Blaukosmeen 1
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特別収容プロトコル:
SCP-███-JP、およびSCP-███-JP-1が記録された情報記録媒体はサイト██の対電磁加工済みの██号保管室に保管されます。
██号保管室への入室はレベル3以上のセキュリティクリアランスを持つ職員にのみ許可されます。

SCP-███-JPの閲覧は外部にその影響が及ばない環境下でのみ許可されます。
事前に許可を得たうえ、物理的・電子的に独立し、推奨環境と指定プログラムの導入を満たした計算機システム上でのみ行ってください。

事前の許可が無い限り、SCP-███-JP-1の再生は禁止されます。
SCP-███-JP-2は発見し次第レベル2記憶処理を実施してください。SCP-███-JP-2がSCP-███-JP-1閲覧後48時間以上経過したと認められる場合は速やかに終了させてください。

映像編集ソフト"████ver.'93"の流通に対する規制・制限は現在検討中です。
(97年追記)
"████ver.'93"および後継ソフトの流通に対する規制・制限は現在の環境では不要と判断されました。
(20██年追記)
中古市場で流通する"████"シリーズは確認され次第速やかに回収されます。

説明:
SCP-███-JPは██社製ソフト"████ver.'93"1で作成されたと推測される、"REALLY_FUTURE"と命名された3Dの人型頭部モデルのデータです。
警察に潜入したエージェントによる██社の調査では、██社には異常は確認されていません。██社及び████ver.'93の開発スタッフには財団エージェントによる監視が行われております。
"████ver.'93"規定の3Dデータビューワーで確認する限り、SCP-███-JPは収容時のハードウェアおよび"████ver.'93"のスペックでは、通常では構築不可能な複雑さを有しており、当時の環境下での作成は不可能とされます。2
ビューワーでのSCP-███-JPの閲覧は、"████ver.'93"の動作推奨環境を満たしていれば支障なく可能です。"████ver.'93"との互換性を有するソフトのビューワーによる閲覧は成功していません。
ビューワーで閲覧中のSCP-███-JPは「90年代前半ないし中盤の3D映像としては完成度の高いアジア系男性の頭部のデータ」と認識されます。
なお、このビューワーによる映像は後述する異常性を発揮しないため、SCP-███-JP-1には分類されません。

SCP-███-JPは、SCP-███-JPを何らかの素材に用いて作成・編集された再生時間が10秒以上の映像(以下SCP-███-JP-1)を閲覧した際に異常性を発揮します。
この時、閲覧者(以下SCP-███-JP-2)はSCP-███-JP-1を「既存の映像技術では実現不可能だった、限りなく実写に近い3Dデジタル映像」、もしくはそれに類するもの3と認識します(フェイズ0)。
SCP-███-JP-2は閲覧後約15分経過する(5分前後の個人差が確認されています)と「現実とSCP-███-JP-1は本質的究極的には地続きである」とする認識異常を発症します(フェイズ1)。
SCP-███-JP-2の認識異常は時間経過と共に悪化し、徐々に現実とバーチャルな創作物との区別がつかなくなります。またせん妄に似た未知の精神疾患を発症します。
フェイズ1発症後48時間が経過すると「現実とは未知の演算装置に再現された実体のないバーチャルな存在であり、さながら一種のゲームのようなものである」と認識するようになります(フェイズ2)。
フェイズ2のSCP-███-JP-2は突発的に興奮状態に陥り、「この世界の真実が記載・記録されている」としてSCP-███-JP-1を周囲の人間にも閲覧させようと行動します。
周囲へのSCP-███-JP-1の閲覧が困難な場合、高確率で周囲の人間への暴行や器物の損壊、そしてSCP-███-JP-1を閲覧させるための暴力的・犯罪的な行動を行います。
SCP-███-JP-2はフェイズ2以前の状態ならばレベル2以上の記憶処理を行う事で認識異常を治療する事が可能です。
フェイズ2まで進行した場合の治療方法は未解明です。
それぞれの症状の具体的な症例は別紙「第1次~第6次SCP-███-JP調査報告詳報」を参照してください。

SCP-███-JPは1994年に警察に潜入中のエージェントの元へ電話による匿名の通報にに基づき発見、収容されました。

通報記録███-JP

(記録開始)

エージェント・██「はいこちら██署██課4

通報者 「エージェントの██さん5 ですか?」

エージェント・██「…どちらさまですか?」

通報者「貴方たちに渡さなければならないものがあります。██公園の西側の青いベンチの下です。段ボール箱に入っています」

エージェント・██「あ、ちょっと待って…くそ、切られた」

(記録終了)

通報に基づき財団が██公園を捜索し発見されたハードディスク(以下███-JP-α)からSCP-███-JPが、ベータマックス式ビデオテープ(以下███-JP-β)からSCP-███-JP-1が確認されました。
███-JP-βには「再生厳禁・危険」と手書きの文字で記されています。
███-JP-βを収めた保護ケースには一般的な長形3号封筒が貼り付けられ、封筒内からはワープロ6で作成されたと推測される手紙(███-JP-β関連資料)が確認されました。

███-JP-β関連資料

「私はあなた方に預ける事が最善と考えた」

通報の電話は██公園近くの公衆電話から発信された事が特定されましたが、発信者は現在に至るまで判明していません。
発見当時の██公園には監視カメラが設置されておらず、███-JP-αと███-JP-βを公園に残した人物の特定には至っていません。
███-JP-αと███-JP-βの表面からは一名分の指紋が確認され、現在特定を進めています。

補遺1
███-JP-αと███-JP-βの表面から確認された指紋は、捜索願が出された鈴木██氏のものと一致すると警察に潜入中のエージェントによる報告がありました。
鈴木██氏は「独創的なCGクリエイター」として業界で知られていましたが、現在消息が判明していません。
警察の捜査により推定される鈴木██氏の失踪の時期は匿名の通報があった日時と一致します。また███-JP-βに書かれた文字と鈴木██氏の筆跡は一致する事が確認されています。
鈴木██氏の住宅に残されたコンピュータ類およびノート類は激しく損壊しており、復元および解読には至っていません。
鈴木██氏は何らかの事件、もしくは異常に巻き込まれたものと推測されています。
財団の調査で鈴木██氏が在席していた映像制作会社「████クリエイティブ」には"████ver.'93"を含む多数の遺留品が残されていましたが、SCP-███-JPに関連するものは発見されませんでした。
鈴木██氏の家族7及び████クリエイティブには財団による監視と警護を付ける事が提案されています。

補遺2
SCP-YYY-JPの調査で、鈴木██氏がAre We Cool Yet?の構成員であるPOI-███と美術系専門学校時代に交友関係を有していたことが報告されました。
両者の専門学校卒業後の交友関係については調査中です。
SCP-███-JPとAre We Cool Yet?の関連については現在調査中です。

██研究員「まだ裏付ける事実が乏しい、感覚的なものだが……SCP-███-JPとPOI-███が製作に関わったSCiPは共通性が乏しい、別種のSCiPという印象を受ける」

エージェント・██は「両氏の卒業した専門学校は業界ではトップクラスの専門学校として名高く、偶然同時期に在籍していた可能性を否定する事は難しい」と指摘しています。

補遺3
1998年、鈴木██氏の両親の元8に鈴木██氏本人を名乗る電話が着信した事が確認されました。
通話記録███-JP

(記録開始)

鈴木██氏母(以下母)「もしもし」

自称鈴木██氏(以下██氏)「……母さん? 俺。██。」

「██なの!? どうしたの! 急にいなくなって」

██氏「ごめん、ちょっと言えないんだ」

「お父さんも警察の人も心配したのよ! 」

██氏「……うん、迷惑かけてごめん」

「それで、大丈夫なの? 」

██氏「うん、何ともない」

「生活はどうしてるの」

██氏「トーヘイ9ってトコで働かせてもらってる」

「トーヘイ……? どこの会社なの? 」

██氏「……ごめん、もう電話切らなきゃ。父さんに宜しく」

「あ、ちょっと!██!██!」

(記録終了)

この電話の発信元の特定は成功していません。
鈴木██氏が東弊重工、またその関連団体に所属した事実は確認されていません。
また、傍受・記録した電話内容を鈴木██氏の知人や失踪以前の同僚に確認した際、いずれも「言われれば鈴木██のようだが声や口調などに若干違和感があり、彼のもので無いような気もする」という旨の証言をしています。
詳細は別紙「SCP-███-JP 関連インタビュー集」を参照してください。
鈴木██氏個人、あるいは要注意団体10による撹乱工作の可能性を含め本件の調査は継続中です。

補遺4
"████"シリーズを開発元である██社の資金繰りが悪化し、近日中に清算や売却などの措置が行われる可能性が高いことが、銀行や調査会社に潜入した複数のエージェントにより報告されました。
"████"シリーズの開発は1996年の"████ver.96"を最後に終了11したことが確認されています。
措置に伴いソフトの権利や内部文書の散逸が発生する可能性が法務部より指摘され、フロント企業を介した同社の諸権利、もしくは"████"シリーズの諸権利の買収ないし譲渡交渉が提案されました。

補遺5
日本超常組織平和友好条約機構を介した世界オカルト連合との情報交換で、財団とほぼ同時期に同一の経緯で世界オカルト連合もSCP-███-JPを入手していた事実が判明しました。
世界オカルト連合は「異常性を有するデータそのものであるSCP-███-JPは何らかの方法で編集・改竄すれば無害化する可能性が高い」としており、これを検証する実験案が提出されています。
また、███-JP-βと同時に回収された手紙にある「あなた方」が、財団のみならず世界オカルト連合およびそれ以外の要注意団体も含む可能性が指摘されています。

補遺6
20██年に実施された第14次SCP-███-JP調査にて、財団による新型映像編集用コンピューターを利用し、"████ver.'93"でのSCP-███-JPの再編集が可能となりました。
SCP-███-JPは"████ver.'93"を推奨環境下12で起動させ、同ソフトの編集機能を利用し閲覧する場合、異常性を発揮しないことが確認されています。
またこの編集機能によりSCP-███-JPを改変する事が可能です。
"████ver.'93"でSCP-███-JPを改変したデータを素材とした映像(以下SCP-███-JP-3)は異常性を発揮しません。
この場合、閲覧中のSCP-███-JPは「90年代前半ないし中盤の3D映像としては完成度の高いアジア系男性の頭部のデータ」、SCP-███-JP-3は「90年代頃の3Dを利用した映像」と認識されます。

██博士「SCP-███-JPの作成者や作成経緯が判明していない現状、SCP-███-JPが今後普及する十分なスペックのハードウェアと何らかの条件を有するソフトウェアを揃えた環境下で偶然発生しうる可能性がある……そう考えた方が良いでしょう。
収容当時、SCP-███-JPを編集する事は当時最先端のコンピューターでも不可能でした。しかしSCP-███-JPの収容当時とは比べものにならないほど一般的なコンピューターの処理能力やネットワーク、そして個人によるデジタルな動画製作や編集にまつわる環境や文化が発展しています。
ゆえに収容当時よりもSCP-███-JPとSCP-███-JP-1の拡散ははるかに容易になり、それがK-クラスシナリオの発生を招く事は言うまでもないことです。そうなる前に我々は第二のSCP-███-JPが作成されバーチャルネットワーク上に拡散する事を阻止しなければなりません」

現在普及しているOSで"████"シリーズの起動は困難であることが確認されていますが、"████"シリーズで作成され保管・流用されたデータの流出、エミュレーター等の特殊なソフトを介し"████"シリーズ製のデータが新規に作成される可能性があります。
カバーストーリー「スタッフの悪ふざけによる素材へのサブリミナル混入」「パカパカアニメーションを利用した素材による発作被害の報告」が流布され、中古市場に流通している"████"シリーズの回収指示が出されています。
"████"シリーズの無断再配布など、██社知的財産権の侵害は財団法務部が速やかに対処してください。
また"████"シリーズで作成されたデータが確認されるとデータに深刻なダメージを与えるコンピューターウイルスの開発・流布が検討されています。

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