悪コンTale「Saga is ……」

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男は吹きすさぶ赤褐色の竜巻を見ていた。
暴風雨が彼の頬を撫で、落雷が脳を揺らす。
暫く男はその自然の暴威の様子を窺っていた。巻き上げられた家屋が、車が、樹が、分解され、分解され、分解されて───

分解される?

そして啓示を受けたかのように、彼の脚は動き出した。
見覚えのある██村の景色、それは奇しくも20██/11/██と酷似していた。あの日、男がフィールドエージェントとして██村を訪れた際に発生し、村を襲った巨大竜巻。その渦中で彼はたった一人、年端もいかぬ少女を救い、家屋や車と同じく分解されたのであった。

二度目の救出劇。少女の住む家屋へと向かう途中、全身に血液と油脂に変化する過程で味わった激痛がフラッシュバックする。実際に体が痛む事はないはずなのに、その幻痛は彼の脚を止め、膝をつかせようとする。それでもまだ、財団職員として働いてきた彼の心が折れる事はなかった。

走る、走る、走る!
以前も苦痛に感じた上り坂は、それ以上の角度を感じた。
雨で濡れたあぜ道は、脚が沈み込むようだった。
吹き荒れる突風は、向かい風となってその場に彼を留まらせようとした。
それでも……それでも男は立ちあがり、笑ってみせた。そうする事で、彼は自分自身を奮い立たせた。

少女の家に到着した時、既に血飲みの嵐は家を巻き込む目前まで迫っていた。
「間にあった」男は以前の経験を思い出していた。ここまでは完全に一致している。
窓を蹴り破り家の中に侵入する。するとすぐそこに気を失って倒れている少女の姿が見えた。男は少女の体を抱きかかえると、再び窓から飛び出そうとした。
だがそこで男の経験とは違う事態が発生する。窓を蹴り破る際に発生した硝子の破片で、腱を切ってしまったらしい。思うように脚が動かず、男は少女を抱きかかえたまま倒れ込んだ。
だが未だ彼は諦めていない。まるで別の生物のように這いずりながら、必死で家の外を目指す。
徐々に少女の体が重くなっているように男は感じ始めた。そして自身の限界を悟った時、"実際に少女の体が重くなっている"事に気づいた。

ふとカメラが覗いた彼の手の中には、見知らぬスーツの男がいた。そこで彼は、自身がここにいる理由を理解し、破顔した。

シーズン: 42 (2018)
エピソードのテーマ: 英雄譚
スピーチの転写: ハハッ! いやぁ凄かったねぇ、みんな! 日版特別編という事でスペシャルゲストのサクマにも来てもらったけど、息子を見放して燃やし殺したクソ女から、最後まで少女、じゃなくて僕を見放すことなく抱きかかえてた英雄まで盛りだくさんだった! 君にも経験があるんじゃないか? そうさ、何事も犠牲を払うことなく英雄として振る舞う事なんかできやしないさ。ただその犠牲を選択する場面には、必ずしも喜劇が生まれる余地が存在している。そしてそれこそが、僕らやこの本が存在する理由でもある。愚かさ、勇猛さから生まれる悦び。今回も君達が笑ってくれた事を祈っているよ! 次回も一緒に笑いにきておくれ! そして、忘れないでおくれ…笑いって…いうのは…楽しいもんだ! おやすみ! そして笑おう! 笑おう! ひたすら笑おう! 僕らは笑わせるのが大好きだ。笑いのためにもっともっと英雄譚を作ろう。僕らと一緒に笑おう。僕らと一緒に笑おう。(スタジオの観客が唱和に加わる)僕らと一緒に笑おう! 僕らと一緒に笑おう!僕らと一緒に笑おう! 僕らと一緒に笑おう! 笑おう! 笑おう! 笑って英雄の仲間になろう!

追記: SCP-2030-1のステージ周囲を回転し、観客を映した際、それらはエピソード中に登場した人々からなる観客ではなく、全てSCP-268-JP-A、並びにSCP-268-JP-Bによって構成されていました。また、番組が終了する直前の30秒間、それらは表情を笑みから変化させ、憤怒、苦痛、悲哀と表現される感情で構成された表情を浮かべていました。


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  1. portal:2788062 ( 06 Jun 2018 13:57 )
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