But I'm not a slave to a god!

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その世界を貪りし神は幾千年の微睡から覚めようとしていた。






ふと気が付くと、彼を縛っていた7本の鎖は錆び、割れ、ぼろぼろになった様子は、まるで本来の役割を忘れてしまったようだった。鎖を砕く。



その神は、咆哮を上げた。



1か月前。

財団日本支部理事の前に、2人の男たちが呼び出されていた。と言ってもテレビ画面による通信でだが。

1人はエージェント・速水。財団日本支部のエージェントだ。流石の彼も理事の前ではいつものライダースーツではなく、エージェントらしいスーツを着ていた。
もう1人はジェラルド博士。今日もここに来る途中にも事故に遭ったらしく、包帯を身体に巻いている。
2人共緊張している様子だ。理由も分からずいきなり財団幹部に呼び出されたから当然であろう。

と、不意に"獅子"が堅固そうな口を開いた。
「我々が君たちを呼び出したのは他でもない」

2人の間に緊張が走った。

「自分たちが何をしたんですか?認識災害やミーム系のオブジェクトに間違えて感染してしまったんですか?それとも日頃の問題行為を正すためですか?」

速水は明らかに憔悴している様子だった。下手すれば自らの生命がかかっているのだから当たり前だ。もっとも自分たちが処分されるとして、謝ろうが何をしようが処分を免れないことは分かっていた。

その傍らで、ジェラルドも考えていた。
いや違う、そんな物は(少なくとも私は)読んでいないし、問題行為ならそもそも日本支部理事など必要ないはずだ。では何故…?

「世界を救うためだ」

"鵺"が突然、体に似合わぬ落ち着き払った声で言った。

「世界を救う…?何をおっしゃっているのか分かりませんが…」

「取り敢えず、これらの報告書を読め。」

横で監視していた黒スーツの男が、突如懐からデバイスを2つ取り出し、2人に渡した。
ジェラルドが口を開く。

「えっとこれは…『SCP-2317』と、『SCP-2105-JP』」の報告書ですか。でも2317は確かセキュリティ制限がかかっていましたよね?」

「クリアランスの件は心配するな。我々とO5評議会のお墨付きだからな」

2人は訳が分からないまま2つの報告書を読み進めていった。
とりあえず読んで理解できたことは、SCP-2317の方は扉の奥にバケモノがいて、そいつが目覚めたら世界が終わること、そいつがもうすぐ目覚めること、そしてSCP-2105-JPは条件付きで神格実体を轢き殺せるトヨタの車だということぐらいだった。

「あの…何故わざわざ私と速水さんを呼び出したのですか?何故機密書類をわざわざ読ませたのでしょうか?」

「だから言っているだろう。世界を救うためだ」

速水は何がなんだか分かっていないようだったが、ジェラルドはその言葉で数々の苦い経験上何をさせられるか理解した。

「……私達の異常性を利用するつもりですか。」

「察しが良くて助かる。エージェント・速水に異常性はないがね。最近O5議会から全支部に通告があった。『K-クラスシナリオがあと約1か月で起こる』とな。『対応できる人員及びアノマリーを探して報告しろ』とも。その中で白羽の矢が立ったのが日本支部の2105-JPと、君たち2人と言う訳だ。協力を求む」

「何故俺たちが選ばれたんですか?もっと優秀な人員はいくらでもいるでしょう」

「ジェラルド博士は、巷ではSCP-666-Jと呼ばれている異常現象を起こす。彼が乗り物を運転した場合、もれなく大事故が付いてくる。これを利用すれば、2317も轢き殺せると我々は踏んだ」

「俺は!?」

「エージェント・速水はその卓越した運転技術を買わせてもらった。『財団最速の男』という肩書きは嘘では無かったようだな」

流石に速水もこの説明には計画の内容を理解したようだ。いつもの相棒に乗れないことに納得はしていないようだが。
しかし拒む訳にはいかない。相手は理事だし、これが悪質なドッキリでも無い限り、世界の命運が懸っているのだから。

2人はほぼ同時に口を開いた。

「「やらせてもらいます。」」

「……ありがとう。ではこれから、君たちには訓練を行ってもらう」

「訓練…?」

「飲酒運転訓練だ。さっきも報告書で見ただろう。2105-JPの異常性は、飲酒などの条件を満たして初めて発現する。だから君たちには、『ロードキル・プロトコル』の訓練を機動部隊と共に行ってもらう。…ジェラルド博士は別行動だがな。彼の異常性は危険すぎる」

「……(飲酒運転訓練って何だよ)」

こうして、地獄の訓練は始まった。
2人とも酒に強い方では無かったため、最初は運転シュミレーターで訓練を行うことになった。
速水は車酔いが酒で増幅され、頭痛と平衡感覚の崩壊で最初は運転どころでは無かったが、数日やるとかなり慣れた。恐らく平衡感覚が壊れたのだろう。

ジェラルドの方は概ね速水と同じ状態だった。シュミレーターなのに画面から火花と煙を出し、シュミレーターを数回全壊させたが。

酔いながらの運転に慣れたら、実車訓練が始まった。ここまでに一週間もかかっている。世界が終わりかけているのに、のんびりしている暇はない。焦りが2人の心と車を熱くした。

何十回もの事故・惨事を繰り返しつつ、その日は近づいていった。


Xデー当日。
2人と機動部隊"ウォーボーイズ"の隊員たちは、マサチューセッツ州の田舎町、2317が有る区域の近くまで来ていた。白のカローラを連れて。

「手順-2105-JP確認!トレッキングパンツ、トレーナー、ウインドブレーカー!」

「「良し!」」

「紙幣・硬貨・レシート・クーポン・Tカードの枚数及び財布の位置!」

「「えーっと、良し!」」

「カーオーディオ・アルバム用意!」

「「セッティング完了!良し!」」

「手順-2105-JP確認完了!SCP-2317破壊作戦、準備完了!」

「了解!」

「ここで我々機動部隊隊員の役割は終わりです。万が一の時の為に、既に数キロ先に神格実体への対応に長けた機動部隊とGOC隊員が待機しています。何かあれば、すぐに通信してください。出来ることなら対応します」

「ありがとうございます」

「神性を獲得した2105-JPは、運転者も対象に含まれる自己修復能力を得ます。多少事故を起こしても最悪生き延びられます。なので貴方達は何があろうとも、真っ直ぐ2317の方向へ向かってください。世界が滅びるよりはマシです」

「私の異常性のせいで、周辺が壊滅する恐れは?」

「そこは大丈夫です。2317の周辺区域はカバーストーリーを使って住民を避難させてあります。安心してプロトコルを完遂して下さい。」

などというもしかしたら最後になるかもしれない会話をし、ついにその時は来た。

「SCP-2317、活動を開始!ロードキル・プロトコルを実行願います!」

「……遂に来たか」

「覚悟を決めましょう」

「飲酒用意!」

「「グビッ…グビッ…グビッ……飲酒完了!良し!」」

「手順-2105-JP準備完了!これより、ロードキル・プロトコルを開始!」

「「了解!」」

2人はその車に乗り込んだ。

「エージェント・速水、ジェラルド博士、1か月という短期間で、よくついてきてくれました。ありがとうございます。最後に、機動部隊隊員全員からこれだけ言っておきます」

「「「「Good luck!!!」」」」

「「ありがとうございます!行ってきます!」」

速水がハンドルを握った瞬間。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ…!」
あの時の任務で味わった高揚が、蘇った。身体の角から角まで、力が流れこんでくる。気がした。流石神を轢き殺した車だけある。酔いは消し飛んだ。

「行ってくるぞおおおぉぉぉ!」

「ちょっと速水さん!速すぎますよぉ!?」

こうして2人の男達は姿を消した。






眠っている間に、大分体が縮んでしまったようだ。全てを喰らい尽くせし神である我にこのような暴挙を行った人間、世界、いや全てを許さない。全てを貪り、滅ぼしてやろう。

小手調べに周りの生きとし生けるものどもを殺し尽くして、人間どもに見せしめをするとしよう。全てを壊すのは、その後で良い。大の男も、女も子供も、昔なら我の前で何をすることも出来ず死んでいったものだ。またあの最高の娯楽を楽しめる日がついに来たのだ。

ああ、身震いがする。まずは幾千年もこの我を閉じこめた部屋を出なければ。そう考え、部屋の壁に6本の手を掛けて、






砕いた。



世界を貪りし者は、遂に自由を得た。




Nothing suffocates you more than何が一番お前を息苦しくするかってのは




The passing of everyday human events人としての営みを日々繰り返すこと
数キロ人のいない街を進み辺りが暗んできた時、突然巨大な音と衝撃が響いた。

「速水さん、あれ!」

見ると巨大な人の手のような何かが、家の壁を破壊している所だった。
さらに背後から暴風と衝撃が走る。光の筋が頭上を飛んでいく。
恐らくGOCの対神格ミサイルであろう。
ミサイルはあっと言う間に廃墟の街の彼方へ消えていった。


「よし、少なくともこれで悪質なドッキリじゃないってことは分かったなぁ!?行くぜ!」

スピードを一気に上げると、車体が光り始めた。速水の中のエネルギーが沸るのを感じた。もう止まれないッ!

「Yhiyahhhhaaaaaa!」
「うわああああ!」

それと同時に、タイヤから火花が上がり、瞬く間に炎上した!炎は、車体の全体を覆い尽くす。車体は紅く燃え上がった!





その神は、こちらに幾筋かの光を認識した。
同時に、その光がこちらに向かって来ていることも瞬時に理解した。数千年前、人間どもが自らを封印する前魔術で似たような物を出したのを思い出す。

「人間風情が。小癪なことを…」

2317はその神としての力を発揮するまでもないと判断した。
ミサイルを6本の腕で全て鷲掴みにした。そしてGOC・戦術神学部門特製の奇跡論パルスミサイルが爆発する前にフルスイングで飛んできた方向と周囲の街に砲丸投げの要領で吹き飛ばしたのである。

遠方で一瞬太陽何個か分の光が発せられ、街は単なる瓦礫の山と化し、光の筋の追撃は止んだ。

「全く…」




「速水さん!さっき奴がミサイルを投げ返した時から援護部隊の皆さんと連絡がとれません!大丈夫でしょうか…?」

「何だとォ?許せねえなあ!よっしゃあこのまま行くぜェェ!」









But I'm not a slave
to a god!
だけど俺は神の奴隷じゃねえ!


「まさか…このまま突っ込むつもりですかぁ!?」

「当たり前じゃねえか!クソ神待ってろ、今轢いてや…ゔわあ!?」





世界を貪る者は、猛獣のような声を出し、瓦礫を乗り越えて進んで来る燃える鉄の塊を見た。

やれやれまたか。全くヒトというものは。

世界を貪る者は、破壊神としての本領を発揮した。
牙の生えた口から緋色の光を集める。
そして、その光る物体と周囲に向けて、無数の光弾を発射した。
光弾はその光る物体や、砕けた廃墟に着弾した。
廃墟は砕け、塵と化して消えた。


しかし…



「んなもん…………効くかァ!」

すでに神性を獲得していた2人と一台にそんなものが効くはずも無かったッ!光弾を消し飛ばした後彼らはスピードを増し、パンチの衝撃で宙に舞った。浮遊感が2人を襲う。
そして彼らは空を跳び、










「Yhiyahhhhhhhhhhaaaaa
aaaaa!!!!」


燃え上がる車輪は2317の1本の腕を、轢き潰した。

「あ?……ヴワアアアアア!?」

世界を貪りし者は、余りの事に絶叫を上げる。

2317の体はタイヤ跡の残る腕から延焼し、燃え上がるッ!

何故だ?
神である我の腕を潰した、だと?
有り得ない。有り得ない。有り得ない。
怒り狂った彼は、光と拳で反撃を開始したッ!

光を出すと同時に残った腕を振り上げて、





タイヤ跡が残った地面へと、叩きつけていく。

衝撃が走った。2105-JPは爆風で数十メートル先まで吹き飛ばされ、光弾は視界を阻む。その上衝撃で地面にヒビが入って速水の運転を阻害するッ!

だが。
加速に加速を重ね、ノリにノっていた2人と一台にとっては、そんな段差を気にしているようなせせこましさは最早持っていなかったッ!

「こんなちっこい段差ァ…気にするような奴ァなあ…『財団最速の男』を名乗れねェんだよォ!」

That doesn't give a shitそいつは俺に興味がねえ

段差を跳び越し、直撃した光弾ですらエネルギーに換え、スピードを更に増していき、2105-JPは再び宙を舞うッ!

「なんじゃこりゃあ!空飛んでんじゃねえかァ!いいぞ!このまま突っ込むぞォ!」

「またこの感じですかぁ!?」

2317も無抵抗な訳がなかった。
我の光を吸収するといえど、やはり限界はあるはずだ。そうなるまで無傷で攻撃すれば良い。
そう考えた神は地面を殴り、岩石の雨と衝撃波を生みだし、2105-JPに降り注がせる。

「んしゃらくせぇぇぇぇ…うわあぁぁぁぁ」

その光る鉄の塊の炎が消え、姿が岩に潰され見えなくなり、人間の煩い声が消えた時、破壊神は勝利を確信した。


やれやれ、この腕どうしてくれよう。
廃墟と化した街で、2317は独りため息をついた。
まあ良い、直ぐに治せる。まずは破壊優先だ。
そう思い、彼は周辺の街が焼け野原になるまで光を撃ち続ける。
思わぬ邪魔は入ったが、久々に爽快な気分だ。直ぐに傷は癒えるだろう。
もし治らなくても、腕はあと5本も残っている。
破壊活動には十分だろう。
刹那。


目の前から、爆音と光が襲った。
そして、



ぶちっ



「は?」



2105-JPは潰された訳では無かった。
いや、正確には潰されたのだが、スピードを保っていたために自己修復が働いて2人を助けたのである。
幸いにも降り注いだ岩の雨が、2人と1台を覆い隠してくれた。

「ヤツは街の方角に進んだらしいなあ…俺らを倒したつもりかァ!?」

「ある程度離れてくれたみたいですね。でもあいつ、ビーム出しまくってて隙がないです、突撃できませんよ!」

「畜生、隠れてるしかねえってのか…!」

その時、胸の通信機が突如思い出したように音を出した。

機動部隊隊員の声だった。

「2人とも無事か!」

「よかった、生きてたんですね!こちらは2人とも無事です!ただ…」

「分かってる。話は聴いてた。2317の隙が無くて突撃できねえんだろ?じゃあ俺らが残りありったけのミサイルを最大速度で野郎にブチ込む。野郎の目が眩んだ間に突撃してやれ。チャンスは一回だ、分かったな!」

「ありがとうございます!」

「それじゃ頼むぜェ!」

「発射5秒前!4、3、2、1、発射ァ!…着弾予定時間まであと10秒!9、8…」

「よし行くぞォ!」

再び2人は熱を取り戻したッ!瞬く間に2105-JPは時速80キロへ到達し、光り輝き、先刻より勢いを増して燃え上がり、あっという間に2317の背後に近ずいていくッ!

「7!6!」

「やってくれたなあ…俺の第二の相棒に!ミンチにしてやるッ!」

「5!4!」

そして、2105-JPのメーターが丁度時速150キロに到達した時、

「Goruaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

瓦礫の山にぶつかった2105-JPは、衝撃で再々度空を飛ぶッ!

「3!2!」

機動部隊隊員のカウントダウンが終わった直後、天から光の矢が降り注ぎ、2317の体にも大量に着弾したッ!
神の視界が一瞬吹き飛ぶ。




もはや見えないレベルにまで達していた彼らは、居合の如く2317の3本の腕を、一気に消し飛ばした。

「あ?は?……ヴワアアアアアア!」

今度こそ最高潮に怒り狂った神は、残った腕を振り回し始め、建物を武器にし、口だけでなく一対の角からも光を出す。全てを破壊せんとしようとしているようだッ!

「まるでガキの駄々こねだなあ…そんなんで神なんて名乗れんのかぁ!?」

「黙れ!黙れ!」

「テメェこそ黙れ!くそうるせェんだよォ!」

ただ単に怒りに任せた攻撃が、彼らに効く筈も無かったッ!
2105-JPは確実に2317に近いているッ!
生命の危険を直感した2317は、素手で建物を引き剥がし、瓦礫を集め、残った腕で盾として利用し始めたッ!

身を守ることで精一杯な2317は思った。
何なんだこいつらは。我に物怖じもせず、神である我の腕を壊すとは。

「こんなので身が守れる訳ねェだろ!いくぞジェラルド!」

「あのビルとかを壊すつもりですか!?」

「そうしないとぶつけらんねえだろ!俺らはスピード!あんなんすぐぶち壊せるぜェ!」

幾層もの盾も、今や時速200キロに達していた2105-JPの前には次々に壊されていくッ!
腕の殆どが潰され、光も相手に効かない2317に、もはや為す術は無かったッ!
それでも余裕を取り繕っていたのは、相手を威嚇するためか。
それとも欠片ほどは残っていた神としての矜持によるものか。
どちらにしても、そんな態度では物理的にも精神的にも燃え上がっていた彼らに勝てるようなものでは無かったッ!

我が潰れる。我が死ぬ。有り得ないことだ。考えたことも無かった。こんな小さな矢と人間風情相手に、我が苦戦している、だと?
世界を貪る者だぞ我は。止めろ止めろ。

神は足掻きとして、残りの腕に力を込め、







瓦礫に向けて押し出した。

「ぐッ…オラァァァァァ」

2105-JPの車体にヒビが入り潰れつつも、ミシミシと音を立てながら修復されていく。

「潰されて…たまるかァ!」

2317はもう1つの腕で更なるパンチを用意していたッ!

「ゴラァァァァ効かねえよそんなパンチ!」

残る瓦礫もミサイルとタイヤによって全て砕かれ、2105-JPのスピードが増していくッ!

そして、





We'll scar your mindsテメェの心を俺たちが引き裂いてやる



「Hyaaaaahhhhhhhhhhaaaaa
aaaaa!!!!」


その邪神が拳を振り上げたのと、車が神を瓦礫ごと押し潰したのは、ほぼ同時だった。



Fight, fight, fight, fight!闘え、闘え、闘え、闘うんだ
























速水とジェラルドが気が付くと、2317がいた場所の周辺は、2105-JPと2人しか居ない焼け野原と化していた。

「どうやら、倒した…ようだな」

「これ大丈夫なんでしょうかね、カバーストーリーで対処しきれますかね…?」
タイミングよく、通信機器が音を立てる。"ウォーボーイズ"の隊長の声だった。冷静を装っているが明らかに声色が上がっている。

「2人共、良くやってくれた。2317の破壊作戦は無事成功した。カバーストーリーはこっちで何とか対処するから、安心して帰還してくれ」

「んよっしゃあ!帰りも全速力で行くぜぇぇぇ!」

「速水さん、帰りは安全運転でお願いしますうぅぅぅ」


その数日後、O5-13は作戦の成功を静かに祝っていた。

「やれやれ、日本支部はオブジェクトがやたらと多くて手を煩わせてばかりだと思っていたが、その分有用なThaumielクラスも多いとは予想していなかったな」

「全くですね。まさかトヨタ車に世界が救われるとは」

黒スーツの秘書がO5-13に語りかけた。

「O5-13 、戦術神学部門から報告がございます」

「何だ?」

「SCP-2105-JPの件についてです。よろしいでしょうか?」

「何かね、言ってみなさい」

「2105-JPの異常性が調査によると、その、強化された模様です」

「……どういうことかね」

「2105-JPは、本来一定の条件下でしか異常性を発揮できません。しかし今回、2317という本来ならば2105-Jpをも超えた破壊不可能な対象を、ジェラルド博士の異常性で強化して無理矢理破壊したことで、異常性が上書きされ、破壊できる対象範囲がどうやら広がった模様です」

「例えば?」

「本来なら実体が存在しないものや、生物的連続性を持たない神格は破壊できませんでした。ですがどうやら、それらの特徴を持つ神格すら破壊可能になったようです。つまり、全ての神格実体を破壊可能になったということです」

「……」

「さらにこれらの追加された異常性の発動条件が、どうやら『ジェラルド博士とエージェント・速水を乗せる』ことの様なんです」

「……ジェラルド博士とエージェント・速水をSCP-2105-JP-Aに指定しろ。今すぐだ。49712845すら破壊できるぞ…!2人共、良くやってくれた。日本支部へ通達しろ」

「了解致しました」

ジェラルドと速水の受難は、まだまだ続くようだ。

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