SCP-XXX-JP 骨飾北斎

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-81██内の一室に収容されています。SCP-XXX-JPには、2ヶ月に一度の職員同伴の外出、居住スペースと衣服、最低限の娯楽、ある程度のサイト内でもの自由、筆・画材などのその他浮世絵の制作に必要な道具、そして1日に7時、12時、19時の3度に食事を提供してください。食事の種類は指定しません。また、SCP-XXX-JPに損傷がみられる、もしくはSCP-XXX-JPがカルシウムを要求してきた場合は、直ちにサイト内に常備されているカルシウムを提供してください。SCP-XXX-JPが絵の批評を求めてきた場合は、サイト内で無作為に選出されたクラスC以上の職員5人以上で絵の批評を行ってください。また、その場合は正直に感想を述べてください。

説明: SCP-XXX-JPは身長約180cmの日本人男性の体全体の人骨です。SCP-XXX-JPは、脳、心臓、筋肉をはじめとした骨以外の体組織が確認できませんが、人間と同じくらいの知能を持ち、未知の方法で声を出して言葉を話し、体を動かし、ものを食べることができます。
 
SCP-XXX-JPは一般的な人間と同じく食事と睡眠を必要とします。また、SCP-XXX-JP自身の骨が損傷した場合にカルシウムを摂取すると損傷は即座に回復します。また、それ以外でもSCP-XXX-JPはカルシウムを好んで摂取します。また、食べたものはSCP-XXX-JPがそれを飲み込んだ瞬間に未知の空間へ移動し、排泄の際に便として戻ってきます。

SCP-XXX-JPは自身の収容に協力的です。また、SCP-XXX-JPは基本的に敬語を使いますが、その性格は短気で、強情で自由です。
 
SCP-XXX-JPは、2ヶ月に1度ほど、版下絵を描くために日本国内のランダムな場所へテレポートします。SCP-XXX-JPは版下絵を描き終えた後、テレポートで元いた場所に戻ってきます。その後、SCP-XXX-JPは自身の肋骨で主版・色版を彫り、彫り終えた版木を自身の膝蓋骨を用いて紙に摺り、浮世絵を完成させます。SCP-XXX-JPは浮世絵が完成すると周辺の人物に絵の批評を求めます。また、批評を求められた人物は、葛飾北斎が制作した浮世絵との比較を詳細に述べることができます。しかし、述べる行為に強制力は無く、虚偽を述べることもできます。しかし、SCP-XXX-JPは自身の絵の批評に関しての虚偽を見抜く能力を持っているため、虚偽を述べた場合、その人物は攻撃対象となり、殴り掛かろうとします。また、SCP-XXX-JPが描く版下絵は、葛飾北斎ととてもよく似た画風を持っています。

また、SCP-XXX-JPのテレポートするという異常性は、絵を描きたいという欲求により発生していると考えられ、SCP-XXX-JPが外出をした際、後2ヶ月間にはテレポートが確認されませんでした。
 
SCP-XXX-JPは、浮世絵を制作する工程において必要な絵師、彫師、摺師としての素晴らしい技能を持っています。SCP-XXX-JPは、「葛飾北斎を超える」という明確な目標を持っており、その目標を達成するために浮世絵を制作し、人々に批評を求めていると考えられます。

SCP-XXX-JPは、1921年、東京都の浅草で版下絵を描いているところを偶然観光に来ていた財団職員に発見されました。
 
 
以下の記録はSCP-XXX-JPが財団に収容された際に行われたインタビュー記録です。
 
 
インタビュー記録 XXX-JP-1

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: 村岡研究員

<録音開始>

インタビュアー: では、これからいくつか質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

SCP-XXX-JP: はい、よろしくお願いします。

インタビュアー:では最初に貴方はなぜ、あの場所で絵を描いていたのですか。

SCP-XXX-JP:それはもちろん、あの偉大なる北斎先生の浮世絵を越えるためです。

インタビュアー:北斎先生、とは、葛飾北斎のことですか、あの、浮世絵師の。

SCP-XXX-JP:そうです。あの人の絵を超えるためだけにに今、骨になっても生きているといっても過言ではありません。会ったことはないので勝手に先生と呼ばせてもらってるだけですけども。

インタビュアー:骨になっても生きている、ということは貴方は昔から骨だった訳では無い、というということですか。

SCP-XXX-JP:そりゃそうですよ。人間誰しも肉体を持って生まれてくるものでしょう。まあ、生きていた頃の記憶は無いに等しいんですがね。[ケタケタと笑う]

インタビュアー:なるほど、では貴方が葛飾北斎を越えたいと思うのは何故ですか。

SCP-XXX-JP:…難しいことを聞きますね、貴女は。…いつからでしょう、あの人の絵に惚れたのは。まあ、生きているときのことでしょうね、覚えていないので。骨になって40年間くらいですかね、好きに生きてたんですよ、もちろん変装しながらね。でも、この姿を見せても愛してくれる恋人ができた時もありました。まあ、今は私と違い動かない骨になってしまいましたがね。楽しかったです、時代の移り変わりを見るのは。だけどもある時、いつの日かに見た北斎先生の絵をまた見る機会がありましてね、生きてる間に浮世絵に熱中していたときのことを少しだけ思い出したんです。そうしたらもう居ても立っても居られなかったんですよ。でも、まあ、素人が描く絵なんてものたかが知れています。しかし諦めなければ必ず達成できると思い続けて、浮世絵を作るために独学で技術を身につけて、今やっと30年目です。

インタビュアー:…貴方の描いた絵はわたしにはとても素晴らしいものに見えるのですが…。

SCP-XXX-JP:あれが?[ケタケタと笑う]まだまだ北斎先生に比べれば未熟ですよ。あんなのは。

インタビュアー:そうなんですか…。では、貴方自身が瞬間移動する理由について何か知っていますか。

SCP-XXX-JP:理由ですか…。まあ「絵を描いて早く先生に追いつきたい」と考えると瞬間移動することが多いので、まあ、描きたいからじゃないですかね。

インタビュアー:それならその場で描けば良いのでは?

SCP-XXX-JP:[ケタケタと笑う]たしかにそれも追いつく1つの道でしょう。同じ題の絵を極める。しかし私は沢山の人、もの、風景を描きたいのです。そのうえで、最高のものをつくりたい。

インタビュアー:はぁ、なるほど…。

SCP-XXX-JP:そうだ!あなたの絵を描かせてくださいよ。あなた、中々の美人なので、きっと良いものが描けます!

インタビュアー:えっ!?私のですか!?

SCP-XXX-JP:そうです。絶対に良いのを描いてみせますから!

インタビュアー:いや、描ける描けないの以前に今インタビュー中…。

SCP-XXX-JP:お願いします!ここ2ヶ月なにも描いていないんです!じゃないとまた[SCP-XXX-JPがテレポートし、サイト内から姿を消す]

インタビュアー:えっ!?あれっ!?消えた!?イ、インタビューを終了します!!

<録音終了>

終了報告書:SCP-XXX-JPがテレポートして約1時間後、SCP-XXX-JPはサイト81██内に再びテレポートし戻ってきました。その時、SCP-XXX-JPはとても満足した様子でした。この騒動を受け、SCP-XXX-JPはオブジェクトクラスKeterと制定されました。

以下の文書は、村岡研究員がSCP-XXX-JPへのインタビュー終了後に書いた日記です。
 

1921年█月█日

今日は酷い目にあった。彼(SCP-XXX-JPのこと)は根は良い人そうだけど、初対面の人の絵を描きたいだなんて、絶対に変わっている。しかもインタビュー中にテレポートするなんて。あれじゃKeterクラスのオブジェクト以外の何者でもない。

[他のその日に起きた出来事が書かれる]

ふと、疑問に思い調べてみたのだけれど、彼は今から大体40年間好きに生きて、その後30年の間絵を描き続けているらしい。つまり彼が生まれた、いや死んだ?まあ、それが70年前。そして北斎が死んだのも70年くらい前。

まあ、偶然でしょう。

[SCP-XXX-JPを描いたものと見られる落書き]

P.S.良いあだ名を思いついた。骨の葛飾北斎で骨飾北斎ってのはどうだろう。
…流石に自分の洒落のセンスに嫌気が刺す。やめとこう。

 
 
SCP-XXX-JPの収容から2ヶ月後、SCP-XXX-JPの異常性についての実験が行われました。
 
実験記録XXX-1 - 日付1922年█月█日

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPが絵を描きたいと要求すると同時に、SCP-XXX-JPを職員同伴のもとで外出させ、絵を描かせる。

結果: SCP-XXX-JPはとても満足したかのような態度を見せ、その2ヶ月の間にはテレポートは発生しませんでした。

分析:SCP-XXX-JPのテレポートは、彼が「絵を描きたい」という欲求を持っていることから発生すると推測されます。SCP-XXX-JP自身の建てた仮説を正しいとみて良いでしょう。この仮説が正しければ、彼のオブジェクトクラスをKeterからEuclidに格下げすることもでき、収容コストも大幅に削減できるはずです。

付記:その後、SCP-XXX-JPには、同様の3度の実験が行なわれ、その実験結果を考慮して、オブジェクトクラスKeterからEuclidへ再分類されました。

また、収容から約1年後、SCP-XXX-JPのもう1つの異常性についての実験が行われました。

実験記録XXX-4- 日付1922年█月█日

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: 3人のDクラス職員にSCP-XXX-JPの絵を別々に批評させ、SCP-XXX-JPの前で1人ずつ話させる。3人のDクラス職員には、それぞれ、感想を正直に述べる、虚偽を述べる、無言、の3つの指示を出す。

結果: 正直に述べた場合、SCP-XXX-JPは真剣な表情でその話を聞き、最後に「ありがとう」と礼を述べていました。

虚偽を話した場合、SCP-XXX-JPは憤慨し、「[編集済み]‼︎」などの暴言を発し、Dクラス職員に殴りかかろうとしましたが、同室内にいた職員に止められました。

無言の場合、SCP-XXX-JPは、Dクラス職員の気を引こうと、頭を外したり、普通ならありえない骨の配置に組み替えたりしていました。

実験後、3人のDクラス職員に正直に絵の批評を全員に述べてもらうと「上手い方だが北斎には程遠い」と話していました。

分析:この実験の結果から、SCP-XXX-JPは特定の条件下での嘘を見抜く能力を持っていると考えられるでしょう。また、この3人のDクラス職員は、芸術の教養はそれぞれのはずなのに簡潔に感想を述べました。これもこのオブジェクトの異常性に関連すると考えられます。

 
 
 
追記: SCP-XXX-JPの収容から約70年後の20██年█月█日に行われた浮世絵の批評で、5人の職員が満場一致で「北斎より素晴らしい」という感想を述べました。
 
 
SCP-XXX-JPはその翌日の午前9時、サイト内の自室で体育座りの体勢をした状態で発見されました。SCP-XXX-JPの足下には1枚の文章が描かれた紙とペンが落ちていました。以下はその文章の内容です。
 
 

やった、やった!ついに越えた!先生を!本当に長かったが私はやった!100年もの間、諦めずにここまで走り抜けてきた!

…村岡さんも██さんも██さんもみんないなくなってしまったが、この瞬間を見せてあげたかった。村岡さんの絵はまだ一枚しか描いてない。██さんとは江戸の文化について1日中語り合ったりしたし、██さんは、よく私と色々なところへ出かけて絵を描かせてくれた。今やっとわかった。芸術は1人で創るものじゃない。

…昔の私もこんなことを思っていたのだろうか。まあ、違うのは100年生きて素晴らしい絵を描けたということだろう。

昔の私?昔の私は…、なにをしていた?少し思い出してきた。周りの人に助けられ、沢山の絵を描いていたような気がする。富士の絵、美人の絵、他にもたくさん。

身体が重い。とても疲れた。長年の夢を叶えられたからか?

ああ、思い出した。

私の名前は葛[判別不能]

そろそろ私もみんなのところに行くとするか、悪いな、██くん(当時の担当職員の名前)。

おやすみ。

 
 
その後、SCP-XXX-JPは財団職員の呼びかけに応じず、さらに2ヶ月の間、テレポートも発生せず、動こうとする素振りを見せなかったことから、SCP-XXX-JPの異常性は完全に消失したとされ、オブジェクトクラスEuclidからNeutralizedへと再分類されました。


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