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人間。戦争がどんなすさまじい破壊と運命をもって向うにしても人間自体をどう為しうるものでもない。戦争は終った。特攻隊の勇士はすでに闇屋となり、未亡人はすでに新たな面影によって胸をふくらませているではないか。人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。
坂口安吾『堕落論』
この文書は改定前の文書です。1901年にSCP-001-JPが発見されて以来、2001年までこの文書が用いられました。この硬直的な姿勢が1945年の"有明の暁"事件において13名中7名のO5を含む多数の高位財団職員の離反を招いた結果、O5評議会は1945年の特別動議によってSCP-001-JPの実質的な収容放棄を決定し、その後2001年に特別収容プロトコルを再改定しました。第二版の情報は1901年当時の生物学的・心理学的知見に依存しており、不正確・不適切な点がありますが、当報告書の歴史的重要性から記述を維持して保存されます。
アイテム番号: SCP-001-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-001-JPは現在未収容ですが、現在財団が利用可能な知見によってSCP-001-JPを収容できる可能性があります。精神外科療法、薬物療法によってSCP-001-JPの収容を行う研究が進行中です。
説明: SCP-001-JPは、すべての人間に先天的に存在する形質です。すべての人間SCP-001-JP-1個体は、物自体を一定の形相で再構築することによって物自体を自在に再解釈する先天的傾向SCP-001-JPを有し、また、SCP-001-JPを通じて他のSCP-001-JP-1個体に広範な認識災害を誘発する言語体系SCP-001-JP-2を生成する恐れがあります。
現象学的観点からSCP-001-JPの発生メカニズムを解明しようとする試みが進行中ですが、いずれも不完全な結果に終わっています。SCP-001-JPが突然変異によってもたらされた獲得形質であると示唆する傍証が多数提示されていることから、SCP-001-JPは歴史上のある地点において悪意ある他者によってもたらされた可能性が存在します。
歴史的には、SCP-001-JPは、ある社会において有閑階級ないしは知識階級に位置づけられるSCP-001-JP-1個体によって、SCP-001-JP-2を生成する目的で日常的に使用されてきました。この使用は、SCP-001-JP-1個体が居住する社会が存在する時間ないしは場所の位置を問いません。興味深いことに、歴史上の複数の人物がSCP-001-JP-2の潜在的危険性を指摘しています。
補遺:
SCP-001-JPについて、我々は失敗しています。それは
今後5年間で地球人口は25億人に達するでしょう。この25億人のほとんど全てにSCP-001-JPの影響が及びます。私は記憶処理薬ENUI-5の広範な散布によるアンニュイ・プロトコルの発動を提言します。この記憶処理薬は散布される際に微細なエアロゾル粒子として長期間にわたって空中を漂い続け、吸い込んだ生物の認知的機能を変質させます。これを永続的に実施しなければなりません。幸いなことに、ダンバートン・オークスでの会談は、我々にとってプロトコルの継続的な実施に自信を持たせる結果となりました。新たに発足する国際組織の専門機関は、世界中から天然痘を根絶させ、同時にSCP-001-JPを根絶させるでしょう。私はこの決定にO5評議会の承諾が得られることを確信しています。なぜなら、異常存在は収容されなければならないからです。確保、収容、保護、それこそが設立以来我々の最大の目標でした。我々の"治療"を無思慮であると非難する人びとは、恐ろしい現実に対して単に無知であり、まったくもって無定見であるのです。
プラトンがSCP-001-JPの危険性を呈示してなお、SCP-001-JPは現在まで受け継がれてきました。宗教的対立、強度の地域紛争、二度の世界大戦は、SCP-001-JPの性質が本質的に危険であることを示しています。SCP-001-JPは人類にとって災厄そのものであり、異常性の権化です。それが先天的に存在するから善いという議論は、単なる自然主義の誤謬です。我々に残された最も善い方法は、SCP-001-JPを除去してしまうこと以外にありません。
SCP-001-JPが異常であることを知っている我々がこのままなんら手を打たずに無関心なままでいることや、SCP-001-JPに対する唯一の解決策を知りながら何ら対処を行わないことは、明らかに財団の目的に反しており、嘆かわしく、許されないことであると考えます。
なにより、我々は少し前にそれを一度成し遂げているのですから。
これは我々の負の遺産だ。
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2626678 (18 Apr 2023 10:33)
なんとなく下書きを見ていたら見かけたので批評致します。
よろしくお願いします。
さて、率直に申し上げて本記事はDV相当だと思います。
クリニカルトーンなどは私も指摘するのが苦手なので、それはおいておいて、本記事には2つの大きな問題があります。
①面白さの核が不明
Dr_MITAさん的には何かが面白いと思って記事を書き始めたのでしょうが、そこが全く伝わってきません。
本記事は何を表現したく、どこに面白さの核があるのでしょうか?
そのため「ここをこうするといいよ」という批評ができません。
差支えなければ、本記事の「ご自分が面白いと思うポイント」を示していただけますか?そうすれば、よりよい批評ができると思います。
②001記事らしくない
001記事をシンプルなものにするというのはいい試みだと思います。個人的に、長大な001記事は読みたくなくなりますからね。
ですが、それにしても001記事らしさというのは必要です。001記事は一般的に「SCP財団、あるいはSCP世界における根本的な事象を扱う」ものと考えられています。
例えば、indonootokoさんの「現人神」では現生人類の終焉と新人類の創出の可能性+凍霧という人物が「神」にならんとする尊大な野望を持つことを書いており、「SCP世界における根本的な事象を扱う」ものらしさがあります。
他にも…k-calさんの「君が探している引き継ぎ文書」などは、SCP世界の終焉を描いていて、こちらもやはり「根本的~」な記事でしょう
torayaさんの「鬼穴」などは、SCP財団日本支部の前身である蒐集院と絡めて「なぜ日本支部が出来、運営されているか」ということに迫っている記事ともいえると思います
翻ってこの記事はどうでしょうか?そういった要素があるでしょうか?私には、無いように思います。
以上が批評となります。
とりあえずは、執筆おつかれさまでした
まず最初に、批評ありがとうございます。
ご指摘の点について、返信いたします。
この記事を書いたとき、わたしが面白さの核に置いたのは「財団は正常性と異常性をなぜ定義するのか?」です。SCP-001-JPの補遺ではなんと、SCP-001-JP自身がその答えを示してくれます。
個人的な話になりますが、私は深淵ハブやSCP-2000-CNなどを読んでいく中で、最近のSCP記事にはSCiPや財団そのものの在り方を考える、すなわち「なぜ財団は正常性と異常性を定義し、分離し、あるものをSCiPに分類できる(そしてあえてしない)のか?」というメタ思考を前提とする記事が増えてきていることを知りました。既存の記事の多くは、財団のそのような判断を否定的に取り扱い、そしてそれがもたらす悲惨と滑稽を笑うことが多いと私は感じています。
しかし私はこの記事において、あえてそれらに対する反論を試みました。すなわち、SCP-001-JPは正常性と異常性の定義を財団が行うことの正当性を示しています。
ご覧になって分かるように、SCP-001-JPは人間の魂、というより人間ないしはそれに類する知的生命が有する創発性を指しています。はっきりいってしまえば、補遺でSCP-001-JPが示しているこの言葉が全てです。
補遺の最初に述べられているように、財団は容易に"悪の組織"に転化します。有名な言葉を借りれば、『絶対的権力は絶対に腐敗する』のであって、財団さえそれから逃れることはできないでしょう。異常存在を扱い、それを社会から秘匿し、研究する財団は、持つ力の大きさゆえに容易にダモクレスの剣に滅ぼされます。
しかし財団がない世界は、当たり前ですが暗黒です。異常存在を放置しておくことはできません。それは容易に悪用されます。それの存在は人々にパニックを引き起こし、悪用され、人びとを傷つけ、おそらく人類を用意に滅ぼすでしょう。財団世界ではおそらくSafeクラスに分類される核兵器さえ、人類はうまく扱えません。ここには極端さの壁があります。異常存在を放置することも、財団を放置することも、どちらもディストピアの道でしかないように見えます。
しかし状況は変わります。SCP-001-JPは補遺内で、財団が『マシになった』と主張します。それはおそらく、それぞれの人の心に潜むSCP-001-JPが小さな積み重ねを引き起こし、それが大きなうねりを引き起こした結果なのでしょう。SCP-001-JPは財団職員に、そして報告書の作者に、財団のあるべき姿を幻想させます。
『もし望むなら』、人の心に潜むSCP-001-JPは人に善い方向に向かう力を与えます。SCP-001-JPは人に、現実世界の悪徳を悪徳と、異常性を異常性と認識させます。この点ですべての人はSCP-001-JPの影響下にあり、したがって『奴隷』です。しかしそれは決して悪いことではありません。それは財団の目的と一致しているのです。その結果、いくらかの人が現状を変革する改革者となります。彼らはSCP-001-JPを積極的に使い、『支配者』となります。改革は時に失敗し、失敗し続けますが、社会はいつか変革の時を迎えます。大きな変革ではないにしても、混沌が満ちた時、SCP-001-JPはそこに秩序をもたらす動きをします。
SCP-001-JPは明らかに奇妙な働きです。SCP-001-JPは異常性を定義し、正常性を夢見ます。それは秩序をもたらしますが、いっぽうで『自己破壊的』です。SCP-001-JPにとって、すでにある秩序は同時に混沌の一種なのです。SCP-001-JPは異常性と正常性を再定義し続け、すでにあると思われる現実を破壊し続けます。しかしそれは財団世界と現実世界にとって、二重の意味で必要です。
これらの点から、私はSCP-001-JPは「根本的」な記事だと確信しています。
以上、とり急ぎ返信いたします。
ご返信ありがとうございます。
ようやく意図がつかめました。そして、その構想ならばおっしゃる通り、「根本的」な記事だと思います。また、着眼点も面白いと思います。
ですが、その面白い着眼点と意図を明らかにうまく表現できていません。
例えば、この記事の中での001…まぁ要するに「魂」はどこから来たのでしょうか?
どのような経緯で発見されたのでしょうか?
カオス・インサージェンシーにさえ離反される財団がこれを見つけたとしてどうして今の秩序をもたらす財団になったのでしょうか?
カオス・インサージェンシーとの間にどのような事件があったのでしょうか?
設定を見ていて、気になるところが、いい意味で沢山あります。
諸説ありますが、SCP財団は「文学サイト」だと言われています。
ここに投稿される記事は「文学」である必要があるのです。
今の段階では、「文学」の核になる設定が置いてあるだけの状態なのです。
この設定を使ってストーリーを生み出してみましょう。
オブジェクトクラスや特別収容プロトコルは導入…シナリオ作成の際に言う「一幕目」として機能します。SCP記事の概略を説明するパートになります。
説明以降は物語の核です。シナリオ作成の際に言う「二幕目」となります。説明の中から物語を展開していきましょう。展開のパターンはいくつもありますが、記載してくださった設定だと
・オブジェクトのきちんとした説明をした後、発見経緯のなかでこのオブジェクトを巡る対立や事件があったことを次第に明らかにし、この説明と特別収容プロトコルが形成されるに至ったことを示す
・逆に「悪」時代に書かれた報告書にしてしまう
など、いくつかのアイディアがあります
補遺はシナリオ作成で言う「三幕目」として機能します。要するに「オチ」です。
一番最後の「確保 収容 保護 SCP-001-JP」というキメになる部分に納得できるように、この文言が一番かっこよく見えるように話をまとめていきましょう
繰り返しますが、発想と意図はいいと思います。足りないのはストーリーです。
ストーリーができ、それが書きあがったらまた批評に出してみるといいと思います。その時になって初めて、質の良しあしを議論できる「文学」になっていると思います。
改稿するおつもりであれば、是非頑張ってください。
陰ながら応援いたします。
迅速かつ丁寧な返信、ありがとうございます。感謝いたします。
仰る通り、確かに、この記事には書こうとすることに対して内容が不足していたように思います。
ストーリーをもっと磨いて、改稿してからまた批評に出させていただこうと思います。
そのためとりあえずこの記事はいったん批評終了にさせていただきます。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
改稿できた際にはまたご覧いただけたら幸いです。