母親もどきの子育てエッセイ

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クレジット

タイトル: SCP-1515-JP - 母親もどきの子育てエッセイ
著者: ©︎hyoroika09
作成年: 2019

アイテム番号: SCP-1515-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 一般人のアクセスを防ぐため、SCP-1515-JPは独立サーバーで管理・監視が行われます。またインターネットに投稿されたSCP-1515-JPに言及した情報はすべて削除され、発信主には記憶処理が施されます。担当職員はブログサービスサイト█████で作成された育児に関するウェブログ製作者の特定を行い、未発見のSCP-1515-JPを探査してください。

現在SCP-1515-JP-1-Cに指定されている██氏は、財団フロント企業管轄下の賃貸住宅への移住が完了し、監視状態にあります。SCP-1515-JP-1-Cの行動は逐一記録され、新たに作成されるSCP-1515-JP-Cと比較されます。

説明: SCP-1515-JPは株式会社██████が運営するブログサービスサイト、█████で更新されるウェブログです。少なくともSCP-1515-JPは3件確認されており、それぞれ作成日が古い順にSCP-1515-JP-A、SCP-1515-JP-B、SCP-1515-JP-Cに指定されています。いずれのSCP-1515-JPも更新頻度は月に2回程度であり、記事に対するコメント等への反応は行わず新規ページの作成のみを行います。また、それぞれに見られる文体上の特徴から、これら3件のSCP-1515-JPは同一存在によって作成されていると考えられています。

SCP-1515-JP内で「息子」あるいは「娘」として言及される人物はSCP-1515-JP-1(それぞれに対応したSCP-1515-JP-1はSCP-1515-JP-1-Aから-1-C)に指定されており、現在は██氏がSCP-1515-JP-1-Cに該当します。SCP-1515-JP-1-A、-1-Bに該当する人物の特定は既に完了していますが、SCP-1515-JP-1-AはSCP-1515-JP-Aの更新が停止した月に失踪。その1ヶ月後に遺体が近隣の██山で発見されており、SCP-1515-JP-1-Bも同様にSCP-1515-JP-Bの更新が停止した月から行方が分からなくなっています。これらがSCP-1515-JPによって引き起こされた事象であるか否かは、SCP-1515-JP事例の少なさから判明していません。現在までに確認されたSCP-1515-JP-1の特徴として、いずれも生物学的な両親と別居中であり、単身生活を行っていたことが挙げられます。

SCP-1515-JPの最も不自然な性質は、製作者に該当する人物が実在しない点にあります。SCP-1515-JPの内容は一貫して自身の子育てを紹介するエッセイであり、簡単なイラストや写真と共に日常の出来事とそれに対する感想が口語体で記述されています。その内容はSCP-1515-JP-1の行動を強く反映しており、例としてSCP-1515-JP-1-Cが原動機付自転車を購入した月は「ついに！バイク購入―！！」というタイトルのSCP-1515-JP-Cが作成され、購入した商品に乗ったSCP-1515-JP-1-Cを正面から撮影した写真が掲載されています。全てのSCP-1515-JP内において製作者と考えられる存在は、自身をSCP-1515-JP-1と同居している母親として記述しています。しかし後日行われた調査では、SCP-1515-JP-1の自宅から当人以外の人物が存在していた形跡は発見されず、不審な録音録画機器あるいは自宅外からSCP-1515-JP-1を監視する人物も確認されませんでした。

各SCP-1515-JPの概要:

	更新期間	備考	概要
SCP-1515-JP-A	2009年7月～2011年9月	SCP-1515-JP-1-Aに該当する人物は両親の虐待を受けており、行政機関により両親からの保護・隔離がされていた。	SCP-1515-JP-Aは軽度の鬱病を患ったSCP-1515-JP-1-Aとの付き合い方に苦悩する製作者の心情描写が中心に描かれています。またSCP-1515-JP-Aは記事へのコメントや評価数から、ある程度の閲覧者がいたと推測されています。SCP-1515-JP-1-Aが交通事故によって右腕を失う大怪我を負った記事では多数のコメントが寄せられましたが、その3ヶ月後に前触れなく更新が停止しました。
SCP-1515-JP-B	2014年11月～2017年11月	SCP-1515-JP-Bは棄児であり児童養育施設で生育し、2012年から単身生活をしていた。	主に複数の交際相手を持つSCP-1515-JP-1-Bと、その母親である製作者のやり取りが記述されています。2016年█月にSCP-1515-JP-1-Bが妊娠した際は、交際相手との結婚を希望するSCP-1515-JP-1-Bとそれに反対する製作者の口論が記事になっています。妊娠が判明してから3ヶ月後SCP-1515-JP-1-Bが水痘を発症し、死産。これを機に内容は一転してSCP-1515-JP-1-Bの精神面を慮るものへと変化しています。SCP-1515-JP-BもSCP-1515-JP-Aと同様に肯定的な評価がなされていましたが、唐突に更新が停止しました。
SCP-1515-JP-C	2018年1月～	██氏は2014年に両親を交通事故で亡くした後、行政等の補助を受け単身生活をしていた。	SCP-1515-JP-CはSCP-1515-JP-1-Cとの生活が比較的コミカルな文体で記述されています。2018年5月にSCP-1515-JP-1-Cが交通事故に遭い、それに関して書かれた記事がSNSで注目されたため多くの民間人にSCP-1515-JP-Cが認識されました。

補遺1: SCP-1515-JPはSCP-1515-JP-Cが最も早期に存在が確認されました。SCP-1515-JP-Cは██氏が交通事故に遭い、それに関して書かれた記事がSNS上で話題になったことから██氏本人の目に留まり発見されました。発見当初、本案件は何者かのストーカー行為によるものとして警察の捜査が行われました。しかしその後取調室で行われた警察との事情聴取を子細に記述したSCP-1515-JP-Cが作成されたこと、本来██氏のみが知りえるはずの情報が複数記述されていたことから本案件は財団の管轄下に置かれました。

+インタビュー記録1515-JP-1-Cを閲覧

対象: ██氏(SCP-1515-JP-1-C)

インタビュアー: 勝山研究員

付記: インタビューは警察の捜査の一環として██氏に説明された。またインタビューを円滑に行うため対象を本人の氏名で呼称した。

<録音開始, 2018/6/██>

勝山研究員: (前略)それで、██さんは本当にあのブログについて何も知らなかったのですね？

SCP-1515-JP-1-C: ええ、本当ですよ。知ってたらもっと早く通報するし、だってなんか気持ち悪くないですか？というか、そもそも何なんですかアレ？

勝山研究員: それを調査するためのインタビューです。例えば……██さんはこの記事、タイトルは「息子、突然のカレーブーム！？」となっていますが、これに心当たりは？

SCP-1515-JP-1-C: ああ、去年の冬にサークルでカレーパーティーやることになったんで、その準備っつーか、まあ事前に1回作ったんですよ。たぶんそのことじゃないですかね……ってかこれ凄いですね、細かいレシピとか俺が鍋吹きこぼしたこととかも書いてあんじゃないですか。

勝山研究員: そのようですね。そのことを誰かに言ったり、あるいは誰かが知っていたりということはありませんか？

SCP-1515-JP-1-C: いや、1人でやったし誰にも言ってないですね。カーテンも閉めてたんで誰かに見られるようなこともなかったはずなんですけど。

勝山研究員: そうですか。誰か、身近な人物で██さんの私生活に興味を持ってそうな方はいらっしゃいますか？些細なことでもいいので教えてください。

SCP-1515-JP-1-C: いや、いませんよそんなやつ。というかこのブログ作ってるやつ、俺のことを息子だと思い込んでこれ書いてるんですよね？なら少なくとも俺より大分年上なわけじゃないですか。そんな知り合いそもそもいないっす。

勝山研究員: なるほど。確かに作者はあなたの母親として、このブログを作成しているようですね。そういえば██さんは両親を交通事故で亡くされているそうですが、もし辛くなければお話を伺ってもよろしいですか？

SCP-1515-JP-1-C: いや、別にいいですけど、俺の親はもう死んでますし、関係ないんじゃないですか？

勝山研究員: あなたのご両親の知り合いが関係している……という可能性もありますので。何かご両親から聞いていたりしませんでしたか？

SCP-1515-JP-1-C: いやあ、たぶん俺の親は関係ないです。だって俺の親はこんなもん書くような性格じゃなかったんですよ。ここにあるような絵なんて描いたことないし、そもそも俺の成長を祝うとか、そういう人間じゃないです。調べればわかると思いますけど、俺の親、飲酒運転して事故って死んでるんすよ。俺を家において、パチンコだか行った後に酒飲んで帰る途中だったらしいです。まあ、そんな親なんでその知り合いもロクな奴じゃないっす。だから、仮に幽霊みたいなのがいたとしても、これを書いてるのは俺の親じゃないと思いますよ。

勝山研究員: ではなぜこの作者はあなたの母親を騙っているのでしょう？

SCP-1515-JP-1-C: いや知りませんよ。こっちが聞きたいぐらいです。誰ともわからない奴が俺の生活のぞき見して、そんで母親ヅラで日記書いてるんですよ。もう少し勉強したら？とか、漫画ばっかり読んでないで本も読め、とか。一番気味悪かったのは、もしかしたら家に誰かいるのかと思って探しがてら掃除したら、「大掃除！」ってタイトルでブログが更新されてたことですよ。あの、もっと力入れて捜査してくれませんかね？割と参ってるんです。家にいるとき、確かに1人のはずなのに他の誰かがいる気がして、最近全然眠れないんですよ。

勝山研究員: 善処しましょう。もしこの状態が続いた場合██さんには引っ越しも視野に考えてもらいたいと思います。費用等はこちらで補助いたしますので。ではインタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: 財団の介入後もSCP-1515-JP-Cの更新が継続したため、SCP-1515-JP-1-Cを財団フロント企業管轄下の賃貸住宅へと移住させ、実質的な収容状態に置きました。しかしながら翌月に「お引越し～」と題された記事が作成され、その後も更新が続いています。

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  hyoroika09 01 Jan 2019 14:35

  棍棒コンテスト参加作品です。文字数は4000字弱でホラー色の強い作品を目指しています。

  • SCP記事としてわかりにくい・不適切な表現、誤字脱字はないか
  • 不気味で「ぞっとするような」記事であるか

  異常が気になっている点です。

  ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

  k-cal 02 Jan 2019 18:10

  拝読しました。酷く不気味というか、気持ち悪いですね…… とてもホラーだと思いました。
  最後のオチについてですが、若干浮き気味に思えます。確か子供に怪我を負わせて看病することで快楽を得る精神障害があったと思いますが、その類でしょうか？

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  hyoroika09 03 Jan 2019 00:54

  k-calさん、コメントありがとうございます。

  最後のオチは「面白いブログになるように、オブジェクトの製作者が働きかけている」といった感じで、SCP-XXX-JP-1がいずれも不幸な目に遭っているのはその方が面白いブログになるから……という意地の悪い製作者の意図によるものですね。ただ、分かりにくく記事の雰囲気から逸脱している感が強ければ修正したいと思います。ご批評ありがとうございます。

  引き続きよろしくお願いします。

  k-cal 03 Jan 2019 05:49

  なるほど、理解しました。私が違和感を感じたのは、おそらく気持ち悪さのベクトルが異なっていることが原因だと思います。「どこかから見られている」という恐怖と、「実害が加えられる」という恐怖は、前者が不安のようなものに近い(脅威の対象が脅威かどうか未確定)のに対し、後者は完全に危害が加えられているため、前者で培ってきた恐怖の雰囲気をオチで損なっているような気がします。(これは単に私の感想です)
  お役に立てれば幸いです。

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  hyoroika09 04 Jan 2019 02:31

  なるほど。確かにせっかくの雰囲気を損なうのは痛いですね。最後のオチ(つまり補遺2)がなくとも十分「気持ち悪さ」を表現できると判断し、補遺2を削りました。

  何度もアドバイスしていただき、本当にありがとうございます。

  (account deleted) 03 Jan 2019 06:53

  ＞またインターネット上に存在する
  存在ではなく、投稿などのほうがいいかもしれません

  ＞██さんは両親を交通事故で無くされているそうですが、
  亡くされている　ではないでしょうか？

  hyoroika09 04 Jan 2019 02:33

  to2to2さん、コメントありがとうございます。

  ご指摘いただいた点を修正しました。

  引き続きよろしくお願いします。

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