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財団建設部門とは、サイトや研究施設の建設、壊れた収容セルの修復など、名前で分かる通り建設業関係の仕事だ。ただ、やっぱり普通の建設業とは違い、大変な事がより増えるということをこの3年間で痛感している。
「''電磁投射砲とマイナス100度まで室温を下げられる機械がある研究施設の建設依頼''…また変で面倒な依頼がこの班に来たな」
と、俺の班長の桝田が言っていたのを聞いて、俺は気が滅入った。ここ最近は簡素なサイト建設や収容セルの修復などの単純な作業をしていたが、こういう類の依頼だと難解な機械に頭を抱える事になる。
現場にある仮設事務所に向かうと、技術者が機械の取り扱いなどについて教えてくれる。その後、複数の技術者と話し、機械の組み立てや設置場所のあれこれを決めながら建設を進めていくのが大体の流れだ。
「何でこういう依頼がいつも俺達のところに来るんですか?他のところより人が少ないのに」
休憩中にふと思ったことを班長に聞いた。
「うちの班は少数精鋭だからやって欲しいんだってさ」
「はあ」
褒められているのに全くいい気分がしない。俺達を煽てて面倒事をやらせようとしているかのようだ。
「まあこの班が優秀だから頼んでもらってるんだし、誇り持ってできることで良かったじゃん」
「それもそうですね」
俺が財団に就いてから、''財団職員''としての誇りが芽生え、そして人々に貢献したいという気持ちは桝田の推薦によって実現した。民間の建設会社でしてきた事や今後の目標などを話して、気に入ってくれたみたいだ。
この依頼も、結局自分がやりたかったことである。自分の信念を再確認し、仕事を完璧に終わらせる。
建設が終わればまた建設が始まる。今度は収容違反の時に破壊されたサイトの改修だった。
収容違反が起こったサイトの床は毎回異様なものになる。最悪な時は血塗られた赤黒い床になることもあるが、今回はオイルのようなものがそこらじゅうに飛び散っている位で済んだ。ただ、瓦礫などの撤去作業中に強いオイルの匂いで頭が痛くなる。
爆発じみたことが起きると民間の間で話題になるため、様々なカバーストーリーが適応される。今回は「漏出したオイルによる爆発」が適応された。服装も一般の作業服を着て、民間人が話しかけてきても徹底した秘密保持に注意を払わなければならない。このようにして建設を進めるのは普通よりも疲労が溜まった。
「それにしてもこのサイト、派手に壊れてますね」
「割と危ないオブジェクトがいたんだろうから、今回はもっと頑丈に作るかな」
サイトを建てたり修復したりしていると、収容されているSCiPについて知る必要が出てくる。今回は物理攻撃によってサイトが破壊されたので、鉄筋コンクリートの壁をさらに厚く、頑丈に作ることになった。また、新しく暴走を抑制するような仕組みも採り入れた。
建設部署にいるやつはSCiPについて、そこらの研究員より知る事が出来る。この建設部門は財団に対する忠誠指数が一定以上且つクリアランスレベル2以上じゃないと入れない仕組みになっているからだ。さらに財団に対する忠誠指数が高く、それなりにキャリアを積んでいるやつはクリアランスレベルを特別に上げてもらうこともできる。建設部署はSCiPに関わっていないようで、その深部まで結びついている事をよく感じる。
結局俺達が改修したサイトで収容違反が起こることは無かった。俺達が建設した建物が役に立っているのを知ると、やりがいを感じ、この仕事で良かったと思う。
財団建設部門は建設だけではなく、撤去もする。
「埼玉の方にあるサイトの残骸を片付けてくれという依頼だ」
「それって確か俺達が作ったサイトでしたよね」
「うん、収容してたオブジェクトがketerクラスでかなり危険だったから、収容違反起こしてサイトの大部分が破壊された。オブジェクトの方も再収容する前に無力化されてたし、民間人に怪しまれないために更地にするんだって」
俺達が作る建物は財団の建物であり、常に損壊の危険と隣り合わせな事は分かっている。ただ、建築士として自分が作った建物が壊れ、そのまま撤去するというのは何か哀愁のようなものを感じる。
建築には時間がかかるので、何かしらの出来事が少なからずある。このサイトを建設している時、桝田が筋トレ月間とか言って休憩時間に筋トレをずっとしていたが、過度な負荷で腰を痛め結局休んでいた。撤去中にはこういうしょうもない記憶を思い出し、なんだかんだ感慨に耽ることがある。
しかし、自分の感情に飲まれてはいけない。俺の仕事は異常からの脅威を閉じ込めておく箱を建設することであり、それは人々の人生を守るという俺の信念に通ずる。建設というのは間接的な''全ての保護''だと思う。
自分の信念を貫き通し、仕事を完璧に終わらせる。
「この前作った研究施設、覚えてるよね」
「そりゃもちろん」
「あの施設、実験室が壊れたから修理して欲しいんだって」
「早くないですか…」
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- portal:8315383 (26 Oct 2022 22:58)
主人公の信念がかっこいいtaleでした。以下の批評は個人的な観点に基づくものであり、tera99さんのやりたいことに合わせて取捨選択いただければと思います。
以下は個人の考えに基づくものであり、必ずしも取り入れる必要はありません。こちらもtera99さんのお考えに基づいてご検討いただければと思います。
全体的に小説として読みにくい箇所が多かった、というのが正直なところです。ただ、財団の施設を建築という観点から読み解くのはすごく面白く魅力的なアイデアであると感じました。読み物として分かりやすく、読者の存在を意識しつつゆっくりとアイデアを再構築していくことが大切であると考えます。
拙い批評ではありましたが、tera99さんの参考になれば幸いです。このtaleをサイトで読める日を楽しみにしています。
沢山の批評本当にありがとうございます。いただいた批評を元に改稿を施していこうと思います。
収容施設そのものは着目されることが少なく、それを目的にした建設部門もあってしかるべきだと思います。しかし現状ではその魅力をイマイチ引き出しきれていないと感じました。
まずこのtaleは短いです。さらにそこから分割されているため1つの話は1000字に満たない程度です。そのため場面の状況と少しキャラクターの心情を書くに留まっています。もちろん短いことそのものが悪いわけではありません。例えば変わった状況を描くことでユニークさを出すというのもありますが、良くも悪くも今描かれているシーンは「建設部門」という名前の組織が動くとして、想像しやすく普通の場面であると思います。以上から現時点ではストーリーが短く起伏が少ないため、面白いとなるまでには至り難くなっています。
例えばですが、この中の話のどれかを選んでそれを詳細に書いてみるのはどうでしょうか。仮に最初の話を膨らませるなら電磁投射砲を作る部署とそれを建物そのものを作る部署は異なるはずです。なのでそこでのいざこざを描けると思います。設計図通りに建てたら中に投射砲を運搬出来ない、でも立地的にそうせざるを得ない、みたいな感じとか。
この中のアイデアだけでも色々やりようはあると思います。まずは1つのアイデアからある話の流れを考えてみる、ということからしてみるといいかもしれません。頑張ってください。
批評ありがとうございます。確かにこのtaleは建設部門の説明とちょっとした話、くらいしか無かったので、これから面白くなるよう考えていきます。