SCP財団日本支部サブネットワーク非常事態発生時における報告フォームに残された記録-███4/11/25
- Anomalousアイテム実験中に実験主任である██博士及び実験補佐の███研究員、記録員の█研究員が目前で消失しました。非常事態に伴い記録補佐を行っていた私が、実験室の封鎖及びサイト管理者██への報告を行いました。(12:16)
- 同サイトでSCPオブジェクトの研究を進めていた██博士と合流しました。██博士による、研究に関わっていた一名の博士と五名の研究員が目の前で消失した、そして私と合流するまで他の職員の姿を見ていない報告を受け、こちらの状況を説明。サイト管理者への報告に反応がないことを踏まえ、第二級サイト内異常の発生を推定。緊急時対応マニュアル-所属サイトにおける非常事態への対応と報告-に従い現状の再確認、定期的な状況報告の準備を開始しました。(13:00)
- 管制室に向かい、██博士が緊急パスコードを使用することで一部の監視機能を開放。当サイトに収容されているオブジェクトの収容状況を把握。収容違反は確認できませんでしたが、実験中とされている二つのオブジェクトが収容指定場所から移動されったままであったため、特別収容プロトコルに従い再収用を行いました。該当オブジェクトはSCP-████-JP及びSCP-████-JPです。詳細は添付ファイルに記しました。
また、現在に至るまで当サイトに私と██博士以外の職員は発見されておらずサイト管理者の反応もないままであるため、第二級サイト内異常の発生を確定し、緊急時対応マニュアル-所属サイトにおける非付与機能の開放条件及び手順-に従い、SCP財団日本支部理事会への直接報告及び機密情報の存在しないフロア以外のフロアの封鎖を行いました。(13:30)
- サイト-8100区域内のサイトにおける異常事態発生から90分以上の時間の経過を確認。当サイトからの報告に対する反応がなくサイト管理者生存の見込みもないため、当サイトから最も近いサイト-81██への移動を開始しました。
13:52に、職員用端末にエージェント████、███博士2名のSC4職員を含める12名の職員の連名で、タイプ█第一級異常災害の発生が通告され、緊急招集命令が発令されました。招集命令に従い目的地をサイト-81██からサイト-81██に変更。また、第二級以上異常災害発生に伴いサイト-81██管轄全サイト間相互連絡回線を開設。開設とともに説明された連絡回線のセキュリティ面における脆弱性を鑑み、私と██博士の生存及び、招集に従うことのみを報告しました。また、サイト-81██に向かうためには公道を使う必要があるため、職員用車両タイプ█を使用しました。(14:00)
- 公道を使用した移動を開始してすぐに異常を感知。全ての乗用車が停止していました。事故の形跡はありません。また、どの車両にも人間は乗っていませんでしたが、内側から鍵がかかっておりエンジンキーも刺さったままの状態でした。そのため、四輪駆動車での移動は不可能であると判断し、一度サイト-81██に帰還。公道に一般人の姿が見られなかったため、特別車両ではなく一般の自動二輪を使用し移動を再開しました。(14:30)
- 移動開始から40分経過。人間の姿が見られないこと以外の大きな異常は発見されていません。(14:30)
- 14:46ほどに、██県██市████町█丁目████付近にて正体不明の人型実体を発見。詳しい容貌の確認はできませんでしたが、周囲にライオンのような姿をした生物、竜と形容できる生物の姿も確認。その際[削除済]。██博士に█████を進言しましたが、異常存在との接触を避けるため迂回し、サイト-81██への移動を継続。異常存在を発見したことのみ連絡回線を用いて報告しました。(15:00)
- 目的先であるサイト-81██に到着。職員消失から現在に至るまでの簡易的な経緯及び、移動時に発見した正体不明な生物実体三体の報告を行いました。██博士は███博士による招集を受け、█棟の研究室███に移動。私は、サイト-81██ロビーにて待機と相成りました。(15:30)
- タイプ█第一級異常災害の発生を通告した職員の一人であるエージェント██により現状の説明が行われました。その際、SCP財団日本支部サブネットワーク非常事態発生時における報告フォームの閲覧が担当職員の消失により現在誰にも行えないことを確認。現在ほぼすべての職員がサイト-81██に集合しており、状況の確認及び報告が容易に可能であることを踏まえ、この報告を最後に、緊急時対応マニュアル-所属サイトにおける非常事態への対応と報告-に従ったSCP財団日本支部サブネットワーク非常事態発生時における報告フォームへの報告を停止します。(16:00)
サイト-81██ Anomalousアイテム管理主任 ████
エージェント██による異常報告-███4/11/25
発生状況: 本日12時13分、如月工務店と呼ばれる要注意団体の調査のため、如月工務店に関係すると思われる運搬用トラックの後を追跡していた際に発生。
発生した異常現象: 周囲を同時に走っていた車両が、それぞれ直前まで動いていた速度に関係なく一斉に停止。周囲を歩いていた人間がそれと同時に消失。異常事態発生に伴い追跡を中止し、異常現象の調査を開始。
調査結果: 周囲の車両10両を調べましたが、どの車両もエンジンキーが刺さったままで、鍵もかかっていました。
全ての車両内に人間は存在しませんでしたが、1つの車両の中にペットと思われるテリア犬が見つかりました。また、周囲の歩道を調査した結果消失した人間が身につけていたと思われる服飾類は共に消失したと考えられますが、スーパーマーケットのレジ袋やスマートフォン、直前まで持っていたと思われるものでも歩道上に発見できたものもありました。
しかし、人が手に持っていた際に存在するであろう高さから落とした場合傷がつくであろうスマートフォンに、落下時に着くような傷が見られなかったことは特筆すべき点です。また追跡していた車両を発見したため、確認を行いましたが、その車両のすぐ側に急ブレーキ痕が見られ、エンジンキーはかかっていましたが、助手席の窓が全開状態になっていました。
分析: 少なくとも半径500mを超える範囲において、人体の消失現象が発生。その際直前まで、消失した人間が加えていた力学的エネルギー及び、それによって発生した運動は0になると考えられます。
また、自身が消失していないこと、追跡対象が生存している形跡があること、ペットと思われる犬が生存していることから、消失するのは人体のみであるが、異常性を持つ場合は消失しない等の可能性が考えられます。また、追跡対象が逃亡している形跡がある事から追跡が対象に察知された可能性があるため、サイト-81██への帰還を開始します。
SCP-XXX-JP実験室監視カメラによる情報及びSCP-XXX-JPの異常性の分析-███4/11/25
監視カメラより確認できた情報: 12時10分。実験開始から1時間10分経過時SCP-XXX-JPの周囲の地面より、現在確認されていない生物が発生。実験担当職員の反応から、予期できていた出来事だと考えられる。
が、発生開始から121秒経過後、SCP-XXX-JPが動き出すという自体が(以下、活性化と呼称)発生。実験の中止、職員の退避が行われようとしていましたが、その22秒後SCP-XXX-JPと1人のDクラス職員が接触。接触したDクラス職員が液状に変化し、SCP-XXX-JPの肌から吸収されるようにして消失。Dクラス職員が完全に吸収されたように見えた12時13分、監視カメラに写っていた3人の職員が同時に消失しました。その後SCP-XXX-JP及び出現した生物群は実験室から脱走、サイト-81██外への脱出を確認しました。
分析: 生物群発生及びSCP-XXX-JPの活性化開始に至るまで、対象との接触時に異常性は発生していなかった事から、対象との接触における異常性は対象が活性化してから発生すると思われます。また、現在発生している世界規模での人類の消滅現象は対象とDクラス職員が接触したことによると考えられます。
エージェント██の報告により、人間が消失したことによる交通事故等の心配はほとんどありませんが、航空機等の操縦を止めることが直接事故に繋がるもの、オートパイロットにより稼働しているが緊急時に人間の操縦を必要とするものの一部は大きな事故を起こしている可能性があるため、対応が必要です。
また、現在消失が確認していない職員、人型実体から推測すると、SCP-XXX-JPの効果は人間と同程度の知能を持っている人間以外の生物及び異常性によって人間と違う姿に変化した人間、一部の異常性を持つ人間には適用されない可能性が大きいですが、異常性を持っていても消滅している例も存在するため詳しいことは判明していません。現在、消失した人間が元に戻る可能性及びその方法は解明されていません。そのため、SCP-XXX-JPの再捕獲及びその性質の研究が現在最優先に進められるべきことです。
████の報告より、対象は時速二十五Km程度の速度で北東方面に移動していることから、発掘された場所である████████地域に向かっていると考えられます。
SCP-XXX-JP再収用インシデント及び事後処理-███4/11/27
概要: SCP-XXX-JPの収容違反及びそれに追随する世界規模での異常災害は、災害発生から二日と三時間十八分経過した███4年11月27日15時31分をもって終結しました。
消失していた人類も消失した場所と同じ位置に(消失していた期間内に動いていたものの慣性に従い)再び現れ、Kクラスシナリオは回避されました。
経緯: SCP-XXX-JP異常性による人類の消失により███4年11月25日12時13分より、約一時間に渡る間scp財団における命令系統は混乱をきたしていましたが、生存者の多かったサイト-81██を中心に状況が把握され始めました。その後、発生している異常災害の規模及び内容から、タイプ█第一級異常災害の発生をSCP財団日本支部全職員端末に通告、招集命令を発令しました。
災害発生から五時間ほど経過した17時30分ほど生存者のうちサイト-81██への移動が可能であると考えられていた職員のほぼ全てがサイト-81██に集合しました。この時点で異常災害がSCP-XXX-JPを原因として発生したことがほぼ確定視されており、セキュリティクリアランスに関係なく集まった職員のごく一部を除いた全てにSCP-XXX-JPの情報及び異常災害について現在判明していることが共有されました。
共有が終わり次第SCP-XXX-JPの新たな異常性の確認のため収容スペシャリスト及びフィールドエージェントの大半をSCP-XXX-JPの元に向かわせ、再収用及び異常災害による人間の消失の修正のための情報収集を開始しました。それと同時に、博士及び研究員たちにより異常災害が終結した際、消失した人間が復活する可能性を踏まえ全世界に散布可能な記憶処理剤の準備を開始。その他スタッフは人間の消失により正常な稼動ができなくなる装置のうち重要度が高いものの管理に向かいました。
その後、翌11月26日9時13分にいたるまで再収用に至るまでに収容スペシャリストたちは、
- SCP-XXX-JPは進路を妨害するもの以外に対しては攻撃的ではないこと。また、継続的に進路が妨害されるようでなければ妨害した者の対処ではなく移動を優先すること。
- SCP-XXX-JPに疲労している様子、食事を取っている様子は見られないが出現した生物群(以下SCP-XXX-JP-Aと呼称)は通常の生物と同じように疲労が見られ、また食事を取っている様子が確認されたこと。
- SCP-XXX-JPが時々発する言葉は現存する言語と異なるものであるがアッカド語に類似するものであること。
- SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPの指示に従って動いているようであること。
- SCP-XXX-JPが負った傷は通常の人間より早く回復すること。
- SCP-XXX-JP-Aの負傷は通常の生物と同じようにしか回復しないこと。
- SCP-XXX-JPに明確な殺意あるいは害意を持って攻撃行動をとることは不可能であること。
等の性質を発見しましたが異常災害の解決に繋がるような情報は得られませんでした。発見された性質のすべては添付資料に記載されています。
11月26日9時13分、SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-Aが石川県皆月海岸付近で移動を停止。海を渡れない可能性が指摘され、その場所での監視の継続が命令されました。
その後観測が続けられましたが、対象はその場でうろうろと動いたり、海に語り掛けるような仕草を見せるのみで、海を渡るそぶりが見られることは見られませんでした。
11時36分、記憶処理剤の準備をしていた研究者たちにより現状できる準備では最大三日間の記憶を誤魔化すことしかできないという報告を確認。情報データ等の観点から見ても、ほぼすべての人類が消失していたことを隠し通すことは、消失していた期間が長くなればなるほど困難になることは自明であるためあと二日以内に状況を打破しなければならないという事実を共有。SCP-XXX-JPの捕獲作戦に踏み切りました。
16時47分SCP-XXX-JP-A全ての捕獲に成功しましたがうち7体は死亡。また、SCP-XXX-JPの捕獲には失敗しました。SCP-XXX-JPは財団が想定していた以上の身体能力を持って応戦。しかし、数時間の交戦の末海岸線上を沿うように退避を始めました。このまま追跡しても逃走を続けられるだけと判断し、一人のエージェントのみを監視につけ、一時待機命令を発令しました。
20時17分、蛇の手を名乗る組織がサイト-81██の通信回線から接触。SCP-XXX-JPへの対処方法を知っていると、一時的な協力関係を要請してきました。しかし、協力条件が財団が保管しているSCP-████-JPの情報を世界中に公開することを条件としてきたため回答を保留しました。
21時37分、皆月海岸で待機をしていたエージェント達に、如月工務店を名乗る十数名で構成された集団が接触。こちらも、SCP-XXX-JPの対処方法を知っているという理由で協力を要請してきました。交換条件として今後一切如月工務店の仕事を邪魔しないことを提示してきたため、こちらも回答を保留しました。
23時46分、SCP-XXX-JPは揚浜塩田付近で移動を停止したものの財団エージェントとの接触で再び逃走行動をとる可能性が考えられ、対応は難航。SC4職員二名による提案及びその他生存職員三分の二以上の賛成意見により、如月工務店の協力要請を受諾する事が決定し、如月工務店との共同によるSCP-XXX-JP捕獲対策会議を行いました。決定した作戦内容の詳細は添付ファイルに記してあります。
記憶処理剤散布及び、作戦の確認、再確認、最終確認を済ませ、翌11月27日15時00分よりSCP-XXX-JP捕獲作戦を開始。15時27分SCP-███-JPの協力により、SCP-XXX-JPを揚浜塩田にて、縦横20m高さ5メートルほどの空間に閉じ込めることに成功。しかし、作戦内容と異なり1名の如月工務店構成員が空間内に侵入。侵入した構成員の確保を試みましたが失敗。8秒後に、侵入した構成員が土壁を破壊し空間内から脱出し、逃走。その際顔面大のビンのようなものを抱えており、その中に赤色の液体が入っていることが確認できました。
それとほぼ同時にサイト-81██より消失していた人間が現れたことが報告され、記憶処理剤の散布が行われました。後に、SCP-XXX-JP-Aが同時刻にで全て死亡していた事が確認されました。ビンを抱えて逃亡した如月工務店構成員及び、他の如月工務店構成員についてはその場にいたエージェントに追跡を行わせましたが、構成員及びビンの確保共に失敗。また、追跡中にビンを持った構成員が日本生類創研究所属を名乗る人型の何かと争い、瓶の中に入っていた液体のおよそ一割がその者に渡ったことが確認されています。
事後処理: 揚浜塩田に残されたSCP-XXX-JP及び、SCP-███-JPによって変質した土は財団によって回収されました。如月工務店及び日本生類創研によって奪取されたと考えられる液体については現在回収出来ておらず、またどのような効果があるものなのかも判明していません。
全世界への記憶処理剤散布については、2日間の予定が消化されていない事に違和感を持つ等の、記憶処理剤の影響を受け辛い人間が、ネット上にそれを書き込む、友人等と話すといった現象が見られましたが、ネットに書き込まれた文章の隠蔽及び、定期的な微弱記憶処理剤の投与により大きな違和感が持たれることはありませんでした。
当インシデントに関わった職員のうち一部の職員にはクラスA記憶処理を行いました。また、当インシデント情報は最高機密とし当事者あるいはセキュリティクリアランス4以上の職員しか閲覧することはできません。
事後報告: SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルの改正及びSCP-XXX-JP用の収容等の建設が行われました。盗まれた液体の回収及び調査は完了していません。
また、当インシデントで緊急時のために設置されていた緊急報告投稿フォームが機能していなかったことより、所属サイトを超えサイト-8100管轄全ての職員が同時に閲覧、投稿できるシステムの構築が進められています。
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