ないものきどり Xコン嘘参加予定
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アイテム番号: SCP-3937-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3937-JPの目撃情報は財団webクローラーによって捜索、削除されます。SCP-3937-JP出現地点においては目撃者に適切な記憶処理を行い、SCP-3937-JPが残した物品を回収してください。

説明: SCP-3937-JPは身長約180cmのモンゴロイド男性です。SCP-3937-JPは氏名を尋ねられた際に必ず"俺"と回答し、自身を形容する際には必ず"俺"という一人称のみを使用するためその名称は明らかになっていません。

SCP-3937-JPは、傷病等身体的に危険な状態にある人物、もしくは強い精神的ストレスによって危険な状態にある人物の所在地点に出現します。出現後のSCP-3937-JPは、対象に対して"SCP-3937-JP自身が足りていない"ことを主張した後、異常・非異常な手順による治療・カウンセリングを試みます。 この際、肉体的に危険な状態にある対象は多くの場合SCP-3937-JPによって治療されますが、精神的に危険な状態にある対象の多くはSCP-3937-JPを拒絶するため、カウンセリングは失敗します。

対象の状態が改善された場合、またはSCP-3937-JPによる治療・カウンセリングが失敗した場合、SCP-3937-JPは即座に消失します。

以下の出現記録は映像記録等が確認されたSCP-3937-JP出現事例の一部抜粋です。

出現記録3937-01:

発生日時: 2009年7月6日午前1時55分
発生場所: 財団サイト-81██内食堂
対象: エージェント・坂巻
備考: 対象は連日の勤務によって疲労しており、単独で食事を摂っていた。

<記録開始>

SCP-3937-JP: よお!

対象: どちら様ですか。

SCP-3937-JP: 俺だよ。お前に俺が足りてねえのなんて百も承知だからな。

対象: 待ってください、本当に誰なんです。

SCP-3937-JP: だから俺だっての。お前のその食事、本当に十分だと思ってるのか? 最近連勤ヤバいだろ?

対象: あ、ああ、申し訳ありません、このサイトに転属して間もないもので、本当にどなたか

SCP-3937-JP: とにかく、その食事はダメだ。この17連勤での消耗を甘く見ちゃいけない。本当に死ぬぜ、お前。

対象: ええ、疲れすぎて食が進まなくて。

SCP-3937-JP: この食事に足りてないものを教えてやろう。カロリー、ミネラル、そして俺だ。

対象: はい?

SCP-3937-JP: おい、自分で分からねえのか。ここ最近、お前の身体からは徐々に俺が失われていってる。

[対象は密かに通報装置のスイッチを押す]

SCP-3937-JP: つまりな、まず纏まった量の俺を摂らないといけない。そこは分かるだろ。

対象: ええ、はい。

SCP-3937-JP: よし、そこでこいつだ。

[SCP-3937-JPは、ポケットから市販の紙パックジュースに似た物体を取り出し、テーブルに置く]

SCP-3937-JP: こいつを飲めば、一日分の俺を摂取できる。

対象: 原材料の欄に"俺"と書いてありませんか。

SCP-3937-JP: そりゃそうだろ。今までは直接俺を飲ませてたが、嫌がる奴が多いからこういう形にしたんだ。ほら、飲めよ。

[SCP-3937-JPは紙パックにストローを刺し、差し出す]

対象: あー、[沈黙]

SCP-3937-JP: さっさと飲めって。安心しろ、俺以外の不純物は入ってねえから。

[対象はストローに口を付け、紙パックの内容物を微量のみ口内に入れた]

SCP-3937-JP: おい、飲み込めって。そもそもそれだけじゃ全然足りてねえよ。

対象: これは野菜ジュースですか?

SCP-3937-JP: 違う、何度も言ってるだろ、俺だよ。

[担当班が食堂に到着。対象からSCP-3937-JPが引き離される。]

SCP-3937-JP: おい! 放せ! そいつにはまだ俺が足りてない! そんな状態で働いたら死んじまうぞ!

[救護班によって対象は担架に載せられ、SCP-3937-JPは消失する。]

<記録終了>

備考: SCP-3937-JPが取り出した紙パック内の液体を分析したところ、各種ビタミン価が高い野菜類を液体状にしたものと判明した。対象は栄養失調と診断され、通常の治療を受けた。

 
 
出現記録3937-06:

発生日時: 2012年8月23日午前3時20分
発生場所: 財団サイト-81██内独身寮
対象: 前田萌香元事務員
備考: 対象は当時交際中の人物から交際の破棄を迫られており、服毒自殺を試みる最中だった。

<記録開始>

SCP-3937-JP: よお!

対象: うわっ

[対象は恐怖を露わにし、部屋の隅で包丁を構える。]

SCP-3937-JP: おい落ち着けって! 今、あんたには足りないものがある、そうだろ?

対象: 何を言ってるの?

SCP-3937-JP: そんな怖い顔をするなよ、詰まる所、足りないんだろ、俺が。

対象: は?

[SCP-3937-JPは対象に一歩ずつ接近する。]

SCP-3937-JP: なあ、俺が足りないってんなら俺が協力できる、そうだろ?

対象: 違う。あなたなんか求めてない。

SCP-3937-JP: 違わないさ。よく考えてくれ、あんたに俺が足りてないのは明らかだ。

[SCP-3937-JPは接近を続ける。]

対象: 来ないで!

SCP-3937-JP: なあ、俺には見りゃ分かるんだよ、俺が足りてないって。だから

[対象は悲鳴を上げ、包丁で自身の首を刺す。]

SCP-3937-JP: あっ! おい! そんなことしたら俺が足りなくなるぞ!

[SCP-3937-JPはポケットからガーゼ状の物体を取り出し、止血を試みる。]

SCP-3937-JP: まずいまずいまずい、どんどん俺が減っていってる、こうなったら俺を補充するしか……

[SCP-3937-JPはポケットから輸血用器具に類似する物体を取り出し、自身の身体から対象に輸血する]

SCP-3937-JP: よし、これで俺は暫く持つだろう。

[SCP-3937-JPが消失し、部屋に救急隊員が突入する]

<記録終了>

備考: 対象の治療は成功した。分析の結果、ナイフによる刺傷を除き、対象の体液等に異常は確認されなかった。

 
 
補遺: SCP-4999との接触 SCP-4999出現事例として記録された2件において、SCP-3937-JPとSCP-4999の接触が確認されました。以下は、接触が確認された記録の抜粋です。

接触記録1:

発生日時: 2015年2月17日午前2時23分
発生場所: 福島県いわき市██病院
対象: 倉橋茂三
備考: 対象は肺炎を患っており、見舞い客の記録には1名も記名されていない。

<記録開始>

SCP-3937-JP: よお!

対象: 誰だ。

SCP-3937-JP: 俺だよ俺、必要なんだろ俺が!

対象: 知らない。あんたは知らない。

SCP-3937-JP: いいか、あんたに足りてないのは俺なんだよ、分かるか?

対象: 知らない。

[SCP-4999が出現する1。]

SCP-3937-JP: え、おい、あんた誰だ。俺を邪魔しようってんなら……

[SCP-4999はタバコを咥えて火を点け、対象の手を取る]

対象: ありがとう。

SCP-3937-JP: は? おいおい、おい。

[SCP-3937-JPはSCP-4999を凝視する]

SCP-3937-JP: どうして俺が足りてってるんだ? こいつは、俺じゃないのに。

[対象は目を瞑る]

SCP-3937-JP: なあ、あんたは俺か? そうなんだろ? でなけりゃ、この爺さんが俺で満ちてく説明がつかない。

[SCP-4999は首を振る]

SCP-3937-JP: [沈黙]こういう時に俺が役に立てないのは、俺が必要じゃないからなのか? 答えてくれよ、おい。

[SCP-3937-JPは消失する]

[対象が息を引き取り、SCP-4999は消失する]

<記録終了>

 
 
接触記録2:

発生日時: 2020年7月15日午前4時32分
発生場所: 埼玉県深谷市██病院
対象: 大野タエ子
備考: 対象は肺炎を患っており、周囲の親族とは既に死別している。7年前に遭った事故で視力を失っている。

<記録開始>

SCP-3937-JP: よお。

対象: 誰? ケイちゃん?2

SCP-3937-JP: そうじゃなくて、あんたに必要な俺だよ、俺。

対象: 誰?

SCP-3937-JP: だから、俺だって言ってるだろ!

[SCP-4999が出現する。SCP-4999はタバコを咥えて火を点け、対象の手を取る]

SCP-3937-JP: またあんたか。やっぱり必要なのはあんたなのか?

対象: ねえ、誰なの?

[SCP-4999はSCP-3937-JPを凝視する]

対象: ケイちゃんじゃないの?

SCP-3937-JP: お、おい。全然俺が足りてねえよこの人。あんたなら俺を補充できる筈だろ?

[SCP-4999は首を横に振る]

SCP-3937-JP: じゃあ、どうする? あんたで無理なら、一体。

[SCP-4999はSCP-3937-JPを指差す]

SCP-3937-JP: だから、俺じゃこういう人は助けられねえんだよ。俺が必要な筈なのに、俺じゃどうにもならないんだ。

[SCP-4999は病室のテーブルに置かれた家族写真を指差す]

SCP-3937-JP: 無理だ。俺は俺だ。俺でしかない。

[SCP-4999はSCP-3937-JPの手を取り、その手に対象の手を握らせる]

対象: 誰なの?

SCP-3937-JP: [沈黙]

[SCP-4999はタバコを取り出し、SCP-3937-JPに咥えさせて火を点ける]

対象: ケイちゃん?

SCP-3937-JP: [沈黙]

[SCP-3937-JPは口から煙を吐き出す]

SCP-3937-JP: 俺だよ、母さん。

[SCP-4999は消失する]

<記録終了>

備考: 対象は1時間程度SCP-3937-JPと会話した後、息を引き取った。SCP-3937-JPは対象の遺体の瞼を閉じさせ、即座に消失した。

 
 
SCP-4999との2件目の接触以降、SCP-3937-JPの一人称及び自己の形容手段は変化していませんが、発話内容は大幅に変化しています。財団はSCP-3937-JPと接触し、交渉の末、財団がSCP-3937-JPの活動を邪魔しないこと、SCP-3937-JPが財団のGPS発信機を常に装着し、6カ月毎に電池の交換に訪れることを互いに締結しました。本取り決めは現在に至るまで順守されています。


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