【tale下書き】パッと見正義の味方【1200字掌編企画2019】

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己が取るに足らない存在だと感じるほどに酷く広大な快晴の空。
 
眩い程に燦爛とする太陽が私の身体を焼き尽くす。
 
思えばこれは神からの贈り物なのだろう。
 
成りそこないの醜悪な私への、神からの試練おくりもの
 
 
 
 
幼少期の頃、ヒーローに憧れた。
悪を切り裂き、皆の人気者で、不屈の精神を持った、光り輝く英雄ヒーローに。
「ボクもこんな人になりたい」「人気者になりたい」「強くなりたい」
理由なんてなんだってよかった。ただ、その輝きが、その心が、酷く格好よく見えた。
 
それからというものの、私は子供ながらにそんな“格好いいヒーロー”になるべく様々な努力をした。力を付けるために学校が終わればランニングやトレーニングをした。戦うための知恵を付けるためにいっそう勉学に励んだ。困っている人を見つけたら助けようとした。些細な悪も見逃さなくなった。
 
最初は下心だった。ヒーローになりたいという気持ちを動力としていた。だがいつしかそれは助けた人達からの感謝になった。嬉しかったのだ。自分が自分の力で助けた相手から貰う暖かな気持ちが。
 
その味を知った私は更なら努力を重ねた。闘う力を身に着けるために様々な格闘術を身に着けた。より効率的に悪を排除するための知識を蓄えた。月日が経ち、20代前半になる頃には、私は向かう所敵無しだと悟った。強きを挫き、弱きを助ける。そんなヒーローに成れたのだと、そう思った。
 
己の周りに誰も居ない事実から目を背けながら。
 
そのことに気が付いたときにはもう手遅れだった。成れたと思ったモノは所詮独りよがりの正義だった。
完全な主観による正義など唯の毒でしか無い。最初から細かな毒はあったのだろう。
しかし自らを驕り昂った末路は言うまでもない。
 
それからは早かった。四肢に毒が回った身体のように私の心は加速度的に腐っていった。
「どうしてこうなった?」「何が悪かった?」そんな考えが何度も浮かんだ。もう意味などないのに。
 
そして腐っていった私の生活はまさにフラフラと歩き渡る気味の悪いゾンビのようだった。憧れが憧れたるために存在する怪物になった。そして私はこのまま憧れに倒されるのだろうと思った。
 
 
 
 
 
 
 
 
だが、違ったようだ。
 
快晴の空に鳴り響くサイレンの音。それは正義の咆哮のようで。
 
近づく咆哮。追われるは正義の敵。
 
ここが分水嶺。手にするは玩具の様な一振りの刀。
 
頼りない見た目だがしかしそれは確かなバランスと切れ味を感じさせてくれる。
 
深く腰を据え構える。視線はかつての自分。
 
変わるのだ。今日から。この瞬間から。
 
そしてボクは、を抜いた。
 


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