SCP-3000-JP- ひとりはみんなのために(ならない)

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アイテム番号: SCP-3000-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-3000-JPの発生原因、影響に関して調査し、収容法を確立してください。 本報告書及び、資料"プロトコル個人主義概要"を保持してください。

説明: SCP-3000-JPは2022年1月27日に発生した異常現象です。SCP-3000-JPの影響下にある人間は、自身が所属する一定の規律を持った共同体への帰属意識が高まり、極端に滅私的な行動を取るようになります。この日を境に世界の犯罪率が著しく低下し、広範な職種及び業種において、被雇用者の勤務態度及び生産性が著しく向上しました。財団を含めた一部団体の構成員以外にSCP-3000-JPは異常として認知されません。財団職員からの口頭での説明や、文章を用いた説明を受けた場合にも、一般人はSCP-3000-JPを異常現象として捉えません。

本現象は世界中で同時に発生し、国籍、人種等によるSCP-3000-JPの影響を受けた人数の偏りも確認されていません。これまでの調査により、SCP-3000-JP曝露者の行動はより高次の共同体に強い影響を受けるものと推測されます。また、曝露者の欲求は限りなく抑制されている事が脳波測定により確認されています。SCP-3000-JP曝露者は所属する共同体自体を「良い物」として捉える傾向が確認されており、共同体の善性や効率性に疑問を示す相手に対して攻撃的になります。1なお、財団職員からはSCP-3000-JP曝露者が発見されておらず、その要因も調査中です。
 
追記1: 2022年1月30日現在、世界中で勤務態度の向上や、学習時間の増加、投票率の向上等の、「社会的に模範的な」行動の増加が多く見られています。影響を受けていない一般人の捜索は未だ成果を上げていません。以上の事を鑑み、日本支部理事会により、GOCとの協力の上で、SCP-3000-JPの収容ではなく、無力化に向けて活動する事が決定されました。
 
以下の日誌3000-JP-1は、異常性を保持していた人物の書き残していた資料としてGOCから提供されました。日誌は途切れており、執筆者はGOCにより終了されたものと考えられます。
  

日誌3000-JP-1
 
1月28日
昨日から同僚達は件の異常の影響を受けている。現状の異変に気付いているように振舞っているが、彼等自身の異変には全く気付いていない。目を覚まさせる方法を模索する。
  
1月29日
説得は成功していない。私が異常だという扱いを受けている。あまり時間が無いだろう。
 
1月30日
扉の向こうに保安部隊がいる。扉を激しく叩いている。手遅れだった。

  
以下の日誌3000-JP-2の執筆者は財団に所属していた博士です。当該職員は自室で首を吊って死亡していた所を他の職員によって発見され、原因調査の際に本日誌の存在が明らかになりました。
 

日誌3000-JP-2

1月29日

財団の皆は、自分達もSCP-3000-JPの影響下にあると気が付いていない。突然起こった事で、伝染性ではないと思われる。このサイト内に限らず、財団の一番上から一番下まで、全員が同じ状態だ。

まずは発端を探ってみる。残念ながら私には昨日の記憶が無いため、1月28日の映像記録を収集する。進展があればこの日誌に記録する。私がSCP-3000-JPの影響下にないと発覚した場合何が起こるか分からないため、日誌は私室の金庫で保管する。
 
2月1日

映像記録での皆の変化は唐突で、同時多発的。発生時刻は日本時間の15時00分00秒。原因のような物は推定できず。世界単位で同時に起こった現象であり、人為性は見られない。一切の利得無しに、この状況を作り出す事だけが目的の団体は、現在把握されている要注意団体の中には存在しない。

世界のため、財団のため、私は一人であっても必ず皆を救う。
 
2月3日
世界は今の方が美しい。終わりにする。

 
追記2: 日誌の内容から、当該職員は日誌3000-JP-1執筆者と同様の異常性を保持していたものと2022年2月6日に断定されました。2020年2月上旬には一部の財団職員が正常な職員達に対して、「SCP-3000-JPの影響下にある」と主張する事案が複数確認され、SCP-3000-JPに関連する異常として調査が行われました。調査の結果、事案を引き起こした職員の全員が直近に記憶処理を受けており、2022年1月28日時点の記憶を有していない事が判明しました。同様の事案の発生を防ぐため、記憶処理を余儀なくされる場合を除き、財団職員の1月28日以前の記憶に干渉する事は禁止されました。
 

インタビューログ: 3000-JP-██

対象: 財団研究員

インタビュアー: 財団研究員

<録音開始>

インタビュアー: ご協力ありがとうございます。あなたは、私達財団がSCP-3000-JPの影響下にあると主張していらっしゃるようですが、根拠をお教えいただけますか?
 
対象: 何度も言っているように、皆さんの行動はあの日から急におかしくなってますよ。過去の映像記録を見返せばすぐに分かるはずだ。
  
インタビュアー: 我々も何度も検証しましたが、当然ながら財団職員内にSCP-3000-JP曝露者は存在しません。
 
対象: 当然ながらと言いましたか?世界中ほぼ全ての人々が曝露しているんですよ。むしろ、財団内で曝露者が出ない方がおかしいと思うのが普通でしょう。
 
インタビュアー: いいえ、財団職員に曝露者はいません。我々の存在意義をお忘れですか。
 
対象: [舌打ち]馬鹿げてる……
 
インタビュアー: ご理解いただけたようですね。財団職員ならお分かりでしょうが、我々はこれからあなたを解雇し、収容させていただきます。
 
対象: 待ってください。貴方以外の職員も同じ意見でしたか?私と同意見の人は一人も……
 
インタビュアー: 解雇通知書はこちらになります。解雇事由は「就業規則██条█項に該当するため」となります。なお、本日付けの解雇となりますので、解雇予告手当██████円と退職金をお支払いします。
 
対象: 言っていておかしいと思わないのか。
 
<録音終了>

 
 

警告: 以下の資料内には、規則違反行為の記述が含まれます。


資料執筆者は処分済です。以下の資料は規則違反を認めるものではありませんので、閲覧の際には注意してください。


 
 

メモ3000-JP

1月29日
私は天川。去年からサイト-81141の橘博士の研究室で研究助手として働いています。状況は最悪です。このサイトの職員のうち、私以外の全員がSCP-3000-JPの影響を受けているようです。私がわざわざこんなメモを書くのは、私がまだまともだと確認するため、そして私がまともじゃなくならないようにするためです。

誰も自分の名前を言わなくなりました。記録にすら名前を残しません。私が上で書いたような自己紹介もしません。皆黙々と必要な作業をして、SCP-3000-JPの対処法に関して議論しています。こちらから話しかけても、返される言葉は事務的で、機械的です。今日研究室で聞いた言葉のうち、業務連絡以外の言葉は「おはようございます」と「そうです」と「違います」と「お疲れ様でした」だけです。

まずは、他に私と同じくSCP-3000-JPの影響を受けていない他のサイトの職員を探してみます。何か分かったら次のページに加筆します。
 
 
2月1日
私は今年で19になります。今のところ、私以外のまともな職員は見つかっていません。

自分がなぜ影響を受けなかったのかを考えたのですが、私には1月27日の記憶がありません。医務室の記録によると、僕は事故で輸送中の記憶処理薬を浴び、一時的に昏倒していたようです。浴びたのが本来であれば注射で投与される████という薬品だったおかげで、消えたのはあの日の記憶だけです。

今は国内外の財団職員の中で、影響を受けていなそうな方々の動向を調べています。天王寺博士や、ブライト博士、人以外の職員達も。また何か分かったら次のページに加筆します。
 
 
2月5日
未だに、私以外の正常な職員は見つかっていません。破壊的な振る舞いをしていた博士たちも皆、真面目な財団職員として黙々と働いているようです。財団施設内での事故、事件の件数も随分減っています。財団の外に目を向けても、███の強硬派大統領として知られる███大統領が急に███人のグループと講和を結び、各国首脳は武装解除に向けて動いています。私見ですが、彼らは国よりも高次の、世界という共同体の市民として「ふさわしい」行動を取っていると考えられます。

世界は平和になりました。皆熱心に働いています。犯罪も起きません。これでいいのかもしれません。私がこれを止めようとすることこそ間違いなのかもしれません。
 
  
2月8日
私は13の時に財団に保護されたのがきっかけで職員になったので、他の職員の方々のような優秀な人材ではありません。こんな形で孤独になるとは思ってもみませんでした。まともな職員を探すのは諦めました。

自分でも自分が支離滅裂になっていくのが分かります。私の知る研究室の皆はもういません。フロント企業に入社した友人も、あの日を境に連絡をくれなくなりました。一方で、世界はどんどん良い方向に向かっているように見えます。各国は自国の利得を完全に無視し、世界のために動き始めました。進行するばかりだった環境問題も、資源問題も、そのうち解決してしまうでしょう。もう既に、飢餓や栄養失調が元で死ぬ子供はいないそうです。先進国でも、子供が育児放棄を受ける事、虐待される事はもうありません。皆仕事に精を出しながらも、育児にもしっかり時間を使っていて、子供が仕事の犠牲になる家庭も無いようです。

もう私は何もするべきではないのでしょう。一応、周囲の人々の様子を観察しておきます。
 
 
2月14日
趣味は食べ歩きですでした。食堂のメニューが3つに減りました。どれも健康に良さそうなメニューで、うんざりします。

テレビに映るのはニュース番組と天気予報だけです。スマートフォンを娯楽で使おうとするのも私だけになっています。皆健康のために運動しますが、趣味としてスポーツをする人はいません。誰も娯楽を求めたり、仕事をサボったりしません。この世界になってから、いかに自分が怠惰で非効率な人間なのかが浮き彫りになっていくようです。

辛くなって吐きそうになりますが、対話部門の方々のお世話になる事はできません。昨日も、一昨日も、対話部門の利用者は0人です。今私が利用すれば財団に異常として拘束されるでしょう。私は、自分がまともだと悟られないように、なんとか生きていくつもりです。もうこのメモに加筆する事も無いでしょう。

 
 

参考資料"██テレビ"放映内容記録2022/2/14

男性アナウンサー: 17時になりました。ニュース17のお時間です。

[画面右上に「ニュース17」という文字が表示される]

女性アナウンサー: まずは政治のニュースです。今日未明、日本政府は「カーボンニュートラル実現に向けた数値目標」の引き上げを決定しました。首相は、「旧目標の達成は国民の皆さまの協力のおかげです。今後もよろしくお願いします。」と述べました。

次のニュースです。昨晩、アメリカ政府は……

[以降、約55分間政治と国際情勢のニュースが放映された。]

女性アナウンサー: それでは今日の天気のお時間です。天気予報士さん、よろしくお願いします。

[画面が切り替わり、室内にいる天気予報士2が映される。]

天気予報士: はい。明日は全国的に晴れが続き、外干しが可能です。気温が高くなるので、重ね着は推奨できません。予報の根拠及び詳細は、番組ホームページに記載しております。

[画面が切り替わり、男性アナウンサーと女性アナウンサーのいるスタジオに戻る]

男性アナウンサー: ありがとうございました。本日のニュース17は以上です。ご視聴ありがとうございました。

[アナウンサーが一礼した後、画面の右上から「ニュース17」という表示が消える]

男性アナウンサー:18時になりました。ニュース18のお時間です。

[画面右上に「ニュース18」という文字が表示される]

<後略>

 
 

メモ3000-JP

2月22日
天川です。一週間このメモに加筆しないだけで、一気に辛くなりました。加筆は続けます。

意外かもしれませんが、この世界には独裁者や横暴な人がいません。正確には、職権以外の権力を持った人間が存在しません。仮に皇帝や総統が出てきたとしても法は絶対に破れません。名前を呼ばれないのは、上の方々も同じなのです。会社にもパワハラなんて存在しませんし、年齢にも性別にも関係なくお互いに敬語です。財団やGOCのように、明確な「世界のため」の団体でもなければ、法律を破る事はありません。財団も、必要な時以外法を破りません。職員は過労死ラインを超えない範囲でしか働きませんし、有給も必ず貰えます。

そんな中で財団に敵対的な要注意団体がまだ活動を続けているのはどういう事かと思い調べてみました。彼等はフロント企業を立ち上げ、財団の収入源であるフロント企業のライバルとして振る舞い、財団の妨害を図っているようです。つまり、財団と要注意団体との間で商業的な攻防を繰り広げているのです。馬鹿らしいとは思いますが、お互いに死人が出ないという事を考えれば良いやり方でしょう。襲撃の危険が無いため、対要注意団体を想定して構成された機動部隊は、SCiP収容の方に回されたようです。また、スパイの危険も無いためか、正常な世界なら絶対に公開してはいけない情報も開示されています。一番上の方々の電話番号が普通に記載されているんです。おかしくて久しぶりに笑いました。一人の時すら笑えない毎日です。
 
 
2月25日
昨日から少し熱がありますが、休めません。皆が健康的な生活を送っているので、誰も風邪にすらならないのです。生活習慣病にかかる人も相当減っているでしょう。私は寝不足で酷い事になっているでしょうが。

皆が健康的な生活をしている、と書きましたが、もちろん食生活だけの話ではありません。寝る時間と起きる時間はほぼ一定で、毎日太陽の下で散歩し、室内に戻れば手洗いうがいを欠かさないという生活を送っています。部屋が汚い人もいませんし、研究室からエナジードリンクと栄養ドリンクの匂いが漂ってくる事もありません。

皆にこやかに仕事をしていますし、幸せそうに見えます。私と違って。ついて行けないのは私だけです。
 
 
3月1日
寝不足のせいか、無意識の行動が増えています。

財団内でのワークライフバランスは担保されており、様々な休暇制度や保養地が準備されています。サイトの皆さんと一緒にいるのが辛くなったため、京都旅行に行きました。気分転換になると思っていたのですが、その真逆でした。

どこに行っても、私を皆が凝視するんです。電車の中でも、市街でも。サイトの皆さんは、私が彼等から多少ズレていても、自分の職務が最優先であるため、私に目もくれません。しかしサイト外の人々は、私という異物の所作をずっと監視しました。警察を呼ばれたりはしませんし、話しかけられもしません。最初のうちは私も気にしていませんでしたが、どこを見ても顔がこちらを向いているんです。なんだか私もおかしくなってしまって、気が付いたらサイトの前にいました。もう外には出たくありません。
 
 
3月2日
天川です。良く理解しました。

あんな事があってもSCP-3000-JPを無力化しようとしないのは、私が世界を慮っているからでも、財団に忠義を尽くそうとしているからでもありません。私がそんな人間なら、こんなメモを書くのはやめて、何処かに消えているか、死人のように財団で働いているでしょう。

私は、SCP-3000-JPを無力化した後、皆がどう思うかが怖いのです。彼等はがっかりするでしょうか。落胆するでしょうか。私を責めるでしょうか。それならまだ良い方じゃないかと思います。私にとって一番怖いのは、SCP-3000-JPが無力化されているのに、「前の世界の方が良かった」と、皆がそれまでと同じ生活を続ける事です。もしも誰も趣味を持たず、友人を作らず、 私の名前を呼んでくれないこんな生活が「合理的」と受け入れられて、永久に確定してしまったら?

SCP-3000-JPを止めたいと思う動機も、止めたくないと思う動機も、結局私の身勝手です。私はずっと、SCP-3000-JP社会を止めるための言い訳を考えています。いっそ戦争でも起きてくれたなら、何の負い目も不安も無くなるのにと思ってしまいます。私は最低です。
 
 
3月12日
問題が発生しています。SCP-3000-JPへの対処法に関する議事録の整理を行っていた時、内容に違和感を覚えて詳しく調査しました。誰も、目新しい意見を出さないのです。出される案は先例をなぞるだけで、新たな視点や考え方は一切発生していないようです。そして、その目新しさのない案は必ず全会一致で可決されています。1月27日以降の議事録に、否決の文字はありません。

財団は新たなオブジェクトが見つかるたびに対処法、収容方法を模索し、確立してきました。もしも今、新しく危険なオブジェクトが発見されたとしても、財団はそれの効果的な収容法を見つける事ができないという事になります。それが世界の終焉を招くオブジェクトであったとしても、です。私の権限で閲覧できる限りでも、2件ほど危険な実例を確認しています。一刻も早くSCP-3000-JPを無力化しなければいけないでしょう。

思うに、SCP-3000-JPは共同体への帰属意識を強めているだけの現象ではありません。個を殺しているのです。個が死んでいるのですから、出来る事は過去をなぞるだけです。私が到底及ばない優秀な人達の発想力が、SCP-3000-JPによって殺されています。

記憶処理薬を使えば皆をまともに戻せるかもしれません。進展があれば次のページに加筆します。
 
 
3月13日
天川です。このメモを書いている時だけ、孤独が紛れるような気がします。

記憶処理薬を独断で取り寄せるのは、私の権限では不可能だと分かりました。この研究室では使う事が無いため、正当な理由をこじつける事もできません。上の方々を説得する事も不可能です。そんな融通の効く状態ではありません。話をしていて恐ろしく感じるほどです。
 
個を殺している、というのはやはり間違っていないと思います。皆、世界や財団を自発的に愛して働いている訳ではないようです。ただ、世界市民として、財団職員としての役割に沿った行動をなぞるだけ。進展があれば加筆します。
 
 
3月15日
天川。もう嫌です。安泰なエリート生活を捨てて「世界のため」に入職した皆さんと違って、財団への忠誠心なんてものは多分持っていません。
 
これを読んでいるのは正常な人ではないでしょう。シェルターに篭って自分だけ寿命まで生き延びる事も検討しましたが、私は1人だけで生きていけるような人間ではありません。記憶補強薬を盗んであの日の記憶を取り戻せば、きっと私も皆と同じ世界に行けるでしょう。仮にその後罰せられたとしても、今の私よりも酷い状態だとは思いません。
 
諦めも肝心と橘博士もよく言っていましたし、そろそろ諦めさせてください。加筆はしません。
 
  
3月19日
天川です。窃盗をしたのはこれが初めてです。本当です。まともならこんな事しませんでした。
 
記憶補強薬は私の権限ではアクセスできない場所に保管されていましたが、特に警備もおらず、すんなりと盗む事ができました。自室に持ち帰ってようやく我に返りました。おかしくなっていたんです。
 
どうして警備がいなかったのでしょうか?こんな世界であれば、むしろ警備は固くなっているだろうと考えていました。その場で射殺されかねないと思っていたので、これは意外でした。ごめんなさい。
 
 
3月20日
天川です。皆敬語で周囲に接します。皆一人称が「私」です。

私は、上の僕は、上の方々の会議に参加し、意見を通すことでこの問題の解決を図ろうとしましたが、それも結局研究助手という僕の立場では無理な話です。しかし、色々やる中で一つ気付いた事があります。それは、誰も犯罪行為に対して警戒していないという事です。誰も娯楽を望んでいないからテレビからバラエティーが消えたように。規則違反への対応も同様でしょう。

もしも僕が会議中に乗り込んでも、武装した警備に止められるなんて事は無いはずです。さっきサイトの倉庫から記憶処理薬を盗みました。とりあえず、3人の持つ1月27日以降の記憶を消せるだけの分は確保できました。決行は明日です。

僕は、SCP-3000-JPの影響下に無い事をここに誓います。僕のこれからの行動は世界のためでも、財団のためでもなく、自由意志の元、私欲のために行うものです。
 
僕はさびしいです。

 
 

映像記録3000-JP-██
 
<録画開始, 2022/3/21/08:00 サイト-81003>
[円卓を日本支部理事7名が囲んでいる。機密保持のため、理事の容姿は秘匿される]
 
"升": 全員揃いましたね、では、目下の事態への方針に関して……
 
[扉が激しくノックされる]
 
"升": ここがどこかお分かりですか。理事以外の入室は許可されていません。
 
[ノック音が続く]

"升": 今開けますからお待ちください。

["升"が扉を開ける。扉の向こうでは、天川研究助手が息を切らしている。]

"升":あなたは一体……[苦痛に悶える声]

["升"は腕に注射器を刺され、記憶処理薬を注入される]

"升": 警備!今すぐ……なぜ警備がいない?

天川研究助手: 理事、貴方はSCP-3000-JPの影響下にありました。後ろの方々は今も……

["升"は振り返り、他の理事達の様子を確認する。他の理事達は状況に対して何の対応もできない様子だった。約10秒間の沈黙]

"升": それは記憶処理薬だな?

天川研究助手: はい。あと2本あります。他の理事に打ち込んでもよろしいですか?

"升": ああ、まずは"鵺"に……いや、自分でやる。渡してくれ。君の権限では、そもそも私達との直接の接触は許可されていない。規則違反を重ねる事になる。
 
天川研究助手: 分かりました。後はお任せします。

[天川研究助手から"升"に記憶処理薬が手渡される]

<抜粋箇所終了>

 
 

メモ3000-JP

3月21日
天川です。ようやく、名前を呼んでもらえました。

一番上の方々の内、3人がSCP-3000-JPの影響下から外れました。とは言っても、僕が直接お話をしているのは升理事だけですが。

僕が今このメモを書いているのは会議場であるサイト-8100の仮眠室です。1人で寝るには広すぎですが、理事の方々には個室があります。理事達はまず現状の把握をされるようでしたので、最低限必要な事だけ升理事に伝えておきました。

今まで、記憶の無い理事達のためにSCP-3000-JPの特徴と、これまでに起きた世界の変化を文字にまとめていました。理事に言われた、「疲れている所悪いが、天川君にも昼夜問わず働いて貰う」という言葉がどんなに嬉しかったか。今の僕が過労死なんてする訳がありません。

 

音声ログ: 3000-JP-███

<録音開始>

"升": 待たせて悪かった。言われた通り、記憶処理をしていない理事は拘束もせず、理事会に参加させている。本当にこんな処置が必要なのか?

天川研究助手: 恐らく必要です。今の世界では、理事であっても規則に違反すれば権力の一切を失ってしまうでしょう。曝露している理事には直接的な干渉をしない方が良いと思います。

"升": 分かった。それで、次はどうする?

天川研究助手: 解決策なのですが……SCP-3000-JPから逃れる方法は、2022年1月28日の記憶を処理する事以外見つけられていません。ただ、既に1月28日から2カ月が経過してしまっているので、記憶処理の方法は記憶処理薬以外に無いでしょう。

"升": うん、いくらか問題があるな。まず、記憶処理薬を必要なだけ確保する事自体が不可能だ。対象が全人類だとすれば、概算して合計10億年以上の記憶を処理できるだけの記憶処理薬が必要になる。そんな量は地球上に存在しないだろう。

天川研究助手: 対象が全人類である必要はありません。日本支部職員、いえ、一部のサイトの職員だけでも十分です。彼等が元に戻ればきっと、記憶処理以外の解決法を発見してくれるでしょう。

"升": 希望的が過ぎるかもしれないが、そう信じる他ないだろう。もう1つの大きな問題は、記憶処理によって身体にかかる負荷だ。2ヶ月の記憶処理となると、副作用も大きいんだ。下手をすれば、脳に大きな障害が残る事もあり得る。

天川研究助手: では、理事達3人が記憶処理後にすぐ復帰されたのはどういう事でしょうか。

"升": なるほど。確かにおかしい。どんなに健康な人間でも、ここまで長期間の記憶を処理されれば身体に異常が出るだろう。少なくとも私にそんな副作用は出なかった。

天川研究助手: 1ヶ月ほどずっと考えていた事ですが、恐らく、SCP-3000-JP影響下の人々は、記憶処理の副作用が通常より軽くなると思うんです。彼等が受け取る情報はほぼ毎日同じです。同じ時間に起きて、同じ時間に散歩をして、同じ時間に仕事をして、同じ時間に食事を摂るだけの生活をずっと続けているんです。そんな毎日では、長期記憶される情報は限りなく少ないでしょう。

"升": つまり、期間は長くとも脳から処理される情報量が少ないため、副作用が抑えられるという事か。なるほど、まずは実験用の記憶処理薬を用意しよう。重大な副作用が出ないのであれば、記憶処理を躊躇う必要は無い。

<録音終了>

 
 

メモ3000-JP

3月24日
詰所はがらんとしています。結局一人で仕事をしているので、あまり人とは話せない生活です。

理事に人事資料の閲覧権限を頂き、今は正常な人を探す作業をしています。直近では解雇されたり、自主退職している職員が極端に少ないため、そういった人達の中から探せばきっと見つかるでしょう。もしも僕とは違って記憶処理薬以外の原因でSCP-3000-JPの影響下に無い人がいれば、すぐに接触してその原因を聞き出すよう指示されています。財団職員の記憶を消さずに済む方法が見つかるならそれに越した事は無い、とのことです。

一方で理事達3人の方は、記憶処理薬の確保のために動くそうです。妨害を防ぐため、正常ではない理事4人がサイトから出ないよう理事会を開き、日中は交代でずっと適当な議題や質問を投げかけているそうです。どれだけの効果があるかは分かりませんが、理事会を開いてさえいれば、4人の理事はサイトから出ようとしていません。

業務命令という事にすれば記憶処理薬は手配できるでしょうから、後は僕の調査の結果次第という事になると思います。

 
   
以下は2022年3月24日、財団日本支部職員に一斉送信されたメールです。


以上と同一の文面のメールが日本支部理事"稲妻""若山""千鳥"の三名からも一斉送信されていました。
 

音声ログ: 3000-JP-███

<録音開始>

天川研究助手: 頂いた権限を利用して調べてみたところ、私と同様、記憶処理によって偶然SCP-3000-JPの影響を受けていなかった職員が居たようです。収容されている方や、その……既に自ら命を絶っている方が沢山……でも、記憶処理以外の理由で正常なままの職員は……

"升": もういい。理解したよ。私達の方の成果も芳しくない。記憶処理薬を確保して投与する事自体が今いる我々だけでは難しい事が分かった。私達の部下は全員SCP-3000-JPの影響下にあると見て間違いない。あの4人が送ったメールのせいか、私の命令を受け付けないんだ。

天川研究助手: 部下の方々には、何と仰ったのですか?

"升": 「今すぐ私の元に記憶処理薬を持ってきてくれ」とメールを送った。君が教えてくれた通り業務命令として送ったが、やはり私の独断として捉えられたのだろう。相手にしない。

天川研究助手: なるほど……独断で動いていると判断されたなら、SCP-3000-JP影響下の人達を動かすのは不可能でしょう。

"升": ではどうすればいい?記憶処理薬を盗むにしても、規則を破って実行できるのは君だけなんだろう。人手があまりにも足りない。2ヶ月分の記憶を処理できる薬品は種類が限られる。まとまった量を見つける事すら難しいだろう。

天川研究助手: 一つ案があります。この案の場合、理事は関知していない、という体にしなければならないのですが……

"升": ……分かった。必要な権限があれば言ってくれ。ただ……君は覚悟しているのか?我々は今や財団の敵に等しい。上手くいかなければ……いや、上手くいったとしても、その先で君が生きているかどうかは保証できない……君の動機は何なんだ?

天川研究助手: ただの私欲です。1人が辛かっただけですよ。

<録音終了>

 
以下の記録は、サイト-8192にて解雇、収容されていた大船研究員に対して2022年3月25日に行われたインタビューログです。

インタビューログ: 3000-JP-██

対象: 財団研究員

インタビュアー: 財団研究助手

<録音開始>
 
対象: いい加減にしてくれ。こんな深夜に起こすとはどういう事だ。もう俺は何も話さない。

インタビュアー: 落ち着いてください。それでは、インタビューを始めさせていただきます。
 
対象: だからやめろと言ってるんだ。
  
インタビュアー: あなたは、大船慎吾研究員ですね?
 
対象: 何の確認だ。俺はとっくに解雇されただろう。今更何を……
 
インタビュアー: ありがとうございます。あなたは、財団職員の多くがSCP-3000-JPの影響下にあると主張されていたようですが……まだ、彼等が影響下にあると主張されますか?
 
対象: ああ。当たり前だろう。
 
インタビュアー: では、あなたと彼等の違いは何ですか?
 
対象: そんなもの、見れば分かるだろう……待てよ。「彼等」と言ったか?さっき、俺の名前も。
 
インタビュアー: 私は……いえ、僕は強制できません。ただここから逃げたいだけであっても、お手伝いはします。
 
対象: 待ってくれ。これは夢か?
 
インタビュアー: 時間がありません。サイト外からここに至るまでの鍵は開けっ放しです。警備は一応立っていますので、その服の上から着る白衣を持ってきました。外に車を用意しています。乗りますか?

対象: 最高だ。案内してくれ。
 
<録音終了>

  
 

メモ3000-JP

3月26日
天川です。詰所に5人の仲間が増えました。サイト間を運転するだけで今日はかなり疲れました。

話し合いの結果、あと数日の間に出来る限りの人を集め、その後記憶処理薬を盗み始めるという計画になりました。今の所、収容生活を続ける事を選んだ人はいません。理事は私がしている事を完全に理解されたようで、何も言っていないのに財団保有の車の鍵を沢山貸してくださりました。

日本支部で収容されてしまっている正常な職員はあと36人です。僕達はこの全員に意思を問うつもりです。こんなに収容されている人々がいるという事は、恐らく私のように、収容されていない正常な職員もいるでしょう。彼等に集まってもらう方法も検討中です。

 
 

映像記録3000-JP-██
 
<録画開始, 2022/3/27/11:32 サイト-8100 (撮影者は天川研究助手と推定されている)>
[サイトの駐車場に財団保有の大型バスが入庫する。カメラの後方で拍手のような音が鳴り、運転していた大船研究員が降車する]
 
天川研究助手: 本当に運転できたんですね。
   
大船元研究員: 失礼だな。俺も、道楽で取った免許が今更役に立つとは思わなかったけどな。

天川研究助手: 大船さんの他に、話相手として2人くらい乗りましょうか。収容されてる所から連れ出されて、いきなり1人でバスに座らされたら怖いですし。

大船元研究員: 俺も話相手が欲しいし、その方がいい。他の連中の調子はどうだ?

天川研究助手: ……可もなく不可もなく、という感じです。顕著な人は少ないですが、皆多かれ少なかれおかしくはなってますよ。異常な位に明るかったり、暗かったり……

大船元研究員: 俺達にも記憶処理が必要かもな。

天川研究助手: 僕達には普通に副作用が出ますからね?

大船元研究員: 冗談だよ。収容されてる間は碌に冗談も言えなかったんだ、いいだろ?

天川研究助手: ……僕も、冗談を言われたのは2ヶ月ぶりです。

大船元研究員: 収容されてようがされてなかろうが、酷い目に遭うのは変わらなかったんだな……早く助けに行ってやりたいのは分かるが、どうして車を使うんだ?新幹線でも使った方が……

天川研究助手: 公共交通機関に乗ると他の人の目があるので、ストレスになると思うんです。環境に配慮している今の世界だと、自家用車に乗る人がほぼいないので道も混みませんし。

大船元研究員: なるほど、道理で道にトラックとバスしかいない訳だ……ところで、どうしてカメラを回してるんだ。

天川研究助手: ……逆に大船さんは何か残さないと、って気持ちになりませんか?

大船元研究員: ならないな。失敗するかも、なんて考えてるのか?安心しろよ、俺達の手で一つでもサイトを元に戻せれば、すぐに優秀で突飛な連中が何か思いつくさ。すぐにこんな「素晴らしき世界」は終わる。

天川研究助手: じゃあ、正常化から何日で解決策が見つかるか賭けましょうか。僕は3日で。

大船元研究員: なら俺は2日だ。勝ったら何があるんだ?

天川研究助手: ラーメンでも奢ってあげますよ。美味しいお店が戻ってくるといいですね。

<録画終了>

 
 

メモ3000-JP

3月28日
天川です。収容されていた人達は全員ここに来る事を選んでくれました。

大船さんが大型の免許を持っていたおかげで、かなり効率良く事が運びました。バスを運転しながら「まるで護送車じゃないか」なんて大船さんは言っていましたけれど。他に人が乗っていたおかげで、収容されていた方もすぐに状況を受け入れ、安心したようでした。

これからやらなければいけない事は、記憶処理薬の所在及び量の調査と、収容されていない正常な職員をここに呼ぶことです。サイトによって記憶処理薬の種類と量はまちまちなので、一回の侵入で一番効率良く盗み出せるサイトを探しています。

 
 


 
 
 

映像記録3000-JP-██
 
<抜粋開始, 2022/3/29/23:47,バス内監視カメラ>
[運転席の大船元研究員の傍に、天川研究助手が近寄る]
 
天川研究助手: 4人とも安心して寝てしまいました。そろそろ消灯しようと思います。疲れてませんか?
   
大船元研究員: ああ。あの地獄に比べれば生き返った気分だ。お前もそうだろ?

天川研究助手: 僕はさすがにそろそろ疲れてきましたよ。大船さんも無理せず寝てください。

大船元研究員: その敬語、どうにかならないのか?皆意図して「私」と敬語は避けてるだろ。

天川研究助手: これは僕の個性だと思ってくださいよ。こんな世界のために言葉遣いを変えるなんて嫌じゃないですか。

大船元研究員: そうかもなあ……今の世界だと、影響下に無い人間ですら否応なく自分を捨てさせられるからな。2ヶ月も続くと、自分がどんな人間だったかも分からなくなっちまう。今日迎えに行っただけで、上手く喋れなかった奴が3人もいたろ?そういう環境が続くと話し方すら忘れる物なんだ。正常な筈の人間の方がおかしくなる。

天川研究助手: あれってそういう事なんですね。

大船元研究員: ああ。お前がまともに喋れたのは多分あのメモを書いてたおかげだろうな。帰ったら見せてくれよ。

天川研究助手: 嫌ですよ。僕の恥部まみれですから。

<抜粋終了>

 
 

メモ3000-JP

4月1日
このサイトもかなり賑やかになってきました。

詰所に人が入りきらなくなったため、仮眠室も僕達が使用する事になりました。今いるのは80人程度です。続々と人が集まっています。僕よりも偉い人ばかりでしょうが、誰も役職を言いませんし、訊きません。仕事をしながら、この世界の愚痴を言い合い、自分が隠し持っていた僅かな娯楽を紹介し合うこの生活が、楽しくて仕方がありません。

そしてそんな時間もそろそろ終わりです。必要量の記憶処理薬を調達できるだけの人数が集まりました。これが僕の最後のメモになるでしょう。僕は満足しています。自分なりに上手くやったと思います。怖くはありません。寂しくもありません。

 
  

音声ログ: 3000-JP-███

<録音開始>

天川研究助手: もう人数は十分です。記憶処理薬を盗み出すサイトも、正常化するサイトも見繕いました。精神影響のSCiP研究が盛んだったサイト-8185の方々を元に戻します。

"升": そうか。お互い、大変だったな。ところで、記憶処理薬を盗んだ後、投与の方はどうするつもりなのか聞いていなかった気がする。彼等は大人しく注射を受けてはくれないだろう。どういう計画になってる?

天川研究助手: SCP-3000-JP影響下の人達は、決まった時間に寝て決まった時間に起きるんです。起こそうとしない限り、彼等は途中では起きません。

"升": 寝ている職員達に注射するという事か……しかし、夜番の研究員や守衛はどうするつもりだ?

天川研究助手: 白衣やスーツを着ていれば守衛は誤魔化せますし、夜番の研究員は夜間必ず職場にいるので、宿舎で我々の邪魔になる事はありません。今は研究室で寝る人もいませんし、自室に仕事を持ち帰る人もいませんから。

"升": 宜しい。君達の働きに感謝するよ。

天川研究助手: ありがとうございます。皆に伝えておきます。

"升": その「皆」の事だが……彼等、特に解雇されていない現職職員の名前が記録に残っていないのはなぜだ?このままでは、全ての責任が……

天川研究助手: 申し上げた通り、これは僕の私欲で始めた事です。それなのに処分は連判で受けるなんて虫の良い事は言えません。この件が終わったら僕をどう処分して頂いても構いません。

"升": ……君の覚悟は理解したよ。後は、サイト-8185の職員達を信じよう。

<録音終了>

 
2022年4月4日、財団日本支部全理事及び、日本支部サイト-8185の全職員はSCP-3000-JPの影響下から脱しました。
 
 

メモ3000-JP
 
4月4日
大船。天川にこのメモを渡された。あいつは升理事に出頭して、何処かに連れて行かれた。備品窃盗数件、元職員の脱走幇助41件。これを1人で背負ったんだ。脱走幇助と書いたが、この世界では収容違反だ。全部合算すれば、死ぬよりは重い罰になるだろう。

メモを全部読んだ。天川はどうしてこのメモを俺に寄越したのか?「財団に記録として渡してください」と言いながら、どうして直接理事に渡さなかったのか?そんな事を考えると、仕事が手につかなくなる。あいつがどんな人間か、俺達は全員知っているんだ。

仕事と書いたが、これは正式な仕事だ。理事から、解雇されていた俺達に復職の打診があった。当然、全員が受けた。全員、同じ顔をして、打診を受けた。最悪の気分を共有した。今俺達は、SCP-3000-JPではなく、財団に迫っていた危険なSCiP達への対処法の検討に回されている。天川が確認した時点で発見できていたのは2件だけだったが、今では29件に膨れ上がっている。どれも、正常な財団なら簡単に対処できていた筈のSCiP達だ。

そして例のサイトの連中は、失っていた情報を頭に入れ、死に物狂いで働いている。今回も、世界はあっさりと元に戻るのだろう。あの寂しがり屋はまた独りになるのか?ついて行けないのは俺達だけだ。

 
 

日本支部理事会臨時決議『サイト-8185管理官の提案』

提案: 規則██条として、「日本支部職員はSCP-3000-JPの影響下から脱しなければならない」旨を財団日本支部規則に加える事を提案する。

サイト-8185管理官呉浩然


評議会投票概要:

 鵺   
 升   
獅子   
若山   
稲妻   
鳳林   
千鳥    
結果
可決

結論: 規則を提案の通りに追加する。

2022年4月5日


 
 
2022年4月5日、財団日本支部職員のSCP-3000-JP曝露者は0名となりました。
 
 

議事録: 3000-JP-███

参加者: 日本支部理事7名

<録音開始>

<前略>

"鳳林": しかし、今そこまでやる必要があるのか。既に我々は本来の機能を取り戻している。以前の世界よりは、今の世界の方が平和と言えるだろう。オブジェクトの収容だってやり易いだろうし、民間人がオブジェクトに接触する機会も減る筈だ。好奇心だの興味だので馬鹿な行動に出ないというだけでな。
 
"升": 分かっているだろう。その他多くの異常を封じ込めるためであっても、一般市民を異常性の元に放置する事は許されない。
 
"稲妻": 一般市民も、今の世界の方が幾分良い世界だと考えるはずだ。せめて1年程この状態を維持して、厄介な要注意団体を根絶してから元に戻すのはどうだろうか。
 
"獅子": 望まれているかどうかも、現状の世界がどれだけ優れたものであるかも関係ない。仮に元の世界がどれだけ不合理な世界であろうとも、我々には一刻も早い復元の義務がある。
    
<録音終了>

 
 
2022年4月8日、日本支部理事会により、プロトコル"個人主義"の実行が決定、開始されました。2022年4月23日には完全にSCP-3000-JPの影響が無効化され、現在に至るまで再発は確認されていません。
  
 
追記3: 全財団職員のうち、当時SCP-3000-JPの影響下に無かったと確認されているのは471名です。うち130名は異常性を持っているとして収容され、144名は自死していました。GOC内においても23名が確認されており、うち15名は異常性を持っているとして終了されていました。当時SCP-3000-JPの影響下に無かった人物による記録としては、手記3000-JP-1他17件が確認されていますが、メモ3000-JP以外の記録者は全員4月4日までに自死したか、収容されていました。

また、本報告書は高頻度で改訂を繰り返されており、2022年3月28日までに、実験と議論の記録が███件追加されていました。その内容がSCP-3000-JPの収容、無力化に効果的でなく、報告書の可読性を損なう事から、現在の報告書からは一部を除き削除されています。
 
 
追記4: 残されていた映像記録及び職員達の証言から、SCP-3000-JPは影響下の人間の意思及び欲求を完全に抑制していた事が判明しました。曝露者の行動は全て所属する一定の規律を持った共同体での役割に依存するものになっていました。それらの共同体のうちより高次なものの役割が優先されていた事から、その優先順位の付与も異常性の一部だったと考えられます。なお、影響下の人物自身がSCP-3000-JPの影響下にある事を認識した例は確認されておらず、SCP-3000-JPの原因究明には至っていません。
 
 

参考資料:プロトコル"個人主義"概要
SCP-3000-JPの再発が確認され、収容が不可能であると判断され次第、本プロトコルは実行されます。本プロトコルの実行が決定され次第、財団規則に「財団職員はSCP-3000-JPの影響下から脱しなければならない」旨の規則を正規の手段で追加してください。財団内にSCP-3000-JP曝露者が確認されなくなった後、各国の立法権を持つ人間への記憶処理薬の投与を始めてください。
 
立法権を持つ人間にはSCP-3000-JPに関して簡潔に説明を行い、正式な手続きの上で「SCP-3000-JPの影響下から脱しなければならない」旨の法律を制定してください。本プロトコルの成功が確認された後、速やかに当該部分は削除、隠蔽してください。なお、SCP-3000-JPの原因及び収用方法が解明されていないため、「SCP-3000-JPの影響を受けてはならない」等、SCP-3000-JPの発生自体を抑制する法律、規則等の制定は認められていません。

 
 

財団は、財団そのものではなく、職員1人1人の個性である発想や意思によって存続しています。我々は、諸君が最低限規則に従った上で、自由な発想と意思をもって毎日の職務に励む事を期待しています。ただし、規則違反は当然処分の対象です。天川研究助手は備品窃盗等を理由に処分されました。ー日本支部理事会

 
 

職員コード
パスワード
    • _

    注: この項の内容は、恒常的に規則に違反する職員に伝達しないでください。


     

    我々の求める個性の中には、忠誠心の有無も含まれます。忠誠心が皆さんを助ける事も、今回のように殺す事も有り得るのです。忠誠心によって簡単に解決できる問題に対処できなくなり、忠誠を誓っている筈の財団を殺す事すらも。皆さんも覚えていてください。
     
    なお、天川研究助手は記憶補強薬の窃盗と制限エリアへの侵入の咎で2か月の停職処分としました。分かっていると思いますが、この内容を一部の職員に漏らすと、「規則は破る物だ」と言わんばかりに振る舞う恐れがあります。他言せず、君達の胸の中に仕舞っておいてください。ただし、決して忘れないように。ー日本支部理事"升"


     

    2022年6月6日現在まで、SCP-3000-JPの再発は確認されていません。再発の際にもこの報告書が残っていれば、再びプロトコルが実施され、SCP-3000-JPは無力化されるでしょう。SCP-3000-JPのオブジェクトクラス:Neutralizedへの再分類を提案します。 ー天川研究助手

     
      



 

 
 

以下、ディスカッションに記載予定の文面 
 
SCP-3000-JPコンテストに参加します。
著者はSyutaro Eji does not match any existing user nameです。

以下は希望するナンバースロットです。

第0希望: SCP-3000-JP
第1希望: SCP-3939-JP
第2希望: SCP-3999-JP
第3希望: SCP-3968-JP
第4希望: SCP-3333-JP
第5希望: SCP-3001-JP

サイト内外で、__unknown_rain__unknown_rain様、leafletleaflet様、kyougoku08kyougoku08様、KigoremonKigoremon様、iti119iti119様、amamielamamiel様、ImerimoImerimo様、ykamikuraykamikura様、ocamiocami様、Tutu-shTutu-sh様、BARIGANEsenshaBARIGANEsensha様、Hasuma_SHasuma_S 様、ChildreamChildream様、SuamaXSuamaX様、fish_paste_slicefish_paste_slice様、EianSakashibaEianSakashiba様、aster_shionaster_shion様、skyder_2ndskyder_2nd様、boatOBboatOB様、Hoojiro_sanHoojiro_san様、KcammmLiKcammmLi様、[[*user ]]様、KABOOM1103KABOOM1103様にご批評、ご意見を頂きました!この場で感謝を表明させていただきます!本当にありがとうございました!
スペシャルサンクス: 質問等に快く答えてくださった21,22年職員鯖の皆様並びに、何度も構文に関してご教授くださったMikuKanekoMikuKaneko様、サーバー内での定例会を進行してくださったkuromituzatoukuromituzatou様、そしてサーバー管理者のMusibu-wakaruMusibu-wakaru様。大変感謝しております!

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