そのランプには何が灯る?

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8119の低脅威物品保管ロッカーに収容、管理されています。SCP-XXXX-JPを用いた実験を行う場合は、サイト管理官に実験を行うための理由を実験許可を申請する書類に付随して、受理されなければいけません。そして、対象において2度目の実験は、いかなる場合でも却下されます。

説明: SCP-XXXX-JPは13cm×13cm×24cmのアンティーク風の金属製オイルランプです。SCP-XXXX-JPを点灯した場合、通常のランプとして利用可能です。
SCP-XXXX-JPの異常性は、火をつける際に印象に残った思い出(以下SCP-XXXX-JP-1と呼称)を思い出したり、思い出の概要を口に出したりした場合、異常性を発現します。このとき火を付けた人(以下対象と呼称)は、SCP-XXXX-JPの中に火と一緒に対象が思い浮かべたSCP-XXXX-JP-1が燃えている旨の報告をしています。
また、SCP-XXXX-JPを夜の屋外で活性化させると夜空にSCP-XXXX-JP-1が映し出されます。このときのSCP-XXXX-JP-1は対象以外の観測者からも内容が確認できます。空に映し出されたSCP-XXXX-JP-1は、SCP-XXXX-JPの燃焼と関係なく10分程は残存します。
SCP-XXXX-JP-1の燃焼時間は対象の記憶の解像度と正の相関があり、確認されている長さは約10秒から約5分30秒に亘ります。SCP-XXXX-JP-1が燃え尽きた後、対象はSCP-XXXX-JP-1に関する記憶を失います。
記憶の喪失量は燃焼時間に反比例し、約30秒以下の場合は完全に記憶が失われます。記憶を失った直後の対象は、理由は不明ながらも非常に懐かしい気分を覚えたと報告しています。

補遺1: 以下はSCP-XXXX-JPを見つけた経緯です。

SCP-XXXX-JPは、活性化中の様子を撮影した動画1がSNS上で投稿され、記憶の灯るランプとして話題になったことで、財団職員の注意を引きました。そして投稿者についての調査と同時にその異常性が確認されました。その後、投稿者の自宅でSCP-XXXX-JPが発見され、確保に至りました。

補遺2: SCP-XXXX-JPを用いた実験記録の一部抜粋

補遺:3 インタビュー記録

対象: 鈴木諒氏

インタビュアー: 与田博士

追記: 以下は、SCP-XXXX-JPをSNSに投稿した鈴木諒氏にインタビューをした記録です。インタビューの都合上、Dクラスでの実験をした後に、インタビューをしています。

[SNSに投稿したランプについてのことや挨拶等の重要ではない部分を省略しています。]

[記録開始]

与田博士がインタビュー室に入り、鈴木諒氏と向かい合うように座る。

与田博士: では、記憶の灯るランプというものについてお聞きしてもよろしいでしょうか?

鈴木諒氏: ええ、もちろんですランプについてならなんでも聞いてください。

与田博士: まず、あのランプはどこで手に入れたのですか?

鈴木諒氏: 信じてもらえるか分からないのですが、私は骨董品を集めるのが趣味でしてね、いつものように骨董品屋をいくつかまわっていたんですが。その日は、少し遠出をしてあまり行かないところまで探しに行ったんですよ。そしたら裏路地に見慣れない骨董品屋を見つけたんです。ですが、前回行った時にはなかったと思うんです。

与田博士: 記憶違いの可能性はありませんか?

鈴木諒氏: まあ前回行った時からそれなりに時間が経っているので、新しく開店したといっても不思議ではないのですがね。それで中に入ってみたら、もうこれがすごくて店の隅から隅までいろんな年代の骨董品がたくさんあって、あたりの店を引いたなって思ったんですよ。

与田博士: その店でランプを買ったんですね。

鈴木諒氏: ええその通りです。その時はあまり手持ちが少なくてですね、また次の機会に来ようと思い店内を軽く見渡したら目に入ったんですよ、あのランプが。私アウトドアなので、キャンプとかにいくんですが、あのランプがあったら雰囲気が出るなと思いランプだけ買って店から出たということです。

与田博士: 話を聞いたところでは、普通だと思いますが。

鈴木諒氏: いやそれが、後日その店を訪れたのですがなかったんですよ。あの店があった路地裏に入ったのですが元から何もなかったように普通の路地裏になっていて、私も場所を間違えたのかなと思ったんですが、この辺りに他の路地裏も特に見当たらないので変だなと思いながら、その日は一旦家に帰りましたね。

鈴木諒氏が左腕をさすった。その腕には熱傷が確認された。

与田博士: なるほどそれは興味深い話ですね。あとでその骨董品屋があった場所など詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか。

鈴木諒氏: いいですけど本当に何もありませんよ。

与田博士: ええかまいません。では次にいつランプにあのような仕掛けがあると気がついたのですか?

鈴木諒氏: それはさっきも言った通り、私はキャンプも好きでして、キャンプに行った時に火をつけたら急に空に浮かんで来たのはびっくりしましたよ。まあ店が1個丸ごと消えたのですから、急に浮かびでても不思議ではないかもしれないですね。

与田博士: わかりました。ではその時に思い浮かべた思い出の内容とランプの中で燃えていた時間をおおよそでいいので教えてもらってもよろしいでしょうか?それと、思い出の中で忘れていることなどはありますか?

鈴木諒氏が思い出すようなそぶりをして少し考える。

鈴木諒氏: ええと多分ですが、約10秒程で高校生の時に行った花火大会の記憶です。しかし、あれは私の記憶ではなかったと思います。

与田博士: あなたの記憶ではないと言うのは?あなたが思い浮かべたのではないのですか?

鈴木諒氏: ええ私が思い浮かべたのですが、映し出された記憶では、私が写っていたのです。もしそれが私の記憶だったらおかしくないですか?

与田博士: 確かにそうですね。それでは誰の記憶なのかわかりますか?

鈴木諒氏: おそらくですが、花火大会へ一緒に行った中山香織だと思います。

与田博士: 失礼ですが、そのお方についてお聞きしてもいいですか?

鈴木諒氏: 香織は小学校からの付き合いで、まあただの幼馴染ですよ。記憶の内容はもう少し話したほうがいいですか?

与田博士: お願いします。

(SCP-XXXX-JP-1-aの内容については実験記録を参照)

鈴木諒氏: ではそうですね、まずあれが私の記憶ではないことに気づいたのは、私が記憶の中に写っていたからではありません。いえ、もちろんそれも1つの理由ですが、1番の理由は、記憶の中で私が言ったある言葉です。その言葉を聞いた瞬間、私は香織のことを思い出したのです。

与田博士: ランプの中から声が聞こえたということですか?

鈴木諒氏: ええそうです。とても短い時間でしたが、火が燃えている間は、人を大切にする気持ちや愛する気持ちが心の中に溢れてきました。もしかしたら、これはあの時の彼女の想いだったのかもしれませんね。火が消えたら不思議と花火大会の記憶がなくなってしまったのですが、香織のことだけは覚えていたんです。SNSに投稿した時は、記憶が灯るランプとして少し話題になっていましたが、私はあのランプ、そうだとは思わないんですよ。

[記録終了]

インタビュー終了後追記: インタビュー後、鈴木諒氏には、クラスB記憶処理が施された後、解放されました。

補遺4: インタビュー記録

対象: D-4052

インタビュアー: 与田博士

インタビュー内容: SCP-XXXX-JP-1-pの内容やすべて思い出したとの旨の報告をしたことについて

追記: 以下のインタビューは、D-4052の精神が比較的安定している状態で行われました。

[記録開始]

与田博士: こんにちは、D-4052。気分はどうですか?

D-4052: まあ、それなりにはいいぜ、あん時に比べたらな。

与田博士: 良かったです、ではインタビューを開始します。まずSCP-XXXX-JPの中に何をみたのですか?

D-4052がわずかに動揺を見せる。

与田博士: D-4052大丈夫ですか。話すのがきついのなら、日を改めますが。

D-4052: いや大丈夫だ、構わない。それであのランプの中の話だったか?

与田博士: ええそうです。

D-4052: 1度目と違って、燃えていたんだ。

与田博士: 1度目と違うというのは、1度目もランプの中で燃えていたと思いますが。

D-4052: 確かに1度目も燃えていたんだが、2度目は記憶の中で燃えていたんだ。電車の中にも火がついていて、俺と母さんはすでに火に囲まれてたんだ。それでどんどん火が回り始めてきて、俺と母さんは、息苦しそうに咳をして、そしてついに火が俺たち2人を飲み込んだんだ。

与田博士: それであなたは苦しみだしのですか。

D-4052は、与田博士の言葉に無言でうなづいた。

D-4052: ランプの中の俺の手に火が触れた瞬間、ものすごい熱と痛みを感じたんだ。その後、ランプの中の俺は、母さんに窓から投げ出されたんだと思う。

与田博士: 苦しみだした後も、ランプの中を確認できたのですか?

D-4052: いや違う、頭の中に映し出されたんだ、泣き喚く俺を窓から投げ出す手が。多分あれは、俺の記憶じゃなくて、母さんの記憶なんだろうな。俺だけでも助けようとする気持ちとか、痛みを必死に我慢してるのが不思議なくらいに伝わってきた。

この時、D-4052の手が震え始める。

与田博士: 大丈夫ですか、D-4052。辛いのならすぐに言ってください。

D-4052: 大丈夫、本当に大丈夫だ。今は話している方が、楽なんだ続けさせてくれ。

与田博士: わかりました。では次に、2回目の実験の最後のすべて思い出したという発言について教えてもらってもいいですか?

D-4052: ああ、そのことか。1回目の実験で、思い出す内容を教えた時は、電車の中で誰かと話した的なことや話した内容を言ったはずだ。

与田博士: 概ねそのように記録されています。

D-4052: いくら幼かったといえど、話した内容も少しは覚えているのに、誰と話したかは覚えていないんだおかしいだろ?それと多分ランプの中の火が消えた後か?俺が母さんのことを思い出して、旅でのことを忘れたのは。

与田博士: ええそうですが、なぜそれを知覚しているのですか?すべて思い出したというのは、そのことを含めてということですか?

D-4052: まあ、それもそうなんだが、そうじゃない。このことについて勘付いたのは、2回目の実験の時のことだ、ランプに火をつけた後だな。俺が火の熱さに苦しんでた時の頭の中には思い出が映し出されてただけじゃなくて、さっき言った母さんの想いや電車に乗る前のこととか、窓から投げ出された後に救急車で運ばれたこととか、そん時に母さんが亡くなったこととかが俺の頭の中にごちゃ混ぜになって入ってきたんだ。

D-4052の手の震えが酷くなり、動揺も見え始めた。

D-4052: 実験の時は、痛みとか急にいろんな記憶とか感情が入ってきてきて混乱したんだが、実験が終わった後に冷静になって考えたんだ。そしたらあることに気づいたんだ、いやでもそんなことがあり得るのか?でも俺には火傷の後もあるし、職員に頼んであの時のことを調べてもらっても実際にあった。

D-4052の動揺が酷くなり、息遣いも荒くなる。

与田博士: 医療スタッフ!すぐD-4052に適切な処置を行ってください!

与田博士が叫んだ後、すぐに医療スタッフがインタビュー室に入り、D-4052をインタビュー室から搬送しようとしている。D-4052はおとなしく医療スタッフの指示に従っているが変わらず話し続ける。

D-4052: おれは火の扱い方を間違えた。燃料を注ぎすぎたんだ。灯を灯すだけなら、一回で良かった。ランプの中の火は、俺と俺の過去を燃やしたんだ。

この時点で、D-4052は医療スタッフに、搬送されました。

[記録終了]

インタビュー後追記1: D-4052には、適切な処置を行った後クラスC記憶処理が施されました。

補遺5: 火災記録

付与予定タグ: scp jp safe 記憶影響 時間


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