「新しい数学」 中巻

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オブジェクトクラス: Keter(暫定)

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JP-Aはアルカッツォ式ドゥ・アン式Y型霊体観測機1を用いて、長野県██支部の展望台から常に観測されます。SCP-XXXX-JP-Aへの接触は、CK-クラス世界再構築シナリオを引き起こす恐れがあるため恒久的に延期されます。

SCP-XXXX-JP-Aが火星と接触した際にSCP-750-JPSCP-206の存在が一般の教育出版を通して漏洩する危険性を考慮し、SCP-XXXX-JP-Aの改変範囲の早急な特定及び最低限の物資、機器を除く収容設備の撤去、隠蔽を行ってください。SCP-XXXX-JP-Bは現在消失しているため、地球上の観測は不要です。

SCP-XXXX-JP-Aの持つ特異性により、観測以外に財団がSCP-XXXX-JP-Aへと干渉する方法は現在ありません。同様に、SCP-XXXX-JP-Aの異常性による物理的な被害は最小限であるため、SCP-XXXX-JP-Aの収容及び保護は現在計画されていません。しかしながら、SCP-XXXX-JP-Aの改変の危険性については依然として議論が続いており、SCP-XXXX-JP-AのオブジェクトクラスをEuclidからKeterに変更し、収容プロトコルを改定するべきだという意見、提言が挙がっています2

SCP-XXXX-JP-Aが所持していたと考えられる計4冊の日記帳(以下、SCP-XXXX-JP-1~4と呼称)に記述された内容は、ミーム汚染の検査後にデータ上に書き写され、ログ-SCP-XXXX-JP-1~4として本記事内に記載されます。日記自体には特筆すべき異常性が確認できなかったため、日記帳の原文は全てサイト-8104の低脅威度物品ロッカーに収容されます。SCP-XXXX-JP-1~4の破壊耐性を用いた実験を行う際は、サイト管理官に許可を取ってください。字の汚さから内容の特定が難しい箇所があるため、サイト-8104解析課の職員は速やかに文書の鑑識、復元をしてください。

説明: SCP-XXXX-JP-Aは現在地球-火星間を推定300km毎秒で移動するクラスⅡの霊的実体です。SCP-XXXX-JP-Aは現在財団に対して中立的であり、一直線に火星のあった位置(202█/12/11/15:08:01:97時点)を目指していますへ移動しています。このままのペースで行くと、SCP-XXXX-JP-Aは202█年4月6日の世界時12時3分ごろに視赤経62627.104、視赤緯251842.59に到達し、火星に接触すると推測されています。

SCP-XXXX-JP-Aはインドネシア・フローレス島のビーチから複数の一般人によって観測され、写真が動画配信サイトにアップロードされている所を財団職員によって発見されました。動画は全て削除され、カバーストーリー「寒波に伴う霧」が流布されました。当初は「半透明な物質の飛来」や「急激な気温の変化に伴うレンズの劣化」などの偶然の産物という可能性が考えられていましたが、数度の観測を経て霊的実体であることが確認され、実体はこの時点ではSCP-XXXX-JPに指定されました。更に、同ビーチ近辺の海上に、破壊耐性を持った非水溶性の日記が4冊発見され、SCP-XXXX-JP-1~4に指定されました。SCP-XXXX-JP-1~4は201█年から202█年と表記されたものであったものの、異常性が発現し始めたとされる時期と█0年以上の幅があるため、SCP-XXXX-JP-A以外のSCP-XXXX-JP実体がある、またはあった可能性が指摘されています。

SCP-XXXX-JP-Aは不規則にU-1(基底世界)、U-3547、U-7459、その他7つの時空を転移し続けており、接触難度の高さ、後述の異常性がもつ危険性から、SCP-XXXX-JP-Aの観測のみにおいて、Y型霊体観測機計3台の無期限使用が認められました。

SCP-XXXX-JP-Aの引き起こすミーム汚染は出版社、距離に関わらず199█から202█に出版された日本国内全ての教育に類する書籍に見られます。現状、改変の内容はSCP-XXXX-JP-Aの作り出した空間3にて決定されるもので、いずれも「たろう4」または「はなこ(SCP-XXXX-JP-Bと呼称)」と名乗るキャラクターの日常風景を文章題の形式で投影したものであり、199█年時点までの「従来」の教科書等の出題内容と大きな差異があります。SCP-XXXX-JP-Bの発見に伴い、SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-Aに再分類されました

M-U-6は単独による人為的な現実改変によって生成されたものであるにもかかわらず、基底世界と立地関係及び物理法則が酷使しており、頻繁に基底世界及びそれに近い時空にSCP-XXXX-JPが出現していることと関係があると考えられていますが、詳細は不明です因果関係があることが証明されました。SCP-XXXX-JP-1~4に記述された内容から、前述のミーム的な影響や、時空・空間の生成は無意識化で行われていたと考えられます。2022/12/11時点で発見されたミーム汚染及びその扱いについては、付録の”記録-XXXX-A”を確認してください。

追記: SCP-XXXX-1~4記述の内容から、SCP-XXXX-JP-Aの正体について調査がされました。結果、SCP-XXXX-JP-Aは神奈川県██市の沖田太郎氏と同一人物であることと、2017/08/██時点で急性の心不全によって死亡し、原因は不明ながら霊体となったことが確認されました。死亡時から約5か月が経過して発見された孤独死であり、詳細な症状(心筋梗塞、弁膜症、不整脈など)のいずれにあたるものなのかは不明です。

記録-XXXX-A:
書籍タイトル 出版社 改変前の問題文(例) 現在の問題文(例)
新しい算数 3年 ██館 三角形が最も安定した正多角形である理由とその活用法を答えなさい 正十六角形の内角の和を答えなさい
新しい算数 4年 ██館 今持っている鉛筆の体積を求める方法を考えなさい 1辺が6cm、高さが13cmの正六角柱の体積を求めなさい
1日10分1ヶ月! ██算数ドリル ██堂 たかし君は60円の鉛筆と140円のノートを、1400円のおこづかいで買おうとしました。たかし君はノート1冊につき鉛筆1本を使うため、どちらも同じ数、それもできるだけ多く買うと、おこづかいは何円残るか、求めなさい たろう君とその兄は日記をつけるためにノートと鉛筆をまとめ買いしましたが、二人とも値段を忘れてしまいました、たろう君はノート4冊と鉛筆8本で640円、兄はノート5冊と鉛筆6本で780円払いました。鉛筆一本の値段を答えなさい
██中学過去問 19██~2021 ██書房 北緯35度21分45秒、東経183度21分15秒に設置されたたかし君の定点カメラ"SAN"が富士山の標高を3776mと観測した。その原理を答えなさい たろう君が〇△タワーの192m後ろから60°目線を上げると、ちょうどてっぺんになりました。〇△タワーの高さは何mか、小数点第一位以下を切り上げて答えなさい。なお、たろうくんの身長は考慮しないものとします。

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    4月16日
    今日はついにノートを買った。これでようやく日記をつけられる。店主のやつはノートを一冊単位で買わせてくれないもんだから妙だった。ノート4冊と鉛筆8本のセットで640円、ノート5冊と鉛筆6本で780円、いったいどこに需要があるのだろうか。昨日と違い今日は眠気も疲れもない、歩き続けろということか。

    4月17日
    違和感のある東京タワーらしき鉄塔の電飾が朝の8時を知らせる。縦横逆の表示にもだいぶ慣れてきたが、単純にデジタル時計は不愛想で退屈なものだ。ふとここで僕の足が止まる。50度弱目線を上げると丁度タワーのてっぺん、距離は350m弱。余計なものがついたあの鉄塔はなぜか東京タワーの特徴を持っている。

    4月30日
    思ったよりも日記癖というものは長続きしない。行動が時たま強制されるこの世界なら特にだ。そうだ、僕を動かしてる奴はどこのどいつなんだ?頻度を考えると小学5年のガリ勉か?クソ、小学生ならもっと友達と遊んでてもバチは当たらないだろうに。

    5月6日
    書く内容がない。ネタ切れだ。せっかく悩みを吐露できる場所を見つけたのに、何も書けないのでは買った意味がない。二度手間な気もするが、誰かがこれを読んでくれると信じて、ここから脱出する術がないかアイデアをメモしておく。

    5月9日
    腹がすかない分、1日でも2日でも考え続けることができる、というか気づいたらそれくらい経っている。僕も大概ガリ勉気質か。

    6月25日
    僕はこの場所、この状況、そして僕自身に対していくつか仮説と疑問を立てた。今まで強制された動きやそれが起きるタイミングから鑑みて、ここはなじみ深い教科書の世界に迷い込んだような世界観になっている。どこかの誰かが解いた問題通りに僕は右に左に規則的に動かされ、買いたくもない物を買う。内容からして僕を動かしているクソッタレは小学校高学年と推測できる。また、どういう経緯か記憶がおぼろげで確定できないが、僕は既に生きてはいない。霊だか脳波だかの一種だ。この空間もおそらく現実だろう。体が自由な合間に使えるPCをかき集め、なければ北に進み続け、少なくとも神奈川県の南端から青森県の北端までは忠実に再現されている事が分かった。幻覚や狂った愉快犯の軟禁にしてはできすぎている。何らかの異常現象に巻き込まれたのか、、干渉はできずに一人で生き続けるというのが本来の幽霊の性質なのか。ならなんで僕以外、たろう以外の幽霊が存在しないのか、他の幽霊も「干渉できない」の範囲内だといえばそれまでだが、理由も根拠もつけずに決めつけるのでは、数学者失格だ……まて、俺はなぜ自分を数学者だと決めつけた?

    7月23日
    この世界に閉じ込められたのはいつごろからだったかな。たしか元号が変わるって話を小耳にはさんだ頃だったと思う。2017,8,9年、歳は31、妻子は無し、誕生日はクリスマス、住所は分からない、たぶん神奈川、名前は…たろう?たろう、、たいち、、たかし…たかしだな。なぜだかしっくりくる。職業のこともあるし、記憶のおぼろげな物には規則性があるかもしれない。「仮説」の欄に追加しておこう。

    8月8日
    どうやら記憶を完全に喪失したわけではないらしい、数学者になっているというのもおそらく事実だろう。ではなぜ俺は自分の職業すらも忘れる認知症患者と化しているのか、それは俺自身、数学および算数に長年苦汁を飲まされてきたからだ。忘れた方が都合が良かった。忘れたかったんだ。正直俺は数学が嫌いだ、小学生の頃から親にこれでもかというほど教育されて、2年生の頃には中学の範囲に取り掛かり、好きだったボードゲームも捨てられて、高校生になった頃には数学者として勝手に知らない研究所に推薦された。俺は開発職の方が良かったってのに、[罵倒]親父が。

    9月17日
    忘れていたことの規則性ついて、覚えていると都合の悪いこと、というのは不十分かも知れない。名前なんて本来忘れたくなるようなもんじゃないはずだ。たかしだかたろうだかって名前にも大した意味はないだろう。

    11月19日
    とりあえず痛みも疲れも空腹もある。脈はちょっとおかしいかも。ただ、死ぬほど空腹でも吐き気はないし死にはしない。既に死んでるからか?計器無しで観測できる情報だと、まだ普通の人間よりの超人って感じだ。

    12月1日
    ついにクリスマスまで秒読み、もう理論なんてどうでもいいから出れやしないものか。せめて一目くらい見せてよ…彼女がいるんだよぅ

    12月25日
    今日は俺の誕生日。ついに脱出方法がわからなかった。別に帰っても誰かがいるわけでもないだろうし、そもそも還る肉体はもう炭になって空中を漂ってる。/(^o^)\ナンテコッタイ、プレゼントを二つももらい損ねた。
    …こんなことをする意味は、、まだ己の頭脳がこの空間に負けてはいないというプライド以外にあるのか。もう手遅れじゃないか…いや、違う、ただ人に会えるだけでいい。早く、早くしないと。何かアクションを起こせば人は現れるのか、逆に、私を誰かに気付かせられるのか、確かめねばならない。考える時間は恐らく無数にあるが、ずっと孤独でこの違和感に耐えられるほど私は強くない。

    [メモ欄には数ページに亘って数式らしき文字列が書き殴られている]

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    5月19日
    一年前の俺に、仮説の答え合わせだ。簡潔に書くと俺は不整脈で死んだ状態のままこの世界にいる、おそらくは生前の不摂生な生活が原因だ。脈が正常とは言えなかった。この空間は、正体こそ不明だがオリジナルを投影したものではなく、地理関係に詳しい一般人によって作られたものだ。俺しかこの空間にいないことを考えると、生前の知識通りに作られた世界に永遠に閉じ込められるのが自然現象、この世のことわりだなんておぞましい線も考えられる。だとしたら、、ろくにゲームをしなかった人生なもんで、この空間にテトリスとか..、ドラえ██の教育系ゲームとかしかないであろうことについてはひどく後悔した。記憶のおぼろげなものに関しては…根拠もクソもない、まだ自信を持って自分をたかしと呼べないし、住所なんてもうどうでもよくなった。

    6月17日
    最初は…自分のことを何かで証明できるだけで、心の支えになった……脈拍、呼吸、体温、、そんな数値から大まかに導けたのは、自分がいわゆる霊に近しい存在だということ、そしてなぜかこの空間に生かされていることのみだ。丸一年かけてだ。今日も体は定期的に自由を失う。この緊張感と違和感は、相変わらず俺の集中力を切らす。

    6月18日
    まて、そもそもなぜこの空間の宿主は同じものを習い続けている?もうここに来てからはや一年、そんな年で浪人したわけじゃないだろうに。よかった、まだ明確な議論点がある。仮説を立てよう。そうすればおのずと答えは見つかる。もしかしたら宿主を知る事で前の仮説も解けてくるかもしれない。同時並行でやってみよう。

    7月24日
    最近は倦怠感とめんどくささを制御するというのが課題点だ。自分の誕生日という脱出時間の指標を失ったせいで研究にも身が入らない。いったん手当たり次第に捜索をしてみるか。そもそも大した材料もないのに勝手に仮説だの理論だのを立てて勝手に絶望するのもばかげた話だ。

    9月9日
    ずっとこんなところにいるせいか、最近感情がちぐはぐな気がする。まるで自分の中に違う人格があるみたいな、気持ち悪い感じがする。ここに入った時から違和感はあったけど、今じゃ元の感情の方が邪魔な感じがする。生存本能ってそういうものなのか?

    12月5日
    手当たり次第に街中を漁ってみると、監視カメラを確認できる快適そうな空間を見つけた。電源は生きている、ソーラーパネル様様だ。変わり映えのない街だが、意思のないはずの植物は常に変化を見せてくれる、退屈な空間の救世主、それを一度にたくさん眺められるだけでもここに住むには十分すぎる条件だ。

    12月11日
    いつか誰かが言ってたな、花びらの数には規則性があるって、、、何だったかな?フィボナッチ数列が関係してたっけ?専門分野じゃないが、研究が行き詰まったら少し考えてみるか

    12月12日
    少し落ち着けるパーソナルスペースを見つけたからか、日記がはかどる。今日は新しい設問を見つけた。おそらく黄金比だ。周りには見渡す限りの綺麗な比率の花壇、この空間も初めて粋なことをしてくれたもんだ。今日は初めて穏やかに寝られそうだ。夢に落ちるまではせめてこの景色を…って詩人気取だな、むず痒い。

    おやすみ

    12月15日
    今の算数ははっきり言ってクソだ。何がひどいって、難易度が高すぎるんだよ。確かに意味のある問題だってことは分かってるんだけどさ、、意味がなくてもいいから、もう少し簡単になった方が絶対にいいと思う。その点この世界の問題はいい。答えが分かりやすいし意義だのなんだのをいちいち考えなくてもいい。今度実際に解いてみようか。

    12月18日
    意外に間違えるものだな(笑)。段取りが少なくなった分計算ミスが多い…

    12月30日
    ビッグニュースだ!時間がないから日記は省略する!人を見つけた!ありがとうサンタ!おお神よ!

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    1月1日
    一昨日から追いかけていた人物とコンタクトが取れた。全力で走ったのなんていつぶりだろう。そして…「安堵感」というものをここまで身近に感じたのはいつぶりだろう…

    さて、いちいち感傷に浸るのもなんだ。記録を続けよう。彼女も俺と同じ境遇らしく、すこししどろもどろに指をいじくりまわしたあと、ボソッと、「はなこ」と名乗った。情報の共有を試みる。何かわかり次第記録する。

    1月2日
    実のところ、気持ちの高ぶりを抑えられていない。文面ではレポート口調を保てているが、貧乏ゆすりは止まらないし、呼吸は非常に荒い。当然だ。俺は一人だったんだ。一人じゃないんだ(興奮のせいか?なぜか一人称が安定しない。後で「僕」に直そう)。はなこも同じような状態だが、、早めに冷静になろう。嫌われないように気を付けないと。

    1月3日
    はなこと俺の状態について、ある程度比較をしてみた。表にまとめてみる。この数年間で初めて定規が恋しくなった
    この空間にいた期間 忘れたこと 生死 巻き込まれた設問の数
    はなこ 2年半 ここに来た経緯、生い立ち、自分の顔 脈は正常で呼吸もする、おなかも減るから一時期死の淵をさまよった 16
    たかし たろう たかし 4,5年くらい 名前、職業、住所 恐らく死んでいる 100は超えた

    1月4日
    初めて設問に二人で巻き込まれた。聞いたことのない数合わせのゲームだ。ルールは難しいくせに、やってることは数字を足していくだけだから暇で仕方ない。仮にここから脱出できてもこのゲームをやることは二度とないだろう。だが、なかなかどうして、今までのどの設問よりも楽しい、いつぞやの黄金比の花壇よりもだ…俺は絶食した後に食ったものを何でもかんでもおいしいと感じる性格じゃなかったんだが、熱帯雨林のサバイバルよりもこの空間のが辛かったってことか。設問のジャンルはこの環境に依存するものなのかもしれない。もしかしたらこっち側から外のクソガキを制御できるかもしれない。ここから脱出するためのヒントになりそうだ。

    (必要性の薄い内容のため一部省略)

    6月3日
    いつまでも遊んではいられない。あそこまでボロボロに言ったゲームも、、自分から新しいゲームを持ちかけるほどに中だるみしてしまった。モチベーションさえ続けばいつかは脱出できるかもしれない。

    7月4日
    俺はここに来た経緯こそよく覚えていないが、、生い立ちも自分の顔も覚えている。名前も多分だけどたかしでまちがいないだろう。規則性を見出すつもりだったが、はなこのそれとは規則性が全く見られない。単純に極度のストレスに伴う頭の異常かなんかだろう。事実、俺はそんなに自分の名前に断固とした固執はなかったし、自分の職業に誇りを持ったことなんて一度も無い。はなこが顔に執着がないのかと言えば少し引っかかるもんだが…髪型は常にしっかりとセットされている。規則性なんてなかったと伝えたら花子はとても申し訳なさそうにしていた。なぜだ?記憶なんて頑張れば戻るものでもないのに、花子の行動次第で規則性ができるわけでもあるまいし…謙虚な人なのか。

    9月13日
    さぁ今ではお待ちかね、仮説解説の時間だ。と言っても大体もう書いてしまったな。忘れてる記憶に大した規則性は無い。あ、そうだ。何とか問題の内容を制御できないか色々やってみたんだ。一回筆記用具を使っていつぞやのノートと筆記用具の値段を計算してみた。そしたら急に店が現れたんだ。約2年半ぶりの胡散臭い店を見つけた。相変わらず店主はいない。相変わらず一本ずつ、一冊ずつ買うことはできない。この方法で今までの設問は大体再現できたけど、見たことのない物はなかなか再現できない。より正確な値を求めてみよう。例えば、生き物を作るなら関数グラフだけで外枠を表現できるくらいに。体積、質量、睡眠時間まで正確に値を求めてみよう。人類は4次元さえ数字で知覚することができたんだ。俺もいつかできるはず。

    10月1日
    今日は花子の誕生日らしい。いっちょ前に数学を使って曜日を求めてみた。花子自身も知らなかったみたいだから、興味深そうにいろんな解法を眺めていた。結局肝心の西暦を覚えてなくて求められなかったけど、解き方はいくつか見つけられた。俺の知ってる限りでは、誕生日からその曜日を求めるという問題は存在しない。パイオニアだ。もし帰れたら確かめてみたいと生きる気力を取り戻した。プレゼントをもらったのは俺だったみたいだ。

    10月12日
    人を見つけて生きる気力を取り戻したせいか、メリットのない設問にイラつくようになってきた。はなこと探索に出かけようとしても、俺だけ家に固定されて、外に出るのは諦めようとした瞬間に自転車で花子の元まで走らされる。こんなの家出るタイミングから2人で歩いたほうが早いのに。

    10月27日
    最近はなこの様子が変だ、いや、はなこ自体はおかしくないんだが、急にはなこだけ設問に巻き込まれなくなった。昨日なんて俺だけ池を意味なく何周もしていた。はなこは今日ずっと隣にいたし、間違いなく効果範囲なはずだ。1番おかしいのは、そのことについてはなこが少し寂しそうにしていることだ。

    11月1日
    絶対に脱出してね、やっぱりあなたはたかしじゃない、あなたは数学者じゃない、たかしはこんな問題を作らない。ごめんね。

    11月2日
    花子が消えた。なぜ?どうでもいい、こんな世界だ。なにが起きようと驚きはしない。絶対に見つけ出す。

    11月3日
    足跡を見つけた。すぐに追う。家にあるウォーキングメジャーが使えそうだ、距離を測っておく。

    11月4日
    126m。走れ、疲れはないんだ。

    11月5日
    13600m。立ち止まると周りに街の風景が少しずつ構成されていくが、全力で走ると真っ白な世界があたり一面に広がる。立ち止まってしばらく経つとまた風景が広がる。ゲームが通信環境の都合で読み込めてないみたいなことか。

    11月6日
    20000m。ちょうど20000mで足跡が途切れている。競歩の歩幅で俺の全速力よりも早いことも、急にいなくなったこと、不自然なくらいにピッタリ足跡が切れていること、全てが理解できない。なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?

    11月7日
    20000m、どうしてここ数日は邪魔されなかったんだ?そろそろ設問がすっ飛んでくるころだろう

    11月8日
    19000m、あぁ

    11月9日
    18200m、遠くの方に富士山が見える。読み込みが進んでいるのか

    12月25日
    今年こそは…誰かと…あわよくば家族と…て思っ…てたんだけどなぁ

    • _

    1月16日
    生きる気力が見出せない。はなこが来る前も同じようなもんだったが、一度幸せを味わったせいで喪失感がよりデカい。はなこになんて会わなければこんなことにあ。いや。ちがうちがう。ちがうよ

    1月30日
    辛いな人生。あ、しんでんだ

    2月26日
    もういいや、俺にはあのげーむがある  さがす

    3月10日
    まんびきしちゃったみたみたよ はじめてね

    3月13日
    きょうはあしがずぅっと[削除済]りまわってる

    6月10日
    そうか…このクソガキは俺自身か。そうだよな?おい。問題の範囲、解くスピード、正答率、妙に見覚えがあると思った。まさかこの空間も…待て待て待て、大丈夫、大丈夫、それなら。考えろ、この発見の活用方法を。思い出せ、予測しろ、次の問題を。もう耐えられない早くしろれが——いける、いける

    7月12日
    しめた!あの問題が使える!こっちから干渉してやるよ花子も言ってたんだこれならいけるここから出られる

    7月13日
    違うムズイムズイムズイムズイムズイなんだ?どうしたなんだあり得ないこんな問題やったことないいやいける見落としがあるだけだ式を展開てんかい。

    7月14日
    (判別不能な書体)

    7月14日
    (三平方の定理と内心球を用いた単純な方程式、半径rの値が地球の半径とおおむね一致している)

    7月14日
    完璧な角度で…時速312kmの等速直線運動

    7月14日
    (判別不能な書体)

    7月14日
    [罵倒]

    7月14日
    ぼくはまだ

    7月14日
    (判別不能な書体)

    7月14日
    [罵倒]

    7月14日
    [罵倒]

    7月14日
    (ページ全体に高校数学のものと思われる数式、要所要所で掛け算と足し算を間違えている。解が3,4000倍程度ずれている)

    7月14日
    [罵倒]

    7月14日
    (判別不能、おそらくは同様の罵倒)

    7月14日
    [罵倒]

    12月なんにちか
    冷静に…はぁ…

    12月なんにちか+1
    慣れ馴れ鳴れ成れるわけないだろもうやだどこだ

    12月なんにちか+02
    会わないと…花子…

    12月な
    もう行こう、実行だ

補遺1: SCP-XXXX-JP-Aによる改変の内容はSCP-XXXX-JP-Aの周囲の情報に深く関わるものになっています。そのため、火星に着いたSCP-XXXX-JP-AがSCP-750-JPやSCP-206を改変対象に選ぶ危険性に留意し、収容プロトコルが改変されました。

補遺2: SCP-XXXX-JP-Aの異常性には高確率で伝染性と増殖性があります。「たかし」から「たろう」に起きたように、現在のSCP-XXXX-JP-Aの異常性が別の人物に転移し、教育形態が常に変化し続ける危険性が予測されるため、JAXA及び地球外での活動を行なう財団職員に、SCP-XXXX-JP-Aの観測自体を厳重に禁止する旨を最優先事項として通達してください。
現時点では予測の域を出ませんが、おそらく我々はもう一つの失敗を見落としています。我々がSCP-XXXX-JP-Aの存在を知覚した以上、最大の失敗までは秒読みです。急いで。-サイト8104解析課

    • _

    記録XXXX-Aの「改変前の問題文」もSCP-XXXX-JP群による改変の影響を受けたものです。SCP-XXXX-JP群は大昔から数学の教科書の出題傾向を大幅に変えるという現実改変を無意識に引き起こしており、現実改変を通じて周囲の情報を流出し続けています。

    SCP-XXXX-JP-Aの前にこの改変を行っていた「たかし」と全く関係のない人間がSCP-XXXX-JP-Aとなったこと、改変が起きた回数が不明であることから、SCP-XXXX-JP-Aの異常性は遺伝性を有していると言えます。明らかな収容違反であることはもちろん、いずれSCP-XXXX-JP-Aが財団の存在を世の中に流出させ、ヴェールを破壊するかもしれない。文書の鑑識をしていた鑑識課はそれにいち早く気づき、最大の失敗(財団職員がSCP-XXXX-JP-Aとなる)を予防しようとした。


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