SCP-XXX-JP｢大海の幻｣

大海の幻

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:
SCP-XXX-JPはサイト81- ██にある専用の水槽内でのみ飼育してください。
水槽内のSCP-XXX-JPの品質を守るため、実験時以外は決められた餌以外は与えないでください。
SCP-XXX-JP-Aと屋台は常に財団の監視下に置いてください。
SCP-XXX-JP-Aは定期的に屋台を離れ釣りに出かけます、SCP-XXX-JP-Aが釣りに出かける際は必ず手伝いの名目で財団職員がSCP-XXX-JP-Aに同行してください。また財団職員が釣り上げたSCP-XXX-JPは必ず持ち帰ってください。
屋台に並んだSCP-XXX-JP-1は財団で全て買取ってください、買い取ったSCP-XXX-JP-1は専用の水槽に収容してください。
SCP-XXX-JPを販売している屋台が他にも存在している可能性があるため財団職員は引き続き調査を行ってください。

説明: SCP-XXX-JPは海を泳ぐたい焼きに似た小型の水生生物です。
SCP-XXX-JPの見た目は一般的に販売されているたい焼きと差異はありませんがSCP-XXX-JPは生きた魚のように海中を泳ぎ主に小魚や甲殻類、貝類などを捕食します。
この際に捕食した食料の質、量に応じて餡の量、風味などが変化します。SCP-XXX-JPの主成分は小麦粉、砂糖、重曹、小倉餡であり海中のSCP-XXX-JPを解剖、調査しましたが捕食したはずの貝類、甲殻類などは検出されませんでした。
またSCP-XXX-JPは泳ぐために必要な機能を有していないにも関わらず時速40km程のスピードで泳ぎ回ります。

SCP-XXX-JPを水の外に出した場合SCP-XXX-JPは異常性を失い通常のたい焼きのようになります。(この状態のSCP-XXX-JPをSCP-XXX-JP-1と呼称)この際SCP-XXX-JP-1は常にできたての温かさです。なぜ水からあげたはずのSCP-XXX-JPが温かくなるのかは不明です。
SCP-XXX-JP-1を海水に戻した際SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPに戻り再び泳ぎ始めます。

野生下のSCP-XXX-JPは通常、真鯛(Pagrus major)が好むようなものしか食べませんが人間の飼育下に置かれたSCP-XXX-JPは口に入るものならなんでも食べるようになります。また飼育下のSCP-XXX-JPは与える餌によって中身が小倉餡から変化する事が確認されています。(実験記録SCP-XXX-JPを参照してください)飼育下のSCP-XXX-JPは野生下のSCP-XXX-JPよりやや味が劣ります。
実験の結果飼育下のSCP-XXX-JPでも飼育状況によっては野生下のものと同等かそれ以上の味を出せることが判明しました、また同じ餌を与え続けることにより中身を固定する事が可能になりました。

飼育下のSCP-XXX-JPは1年で5cm〜10cmほど成長することが確認されています、財団には現在最大で60cmの個体が存在していますこの個体は8年前から飼育されており｢チャリコ｣の愛称で親しまれています。SCP-XXX-JP寿命は約10年ほどと推測されています。

現在の所人間がSCP-XXX-JPを摂食しても人体に起こる悪影響は確認されていません。
また、一口でも摂食されたSCP-XXX-JPは再度海水につけても異常性を示さなくなります。
野生下のSCP-XXX-JPのカロリーは100g辺り約220kcal程ですが飼育下のSCP-XXX-JP倍以上のカロリーがあると判明しています。

SCP-XXX-JPは、20██年/█月/█日、当時休暇中だったエージェント･多々良により発見されました。
発見経緯については本人は黙秘しましたがその後の調べでエージェント･多々良はSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JP-Aが営業する屋台で購入後海沿いのベンチにて摂食しようとした所トビ(Milvus migrans)にSCP-XXX-JP-1を強奪されそうになり海に落とした際SCP-XXX-JP-1が泳ぎ出したため異常であると判断し財団に報告しました。
調査の結果周辺の海域にて野生下のSCP-XXX-JPが生息しているのが発見されました。

SCP-XXX-JP-Aは█県 █市に存在する移動販売のたい焼き屋の屋台を営業している60代の日本人男性のような外見的特徴を持った人型の実体です。
屋台には｢天然新鮮 採れたて 美味しいたい焼き屋の大海｣と書かれています。

SCP-XXX-JP-AにSCP-XXX-JPの異常性について尋ねたところたい焼きとはそういうものだと答えました。

SCP-XXX-JPの入手経路についてはSCP-XXX-JP-Aが自ら釣り上げたものを販売していると答えたためそれ以降は財団職員が釣りに同行することになりました。

SCP-XXX-JP-Aの証言から野生下のSCP-XXX-JPは本来小倉餡しか存在しておらず小倉餡以外のSCP-XXX-JPは何者かが飼育及び放流を行った可能性があります。詳しくはインタビューを参照してください。

補遺: SCP-XXX-JP発見後、即SCP-XXX-JPを販売していたSCP-XXX-JP-A及び屋台の調査が行われました、SCP-XXX-JP-Aを確保するためにエージェントを派遣しましたが屋台及びSCP-XXX-JP-Aは消失しており発見できませんでした。エージェントが客として屋台を訪れた所屋台及びSCP-XXX-JP-Aが出現したためSCP-XXX-JP-Aは財団に監視されることになりました。

以下の実験は与える餌によって起こるSCP-XXX-JPの品質の変化を調べたものです。

実験記録:SCP-XXX-JP

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: 一般的な海水魚用の人工飼料

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: 小倉餡のままだったがつぶ餡の個体が一部こし餡に変化した。皮が薄くなり餡の量が増えた。

分析: 味は野生個体の方が美味しいように思える。質より量を重視する場合は人工飼料を大量に与えるといい。餡が重たいのか泳ぐスピードが遅くなったようだ。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: 一般的な海水魚用の人工飼料に鶏卵を混ぜたもの

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: カスタードクリーム味になった。

分析: 牛乳や砂糖を混ぜた場合もカスタードクリーム味になったがそれぞれ風味が異なる、調べる必要がありそうだ。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: クリームチーズ

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: クリームチーズ味になった。

分析: 与えたものが味に影響するのは確かなようだ。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: チーズ、トマトソース

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: ピザ味になった。

分析: なかなか美味しかった。次はバジルとサラミも入れようと思う。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: チョコレート

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: チョコレートクリームになった。

分析: ホワイトチョコを与えた場合ホワイトチョコクリームになった、抹茶やマーブルチョコも試そうと思う。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: 豚肉、キャベツ

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: お好み焼き風になった。

分析: これもなかなか美味しかった。揚げ玉やイカ、紅しょうがなどを追加で与えてもいいかもしれない。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: 栗

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: 栗餡になった。

分析: 芋やカボチャもなかなか良かった。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: カレー粉

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: カレー味になった。

分析: 具材も一緒に食べさせるとチキンカレーやビーフカレーにもなるようだ。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: タピオカ

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: 皮が白くもちもちした食感になった。

分析: 与えたタピオカの量によって食感が変化したように思える。タピオカと一緒に他の餌も与えて味の変化も見ようと思う。

実験記録SCP-XXX-JP - 日付20██/█/█

与えた餌: いちご、生クリーム

担当職員: 月ヶ瀬博士

結果: イチゴクリーム味になった。

分析: 複数のフルーツと生クリームを与えることによりパフェ味なども作れそうだ。

月ヶ瀬博士はSCP-XXX-JPの実験後体重が██キロ増えた、これはSCP-XXX-JPの異常性だ。と主張しています。月ヶ瀬博士の体重の変化がSCP-XXX-JPの異常性によるものなのかは現在調査中です。

以下はSCP-XXX-JP-１へのインタビュー記録です。

+ インタビュー:SCP-XXX-JP-A

インタビュー記録:SCP-XXX-JP-A

対象: [SCP-XXX-JP-A]

インタビュアー: [エージェント･多々良]

付記: [このインタビューはSCP-XXX-JP-Aが釣りに出掛けたためエージェント･多々良が手伝いとして同行した際に行われました]

<録音開始>

エージェント･多々良: お久しぶりですね、SCP-XXX-JP-A。

(返事はない)

エージェント･多々良: ……なぜ黙っているんですかSCP-XXX-JP-A。

SCP-XXX-JP-A: 呼び方。

エージェント･多々良: え？

SCP-XXX-JP-A: 俺のことはオヤジさんと呼べといつも言っているだろ。

エージェント･多々良: えっと……オヤジさん…今日はよろしくお願いします。

SCP-XXX-JP-A: ん？今日は兄ちゃんが釣りに付いてきてくれるんだったか？。

エージェント･多々良: はい、今日はそのついでにオヤジさんについて話を聞かせてください。

SCP-XXX-JP-A: おいおい、ついでって……まあいい。もう出かけるけど兄ちゃんは船酔いとか大丈夫か？、酔い止めは飲んできたか？。この前手伝いに来たつなぎ着たおっさんは船酔いで倒れやがったからな。

エージェント･多々良: …大丈夫です。行きましょう。

(移動する際の雑音が入る)

SCP-XXX-JP-A ちゃんとライフジャケット着たか？

エージェント･多々良: 意外と心配性なんですね。

SCP-XXX-JP-A: 俺の息子を思い出しちまってよ……ちょうど兄ちゃんくらいだった。

エージェント･多々良: オヤジさんには息子さんが？

SCP-XXX-JP-A: この話は無しだ、そろそろ船だすぞ。

(しばらく雑談が続く)

SCP-XXX-JP-A: お、着いたぜ。

エージェント･多々良: 準備の方は俺がしますね。

SCP-XXX-JP-A: 助かるぜ……何年も腰が痛くて釣りに来るのも一苦労だったんだ。兄ちゃん達のが手伝いに来てくれるようになってからだいぶ楽になったぜ。

エージェント･多々良: それはどうも……

SCP-XXX-JP-A: 店も本当は息子にあと継がせる予定だったんだがな…いっその事兄ちゃんが俺の後継がねぇか？。兄ちゃんなら体力ありそうだしなんなら一から鍛えてやるぞ？。

エージェント･多々良: そうですね、財団を引退した後でなら考えておきます。

SCP-XXX-JP-A: いつになることやら。

(しばらく沈黙が続く)

エージェント･多々良: あ、オヤジさん。1匹目釣れましたよ。

SCP-XXX-JP-A: おお、餡子がのってて良いたい焼きが釣れたな。

SCP-XXX-JP-A: ……近頃は外来たい焼きが入ってきやがって、くそ。俺はチャラついた味のたい焼きは嫌いなんだ。男なら小倉餡一択だろ。なぁ、兄ちゃん。

エージェント･多々良: そ、そうですね……たい焼きにも外来種とか居るんですね…。

SCP-XXX-JP-A: おう、俺のガキの頃は餡子ののったたい焼きがわんさか取れたってのに今じゃ餡子の入ってねぇ外来たい焼きばっかだ。

SCP-XXX-JP-A: 俺の息子ときたらよぉ、外来たい焼きも同じたい焼きだとかぬかしやがって同じように扱ってやがった。俺とあいつはそこが合わなかった。ある日その事で大喧嘩してあいつは海に出たっきり、それっきりだよ。

SCP-XXX-JP-A: 息子が居なくなってから外来たい焼きはさらに増えるわ俺は体調が悪くなるわで散々だったから兄ちゃん達が手伝いに来てくれたのは本当に嬉しかったんだぜ……このままじゃ店が続けられなくなるところだったからな。

(しばらく沈黙が続く)

エージェント･多々良: あの、オヤジさんはいつからSCP-XXX-JP……たい焼きの屋台を？

SCP-XXX-JP-A: いつから……？いつからかな、物心ついた頃からだな。それ以上は覚えてねぇや。

エージェント･多々良: あー……そうですか…ところで、どうしてあの……たい焼きは普通の魚みたいに泳ぎ回ってるんですか？。

SCP-XXX-JP-A: 何言ってやがる、たい焼きはそもそも魚だろ。

エージェント･多々良: え、なんて？

SCP-XXX-JP-A: だから、たい焼きは魚なんだから海を泳ぐのが普通だろ？

エージェント･多々良: え、たい焼きはお菓子ですよね？

SCP-XXX-JP-A: 菓子のたい焼きは海のたい焼きを元に作った菓子だろ。

<録音終了>

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