SCP-XXXX-JP 尽きぬ命の果て

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-31██にある人型収容施設に収容されています。一日三食の食事が職員によって与えられ、室内にあるカメラによって収容違反がないように常に監視されています。また、基底世界に関する地名・世界情勢等の情報や、過去に発生した世界終焉シナリオの鎮圧例・keterクラスオブジェクトの詳細を情報転送装置1によって随時記憶させてください。

説明: SCP-XXXX-JPは2019年3月29日時点で、戸籍上で五十嵐修哉という名前の28歳の男性です。肉体に異常性は見られず、一般的なヒトであることが確認されています。SCP-XXXX-JPは肉体が恒久的に死亡した時に異常性が発現します。SCP-XXXX-JPが死亡すると、その瞬間に別世界に別個体のヒトとして誕生します。この時、生まれ変わる前の過去の記憶は全て引き継いでいるため、SCP-XXXX-JPは複数の人間の記憶を保有しています。また、偶然性によるものか異常性の一部であるかは判断不可能ですが、SCP-XXXX-JPが2度同じ世界に出生する事例は発生していません。

以下は、SCP-XXXX-JPに行ったインタビュー記録の抜粋です。SCP-XXXX-JPの古い記憶の順に、並行世界にナンバリング(SCP-XXXX-JP-1…)をしていますが、SCP-XXXX-JPの再証言による内容の訂正、ナンバリングの修正が行われる可能性があることに留意してください。

SCP-XXXX-JP-1に関するインタビュー記録

[情報]
名前: 藍沢 日向
性別:
誕生年月日: 1961/08/09
死亡年齢: 63
国籍: 日本

インタビュアー: 佐伯博士


[インタビュー開始]

佐伯博士: それではまず、SCP-XXXX-JP-1に関して記憶していることを話してください。

SCP-XXXX-JP: 1ってことは、一番古いのを話せばいいんだよな?

佐伯博士: そうですね。先程SCP-XXXX-JP-1でのあなた自身に関する情報は話していただいたので、世界全体のことを話してください。

SCP-XXXX-JP: 了解。あの世界の特徴的なところは、政治が崩壊していたってとこだな。秩序なんかなくて、世界各国で戦争が頻発してたな。日本でもデモ行進とかテロとかが起こってて、外に出るのが怖かった覚えがあるよ。

(中略)

佐伯博士: 一つ聞きますが、何かその話が本当であることを示す証拠のようなものはありますか?

SCP-XXXX-JP: まあ、俺のことを疑うのも当然だよな。そもそも一般人のはずの俺がSCP財団ってのを知ってる時点である程度信憑性はあると思うが。うーんそうだな。…あ、そういえば、あの時の日本の首相の名前も「佐伯」だったんだよな。下の名前は忘れたが。

佐伯博士: なるほど。ちなみに、今言っていた「あの時」というのは、何時のことですか?

SCP-XXXX-JP: 語弊があったな。最後に記憶している首相の名前が「佐伯」だった、ってことだよ。死んだあと当然人は変わっただろうが、その前までは少なくとも…。

佐伯博士: 分かりました。では最後に、SCP-XXXX-JPが死亡した時の話を聞かせてください。

SCP-XXXX-JP: 曖昧になって申し訳ないんだが、死んだ時俺は車の運転中で、そこで急に意識失ってもう次の世界に生まれ変わってたから、自分でもよく分かってないんだよな。心臓発作とか?

佐伯博士: お話ありがとうございます。これにてインタビューを一度終了します。

[インタビュー終了]


[追記]
財団の別世界との通信記録の一つに、2020年から2024年までの日本国の首相の名前が「佐伯智太」である並行世界があるという履歴が存在することが確認されました。

SCP-XXXX-JP-2に関するインタビュー記録

[情報]
名前: 김 민준(キム・ミンジュン)
性別:
誕生年月日: 5342/17/01
死亡年齢: 173
国籍: 大韓民国

インタビュアー: 佐伯博士


[インタビュー開始]

佐伯博士: それでは、SCP-XXXX-JP-2に関して記憶していることを話してください。

SCP-XXXX-JP: えーと、少し前に話したやつの続きの世界の話か。生まれ変わった時は、有り得ないほど混乱したな。前世の記憶を持ったまま生まれ変わりたいって願望自体はあったけど、まさか実際にそうなるとは。

佐伯博士: つまりSCP-XXXX-JPの異常性は、SCP-XXXX-JP自身の願望に起因する可能性があるということですか?

SCP-XXXX-JP: さあ?俺自身もよく分かってないんだ。

佐伯博士: 分かりました。それでは改めて、SCP-XXXX-JP-2に関する話をお願いします。

SCP-XXXX-JP: OK。あそこは文明がとても発展していて、車は当たり前のように空を飛んでいたし、労働も食糧生産も全てロボットがやっていたな。医療の発達のおかげで超長寿社会でもあった。人口が増え続ける一方だったから、宇宙にも人間居住用の土地が開発されていたよ。俺は地球にずっと居たけど。

佐伯博士: そういえば、SCP-XXXX-JP-2にはSCP財団であったり、SCiPといったものは無かったのですか?

SCP-XXXX-JP: あー、言われてみれば、SCiPの仕業かもって奴はあったな。どうせ後で話すことになるだろうからとりあえずインタビューを進めてくれ。

佐伯博士: なるほど。では最後に、死亡時の話をお願いします。

SCP-XXXX-JP: 当時、ある同年代くらいの女性と付き合っていたんだよ。俺の体は女性のものだったが、男としての人格を引き継いでいたんでな。結構仲良くやっていると思ってたのに、ある日背中に鋭い痛みを感じて振り返ったら、先端の方が緑に染まった包丁を持った彼女がいたんだ。そのまま倒れて終わりだよ。

佐伯博士: 緑に染まった、というのは?

SCP-XXXX-JP: 血だよ、刺された俺の。

佐伯博士: なるほど、SCP-XXXX-JP-2では、人間の血は緑色だったんですね。

SCP-XXXX-JP: いや、全然。俺ですら、死ぬ数日前に怪我した時に出た血は赤色だったよ。さっきSCiPの仕業かもって言ってたのが、この血の色に関してなんだよ。

佐伯博士: ふむ、緑色の血……。そういえば、そのようなオブジェクトの情報を通信記録で閲覧したことがある気がします。

SCP-XXXX-JP: 通信記録…?そのSCiPはどんな異常性だったんだ?

佐伯博士: 通信記録というのは、財団が行っている別世界との情報交換や協同会議の議事録のことですね。申し訳ないですが、少々お待ちください。

[佐伯博士は数分間席を離れる]

佐伯博士: …お待たせしました。セキュリティクリアランスの事情により話せる情報は限られますがご了承ください。では、そのSCiPですが、記録によると体液に異常性をもつ羽虫だそうです。人間に噛み付くことでその体液を注入し、オブジェクトの体液と人間の血液が混ざると毒性を得るようです。そしてその混濁血液が気化することで、毒を空気中に蔓延させ、摂取者を増やすのだと。血液が緑になるのは、オブジェクトそのものの体液の色が緑色であることが影響しているようです。

SCP-XXXX-JP: じゃあ俺が刺されたことで血が流れたのって不味いことなんじゃないか?その毒ってのは人を死に追いやるほど危険なものなのか?

佐伯博士: 毒には、摂取者を数日かけてそのSCiPへと変化させる異常性があるようです。過去にその世界では、連鎖的にそのSCiPの個体数が著しく増加したことによって世界終焉シナリオが途中まで進行したとか。SCP-XXXX-JPが刺された理由も、身体の一部が気付かぬうちに羽虫のものへと変化していたから…と推測出来るかもしれません。

SCP-XXXX-JP: そうか。有難う。ずっとムズムズしていたから少しスッキリしたよ。

佐伯博士: いえ。それでは、インタビューを終了します。

[インタビュー終了]

SCP-XXXX-JP-5に関するインタビュー記録

[情報]
名前: Виктория Смирнов(ヴィクトリア・スミノフ)
性別:
誕生年月日: 684/07/24/46/20
死亡年齢: 22
国籍: ロシア連邦

インタビュアー: 佐伯博士


[インタビュー開始]

佐伯博士: では、SCP-XXXX-JP-5について覚えていることを話してください。

SCP-XXXX-JP: うーん…。あの世界、正直言うことが特にないんだよな。SCP-XXXX-JP-1?だっけ。最初に話した世界とか、この今の世界とかと大きく似てる。そんぐらい普通だったんだよ。…いや、普通ではなかったのか?それとも、むしろ、あれとかこれが普通…?異常性があるのに普通?ない世界が?

佐伯博士: どうされましたか?

SCP-XXXX-JP: あぁごめん、ちょっとよく分からなくなってた。もうあとは死んだ時の話くらいしかできないがどうする?

佐伯博士: では、死んだ時の話を…

SCP-XXXX-JP: 先に聞いておくが、博士は「無限に増殖するインク」のオブジェクトを知っているか?

佐伯博士: SCP-505のことでしょうか。

SCP-XXXX-JP: そう言われて果たして通じてるのかは分からないが、一旦話を進めよう。俺は揚げ物を作っていた時、蓋の開いた油のボトルを間違って倒してしまって、最悪なことにその油はガスコンロの方へと大放流されたんだ。そしたら一気に火が視界中に燃え上がってもう大慌て。肉の焼ける痛さを感じながら急いで隣の部屋から消化器を持ってきたのに、詰まってんのか噴射されなくて。決死の覚悟で火に包まれてる水道の蛇口をひねったんだ。そしたら黒い液体がドバドバ流れてきて、その時はもうそれに驚く余裕すらなかったけど、その液体がみるみるうちにシンクから溢れて部屋を浸して口に入り込んで、結局もう焼死したのか溺死したのか分からないような状況だった。

佐伯博士: それは確かにSCP-505の異常性と合致していますね。ですが蛇口から流れてきたということは、SCP-XXXX-JP-5ではそのオブジェクトの収容違反が起きていたのでしょうか。

SCP-XXXX-JP: さぁ…。あの世界ではそんなインクの話なんて一度も耳にしなかったけど。

佐伯博士: 分かりました。では、インタビューを終了します。

[インタビュー終了]


[追記]
財団内の並行世界との通信記録の履歴の一つに、ある世界から、不明な原因によってSCP-73642が収容違反を起こしNK-クラス世界終焉シナリオが完遂される恐れがあるとして、阻止する方法の提供や支援を求めるメッセージがあることが確認されました。

SCP-XXXX-JP-8に関するインタビュー記録

[情報]
名前: Chris Smith(クリス・スミス)
性別:
誕生年月日: 1988/11/26
死亡年齢: 31
国籍: アメリカ合衆国


[インタビュー開始]

佐伯博士: では、SCP-XXXX-JP-8に関して覚えていることを話してください。

SCP-XXXX-JP: あそこは、俺が初めてSCP財団のことを知って、働くようになった世界だな。

佐伯博士: 知ったきっかけは何でしたか?

SCP-XXXX-JP: 俺はこの異常性故か、記憶処理薬が効かなくてさ。とあるオブジェクトの収容違反が起こった時に偶然それを目撃していて、事情聴取の後に何か注射を打たれたんだよ。普通はそれで見たことも注射を打たれたことも忘れるらしいが、俺は覚えていて警察にそのことを相談しに行ったんだ。その後エージェントが出てきて話を聞かれて、最終的に財団の研究員として働くことになった。

佐伯博士: SCP-XXXX-JP-8における財団というのも、この世界と特に変わりはありませんでしたか?

SCP-XXXX-JP: 俺はこっちの財団の方が断然知らないからアレだが、やってることとか別に違いはそんなになさそうだな。

佐伯博士: なるほど。財団内ではどのようなことをしていたのですか?

SCP-XXXX-JP: 屋内で比較的安全なオブジェクトの実験をして、異常性を確かめるとかそういうのが主だったな。あとは報告書を書いたり。少なくともDクラスがやるようなことはしなかった。

佐伯博士: まあ、それは、そうでしょうね…。

SCP-XXXX-JP: だが、もう聞かれる前に自分から言うが、俺が死ぬ時までやっていた最後の仕事、あれは唯一危険なものだったな。俺ほどの適任が他にいなかったから仕方ないことではあるが。

佐伯博士: それはどのような仕事だったのですか?

SCP-XXXX-JP: あの仕事もオブジェクトの異常性の研究ってことに違いはなかったんだが、その異常性ってのが結構危険でな。その花のオブジェクトが常に発生させている煙を吸い込むと、刷り込み…とでも言うんだろうか、吸い込んだ人の人格やら常識やらが別の生き物のもんに書き換えられてしまうんだよな。俺はそれにも耐性があったから実験を任されていたんだが、中毒死だったのかな、なんだか分からないが急に胸が詰まったように苦しくなって、視界が歪んで脳が溶けるような感覚を覚えて、そのまま死んじまった。あの煙ガスマスクとかでどうにかなるもんじゃないらしいが、大丈夫だったのかな。吸ってそれで、人間に敵対するようなKeterクラスの人格になった連中が財団内に大量発生とかにでもなったら、とんでもないのレベルじゃないよな。

佐伯博士: それはそうですね。そのオブジェクトの話については、後でもう少し詳しく話を聞かせもらいます。では、インタビューを終了します。

[インタビュー終了]

SCP-XXXX-JPは2019年3月22日に、██県██市にある██警察署にて、「SCPという言葉に聞き覚えのある人がいたら呼んで欲しい」という旨の相談をしていたことが分かっています。そしてその相談が当警察署に潜入していたエージェントの目を引き、当オブジェクトの発見及び一時的な収容に至りました。上記の行動をした理由についてSCP-XXXX-JPは、「ギャンブルに負けて生活に困ったから財団で働けばいいと思った」と証言しています。また、SCP-XXXX-JPの異常性に関する発言の信憑性が極めて高いと判断されたため、正式にSCP-XXXX-JPとして登録及び収容されました。

補遺1: SCP-XXXX-JPが全て世界において唯一の存在であることが確認されたため、他世界との共同研究対象として指定されました。現在、SCP-XXXX-JPを職員として雇用していた財団との通信を試みていますが、不明な原因によって成功していません。

補遺2: SCP-XXXX-JP-1との通信記録の履歴に「東京で行われていた、政府に対する外国人達のデモ行進において、暴走車によって参加者の大多数が死亡し、その結果全世界を巻き込んだ核戦争が勃発したためロケットで緊急的に宇宙へ避難しようとしている」という旨のメッセージがあることが確認されました。また、SCP-XXXX-JP-2との通信記録の履歴に「Keterオブジェクトに指定されていたSCiPがNK-クラス世界終焉シナリオを引き起こしたため、前と同じように対処を試みたが徒労に終わった」という旨のメッセージがあることが確認されました。SCP-XXXX-JP-8に関して、SCP-XXXX-JPの死亡年及びSCP-XXXX-JPの扱っていたオブジェクトの異常性から、SCP-5000と何かしらの関係性があるのではないかと推測されていますが、それ以上の根拠が存在しないため真偽は不明のままです。

付与予定タグ: scp jp Euclide

[ここより作者の言葉]
ここまで読んでいただき有難うございます。私が気になっている点としては
・誤字、脱字、誤用があるか
・言い回しに不自然な点(オブジェクト、SCiPの使い分け等)があるか
・インタビュー記録の数を3つに減らすべきか、またインタビューの内容をもう少し削るべきか
・「SCP-XXXX-JPが死ぬ事がトリガーとなってSCP-XXXX-JPのいる世界全体が滅んでしまう」という真の異常性に気づけるor少しでも違和感を持っていただけたか
・報告書内で財団にそのこと(上)に気づいてもらい、特別収容プロトコルの改定等を行わせるところまで行くべきか
・SCP-5000に言及している部分は蛇足ではないか、また一種の解釈を織り込んでいるが問題ないか
・UV/NV/DVなら現状でどれにするか
(緑色の血の虫のオブジェクトは架空のものです。)
ぜひご批評お願いいたします。


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  1. portal:8280366 (01 Oct 2022 05:37)
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