SCP-XXX-JP - 緩やかな階段

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二階側から撮影されたSCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが存在する民家はその周囲一帯の土地とともにサイト-81██管理下で収容されます。表向きは財団フロント企業の土地開発事業による工事現場として偽装されます。民間人との接触を防ぐため最低3人の警備員によって常時監視が行われます。実験時以外はSCP-XXX-JPの7段目に厚さ2cmの保護プレートを設置してください。実験中は遠隔操作可能な起爆装置を被験者の頸部に装着させてください。(20██/02/03追記)この装置の装着は実験終了後も継続されます。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市の山間部に位置する木造2階建て民家内の17段からなる階段です。階段の勾配はおよそ56度です。調査の結果その建築過程と組成に異常は見られませんでした。民家は██氏の居住地であり、同氏がSCP-XXX-JP内で転落死する以前までは異常性を持たなかったと推測されます。

SCP-XXX-JPの異常性はSCP-XXX-JPを急な階段であると認識した人物が下から7段目に足を乗せた際に引き起こされる重力の偏向です。この条件を満たす順番を前後した場合でも異常性は発現します。被験者の死亡、もしくは記憶処理などによって当該認識を忘却することで異常性は失われますがSCP-XXX-JPを急な階段であると再度認識した時点で異常性が発現されます。

異常性を発現した被験者および被験者が身につけている物品はSCP-XXX-JPの蹴込み板1に向かって垂直方向に重力を偏向されます。この重力は常に地面と並行するように変化すると見られ、一度異常性を発現した被験者は外的要因がない限り地球の外周に沿うように落下すると予想されます。身につけている物品に含まれる範囲については被験者の認識に依存していると見られ、被験者に隠して所持させた物品は異常性を発現しませんでした。現在SCP-XXX-JPから大きく離れた地点での異常性研究が検討されています。

収容時ログ - 日付20██/12/31

SCP-XXX-JPは20██年12月30日に民家内で██氏死亡時の現場検証をしていた██市警の職員によって発見されました。現場検証にあたっていた職員の一人から「同僚が窓から飛び出して転落した」といった通報がされたことで潜入していた財団エージェントがSCP-XXX-JPの存在を補足しました。財団エージェント到着時、転落した職員は既に死亡しており民家から10mほどの距離に倒れていました。

以下は調査のために民家内に侵入したエージェント██が身につけていた記録装置による映像と音声を一部抜粋し書き起こしたものです。


<記録開始>

[各種計器による測定と一階の探索が行われたが異常は確認されなかったため省略。]

エージェント██: これより二階の捜索を開始する。[頭部カメラがSCP-XXX-JP全体を映す]随分急な階段だな。

[エージェント██は階段をゆっくりと一段ずつ上がる。]

[音声から7段目に足をかけたと思われるタイミングでエージェント██は突然前方に転倒する。]

エージェント██: いて、う、うわ。

[転倒したエージェント██はそのまま前方に回転しながら階段を上昇した。]

エージェント██: [悲鳴]

[エージェント██は最上段を通過した後に慣性のまま二階天井へ叩きつけられる。エージェントの悲鳴はここで途切れた。]

[その後エージェント██は床面に落下することなく階段の正面に位置する割れた窓から外に投げ出される。]

[映像から地上3mほどの高度を維持したまま飛行するのが確認されるが3秒後に失速を始め地面に落下した。]

[以降映像は地面を映し続け回収時まで変化は無かった。]

<記録終了>

約1時間にエージェント██は救出されサイト-81██の医療区画へと搬送されました。全身に渡る打撲と脳への深刻な損傷を受けており一命は取り留めたものの4日間におよぶ昏倒状態に陥りました。現在意識の完全な回復を待って検査とインタビューが予定されてます。

20██年2月2日に発生したインシデントXXX-JPを受け実験プロトコルの一部が改定されました。今後の実験は新たなプロトコルを確認した上で実施してください。

補遺: SCP-XXX-JPの存在する民家の居住者である██氏は20██年12月30日にSCP-XXX-JPの下で亡くなっているのが発見されました。財団による現場検証や遺体の状態などから階段を踏み外して転倒し後頭部を強打したことが直接の死因であると推測されます。周辺住民への調査から██氏は「自宅の階段が急で怖いからもう二階には行っていない」と周囲に話していたことがわかりました。この事故においてはSCP-XXX-JPの異常性が関与した形跡がなかったため検死後遺体は親族の元へ返還されました。


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