てんしょく
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手元の書類に間輝ハザマ テルと書いてある。初めて見た名前ではない。確か1ヶ月ほど前に財団本部に転属を命じられた男だ。

その男が帰ってくるという。……人の名前を覚えるのは苦手なほうなのだが、なんで覚えていたんだろうか。何か特別な業績を残したわけでもなかったようだが。

……はて?なぜ彼は本部に転属などの命令が出されたのだろう。その上1ヶ月で帰ってくるだなんて。
 
 


 
 
今日も今日とて僕の仕事は人事官の補佐。という名の雑務。サイト中を駆け巡り様々な書類の確認を色々な人にしてもらう仕事だ。

でもまあ、嫌なわけではない。重要なオブジェクトの検査等をしている優秀な博士や、主にサイト外部で活動しているエージェントを除けば、いろんな人と話したりできる。話してばかりだと怒られてしまうが。

今の直属の上司である吹上人事官は、職員に対して、その能力しか見ていない。いや、女性に対してはその限りではないが。それはそれとして、そのせいで相性が悪い人物達を同じ任務につかせようとしたりするので、僕が感じた職員の性格とかを報告して調節してもらっている。

自慢ではないが、僕のおかげでサイト内の衝突は八割くらい防げてると思う。

まあ、彼の人の適職を見抜く才能は確かなものだが、その人がやりたいことだとか、やりたくないこととかは勘定に入れないから大変困る。

逆に自分は、相手が本当にやりたいことを見抜く才能があるからこの任務に着かされたし、その為に色々な職員と話している節もある。

天職だと思えなくもない。

そんなことを考えていたら、前方に1人の男性が見えた。こんな朝方にここを通る人なんていたかなと思ったが、近づいて思い出した。髪型が変わったから気づかなかったようだ。確か名前は──
 
 


 
 
俺はつまり、とても平凡だった。何をやっても中途半端。どうしてもその先に進めない。だから、間というこの名字がとても嫌いだ。お前は中途半端にしか生きられない、そう言われているようで。

俺にだって得意なことはある。でも、俺が得意だと思ってることは大抵、先がいるのだ。上がいるのだ。俺は1番にはなれないし、2番目にだってなれない。ただ1人という特別になることが出来ない、平凡な人間だった。

そんな俺に輝きをくれたのが先輩だ。君には才能がある。そう言われた。少年漫画のような展開、怪しく思わなかったわけがない。でもそれ以上にワクワクしていた。今すぐ普通を抜け出したかった。

だから、話だけ聞くことにした。藁にもすがる思いだった。それと同時に、そんな才能があったら既に気づいてるという思いもあったが。

先輩が言うに俺の才能は、たまたまものを壊してしまうというものらしい。馬鹿にしてるのかとも思ったが考えてみると思い当たる節は沢山あった。

幼稚園に有った150年間1度も止まったことがないという柱時計は、たまたまどこかのネジが緩んでいたのか自分がぶつかっただけで止まってしまった。小学生の時図画工作の時間に作った彫刻は、刃を入れたところにたまたま節があって真っ二つに割れてしまった。初めて買ってもらったメガネは落とした時たまたま上級生が走ってきて折れてしまった。中学生の時に買ってもらったゲーム機は、たまたま地震で水槽が倒れて水没してしまった。

社会人になってからもそうだ。初めて買った車は、たまたま自分の車を担当した新人のガソリンスタンド店員がハイオクとレギュラーを間違えて壊されてしまった。考えればキリがない。そうそう、象が踏んでも壊れないという筆箱を落としてしまっただけで壊してしまったこともあった。

でも、自分の才能に気づくと同時に落胆した。こんな才能があったところでなんの役にも立たないと。

「バカにしてるんですか?」

そういった気がする。そして先輩は、そんなことは無いと断言した。君の才能は私たちの仕事に非常に役に立つと。

そこからの話はまるで夢物語だった。自分たちは世界中に散らばっている常識が通用しない危険な道具類を壊して回っていると。その中には普通に頑張っても壊れないようなものも沢山あり、もしかしたらそういうものに君の力が役立つかもと言われた。

嘘みたいな話だが、自分は乗った。普通じゃないこと、自分の才能が1番になれるかもしれないこと、それは自分にとってあまりにも魅力的だった。

 
 
 
最初に破壊を任された仕事は10秒ごとに組成が変わるパズルのようなものを分解するというものだった。危険には見えなかったし、破壊とは違うような気もしたが、常識が通用しないという時点でこの世界にとっては危険なものという認識らしい。このパズルの場合分解することで異常性が失われるらしい為、分解することが異常性を破壊するということと同義らしい。

そして、俺は上手くやれなかった。やれることを全部試した。それでも分解できなかった。そして、組織の居住スペースで落胆に浸りながら、どんなことを言ってやめようかと考えていた。

そんなときそのパズルがなくなっていることに気づいた。大いに焦った。

だが、以外にもすぐにそれは見つかった。洗濯機の中に入っていた。たまたま気づかないうちにまとめて入れてしまっていたらしい。そしてそれは分解されていた。
 
 
 

そんなこんなで自分は、そういう危険なアイテムを私欲のために秘匿し、蒐集し、利用するという組織に潜入するという仕事を任せられるようになっていた。表向きには危険なモノを世界から隠し、世界を守るためと言っているが、そうではないことを先輩から聞いていた。

この組織でも自分はうまく行き、3ヶ月でふたつのオブジェクトをたまたま破壊することに成功していた。 そして、理由は分からないが、自分はこの組織の本部というところに行けることになった。今いる、日本にあるここは世界中にある支部の一つでしかなく、本部に、つまり悪の組織の大本に行けるというのはあまりにも運が良かった。

先輩は自分のことを褒めてくれた。自分も、先輩の役に立てていることが、世界を守る手伝いを出来ることが嬉しくて、そして何より1番に近づけていると感じれることがとても喜ばしかった。
 
 
 
 対面した新しい上司は笑顔で握手を求めてきた。こっちがどういう人物かも知らず、のんきなものだ。
 そんなことを思いながら手を伸ばしてた。
 
 


 
 
雰囲気変わったなぁと思いながら、声を掛ける。

「はざ──あ、いや。輝研究員お久しぶりです」

会うのが久しぶりだったためか、つい苗字で呼んでしまう。

「ああ、久しぶり。呼びにくいのなら間で構わないよ」

「いや、大丈夫ですよ」

確か、間と呼ばれるのは苦手だったはずだ。本人がそう言っていた。みんな知っていたから間ではなく輝と呼んでいた。

「ああ、そうかい?間もいいと思うんだがね。日本一有名な闇医者と同じ名字じゃないか。それと、出来れば博士と読んでほしいね。今回はそれで雇われたんだから」

だから、今の発言に違和感を感じた。博士号を持っているだなんて話は聞いたことがないし、自分から間と呼んでほしいと言うなんて思わなかったから。

でも、それは違和感でしかなかった。間という名字を嫌う理由は、何かしらのコンプレックスによるものだとは感じていたから、そのコンプレックスが解消されたのだと思った。

「博士号を持ってるだなんて初めて知りました。後輩だと思っていた人が実は先を行っていたみたいで少し悔しいですね。それで、本部はどうでした?」

「残念ながら教えられないな。それは分かってるだろ?」

ああ、財団はそういう組織だ。不必要に情報を広めたりはしない。けど、この人はそんなやつだっただろうか?禁止されてないからって、自分が担当したオブジェクトの話を沢山してきていたと思うのだが。

──そう、自慢げに。少し思い出した。間輝は一番になりたがっていた。そして、1番じゃないこと、平凡であることを嫌っていて、自分が選ばれた、特別な人間であるかのように──無意識だったとは思うが──振舞っていた。

でも、今の彼からそのような印象は感じない。本部に行って意識が変わったのだろうか。それとも、何かで一番になることが出来て、コンプレックスが解消された?

「なんか、変わりましたね。今の方がいいと思いますよ。あ、でも、1ヶ月ぶりに言うのもあれですけど、もうオブジェクト周辺でヘマなんかしないでくださいね」

彼は以前、2回ヘマをして2つのAnomalousアイテムを破壊している。どちらもたまたま運の悪さが重なっただけだとみんな分かってはいたが、彼の悪びれる態度が表面的なものにしか見えなかったから、少しだけ悪い印象がのこっている。。そんな彼が本部に転属というのは驚きがあったし、大丈夫かとも思ったが、結果的には良かったようだ。

「ああ、もう二度としないよ。絶対に」

ほら。前の彼なら、失敗しただけなんだからしょうがないという感じだった。それに、少なからずオブジェクトが減るということをいい事だと捉えている節もあったが、今の彼からはそのような考えは感じ取れない。……ほんとに、人が変わったようだ。

「──Fuck!なんでこんなもんが落ちてんだよ」

そんなことを考えていると、前方を歩いていた間が突然声を上げる。間は盛大にコケていた。色々な改善点が見られたと思ったが、口は悪くなったらしい。

「お久しぶりです輝研究員。足元には気をつけた方がいいですよ」

そう言って、手にバナナの皮を持った一人の男が話しかけてきた。間がこけた原因はおそらくこのバナナだ。

間が起き上がる。

「幸雄博士。散々なご挨拶じゃないですか?それから、僕のことは間博士と読んでほしいですね。あなたに名前で呼ばれるのはどうにも吐き気がする」

「散々なご挨拶?偶然バナナの皮を落としてしまっただけですよ?それはそうとあなたの場合どっちも名前みたいなものじゃないですか。Dr.間って呼ばれたいだけでしょう?……それにしてもぴったり過ぎて笑ってしまいそうだ。でもまあ、そんなことを言うのなら私だって切裂って読んで欲しいですよ」

……?また、少し違和感を感じた。切裂幸博士はかなり前の事だが、幸雄と読んでほしいと言っていた。幸運な自分の運がさらに良くなりそうな気がするからと。

「それこそ、切り裂きジャックが好きなだけでしょう?あなたの場合どっちも名前じゃないようものじゃないですか。」

それは初耳だ。そんなキャラだとは思わなかったが……。というか殺人鬼とか1番嫌いそうなタイプだと思ったのに。自分が切裂博士に会うのは久しぶりだったから、知らないうちに趣味が変わったのかもしれない。自分が切裂博士と最後に話したのはいつだったか……。そうだ、5か月前だ。その後は切裂博士はズンズン昇進していて、話す機会がなくなってしまったのだ。

……?間研究員が財団に雇用されたのは3ヵ月前で、切裂博士と知り合う機会なんてなくないか……?

「仲いいようですけど、何時知り合ったんですか?それに、名前とか名前じゃないとかってなんの話です?」

「ん?ああ、仲がいいって言うのは否定させてもらう。知っていることが多いだけでとてもとても嫌いだよ。まあ、腐れ縁というやつだ。名前の方はこっちの話だ。気にしないでくれ」

切裂博士はそう言った。なるほど、昔からの知り合いだったのか。じゃあ、名前というのも何か2人だけに通じるものがあるのだろう。

「じゃあ、ここは任せてもらうよ」

「ああ」

そう言うと切裂博士は歩いていってしまった。

あれ?

「そう言えば、引き継ぎどうしたんですか?」

「ん?ああ、彼がどこに何を置くかなんて、手に取るようにわかるからね、問題ないよ。わからないことがあったら共同研究者に聞けばいいし」

普段だったら、なんて雑なんだろうかと思ってしまうだろうが、間は確信を持っているようでそのような感情は一切湧かなかった。

「腐れ縁でも、そんなに分かり合える仲って羨ましいですね」

「そんなにいいもんでもないよ?楽しいことも多いけど、嫌なことの方が多いからね。そうだ、それはそうと賭けをしないか?」

──はぁ?この間という男は、財団職員としての姿勢を得た代わりに、ろくでなしになってしまったらしい。

「賭け……ですか?突然どうしたんです?」

「まあまあ、この鍵を見てくれ」

そう言って、鍵を僕の頭上に掲げる。つられてそれを見た。

「で、どういう賭けかと言うと。──君が転ぶかどうかだ」

その声を聞くと同時に、天地が反転する。

ああ、やられた。足元を見るとバナナの皮が転がっている。そして、顔を上に向けたら、間博士が満面の笑みでこちらを見つめて、こう言った。

「君のそんな面白い表情を見られるだなんて、幸運だよ」

──幸運という言葉を聞いて思い出した。

切裂博士は幸運が口癖だった。そして、彼は人から優しくされること、そして、人に、優しくすることを何よりも求めていた。

だから、また、違和感を感じた。腐れ縁だとしても、悪戯だとしても、彼だったら人を傷つけるようなことはしない。そして、あんな幼稚なことはもっとしないはずだと。
 
 


 
 
私はとても運がいい。私の周りにはいつも助けてくれる誰かがいてくれた。そして今もそうだ、死にそうな私を助けてくれたのは、ある慈善団体だった。

生きてきてから全てが幸運だった。体が小さくて病弱だったけれど私をいじめる人はいなかったし、学校の先生はいつも5をつけてくれた。親は早くに亡くなってしまったが、莫大な遺産を残してくれたし。誰もが私のことをすごいとほめてくれた。ついさっき自家用ジェットが事故を起こしてしまった時は、流石に運が尽きたのかとも思ってしまったが、そんなことは無かった。マナによる慈善団体を名乗る団体が、不思議な力で私の傷を治してくれている。

だから、今度は流石に恩返しをしようと思った。私の幸運を支えてくれている人達に。そして、このマナによる慈善団体という組織は、私が世界中の人々に恩返しをするには最高の組織だと思えた。

最初はお金を払うだけだった、それだけで団体は潤い、慈善の手は遠く、遠く伸びていくことが出来た。でも、私が納得出来なかった。本当に恩返しが出来ているのかと感じたのだ。だから私はある組織に潜入することにした。差し伸べられる慈善を隠匿し、蒐集し、誰にも使わせないその組織に。

私は勉強ができた。いい勉強をさせてもらえる環境があった。だから博士としてその組織に入ることは容易だった。さすがに、盗んだり奪ったりすることは難しく、その組織が保持している魔法のような道具の情報を流すことしかできなかったが、それでも、自分の手で恩返しが出来ていると感じられるのがとても嬉しかった。

そんなとき私に、その団体の本部への転属が命令された。また、運が味方したのだと思った。本部と呼ばれるところの方が規模が大きいと聞く。より慈善の手を伸ばすことが出来ると感じ喜びに打ちひしがれた。

 
 
 
だから、本部に配属された今少しばかり憤りが生まれた。確かにその組織は慈善というものを欠片も感じさせない場所であったが、世界を守るという確かな理念に基づいて行動していたと感じたし、その研究は最先端の先を行っていた。なのに、今目の前にいるこの男はなんだ。

出会い頭に下ネタを言うほど下品で、そして、ヘラヘラしている。

許せないと思った。こんな男が私たちの慈善を妨害しているのが。

そんな男が握手を求めてくる。

もちろん私は応じる。相手がどんな人物であろうと、紳士的に振る舞うべきだと思っていたから。

 
 


 
 
頭が痛い。いや、さっきのイタズラで頭をぶつけたのもそうなのだが、そういうことではなく。

「どうしたんだい?頭を抱えて」

反射的にお前のせいだと言いたくなったが、グッとこらえる。

「自分がしたことを思い出してください。まだ、一分も経ってないですよ」

「そう言えば彼女、なんか怒ってたね。美人が台無しだ。どうしたんだろうか?」

絶句する。本気で言っているのだろうか。あんなこと突然言われたら怒るに決まってるだろうに。

「はぁ……」

上司は……あんまり意味がなさそうだな。こいつのセクハラに関しては同僚に相談しよう。それから、こいつと女性はできるだけ同じ仕事につかせないように調節しないとな……

「ため息なんて吐かない方がいいよ。運気が逃げる。女性もね」

「アメリカ行ってる間に悪魔と契約でもしましたか?モラルを引き換えに能力を得る、みたいなの」

あまりにも、言うことなすことが酷くなっていたので冗談めかしてそう言ったのだ。

「悪魔……ねぇ。面白いことを言うじゃないか」

だけど、答えに反して彼の目は一切笑っていなかった。
 
 


 
 
間輝と切裂幸雄。今日からこのサイトに復帰する男と、今日このサイトから去る男。どちらの人事ファイルにも外部からのアクセス履歴が残っている。いや、外部と言い切るのは違うかもしれない。財団本部。

我々の本元。間輝は一ヶ月前と五日前。切裂幸雄は六ヶ月前と五ヶ月前、そして五日前。探してみると、このサイトの人事ファイルは、五年前から大体五ヶ月から六ヶ月おきにそのようなアクセスを受けていることが判明した。

アクセス元を詳しく調べようとしたらセキュリティクリアランスレベル5を要求された。

流石に焦る。焦らないはずがない。セキュリティクリアランスレベル5。O-5。

つまり、財団の最高権威。

だからこそ彼らが何なのかが分からない。O-5と思われる人物からのアクセス。

そして思い出す。たしか私が彼らに受けた印象は、どちらも財団に向いてないというものだった。というかあまりに向いていないと感じて印象に残っていたというほどだ。間は……何だったか。サラリーマン?切裂は資本家でもしていろと言った気がする。

余計にわからない。そのような人物にO-5が一体なんの用だ。

「吹上人事官、どうされました……ってこれさっきの2人の人事ファイルじゃないですか?」

「副人事官君じゃないか。ところで、さっきの?会ったのか?」

「ええ、まあ。というか、いつになっても名前を覚えてくれないんですね」

「そんなことはどうでもいい。2人についてどう感じた?」

「どうでもいいって……。はぁ。で、2人についてですっけ?なんか印象変わったなぁって感じですね。あ、あくまで僕がそう感じただけですよ。昔からの知り合いみたいで、兄弟かと思うレベルの掛け合いをしてましたね。それに、2人ともかなり幼稚なイタズラを仕掛けてましてね、僕もやられました。切裂博士があんな行動するのは意外でしたねー。あ、あと、間博士が女性にセクハラしました」

「多いよ。で、セクハラ?」

「セクハラです」

「へぇ。セクハラに、まるで兄弟。それに、イタズラ……なるほどね」

「2人に何か問題でも?」

「いや、問題は無くなったよ」

俺的には、だが。上がどう認識してるかは知らないけど。

「でも、セクハラは……?」

「程度にもよるんじゃない?気になるなら君が注意してよ」

しかし、5年前からねぇ。彼の目的はなんなんだろうか?

世界のためというのは、ないとは言いきれないだろう。財団のためとなるとかなり怪しい。やっぱり自分の……いや、家族か?

まあいい。彼は使える。どのサイトにもいてほしいくらいには高い能力を持っている。いや……もういるのかもしれないが。だから働いてもらう。それだけだ。

「おーい、もう話は終わったんだから、そんな所に突っ立ってないでさっさと業務に戻る」

っとそう言えば。

あることに気づき、ぶつぶつ文句を言いながら扉から出ていく部下に声をかける。

「その首にかかってるかわいらしいウサギのストラップが、その間ってやつのいたずらかい?」
 
 


 
 
 しかし、何度見ても面白いものだな。と、そうひとりごちた。

 驚いたときにする表情は誰もが同じらしい。私のやり方が同じということもあるだろうが。

 苛立ちを隠せないままに握手に応じた彼も、嬉しいことがあったかのようににやけながら握手に応じた彼も。

 そして疑問符を浮かべながら鍵を眺めていた彼も。

 二人の驚いた顔をもう二度と見ることができないのはなんとも残念だが、先ほどのの驚いた顔はまだ何度でも見ることができるだろう。
 
 からかいやすいやつが職場にいるというのは、とても喜ばしいことだ。


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  1. portal:aster-shion ( 01 Jun 2018 11:48 )
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