特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8123の専用収容施設の地下室に設置し、日本人と血縁関係が無い外国人8人に6時間交代で施設内を巡回させるようにしてください。SCP-XXX-JP-Aの発生を防ぐため、日本人および日本人と血縁関係がある職員は専用収容施設に入る事は禁止されています。SCP-XXX-JP-Aが発生した際には外国人のみで構成された機動部隊う-4(“尊皇攘夷”)によって各フェイズ毎に適切な処置を取ってください。SCP-XXX-JPを使用した実験はレベル3以上のセキュリティクリアランスを持った職員のみが行う事ができます。機動部隊う-4に月に一度Dクラス職員一人を配属し、必ず施設の最奥部を中心に巡回させるようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPは重さ10.4 kg、高さ2.5 mの旭日旗です。竿部は純度99.36 %の金で構成されており、旗地はどの物質の繊維とも類似していません。SCP-XXX-JPの竿部には“大日本帝国並ビニ天皇陛下ヨ永遠ナレ”と彫られています。
SCP-XXX-JPは1945年にGHQが陸軍省で複数の日本人死体と共に発見されました。史料として回収され、20█年に日本に返還される際に異常性が発現された後に財団が収容にあたりました。その際に財団職員含む██人がSCP-XXX-JP-Aに変化しましたが広範囲におよぶ記憶処理とカバーストーリー“政治家の演説”の適用によって事態は収束しました。
SCP-XXX-JPは自身からおよそ40~50120~150 m以内にいる日本人および日本人と血縁関係にある人間をSCP-XXX-JP-Aに変化させます。SCP-XXX-JPを写真、動画、正確な模写等の媒体を通して見た場合も同様の異常性が発生します。SCP-XXX-JP-Aは進行度によって4つのフェイズに分類されますが共通して非SCP-XXX-JP-Aに対するSCP-XXX-JP-A化、欧米人に対する敵対心を持ちます。
また前記の異常性が1ヶ月間発揮されない場合はSCP-XXX-JPは影響範囲内に最も長く立ち入った非日本人をSCP-XXX-JP-Bに変化させます。1ヶ月間誰も影響範囲内に人が立ち入らなかった場合は人間が立ち入った場所まで影響範囲を広げ、日本人と血縁関係のある人間ならSCP-XXX-JP-Aに、非日本人の場合はSCP-XXX-JP-Bに変身させます。SCP-XXX-JP-Bは重さ100~200kg、高さ2~4mの人型実体です。SCP-XXX-JP-Bに変身した人間は言語能力、認識能力を始めとする知能が著しく低下し、筋肉が過度に膨張し、全ての生物に対して非常に攻撃的になります。SCP-XXX-JP-Bに変身する前兆としては、黄色人種の肌色と思われる斑点が身体中に現れ、時間が経つにつれてその斑点は大きく広がります。またSCP-XXX-JPは記憶処理を行う能力を保有しており、対象をSCP-XXX-JP-Bに変身させた際対象の情報は人間の記憶および記録から消去されます。
補遺4: Dクラス職員を機動部隊に派遣した際の記録
報告日: 201█/07/29
内容: ちくしょう。
俺をこんな蒸し暑い辺境の島国に飛ばしやがって。
その上機動部隊として働かせてやるから1週間毎にこの紙に報告書を書いて提出しろだって?
クソッタレにも程がある!
周りはみんな知らない言葉を話すし、狂ってるヤツらばっかりだ!
[以下暴言が続くため省略]
報告日: 201█/08/06
内容: クソッタレな施設に毎日何時間も閉じ込められているが、部隊は案外面白いヤツらばかりだし巡回以外にも訓練とかあって、最近悪くはないとは思ってきてる。
だがな、俺はお前らみたいな財団の上のクソッタレ達が何か企んでいる事くらい知ってんだからな。
俺の脱獄と人生計画を狂わせたお前らの事は絶対に許さないぞ。
報告日: 201█/08/12
内容: ここに来る前までは俺の人生なんてもう終わったと思って自暴自棄になってたが、今ではこの部隊のヤツらのおかげで生きる事が少しだけ楽しい事のように思えてきたよ。
だが俺はあんな研究員の皮を被ったサイコパス野郎達と馴れ合うつもりは毛頭ないからな。覚えておけよ。
報告日: 201█/08/19
内容: 最近、部隊のガダルってヤツと仲良くなってきてな。
俺と同じDクラスで部隊長にも気に入られているし、本当に面白くて最近俺の事を気にかけてくれるんだ。
黒人だからか、顔にある黄色の斑点が目立っているんだけどアレは生まれつきじゃないそうで、別に身体に異常は無いから放っておいているらしい。
あんなジメジメした場所に何時間も居続けてたらああなってもおかしくはないよな。もう少し巡回の時間を短くしてくれよ。
報告日: 201█/08/26
内容: 最近ガダルの斑点が身体中に出てきて心配なんだ。
それと彼はキリシタンなのか?部屋に入ろうとしたらドアから“私を助けて下さい”とか祈ってる声が聞こえたんだ。
俺には気を遣わせないように振舞ってくれているんだが、余計にアイツが心配だ。アンタらでなんとか出来ないのか?
なんか書いた覚えの無い文が書かれてるぞこれ。それにガダルって誰だよ。
誰か俺の筆跡を真似して悪戯でもしようと思っただろ。覚えとけよ。
まあいいや、今日は人生で一番奇妙な出来事があったんだ。
今日は奥の部屋から変な怪物が出てきてさ。
部隊長が俺に訓練の成果を見せろって事でそいつと戦ったんだ。
黒い斑点がところどころあって、もう人間というよりは肉の塊だが動きが意外に素早くてびっくりしたさ。
まあこっちは銃を持っていたから怪我せずに倒せたんだけど。
得体の知れないヤツに勝ったのはいいんだが、なんか後味が悪い。部隊長もずっと顔をそむけてたし。
気の毒というか、なんかアレだな、罪悪感ってヤツか?
部隊長によるとアイツらは月に1回くらいの頻度で出てくるらしい。
あんな薄気味悪いヤツと毎月顔を合わせないといけないのは辛いな。
なんか“テンノーノタメニ”とか叫んでいたし。あれ何語だ?
これまで俺が会ったヤツらの中で一番不気味なヤツかもな。
報告日: 201█/09/02
内容: 新しいヤツが機動部隊に入ったんだ。俺ももう新入りじゃあ無くなったんだなって思うとちょっと嬉しい。
それに昔の俺を思い出したよ。
あんな感じで入ってきたばっかの時は自暴自棄で過剰に乱暴に振舞ったな。
マーレって名前で俺と同じDクラスのヤツらしい。
ってそんな事はお前らも知ってるか。
報告日: 201█/09/09
内容: 部隊長に俺たちが監視してる施設の中にあるモノを教えてもらったんだ。
なんでも、日本人をキチガイに変える旗らしいな。だから俺らみたいな日本人じゃないヤツを集めて監視させていたんだな。
でもあのバケモノについては何も教えてくれなかった。
なあ、俺を部隊にぶち込んだお前らなら分かるんだろ?教えられるのなら教えてくれよ。
報告日: 201█/09/16
内容: 新入りとは仲良くなってきた。機動部隊としての仕事もこなす事ができるようになってきた。
順調に行ってるんだがなんか気になる事ができた。
黄色の斑点がところどころに出来て、しかもそいつが日に日に増して広がって来ている。
不思議なのは同じような経験をどこかで見たことがある気があるんだよな。
治してくれよ。
財団の事だから俺の斑点くらい治せるんだろ?
報告日: 201█/09/23
内容: なるほどな。あんたらが考えてる事がやっと分かったよ。
まあ俺は所詮使い捨てのDクラスってわけだし、いつまでも生きていられる訳が無いわな。
正直俺は初めて本気で生きたいと思った。だから[染みにより解読不能]
弱音はあまり言っていられない。
斑点が広がって俺はガダルの存在を思い出した。
俺はいずれ彼の後を追わなければならない。
だから俺は後を追ってもいいように、悔いのないように生きる。
これはガダルの前から続いてきた事なんだろ?
それで部隊の[解読不能]は守られるんだろ?
俺は部隊のおかげでやっと[解読不能]を見いだす事が出来た。
なら今度は俺の番だろ?
報告日: 201█/9/30
内容: どうせ来週からはこの紙を書く事は無いんだろうからコイツを遺書の代わりにするよ。今更報告するような事もないだろ?
振り返れば、俺はここに来る前はどうしようもないヤツだった。
部隊はそんな俺を受け入れてくれた。
だから俺は新入りを可愛がったつもりなんだが、うまく付き合えただろうか?
ガダルの事も含めてDクラスは気が合いやすいのかもな。
俺が狂う時期が迫っているのを感じているのか、部隊長も俺のやりたい事をやらせてくれるようになった。
部隊のおかげで俺は悔いなく人生を全うできそうだ。
ありがとう、感謝の限りだ。
だなんて強がりを言ってしまったが、正直言って俺は怖いんだ。
斑点の広がりと共に自分の意識が他の誰かにすり変わるような、自我が消えていくような感覚がずっとしている。
それと同時に忘れていた、というよりは消え去られていたガダルの記憶を思い出した。
そして俺はガダルが祈った理由が分かったよ。
俺という存在は消えてしまい残るのはあの醜い怪物の姿だけになってしまう。とにかく誰かに縋りたいのだ。
いつの間にか俺は弱くなってしまった。
部隊に入る前は自分の命なんてとうに捨てたつもりだったというのに、今では自我が失われるってだけで今にも泣きそうなくらいに怯えてしまっている。
いや、もしかしたら俺が変わったのではなく真の恐怖、“俺”という存在が消滅してしまう事の恐ろしさをこの身体で実感したからなんだろうな。
いずれにせよ、俺は多分もう消える。
今でも、あの旗の元へ行きたくなる気持ちを堪えるので精一杯なんだ。
何故か俺はこの国の一番上、どうやら大臣ではなく皇族…つまり天皇に対して強い忠誠心を持っているらしい。
あの日、ガダルが言っていた“テンノーノタメニ”の意味がやっと分かったよ。
そして俺はおそらくマーレに殺される。
可愛がっていた新入りに殺されるのは確かにキツい事かもしれないが俺は本望だ。マーレが何も知らないで狂うよりもそっちの方がずっと強く気を保っていられるだろう?
やっぱり俺はあのバケモノになることが怖くてたまらない。
でも俺はそのクソッタレな義務を受け入れなければならない。
それが俺の最期の贖罪だと思うからな。
補遺5: 機動部隊長は6回に及ぶ解任申請を行いましたが全て却下されました。
初作品なので拙いところがあるかもしれません。
訂正等あればご指摘ください。
読ませていただきました。
目視した人を狂信者に変化させる旭日旗、というわけですね。
全体的に既視感を覚えました。"目撃することで何らかの感情が想起される、洗脳、扇動状態"におかれる、というのは財団創作に関わらず一種"やりつくされた手段"の1つです。もちろん、その異常性を用いて物語が予想もしない方向へ展開するのであれば感想は変化しますが、この記事においては"戦争の裏における賛美はオブジェクトの影響である"という筋のみであり、簡単に予想ができてしまいます。
予想ができてしまうと、人はその物語に対して興味を失ってしまいます。評価こそ全ての財団創作内でその状態は致命的です。何かしら、予想を裏切る要素が必要であると考えます。
また、全体を通し改行が非常に多く読みづらいです。同様にテンプレートから外れた部分も多く、視覚的にも負担が大きいです。それらを改善するだけでも読みやすさは格段に上がると思いますので。
以上、細かく個人的な意見でしたが記事作成の一助となれば幸いです。
ご拝読およびご指摘ありがとうございます。
時間がかかってしまいましたが、参考にさせて頂きました。
まだ至らぬ点も多いと思いますが、指摘して頂けたら幸いです。