいかもしれません。

  サイト-81██の職員全員に無害であることを説明し、職員の不安を軽減しなくてはなりません

  これは個人的な意見ですが、少々財団らしからぬ印象ですね。

  SCP-xxx-JP-1内には何らかの敵対的な実体が存在することが判明しており、この実体はSCP-xxx-JP-1に指定されています。

  後半部分で異常空間をSCP-xxx-JP-1と指定していますし、此処の部分は何らかの編集ミスですかね。

  複数のラジオ番組をつぎはぎしたものであることがわかっています

  "つぎはぎ"は少々口語的な印象ですね。"複製、編集"等でもいいかもしれません。

  自然に蓋が開き内部からD-xxx1が帰還しました

  "自然に"が少々口語的な印象を受けますね。

  SCP-xxx-JP-3は近くにいた警備員及び研究者を殺害もしくは[検閲済]し

  個人的にはここでの[検閲済]は逆効果に思えますね。具体的に記入してもいいかもしれません。

  以上、個人的な意見ですが記事作成の一助となれば幸いです。

  k-cal 04 Jan 2019 14:06

  ご批評ありがとうございます。誤字等修正致します。
  コンセプトの固め方と伝え方にまだまだ甘えがあったようです。コンテストに間に合うかはわかりませんが、改善を目指します。

  ---

  批評に対するご意見・ご質問で返信が必要なものにつきましては、ディスカッションで返信の形で投稿いただいたうえで、PMにご一報ください。SB3のフォーラムは追っていませんので、ディスカッションへの投稿だけだと気づけない場合がございます。

  Fennecist 04 Jan 2019 16:58

  折り畳みの中身が結構気になりますね。引用構文と画像ブロックの相性が悪いからこういう、あまり見ない表記をなさっているのでしょうか。もしそうなら、画像ブロックを引用構文(のようなもの)の中に表示できるものがあります。

  [[div style="display: inline-block ; border: dashed 1px #444444 ; background: #F5F5F5 ; margin-left: auto ; margin-right: auto ; width: 700px ; padding:10px"]]

  これを使ってみてください。[[/div]]で閉じるのを忘れないでください。[[include]]等を使用していないので棍棒のルールにも抵触せず、安全です。

  あと、探査記録と補遺をこのように書くのであれば、吹き抜けた階段や塔(SCP-3333)のように折り畳みではなく補足ページを使うのも面白そうです。

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  今はあまり余裕がないので、査読は後程出来たらやらせてください。

  最後の編集 04 Jan 2019 17:00 by Fennecist さらに表示

  k-cal 04 Jan 2019 17:18

  ありがとうございます。探査記録と補遺を別ページにすることも考えてはいるのですが、可読性の観点から踏み切れずにいます。役立つ構文ありがとうございます。現状これを活用させていただきます。

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  Fennecist 05 Jan 2019 14:07

  しっかり拝読しました。

  SCP-xxx-JP-3について、説明で全く触れられていないのは報告書として致命的ですね（収容プロトコルで言及されているとはいえ)。おそらく収容違反を起こしているわけですが、職員を殺したあげくいなくなっている存在について補遺の折り畳みの中でしか言及しないのは、危険極まりないように思います。

  また実害が結構出ているのが不気味さを減衰させてしまっているように思いました。やたらと[検閲済]が使われているのも、ゴアな表現を想起させてきて、不気味とはまた違うものを思い起こさせられました。（英語だと検閲済も編集済もREDACTEDだと思うので、よくある編集済を使った方がいいのではないかなと思いました。)

  また、最後の証言がやたらと、余裕が感じられるというか……それに本当に個人的に

  ですが、その答えを知りたいとも思えません。

  いや、探せよ収容違反だぞ！と感じました。-3の目的を知りたくないのであればいいですが、現状は-3の在り処について知りたくないと言っているように思うのです。

  k-cal 05 Jan 2019 20:29

  ご批評ありがとうございました。確かにゴア部分は不要ですね。コンセプトがぶれてしまいます。収容違反記録については、全体的に見直しをいたします。

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  (account deleted) 06 Jan 2019 06:17

  ＞壁は厚さ20 cm以上のコンクリートで構成され
  構成ではなく、覆われ・囲われなどのほうがいいかもしれません

  ＞探査記録I: 第一回探査の記録
  ＞探査記録II: 第二回探査の記録
  ＞探査記録III: 第三回探査の記録
  おりたたみとかぶっていますので、この記載はいらないかもしれません
  なお、漢数字ではなく半角数字のほうがいいかもしれません

  ＞<記録開始>　<記録終了>
  太文字のほうがいいかもしれません

  ＞私が入ってきたと思われるところは……　眩しくて見えません。
  全角スペースがまじっているようです

  ＞D-xxx1: イヤだ、イヤだ。助けて……
  ＞D-xxx1: ええと、目が、目がたくさんありました。それで、あっ……
  ＞D-xxx1: あたま、あたまが痛い……
  ＞██研究員: 大丈夫ですか？　インタビューは一度中止したほうがよさそうですね。今、救護班を……
  ＞
  文末に「。」

  ＞そのうちの一つに聞き覚えがあるのかもしれない。
  ＞一応一本もって[判別不能]。
  漢数字ではなく半角数字のほうがいいかもしれません

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