SCP-XXXX-JP 不改常典

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神話・民俗学部門より通達

以下の文書の編集は現在許可されておりません

この文書に追記を行う場合、この報告書の担当責任者である平城博士からの確認と承諾が必要です。

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPに関する知識は、平城博士とその直属の研究員5名 4名にのみ共有し、外部への漏洩を完全に防ぎます。また、SCP-XXXX-JP-1を財団内のすべてのコンピュータにおける使用不可の単語として登録し、もし容認されていない入力が確認された場合、その端末の使用者へ機動部隊が出動します。

天皇家に対する霊的監視は神話・民俗学部門が専門として行い、そこに見られるSCP-XXXX-JPの効力を記録して調査に使用します。

SCP-XXXX-JP-1およびSCP-XXXX-JP-2についての情報は、この報告書と関連資料-XXXX-JPに限定します。

説明: SCP-XXXX-JPは、特定の条件を整えたうえで「不改常典」という言葉(SCP-XXXX-JP-1と指定)を4度記述すると発動する、対霊障・呪詛の社会構造内在型結界です。SCP-XXXX-JPはレベルⅤ霊的実体からの干渉とレベルⅤ呪詛に対する強い耐性を保持1しており、現存する実例においてその耐久性の弱化は記録されていません。また、SCP-XXXX-JPは組織・一族・国家などの社会集団の構造そのものを所在領域とするために、外部からの観測は、構成員および構成員同士の関係性に向けられた霊障及び呪詛への拒絶反応という形でのみ観測できます。
その準備儀式(SCP-XXXX-JP-2と指定)は、SCP-XXXX-JP-1を記録したものとは別の文書に記述される必要がありますが、その際の描写は断片的でも発動に十分であると確認されています。

SCP-XXXX-JP-1は、特定の組織・集団が作成した文書全体においての記述が計数され、その合計が4つに足らない場合はSCP-XXXX-JPが発動せず、4つを超えた場合は即座に効力が消失します。前述の儀式を果たした状態でSCP-XXXX-JP-1の数が3以下であれば不発に終わるだけですが、超過したさいには完全な失敗となり仮にSCP-XXXX-JP-1を消去して4つに戻したとしてもSCP-XXXX-JPが起動することはありません。
SCP-XXXX-JP-2の内容に関する記述は、固定されたタイトルをつけられた一連の書物内にすべて収め、またその書物にSCP-XXXX-JP-1を一つも記録しないことによって有効となります。この記述は断片的なものでも問題はありませんが、特定の部分は明記しなければなりません。これらの条件を一つでも破った場合もまた、SCP-XXXX-JPは発動しません。ただしこの状況であれば、そのSCP-XXXX-JP-2を記述した文章の修正を行えば無事にSCP-XXXX-JPを展開することが可能です。

SCP-XXXX-JPは、『続日本紀』2に登場する「不改常典」そのものであると考えられており、現在の天皇の家系に存在していることが確認されています。詳細は以下の平城博士の提言を閲覧してください。

平城博士の提言


「不改常典」というものは、『続日本紀』内において天皇が即位する際に四度出てくる言葉ですが、その詳細は謎に包まれているものでした。この四文字は、「天智天皇が定めた」「改めてはならない不朽の規矩」との表現で形容される何らかの法があり、それに従って此度の即位がなされた、との文句の中で登場するだけであって、その条文の具体的な内容どころかその正式名称すら書内で明かされていないのです。

財団の霊能的・神学的・呪術的見地において、皇統の霊能的耐性が既存の情報を参照にした場合よりもはるかに高いことが以前から確認されていたため、一説としてこの「改めるまじき常の典」とされた法典の影響があるのではないかと考えられ、その形容表現から便宜的に「不改常典」と称して研究してきました。けれども、前述の通りに情報が非常に少なく、その実在すら怪しいためにその調査は一向に進みませんでした。

しかし、財団と迎合していなかった[削除済み]の一派を半年前にとりこんださいに、そこに伝えられていたSCP-XXXX-JPに関する情報を手に入れたことで、この真相が明らかになりました。つまり、何かこのように形容される法令が存在するのではなく、この「常の典」に言及する一連の文章自体がSCP-XXXX-JP-1を規定の回数使用してSCP-XXXX-JPを展開する手順の一部だったのです。
SCP-XXXX-JP-1は、『続日本紀』の中では元明天皇のときに二回、聖武天皇と孝謙天皇のときに一回づつ現れるのにかかわらず、それ以降は「初め賜ひ定め賜へる法」などとしか表記されていないのは、その使用回数を守った結果でしょう。

そしてこの呪術的儀式を発明もしくは発見したのは、天智天皇で間違いはなさそうです。まだ中大兄皇子だった彼が乙巳の変3を起こした一因には、SCP-XXXX-JP-2の一環として特定の方法で誰かが殺害されたという事実が必要になったこともあるでしょう。また、その事件を目撃した古人大兄皇子4の言葉として「韓人の手で入鹿が殺された」とあるのも、結界の対象の外からの存在をまねいていたことに言及するためだと考えられます。
「天智天皇が初め定めた法」とあるのにかかわらず、天智天皇の業績が書かれた『日本書紀』にその面影がまったくないことも、SCP-XXXX-JP-2に関する情報はSCP-XXXX-JP-1を一つも記述していない書物に記さなければならないとの性質に則ったものだと思われます。

さらに『日本書紀』と『続日本紀』によって展開されたSCP-XXXX-JPは、その両方の書物の成立を勅令にゆだねることで、原理的に作成者となる天皇の系譜自体およびその活動領域たる朝廷にかかるように仕掛けられたとの見解があげられています。現在において神祇省などにSCP-XXXX-JPが観測できないのは、明治期の内閣制度などで解体されたことで対象ではなくなったと考えられています。『日本書紀』編纂を実質的に監督したと推測されている藤原不比等が、天智天皇と協力関係にあった中臣鎌足の息子であること、また伝統的に日本の祭祀をつかさどってきた中臣氏の末裔であることは注目すべき事実です。

以上で提言を終わります。SCP-XXXX-JPは確かな効果を伴うSCiPではありますが、その防ぐことのできる種類の少なさなどからThaumielオブジェクトと認定されてはいません。ならば、我らは収容を行わなければならないのです。

SCP-XXXX-JPに関する実験および平城博士を通さない形での調査は現在禁止されています。SCP-XXXX-JP-1、SCP-XXXX-JP-2についての取扱いは、担当チームからの指示に完全に従うようにして下さい。


2023/05/02追記: SCP-XXXX-JPに関するあらゆる活動は、現在平城博士を中心とした担当チームのみが行うことになっています。それ以外の人員による干渉はいかなる場合においても許可されることはありません。

2023/05/06追記: この報告書および関連資料の編集は担当の人間だけが可能となっています。不必要な変更は許されざる行為です。だから、今すぐに姿を現してください。


2023/05/13追記: 現在、この報告書は神話・民俗学部門、奇蹟論部門、誤伝達部門、反ミーム部門、空想科学部門などの広範な部門からの人員を用いて調査が行われています。そのため、これ以降の編集は調査の間はいかなる理由があっても不可能となっています。

2023/05/15追記: 空想科学部門との協力によって、SCP-XXXX-JPには物語改変への耐性も存在することが新たに判明しました。しかし、もう使えません。




2023/05/16追記: 計画は失敗していました。

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スレッドを立てた人: dummyaccount2.pngTatsukazu
日付: 30 Apr 2023 12:13
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あぁ、なるほど

dummyaccount0.pngDr. Hiraki 17 May 2023 12:00

君たちの、せいなのか。この報告書と関連資料-XXXX-JPでSCP-XXXX-JPに対する記述を整えて、財団の存続の一助になるのならばと断腸の思いで仲間を一人犠牲にしたというのに、財団のどこからもその効果を見つけられなかったのは。

最初は儀式やそれについて記した資料に不備があると思った。だが、いくら再確認してもその要因を見つけることはできなかった。次に、報告書で失敗の条件を犯していた可能性を追求した。もし「不改常典」の使用回数が超過していたのなら、私たちは絶望に沈むしかなかった。だから、私たちは必死にそうでないことを祈って調査を行った。
しかし、報告書の記述は完璧だった。つまり必要なものはすべて完璧にそろっていて、この計画は失敗するはずがないことが証明された。それなのに、現実は私たちの望んだようにはなっていなかった。

だから、私たちはSCiPの不正利用による懲戒処分を受けることは覚悟の上で、多数の部門と協力して真相の解明を行った。他の財団職員の人たちも、正体不明のこの異常事態の原因を解き明かして再発を防ぐためならと協力してくれた。この計画に参与していた他の四人と一蓮托生の思いでそれに挑んだのだ。
そしてそれは、あまりにもあっさりと判明した。空想科学部門との協力で、このような世界からの視点が存在していることを知った。どうやらSCP-XXXX-JPは、そこまでを対象としていたようだ。そしてすぐに、なぜこの計画が失敗していたのかがわかった。そのときの衝撃は、とてもじゃないが言い表せない。


これ以上は、もういいだろう。悪趣味にもこんな題名をつけられて、そのせいでこんなとりかえしのつかないような事態になってしまった。この憤りは、君たちには理解しきれないだろう。

私たちは、もう二度と同じような失敗をする気はない。君たちの存在を忘れてなるものか。

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