SCP 責任追及

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クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - 責任追及
著者: Kisaragi_326
作成年: 2023

 

曖昧な責任。明瞭な制裁。

SCP-XXXX-JP - 責任追及

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日本は治安の良い国です。それでも、毎日どこかで「事件」は起こります。

それは、友人間での衝突のような軽いものかも知れません。

あるいは、誰かの人生を奪い、誰かの大切な人を奪う重大なものかも知れません。

人はこのような重大な事件を起こした者の「責任」を追及し、2度と起こらないよう努力します。これは多くの場合「法律」によって行われ、犯人に刑罰を与えることで更生を促し、犯罪の抑制に繋げようとします。

しかし、果たして悪いのは「犯人」だけなのか？

誰でも1度はこの疑問を抱くことだと思います。何もかも直接的に犯行に及んだ人物だけが悪いとは限りません。人は、法律の手が及ばない所では、法律以外の「何か」で責任を追及しようとします。

その極端な形を表現できたらと思って書きました。

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↓著者ペはまだないです……許して下さい……あと2……

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翻訳:

F.A.Q.

2/XXXX-JP LEVEL 2/XXXX-JP

CLASSIFIED

Item #: SCP-XXXX-JP

Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは、現時点ではその性質上収容は困難です。研究が進展し、完全な収容方法が確立され次第収容を実施して下さい。

説明: SCP-XXXX-JPは、日本国内で調理された「料理」に対してランダムに発生する、摂食した人間に影響を及ぼす異常です。

SCP-XXXX-JPの影響を受けた料理(以下「SCP-XXXX-JP-A」と表記)を摂食した人間(以下「対象」と表記)は、例外なく7日以内に一般人によって殺害されます。以下は対象全員に共通する、死亡時の状況をまとめたものです。

• 対象の自宅で殺害されている。
• 対象の胸部から腹部にかけてが6回、刃渡り約8㎝の刃物で刺されている。
• 対象の死亡推定時刻は21時～22時にかけて。

対象を殺害した人物は、対象とは面識が無い事が殆どです。警察や財団の取り調べに対しても、犯行の動機を尋ねられると黙秘、または「分からない」という趣旨の発言を繰り返す場合が多く、自白剤を利用しても有益な情報は得られていません。

補遺: 200█/10/10、逃亡中であったPoI-2681が、神奈川県███市で確保されました。PoI-2681はかねてよりSCP-XXXX-JPとの関係が疑われていた為、急遽研究チームによるインタビューが行われました。

▷補足: PoI-2681について

PoIファイル-2681

PoIナンバー: PoI-2681

本名: 馬場ばば 輝幸てるゆき

生年月日: 1970/08/05

説明: PoI-2681は200█/02/17まで財団に博士として雇用されていました。財団雇用時代、サイト-81██にて認識災害を始めとする人間の心理に影響を与える異常について研究しており、SCP-████-JPの異常性の解明、収容方法の確立に大きく貢献しました。

200█/01/29、PoI-2681の妻である馬場幸子さちこ氏が殺害されました。幸子氏は神奈川県の自宅で、胸や腹を刃渡り8cmのナイフで6回刺されて死亡していました。

事件発覚の翌日、神奈川県警は付近に住んでいた████氏を殺人の容疑で逮捕しました。神奈川県警によると████氏は逮捕後直ぐに容疑を認め、動機については「とにかく人を殺したかった」という趣旨の発言を繰り返しているとのことでした。

200█/02/16、拘留中の████氏が、拘留所の職員に殺害されました。████氏は刃渡り8cm程の刃物で胸から腹にかけてを6回刺されており、馬場幸子氏が殺害された際と状況が酷似していました。また、PoI-2681はこの日以降姿を消しており、PoI-2681のデスクからは詳細不明な致死性の異常についてのメモが殴り書きされたコピー用紙が発見されたこと、同月13日に████氏が殺害された拘留所を訪れていたこと、以上の理由から馬場輝幸氏はPoI-2681として要注意人物に認定され、捜索が開始されました。

インタビュー記録XXXX-JP

対象: PoI-2628

インタビュアー: ██博士

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<記録開始>

██博士: では始めます。まず馬場博士、ここではあなたのことを便宜上PoI-2681と呼称します。構いませんね？

PoI-2681: 構いません。

██博士: ではPoI-2681、[SCP-XXXX-JPの異常性をまとめた文書を差し出す]こちらの異常をご存知ですね？

[5秒間の沈黙]

██博士: この間は肯定と受け取ってもいいですか？

PoI-2681: いや、私は

██博士: [PoI-2681の発言を遮って]このオブジェクト、SCP-XXXX-JPによって死亡した人物は、皆あなたの奥さんと同じ亡くなり方をしています。本当に知りませんか？

[沈黙]

PoI-2681: 私の研究の内容を利用しました。偶然にも私の目的にマッチした研究をしていましてね。

██博士: あなたは、SCP-XXXX-JPを知っていると認めるんですね？

PoI-2681: ええ、認めますよ。この異常……SCP-XXXX-JPは、私が開発したものです。

██博士: [溜息]我々はこのオブジェクトの収容方法を確立できていません。それどころか、性質すら完全には解明されていません。メカニズムは愚か、発生条件さえも。まずはそこから教えて下さい。

PoI-2681: 性質ですか？「妻が殺された時の状況を再現する異常」、それ以上でもそれ以下でもない。発生条件は……ランダムです。

██博士: ランダム？

PoI-2681: ランダム、無作為です。完全に乱数で選ばられるんですよ。

[3秒間の沈黙]

██博士: 動機は？あなたのしていることは無差別殺人に近いものです。どうしてあなたがこのようなものを作ってしまったのですか？

PoI-2681: 動機……ですか。なんですかねぇ……[沈黙]強いていうなら……復讐、ですかね。

██博士: 復讐？ですがあなたは先程SCP-XXXX-JPの異常性はランダムで発生すると。

PoI-2681: ああ、個人に対する復讐じゃありませんよ。妻を殺した男はもう死んでいますしね。

██博士: では何なのですか？幸子氏を殺害した人物以外は無実の人間です。ランダムである以上SCP-XXXX-JPによって死亡する人間は殆どがあなたと面識すらないんですよ？

[5秒間の沈黙]

PoI-2681: 私の住んでいた町は都会とは言えません。ですが、事件が起きた時間帯は人通りが多いはずです。それなのに犯人は私の家まで入ってきた。家の中で妻を殺した。犯人は、明らかに怪しい動きをしていたそうです。その目撃証言が挙がっている以上、犯行前の犯人を見た人が居たはずです。なぜその時点で止めなかったのでしょうか？

██博士: 明らかに怪しい動きをしている人間に話し掛けるのには勇気がいります。実行できる人は僅かでしょう。

PoI-2681: それがどうしたのです？見ていた人が何人いたのかは知りません。ですが、少なくとも彼ら、彼女らに、私と妻の愛しい時間を奪う権利はないはずです。勇気の問題ではありません。「止めなければならなかった」のですよ。

██博士: PoI-2681？あなたは何を言っているのですか？

PoI-2681: 簡単な事ですよ。私の言う「復讐」とは、妻を殺した人間に対するものではありません。妻の殺害に関わった人物……いや、分かりやすいように言うと、この社会全てに対する復讐です。

██博士: しかし！SCP-XXXX-JPの犠牲となった人にも家族はいます。大切な人も。あなたには、その人達の時間を奪う権利は無いはずです！

PoI-2681: 知りませんよ。言ったはずです。「社会」に対する復讐だと。私の異常で何人死んでいるのかは知りませんが、死ぬのは料理を食べた人です。……私の妻は料理が好きでした。その妻が死んだというのに、その責任を、罪を自覚せずに料理を食べている。そんな人は、死んで当然だと思いませんか、██博士？

██博士: [大声で]馬場博士！

PoI-2681: [驚いたような顔をする]

██博士: ……失礼しました。[沈黙]続けて下さい。

PoI-2681: これは、社会への復讐、責任追及です。死んだ妻が好きだった料理を食べる人は死ねばいい。食べなくとも、責任を自覚していないなら人を殺して罪に問われればいい。愛する人を殺される気持ちを思い知ればいい。それだけです。もうよろしいですか？

██博士: 分かりました。[沈黙]インタビューを、終了します。

PoI-2681: あ、██博士。

██博士: ……何ですか？

PoI-2681: あなたにだって、責任はあるんですよ。私の……［声が震える］唯一無二の、妻を奪った、責任が。

<記録終了>

PoI-2681への処分は、現在協議中です。

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それと、インタビューのところの構成が上手くいってる自信がないので、その辺を重点的に見て頂けると嬉しいです。

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ページ情報

執筆者: Kisaragi_326

文字数: 5622

リビジョン数: 49

批評コメント: 2

最終更新: 04 Jun 2023 04:54

最終コメント: 27 May 2023 04:45 by Kisaragi_326

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  批評コメント批評コメント

  
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  makigeneko 27 May 2023 03:54

  財団職員なのに個人的理由で異常性を作成したこと、その内容と動機を受け入れがたいです。こういった理念を上回る利己心で起きる事例はあるかもしれませんが、馬場博士の心情に歩み寄れる内容ではありませんでした。これには作品全体の文章量を増やして重厚感を出す、読者が同意できるような供述を出すといった手法が有効だと思いました。

  SCP-1735-JP - 交わり伝う変態のインタビュー記録（折りたたみ部分: + インタビュー記録 PoI-3104#1(2007/9/11)を表示 を参照）が参考になるかもしれません。

  また、200█/02/16および同月13日に発生した出来事に対して、財団が馬場博士に解雇・要注意人物認定のみを下して自由にさせたのは判断の甘さがありますし、それから確保まで8ヶ月近くかかっているのもおかしい気がします。

  もし対応を行うとすればPoI-2681に記憶処理を行い、本人が作成した異常性を分析させて対策手段を講じさせる方法が考えられました。

  Kisaragi_326 27 May 2023 04:45

  コメントありがとうございます。

  ご指摘の件ですが、確かに財団職員が個人の理由で異常を作成したこと、また逃走から確保まで8ヶ月もかかっていること、財団の判断が甘いように見えてしまいます。

  馬場博士の人物像なのですが、「凄まじく有能で頭が良い、でも妻の死がきっかけで病んでよからぬ方向にに進んじゃった人」というのをイメージしてます。

  なので、事件後馬場博士はすぐに姿をくらまして、8ヶ月間その頭脳で逃げ続けた訳なのですが、そこが分かるように表現を変えてみようと思います。

  SCP-1735-JPの件や理想的な対処のアドバイスもとても参考になりました。ありがとうございます。

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