名は体を表す

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アイテム番号: SCP-1144-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1144-JPは、サイト-81██にあるパスワード付きのロッカーに保管されます。このロッカー室に紙媒体を持ち込むことは、SCP-1144-JPとの混同を避けるために禁止されています。現在、SCP-1144-JPは428枚保管されています。SCP-1144-JPを用いた追加の実験は、現在凍結されています。

説明: SCP-1144-JPは210mm×297mmのコピー用紙1です。性質、見た目、質量などは一般的なコピー用紙と変わりません。破壊耐性も一般的なコピー用紙と同等です。

SCP-1144-JPは、その表面に人名が記載された場合、異常性を発生させます。SCP-1144-JP上の人名が書かれた箇所(以下、SCP-1144-JP-b)が損傷を起こすと、名前を書かれた人物(以下、SCP-1144-JP-a)に同様の被害を与えます。例として、SCP-1144-JPを燃やした場合、SCP-1144-JP-aに火傷、燃焼といった被害が起きます。この現象は試行回数を重ねるごとに重度化し、大抵10回目を超えると死に至る可能性が高くなります。試行回数に伴う症状の変化については実験記録を参照してください。なお、SCP-1144-JP-aの顔と名前が一致していない者が、SCP-1144-JPへSCP-1144-JP-aの名前を記載した場合、異常性は発生しません。また、SCP-1144-JP-bを消しゴムで消した場合も、異常性は発生しませんでした。

SCP-1144-JPは、制作者を名乗る人物の封書と共にサイト-81██に送られてきました。この封書により、山形県の██小学校で起きた事件(以下、事案-1144-JP)にSCP-1144-JPが関連していることが判明しました。事案-1144-JPは、当初原因が特定できておらず、「超常現象記録」として扱われていました。詳細は後述の補遺を参考にしてください。

以下、SCP-1144-JPを使った実験記録です。

補遺1: SCP-1144-JPを制作したという人物から、サイト-81██に封書が届きました。以下がその内容です。

拝啓

残暑厳しい折、財団の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

先日、██小学校で引き起こされた事件について、お知りおきいただきたいことがあり筆を執らせていただきました。あの事件は、私の作成したコピー用紙が引き起こしたものです。この封書と共にお届けしたコピー用紙が、そちらにあたります。このコピー用紙は名前が書かれた人物と自身を同期させます。私の技術力がなく、1枚につき7~10%ほどしか同期させることが出来ませんが。

もともとあのコピー用紙は「名前を書くだけで人を殺せるノート」を作ろうとして、私が独自に研究をしていたものでした。 私には殺したい人物がいたのです。████という者です。やつは私の家に侵入し妻を殺しました。また、それだけではなく私の娘も殺そうとしたのです。幸い、その前に私が帰宅し、やつを取り抑えることができました。 彼に対し私は死刑を望みました。しかし、日本の法制度上それが難しいこともわかっていました。ならば、せめて長期間の懲役となり、反省を促してもらいたいと思っておりました。

結果は、心神喪失に伴う刑事責任の不在により無罪。目の前が真っ白になりました。心神喪失は入院こそさせられますが、医者の判断で数年で退院することもできます。つまり数年後には、のうのうと元の世界に戻ることができるのです。控訴、上告を行いましたが全て棄却。奴の無罪は確定しました。 許せなかった。私は「法で裁けないのならば、自らの手で殺すしかない」と考えました。

私は「山澤化学工業」2の社員でした。異常な文具を作ることのできる環境にありました。会社には「名前を書いて燃やすと暖かくなる紙」と言って制作をしていました。試行錯誤の末、完成したのがあのコピー用紙です。当初の完成予想とは大きく外れましたが、目的さえ達成できれば何でもよかった。私は、実行に移しました。やつの名前を書き、カッターで切り刻みました。何度も何度も何度も何度も何度も。結果は成功。やつは切り刻まれました。

私はこのコピー用紙を処分するつもりでした。こんなものは存在してはいけない。世に出回れば、確実に悪用される。私自身も悪用せずにいられるか不安でした。その時、サンプルとして上司にコピー用紙を30枚ほど提出していたことを思い出しました。私は、上司に掛け合いました。「あの紙は、試行回数が多くなると重度化してしまい、火傷をする恐れがある。そのため、サンプルを処分したい」と。しかし、上司からは拒否をされました。「暗殺用の紙としてかなりの売り上げが期待できると、社長が大喜びだからな」と言われました。すでにこれの本質がバレていました。もう遅かったのです。

幸い、彼らは作成方法を解明できていないようでした。なので、私は口を噤みました。これが世に出回ることは避けたい。彼らの手元には数枚のコピー用紙しか残っていない。黙っていれば問題はない。…私は考えが甘かった。

事件の当日、私は██小学校に伺いました。娘の三者面談があったためです。時間より少し早く来た私は、娘の授業を見ようと教室に向かいました。仕事で忙しく、授業参観にも行ってやれていなかった。せめてもの償いと思い…。教室に着くと、私に気づいた生徒がこそこそ話を始めた。急に知らない大人がきたらそうなるだろう。それは私の娘まで届き、私が居ることに気が付いた。娘は後ろを振り返り、私へ手を振ってくれた。あの時の笑顔を私は忘れはしないだろう。教師が注意を喚起すると、生徒はすぐに前を向いた。小学生を相手によく指導が行き届いている。素晴らしい先生だと感心したと同時に事件が起こりました。

私が覚えているのは、目の前の教室が真っ赤に染まったこと。命だったモノがあったこと。

そして、弊社の遠隔操作チョークで

「はやくちょうだい」

と書かれたことです。

私は、すでに地獄に落ちていたようです。このコピー用紙を作った時点で。

コピー用紙の作成方法を知っている私を、彼らは血眼で探すでしょう。私は彼らに加担するつもりはありません。この手紙を書き終えたら、私は妻と娘のもとへ逃げさせていただきます。

どうか、あのコピー用紙を世に出さないでください。
お願いいたします。

敬具

補遺2:以下の文章は、事案-1144-JPが超常現象記録として登録されていた時の文章です。


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