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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 国内での自殺事件の発生が確認された場合は周囲への聞き込み・現場の監視カメラの記録確認を行い、SCP-XXXX-JPの発生が確認された場合は映像回収・目撃者の記憶処理を行ってください。対象の生存が確認された場合は事情聴取を行い、その後記憶処理を行い開放してください。またSCP-XXXX-JPの発生を防ぐため全国の自殺対策支援センター等と協力し、定期的に各企業および教育機関での自殺防止の公演を行ってください。
説明: SCP-XXXX-JPは自殺を図ろうとする人物(「対象」と呼称)に、低確率で発生する現象です。
SCP-XXXX-JPが発生した場合、対象が思い浮かべる「天使」の姿をした人型実体(SCP-XXXX-JP-A)と、対象の思い浮かべる「悪魔」の姿をした人型実体(SCP-XXXX-JP-B)が出現します。SCP-XXXX-JPの発生中、対象はSCP-XXXX-JP-A、およびSCP-XXXX-JP-B以外からの干渉を受けず、外部から対象の自殺を阻止することは、不可能です。SCP-XXXX-JP-Aは対象の自殺を阻止するため、SCP-XXXX-JP-Bは対象の自殺を成功させるために、会話を試みます。ただし、SCP-XXXX-JP-A,Bはどちらも会話を行うのみで、物理的に対象の自殺を阻止または実行させようとはしません。
対象の自殺の阻止が成功した場合、および対象の自殺の阻止が失敗した場合のどちらの場合であっても、1〜3分ほどで両個体は消失します。
補遺01 - 発見経緯: SCP-XXXX-JPは20██年██月██日に行われたSCP-████-JPの実験中、その異常性から首吊り自殺を試みたDクラス職員の前にSCP-XXXX-JP-A及びBが出現したことで発覚しました1。
形式部門から提出されたDクラス職員を用いてSCP-XXXX-JPを発生させる実験案は、倫理委員会の反対及び物流部門の意見から凍結されています。
補遺02 - 映像記録: 以下はSCP-XXXX-JP発生中の自殺の瞬間が記録された街頭防犯カメラなどによる映像の一例と、各個体の反応の様子の要約です。
映像記録XXXX-JP-2
場所: ██県██キャンプ場
対象: 上野宗一氏(23歳)
手段: 首吊り
状況: 吊るした輪に首をかける直前にSCP-XXXX-JPが発生し両個体が出現。3分20秒間の対話の後、上野氏がSCP-XXXX-JP-Aの制止を振り切り決行。両個体は1分30秒後に消失。
個体名 | 姿 | 消失するまでの反応 |
---|---|---|
SCP-XXXX-JP-A | 白髪で白色の鳥のような翼を生やした少女 | 拳を握りしめ俯く・小刻みに震える |
SCP-XXXX-JP-B | 黒髪で黒い蝙蝠のような翼を生やした少年 | 何度も大きく頷く・上野氏の遺体を見つめる |
映像記録XXXX-JP-3
場所: ██県██駅
対象: 宮野克己氏(43歳)
手段: 飛び込み
状況: 決行前にSCP-XXXX-JPが発生し両個体が出現。2分40秒間の対話の後、宮野氏は決行を断念。両個体は1分後に消失。
個体名 | 姿 | 消失するまでの反応 |
---|---|---|
SCP-XXXX-JP-A | 茶髪で頭上に光る輪が浮かんでいる少年 | 宮野氏に微笑みかける・一瞬SCP-XXXX-JP-Bの方を向く |
SCP-XXXX-JP-B | 赤髪で細長い尻尾のついた少年 | 宮野氏とSCP-XXXX-JP-Aから顔を反らす |
映像記録XXXX-JP-6
場所: ██県大型駐車場
対象: 坂田明美氏(32歳)
手段: 車内での練炭の燃焼
状況: 後部座席に両個体が出現。坂田氏が存在に気づく前に咳き込み、ドアを開け決行を断念しそのまま車を後にする。両個体は2分10秒後に消失。
個体名 | 姿 | 消失するまでの反応 |
---|---|---|
SCP-XXXX-JP-A | 茶髪で白色の鳥のような翼を生やした少年 | SCP-XXXX-JP-Bと向き合う・僅かに首を縦に振る |
SCP-XXXX-JP-B | 黒髪で細長い尻尾のついた少女 | SCP-XXXX-JP-Aと向き合う・僅かに首を横に振る |
映像記録XXXX-JP-8
場所: ██県██ダム
対象: 森内透氏(37歳)
手段: 飛び込み
状況: 決行前にSCP-XXXX-JPが発生し両個体が出現。4分間の対話の後、森内氏が制止を振り切り決行。両個体は1分20秒後に消失。
個体名 | 姿 | 消失するまでの反応 |
---|---|---|
SCP-XXXX-JP-A | 白髪で頭上に光る輪が浮かんでいる少女 | 膝をつき大きく項垂れる |
SCP-XXXX-JP-B | 黒髪で黒い蝙蝠のような翼を生やした少女 | 森内氏の飛び込んだ後を覗く・一瞬SCP-XXXX-JP-Aの方を向く |
補遺03 - インタビュー記録
以下は映像記録XXXX-JP-3の数日後に行われた、宮野克己氏へのインタビュー記録です。
インタビュー記録XXXX-JP
日付: 20██/██/██
対象: 宮野克己氏
インタビュアー: 薄縹研究員
<記録開始>
浅縹研究員: 宮野さん。先日、あなたが██駅で飛び込もうとした際の事を教えてくれますか?
宮野氏: [2秒の沈黙]飛び込もうとした理由についてもですかね?
浅縹研究員: いえ、その後に起きたことを教えてください。どうしても、というなら話して貰っても結構ですが?
宮野氏: ……遠慮しておきます。それで、その後というのは……あぁ、あの事か。
浅縹研究員: 一体何が起きたんですか?
宮野氏: 笑わないで下さいよ?気が狂っていたのか、幻聴……じゃないな、幻覚を見たんですよ。まるで天使と悪魔みたいな人を見たんです。不思議に思っていると、天使と悪魔みたいな人たち……いや、天使と悪魔が話しかけて来たんですよ。
浅縹研究員: なるほど。一体、どのような話をされたのですか?
宮野氏: 天使が「どうしてそんなことをするの?おじさんが死んじゃうと僕悲しいな。」って言ってきたんですよ。答える気が無いと伝えようとしたら、悪魔の方が、「生きるのが辛いんだよな。」と、こんな感じです。
浅縹研究員: 続けて下さい。
宮野氏: もうすぐ電車の来る時間帯だった、ということもあり、鬱陶しく思って踏み出そうとした時、天使の方が「これ、覚えてる?」って壊れた懐中時計を見せてきたんです。それがきっかけで思い止まりました。
浅縹研究員: 壊れている懐中時計ですか?何か思い入れでも?
宮野氏: 今は机の奥底にしまっているのですか、祖父の形見で、私が学生の頃、車に轢かれそうになったところを、間一髪で助けてくれた人が居たんです。その際に壊れてしまったのですが、その人は「身代わりになってくれたんだな。」と言ってました。だからそれは、私のお守りみたいなものだったんです。
浅縹研究員: それを思い出して、踏みとどまった。ということですね?
宮野氏: はい。あの時、懐中時計に……いえ、祖父に助けられた命、今更ながら捨てるのは勿体ないと思い、断念しました。天使に「思い出させてくれてありがとう。」と伝えたら、次第に天使と悪魔の幻覚が消えていましたね。
浅縹研究員: ありがとうございます。他に気になった、感じたことはありますか?無ければ終了となります。
宮野氏: そうですね……あんなに自殺を止めようとしたり自殺させようとしたりしているのに、口だけで手を出してきたりしないんだなとは思いましたね。あとそういえば幻覚が消える瞬間、表情?が少し不思議な感じてしたね。
浅縹研究員: 不思議な感じと言いますと?
宮野氏: 感謝を伝えた後に、天使の方が笑いながらとても喜んでいるように見えて。いや、自分を助けられたから当たり前ですかね?それはまだいいんですが、悪魔の方も笑っていたんですよね。あんなに自殺を勧めてたっていうのに……まぁどういう形にしても、自分を心配しての言動だったと思うので感謝していることには変わりませんがね。
浅縹研究員: ご協力ありがとうございました。これにて終了します。
<記録終了>
補遺: 宮野氏の精神鑑定後、特に異常が見られなかったため、記憶処理を施し、解放しました。
補遺04 - 検討事項: 現在倫理委員会の提案から、SCP-XXXX-JPの収容中止及びオブジェクトクラスのArchonへの移行が検討されています。
我々はSCP-XXXX-JPの収容中止を提案します。
SCP-XXXX-JP発生後に事情聴取を行い、その後記憶処理をした人物の大半は再度自殺を試み、大抵の場合そのまま死亡しています。
これは本来助かるはずであった命が失われたということです。
SCP-XXXX-JPの収容を中止した場合、上記のような事が起こらない上に、SCP-XXXX-JPの存在を知った人物の自殺抑制にもつながるでしょう。
そもそもSCP-XXXX-JPはその性質上、収容が不可能です。
財団の知らない場所で自殺を試み、生存した人物にはすでにSCP-XXXX-JPの存在は知られてしまっているでしょう。
以上のことから、我々はSCP-XXXX-JPの収容中止を提案します。
倫理委員会
追記 - 追加情報: SCP-XXXX-JPは20██年██月██日に行われたSCP-████-JPの実験中、その異常性から自身の首を絞め自殺を試みたDクラス職員の前にSCP-XXXX-JP-A及びBが出現しました。以下はその記録の一部抜粋です。
<抜粋開始>
D-7373: [手で首を覆う]
SCP-XXXX-JP-A: ちょっと待って!
D-7373: ……誰だお前は。
SCP-XXXX-JP-A: 見ての通り天使さ。自殺なんてバカなことは止めるべきだよ!
SCP-XXXX-JP-B: 邪魔をするな。これはお前が考え悩み抜いた結果だろ、なぁ、███(D-7373の本名)?
D-7373: 今度は誰だ。どうして俺の名前を?……まさか悪魔か?
SCP-XXXX-JP-B: 話が早いじゃないか。早速だが言わせてもらう、ここで死んだ方がお前の身のためだ。
SCP-XXXX-JP-A: そいつの言葉に耳を傾けちゃダメ!今までどんな困難にも立ち向かって来たんでしょ!?ここで終わらせるのはダメだよ!
SCP-XXXX-JP-B: 悪魔の言うことは聞いたほうが良いぞ。なんせこの綺麗事しか知らない天使と違って、多くの人間の辛い人生を見てきたからな。いいか、ここで死ななかったことをきっと後悔する。自殺を諦めたやつは、みんなそうなってた。俺はお前に、そんな思いはしてほしくない。
D-7373: いや…俺は死にたいんだが…。
<中略>
SCP-XXXX-JP-A: 考え直して!まだ間に合うよ。ねぇ!
SCP-XXXX-JP-B: このまま生きていても辛いだけだ。俺の話を聞いてよくわかったろう?悪魔の俺が言うんだ、間違いない。
D-7373: うるさい!どっちにしろ俺は死ぬんだ!天使も悪魔も知ったこっちゃない!
SCP-XXXX-JP-A: ダメっ!
SCP-XXXX-JP-B: それでいい。
[D-7373が自身の首を締め始める]
[D-7373が倒れる]
[3秒の沈黙]
SCP-XXXX-JP-A: そんな……死んじゃった。また、守れなかった。
SCP-XXXX-JP-B: あいつはこれで救われる。最初からこうするべきだったんだ。
[5秒の沈黙]
SCP-XXXX-JP-A: ……だぁーっ、今回はいい感じにいってたんだけどな。やっぱ勢いが足りないのかな。
SCP-XXXX-JP-B: 今回は、俺が勝ちで文句ないよな?
SCP-XXXX-JP-A: ……悔しいけど認めるよ。さぁ次行こ、次!
SCP-XXXX-JP-B: わかったよ。……にしても、早速なのか、お前って以外と容赦無いのな。
SCP-XXXX-JP-A: 君が言えることかい?それに、今回は無理やり殺されたって感じがするしね。そうだ、毎回同じっていうのもつまらないから、次は役割交代するってのはどう?
SCP-XXXX-JP-B: おっ、中々面白そうじゃないの!
[笑い声]
<抜粋終了>
これにより、倫理委員会からのSCP-XXXX-JPの収容中止提案は却下されました。
このようなことになるならば、倫理委員会の反対を無視し実験を行うべきであったのではないでしょうか?
もし倫理委員会の提案が採用されていたら、今頃人類はSCP-XXXX-J-A,Bのゲームに一生つきあわされることになっていたでしょう。
これからはこの事例を念頭に置いて、倫理委員会の反対を受け入れるか跳ね除けるかを選択してもらえることを望みます。
形式部門
リサイクルコンテスト2021アイデアリストにのっていたsakaponさんの命の選択(ゲーム)をリサイクル(?)しました。
批評お願いします
- DV/NV/UVのどれか
- 誤字脱字が無いか
- 表現・言葉使いで引っかかる点
- この記事が面白いか
を教えてくださると助かります。
あとメタタイトルが微妙なので何か案があったら教えてくれると助かります。
また、オブジェクトクラスにConscientia(アイテムは物理的に収容不可能であり、一般公衆がこれを非異常であると信じるように誘導する必要があります。)というものがあるのですが、どちらが良いかも教えてもらえると助かります。
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- portal:8518479 (16 Mar 2023 05:38)
現状はDVです
「1〜3分ほどで」の方がより自然です。
やや読みにくいです。「状況の」は要らないかもしれません。
映像記録で同様の表現が何度か使用されていますが、「3分20秒間の対話の後」の方が読みやすいと思います。
特殊オブジェクトクラスである必要性があまり感じられませんでした。
Conscientiaの要件に「一般公衆がこれを非異常であると信じるように誘導する必要があります。」という一文がありますが、このアノマリーの異常性であれば通常の隠蔽工作で対処できそうですし、わざわざ特殊オブジェクトクラスを使う必要があるのかな……?と疑問に思いました。何か特別な思い入れ/理由がない限り、この場合はSafe/Euclid/Keterの三種から選択する事を推奨します。
倫理委員会と物流部門がDクラスの扱いに意見するシーンがありますが、記事の主軸から逸脱してしまっているような印象を受けました。スポイラーから察するにこの記事の主軸は「実は天使と悪魔がどちらも人の命で遊んでいた」というどんでん返し展開だと思うのですが、Dクラスのくだりは読者に「Dクラスの権利について深く問うのかと思ったら、そこに関しては特に深堀りせず終わった……」という感想を抱かせるリスクがあり、悪い意味で読者を裏切るオチになっていると感じました。倫理委員会が反対したせいで正確な実験が行えなかったという展開にも繋がるようですが、個人的にはマイナスな効果の方が大きいと思います。いっそ実験案のくだりを(形式部門の部分も含めて)全てカットした方が良いかもしれません。
批評ありがとうございます!
直します。
これ収容できてないんですよね…。(知らん場所で自殺を試みられてしかも生存したら終わりなので)
Keterは「収容は困難(もしくは不完全)だけど収容されている」、Apollyonは「収容ができてない上に世界終わるかも」、Archonは「収容できるけどしません」という感じなので、SCP-XXXX-JPはあんまり通常のやつに合わないと思うんですよね。
一応Keterにしておきます。
完全にやりたいだけなんですよね…。
いや、最後の部分に使えばいいのか…?
とりあえずカットするなり良い感じに変えるなりします。