████/██/██に5体のSCP-2930-JP-Aの類似個体(SCP-2930-JP-Sと呼称)による財団への積極的な接触が発生しました。SCP-2930-JP-SにはSCP-2930-JP-Aほどの戦闘能力と認識災害効果はないものの、限定的なオブジェクト改変能力と有しています。SCP-2930-JP-Bの作成はSCP-2930-JP-Sによるものだと分かっています。
以下はSCP-2930-JP-Sと███研究員の会話記録です。
付記: SCP-2930-JP-Sと███研究員は財団の会議室にいます。
<記録開始>
███研究員: あなたたちはなぜここへ来たのですか。
SCP-2930-JP-S: 我々とあなたたちSCP財団の間で契約をしようと思ってね。
███研究員: 今までのあなたたちは我々に一切の交流を持とうとしなかったのですか、なぜ一変してその考えに至ったのでしょうか。
SCP-2930-JP-S: 上からの命令だ。我々も知らない。
███研究員: そうですか。ではどのような契約をお望みですか。
SCP-2930-JP-S: あなたたちがあのSCP-2930-JPと呼んでいるものの効果強化のメカニズムを知りたいらしいな。
███研究員: それについてはお答えできません。
SCP-2930-JP-S: 口が堅いのだな、まあよい。我々がそのメカニズムを教えてやる。だからその代わりに我が同胞3体の体を返してほしい。
███研究員: もし我々がそれを断ると言うのならばどうしますか。
SCP-2930-JP-S: それはみんなが望まない結果を生むことになるだろうな。
███研究員: なんとなく理解しました。それで、その契約の提案に対する結論はいつまででしょうか。
SCP-2930-JP-S: 3日後のこの時間にもう一度来る。結論はその時までだ。
███研究員: では契約内容の変更については受付できますか。
SCP-2930-JP-S: 許容できる範囲内ならばもちろん受け付ける。我々も交渉決裂させたくないからな。
███研究員: 気遣い感謝します。では、またその時に会いましょう。送っていきますよ。
SCP-2930-JP-S: 人間は気が利くね。では正面出口まで頼めるかな。
<記録終了>
SCP-2930-JP-Sからの提案に関して、早急にO5協議会で会議が開かれました。
O5協議会からの返答
SCP-2930-JP-Sの提案に一部同意する。しかし我々O5協議会は、死亡した3体のSCP-2930-JP-Aとの交換対象がSCP-2930-JP-Bに関する情報しかないことは不平等であると判断した。そのため、契約の交換対象にはSCP-2930-JPの誕生に関する情報と、SCP-2930-JPが財団に限定して効果を発揮する理由の説明を追加すると決定する。もしもこれらのうち1つでもSCP-2930-JP-Sによって拒否されたのなら、代わりにSCP-2930-JP-AとSCP-2930-JP-Sに関する情報を要求するように。
交渉決裂によってD-2033がSCP-2930-JP-Aに殺害されることを想定し、SCP-2930-JP-S が来るまでの3日間、D-2033を機動部隊のもとで一時的に保護することを決定しました。またSCP-2930-JP-S が来訪を予定した日にはSCP-2930-JPが収容された保管庫への通路は全て閉鎖し、閉鎖口にはそれぞれWクラス記憶補強材を服用した機動隊員複数名とZクラス記憶補強材を服用したDクラス職員を1名ずつ配置します。
3日後、SCP-2930-JP-Sは約束通り予定の時間に正面入り口に出現し、Wクラス記憶補強材を服用した███研究員によって会議室へ案内されました。
以下はSCP-2930-JP-Sと███研究員の会話記録です。
<記録開始>
SCP-2930-JP-S: 結論は出たかね。
███研究員: ええもちろんです。約束は守りますよ。
SCP-2930-JP-S: それは助かるね、ではその結論を聞かせてもらおうか。
███研究員: はい。契約内容についての一部変更を条件に、締結したいと思っています。
SCP-2930-JP-S: やっぱりそうきたか。変更の内容は何かな。
███研究員: それについてはこちらに記してあります。
<契約内容の変更点を記した文書をSCP-2930-JP-Sに渡す>
███研究員: どうでしょうか。
SCP-2930-JP-S: つまりはあの強化前のダイスのことが知りたいと。
███研究員: はい。間違いありません。
SCP-2930-JP-S: すまない。話せるには話せるのだが、今ここで話せるほど情報が確かではないのだ。明日、詳細を記した文書を持ってくる。我が同胞もその時に渡してもらおう。心配なら交換の時に戦闘員でもつけておくといい。
███研究員: ご理解感謝します。では我々もそれまでにあなた方の仲間を返還する準備を整えておきます。
SCP-2930-JP-S: ではまたその時会おう。
<記録終了>
後日、5体のSCP-2930-JP-Sと10体のSCP-2930-JP-Aの新類似個体が財団へ来訪し、財団側はYクラス記憶補強材を服用した███研究員と機動部隊員10名、Zクラス記憶補強材を服用したDクラス職員2名で対応しました。財団が要求した文書はその通りに用意され、███研究員の目視確認の後に3体のSCP-2930-JP-Aの死体との交換が行われました。交換時にトラブルは発生せず、SCP-2930-JP-S側も比較的友好でした。
SCP-2930-JP-Aの新類似個体の詳細は不明です。
以下は財団側が要求に対するSCP-2930-JP-S側の文書です。
約束通りに我が同胞を返還してくれたことに感謝する。もちろん我々もその通りにあなた方が要求した内容をここに記した。
SCP-2930-JPに関して
あのダイスは我々の本体と言って良いでしょう。あのダイスが壊れてしまうと、我々も消滅してしまう。あなた方が懸命にあのダイスを破壊しようとしていたのはこちらからも確認していたが、あのような方法で壊れるほどあのダイスももろくはないので我々は特別止めるようなこともしなかった。しかし結論から言うと、もう破壊を図るようなことはやめていただきたい。論理的にはもちろんあのダイスも壊れる。そうなれば我々も困る。
あなた方があのダイスの起源を知りたいようだが、残念ながら我々も知らない。最初からあったとしか言えない。存在としては宇宙のようなものだ。あなた方が数百年もビッグバンについて研究しているのに未だしっぽすらつかんでいないのと一緒で、我々も全くわからない。逆にこっちが聞きたいものだ。
SCP-2930-JP の効果強化のメカニズムに関して
我々の本体があのダイスである。それは同時に、あのダイスが壊れてしまえば我々もおしまいだということを意味する。だから予備としてもう1つダイスを作ったのだ。そうすれば元の本体が壊れても、消滅を防ぐことができる。因みに予備は我々の元にもう3つあるから望むならばもう1つあげるよ。実質的に元のダイスはもう壊れてもよいのだが、歴史的遺産として残してほしい。
そして、改造したダイスの効果を強化した理由だが、単純に人間の目から避けるためだ。そもそもあのダイスを改造したとき、我々はまだあなた方のことを認知していなかったのさ。だから元のダイスと同じように普通にどこかの空き家にでも保管しようと思った。でも改造した直後にあなた方の存在を認知して、元のダイスと一緒に収容してもらった。だからこのような状態になっているわけだ。一応効果強化は我々、SCP-2930-JP-Sの能力によってなるものだということを伝えておく。
我々がSCP財団に対して効果を発揮する理由
先に述べると、我々は別にあなた方に敵対しているわけではないということを認識してほしい。理由はいたって単純。我々はあのダイスを振られてほしくない。だからあのダイスを振ったやつに対して一定の報復をする。それだけだ。もちろんあなた方も例外ではない。
しかし我々の気持ちも理解してほしい。あのダイスが振られたり、揺られたりすると我々の世界ではそちらの世界で言う「異常気象」が起きるのだ。前回の使用の時だってこちらの世界では我が同胞が50名死亡してしまった。もちろん我々だってあなた方に同じ惨状を味わわせるつもりはない。しかしそれでも我慢できるような被害ではないのだ。
あなた方が我々に求めた情報は以上だ。我々はSCP財団と良い関係を結びたいと思っている。もちろん求めるならば協力もするさ。我々を呼ぶときはあの空き家にメモを置いておけ。もしそちらが嫌でなければ、これからもよろしく頼むよ。
ダイス王国 外交省 外交部 対人間外交担当委員会・エリヴァン4世
SCP-2930-JP-Sからの文書の内容の真偽は定かではないが、偽りの場合財団では対応不可能なため、この文書の内容が真実であると仮定しました。この文書より、SCP-2930-JP-Aの引き起こす収容違反はほぼ人為的なものであると分かり、SCP-2930-JPの危険性は原則的に低いと推測されました。しかしSCP-2930-JP-A 、SCP-2930-JP-Sなどの収容が不可能である事実は不変であるため、オブジェクトクラスはKeterのまま変更はありません。
また、SCP-2930-JP-A 、SCP-2930-JP-Sなどは国家を構成していることが確認されました(SCP-2930-JP-Zと呼称)。SCP-2930-JP-Zはおそらく君主政を採用しており、財団よりも強大な軍事力を持つ可能性があります。敵対した場合財団が壊滅的になると想定され、財団は現在SCP-2930-JP-Zと外交関係を結び、友好関係を築くことを計画しています。担当者には少なくとも███博士、███研究員、エージェント██らが充てられる予定です。
また、SCP-2930-JP-AからD-2033に対する報復はSCP-2930-JP-Sの最初の来訪から3年間確認されていません。D-2033は高い戦闘力を有することから、現在他の任務に取り掛かっています。
初めて作成した記事なので、自分でも出来がどのようになっているのかよくわかりませんが、どちら様か批評をお願いしたいです。
批評
改訂例
SCP-2930-JPは保管庫に収容されます。
で事足りる様に思います。
改訂例
SCP-2930-JPは金具で状態を固定した上で保管庫内に収容されます。また、保管庫内部は常に監視され、保管庫付近への接近は禁じられています。
SCP-2930-JPの使用はO5評議会の過半数の承認が必要です。
とした方が分かりやすいと思われます。
こういった物品系のオブジェクトは発見経緯では何らかの通報、噂などがきっかけで発見されると思いますし。ここはそれを示すか発見経緯を出さない方がよろしいかもしれません。あと何面ダイスなんでしょう、そしてなぜ決まった数を出すと言うのにその数字が示されていないのでしょう?
改訂例
SCP-2930-JPは白色の非常に丈夫な不明な金属によって構成された1辺1cmで重量10gのサイコロです。
SCP-2930-JPは通常のサイコロとは異なり、必ず決まった数の面(以下、SCP-2930-JP-1と呼称)を出します。SCP-2930-JPを置いた場合でも不明な方法により運動を行いSCP-2930-JP-1が出されます。また、勢いよく転がした場合でも不自然な軌道を描きSCP-2930-JP-1を出します。
構文ミスです。
改訂例
████/██/██にSCP-2930-JP-Aによる収容違反を防ぐ行為はSCP-2930-JP-Aの保有する反ミーム及び認識災害的性質に伴う発見の困難さにより不可能であると判断されました。それにより収容維持の観点からO5評議会により早急なSCP-2930-JPの破壊命令が提言されました。
総評
現状の評価としてはDVです。まず「SCP-2930-JPが数を出した場合、その数字の分だけSCPオブジェクトの収容違反が発生します。」の部分で何故いきなり財団と関連が発生し、それがサイコロの面と関係あるのか解明できたのかが不可解です。また、「後書: 「SCP-2930-JP-Aが自身の影響力を広げている説」が採用されました。」どれも確定している訳でもないのに一つに可能性を絞ると言うのは愚策であると思われます。更にこれは「ただただ収容違反を起こすよくわからん実体を出現させるサイコロ」としか解釈のしようがなく、面白さ、インパクトが薄く、考察が広がり難い印象です。という以上の考えより前述の評価となりました。
記事作成頑張ってください。
詳しくありがとうございます。
確かに指摘に目を通した後にもう一度読むと、なんだか違和感を感じます。特に一部での説明不足や設定不足により論理性を欠落させてしまっている点では、私も大いに反省をしているところです。特に指摘部分の改訂と一部設定の変更をした後、近日中に再投稿しようと考えています。
改訂版を作成し、批評中にしました。