王手
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト8223の通常収容室に自主的に収容されています。確実な収容に向け研究が進められています。SCP-XXX-JPの収容室内に立ち入る際は、事前にサイト8223施設長豊玉博士の承認が必要です。

説明:SCP-XXX-JPは、サイト8223の空き収容室に突然出現した、初老の日本人男性に見える存在(SCP-XXX-JP-1)とSCP-XXX-JP-1が起こしているとみられる空間異常(SCP-XXX-JP-2)の総称です。SCP-XXX-JP-1は食事や睡眠を必要とせず、また病気にかかったり、老衰することはありません。SCP-XXX-JP-2は財団職員がSCP-XXX-JPの収容室に入ったときに発生します。SCP-XXX-JP-2が発生すると、収容室の壁や天井は消失し、暗闇の中に収容室の床だけが浮かんでいるように見えます。これは収容室外部から見ても同様です。さらに、収容室内部と収容室外部の間での通信や音は完全に遮断されます。また、収容室の床は通常の広さの3倍程度に拡張され、未知の発光物質によって9×9の升目状に分けられ、本将棋のルールに則って、歩にあたる軽装の兵士(SCP-XXX-JP-A)、香車にあたる軽装の騎兵(SCP-XXX-JP-B)、桂馬にあたる特に軽装の騎兵(SCP-XXX-JP-C)、角行にあたる重装の騎兵(SCP-XXX-JP-D)、飛車にあたる重装の騎兵(SCP-XXX-JP-E)、銀将にあたる将校(SCP-XXX-JP-F)、金将にあたる将校(SCP-XXX-JP-G)が出現します。玉将には収容室に進入した財団職員、王将にはSCP-XXX-JP-1があたります。なお、本将棋における”成る”が発生すると、SCP-XXX-JP-A~Fの容貌は多少変化します。
以上の空間が形成された後、ゲームが玉将(財団職員)の先手でスタートします。ゲームは基本的に本将棋のルールに則って進行されますが、以下の特筆すべき点があります。

  • 駒の操作は、玉将/王将による声での指示で行われる。(例:7六歩 4七銀打 等)
  • ”詰み”もしくは”投了”になった財団職員は行方不明になり、SCP-XXX-JP-2は沈静化する。
  • ”王手”に気づかず玉将が取られた場合、SCP-XXX-JP-2は沈静化し、玉将だった財団職員の死体が残る。
  • 本将棋のルールに逆らう行動は取れない。
  • 駒が玉将の指示に従わないことがある(特に捨て駒の状況や明らかな悪手)。指示を繰り返すことで動くこともあるが、それでも動かない場合は別の駒を動かすことになる。

SCP-XXX-JP-1自身の腕前も非常に高いですが、特記最終項の指示の無視の扱いが困難で、第██回の実験に至るまで、玉将が勝利したことはありませんでした。以下は初めて玉将であるDクラス職員(D-88501)が勝利した第██回目の実験ログです。
なお、SCP-XXX-JP発生以後、財団職員の収容室内への干渉はSCP-XXX-JP-2を伴うため、実質不可能になっています。実験ログは、SCP-XXX-JP発生以前から収容室と財団規格の強化ガラスの窓を共有する形で設置されていた監視室から得られた情報です。

実験ログ██ - 日付2010/3/22

被験者D-8850の入室と共にSCP-XXX-JP-2が発生。棋譜は別途記録する。

D-8850はSCP-XXX-JP-2に一瞬困惑を見せたが、すぐにリラックス状態を取り戻し、1手目の前に、D-8850とSCP-XXX-JP-1は短い会話を行う。また、これ以降、D-8850はSCP-XXX-JP-A~Gと度々会話を行っていると見られる状況が散見された。

D-8850の先手でゲームが開始される。

XX手目、D-8850側のSCP-XXX-JP-Aに指示の無視が発生したとみられる。D-8850は別の駒を動かした。

XX手目、D-8850側のSCP-XXX-JP-Fに指示の無視が発生したとみられる。D-8850は20分間に渡り何かを発言。すると、以後はD-8850側の駒には指示の無視が起こらなくなった。

XX手目、SCP-XXX-JP-1側の駒に指示の無視が発生したとみられる。これはSCP-XXX-JP-1側の駒に指示の無視が発生した初めての事例である。何度かの指示の後、駒は適切に動作したが、再びD-8850が16分間に渡り何かを発言。

XX手目、SCP-XXX-JP-1側の駒に再び指示の無視が発生したとみられる。何度指示を繰り返されても駒に動きはなく、SCP-XXX-JP-1は別の駒を動かした。

XX手目、SCP-XXX-JP-1が投了。

SCP-XXX-JP-2が沈静化。元の姿に戻った収容室には、これまでSCP-XXX-JP-1に敗北してきた、██人の遺体と衰弱した█人の財団職員が現れた。

D-8850が衰弱した財団職員らを伴って退室。
(第██実験終了)

以下は、第██実験終了後のD-8850篠原博士へのインタビューです。

対象: D-8850篠原博士

インタビュアー:乃木博士

<録音開始>

乃木博士: D-8850、まず、対局前にSCP-XXX-JP-1と会話を行っていたようですが。

D-8850篠原博士: ええ。少しルールの確認をしたのです。助言はアリか、とね。幸運なことに、アリだそうですよ。

乃木博士: しかし我々とは通信が出来ないはずですが。

D-8850篠原博士: そうですね。でも居たじゃないですか。彼らが。私の仲間達が。

乃木博士: SCP-XXX-JP-AからGのことですか?

D-8850篠原博士: ええ。問いかけたところ、彼らは自分がどう働けるかをアピールしてくれました。ならば後はそれを取りまとめるのがリーダーたる私の仕事です。とはいっても、最初は上手くいきませんでしたが。

乃木博士: というと、駒が動かなかったことですか? 二度目のそれの後、何かを発言していましたよね。

D-8850篠原博士: はい。あれで確信したのですが、彼らは単純な駒ではなく、自己意思を持つ生きた兵士なのです。生きているのですから、ぽっと出の指揮官なんかのために死にたくはないでしょう。なので、私が何故ここに来たか、そして何をしたいか、それを彼らに伝え、共に戦ってくれるように頼みました。要するに士気向上のために演説を行いました。

乃木博士: 成程。では、SCP-XXX-JP-1側の駒が動かなかったことについて、何か感じたことはありますか?

D-8850篠原博士: 敵方に士気の低下が感じられたので、こちらに来るのなら我々はそれを拒まないと伝えると共に、我々の大義を今一度確認したところ、抵抗を止めた兵士が出てきましたね。

乃木博士: そうですか。最後に、他にSCP-XXX-JPについて何か感じたことはありますか?

D-8850篠原博士: 強かったですね。仲間が居なかったら勝てなかったと思います。次はお前が王将だ、また来い、と最後に言われました。次も勝ちたいですね。次があるならですけど。

<録音終了>

補足: D-8850 篠原博士のカリスマ性は、SCP-XXX-JPの実験を経て異常に強くなり、 ミーム感染とも言えるほどの 素晴らしい指導力を発揮しています。これはSCP-XXX-JPの影響によるものと考えられ、 D-8850を暫定的にSCP-XXX-JP-αと呼称し、適切に管理することを勧めます。

付録:第██実験 棋譜

補遺:SCP-XXX-JP-α篠原博士の事後経過
██/09/30 特異性の調査中につき月例解雇免除。
  /10/30 乃木博士以下複数の職員の賛同により、Eクラス職員として再雇用。
  /11/20 サイト822X番台総合運営/人事部により、セキュリティクリアランスレベル2を取得。
  /01/23 セキュリティクリアランスレベル3を取得。
██/01/25 財団日本支部本部で篠原博士の異常性について議題に上がるも、支部本部内で却下。
  /01/26 財団本部から篠原博士の事実無根な特例[解雇]命令。日本支部は反対で全会一致。財団本部内でも反対の声多数。
  /01/28 O5評議会内部で篠原博士が極めて危険なSCiPであり、即刻特別な対処が必要であるという愚かな意見が出されるも、同評議会で3対9の反対多数で棄却。
  /02/07 O5-█の後任として篠原博士が就任。


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